05美味しく健康になる食べ方

栄養バランスや肉質に優れたアメリカンビーフ&ポークで健康生活を

実はオトナ世代こそ食べたほうがいい食材である肉。
なぜ必要なのか、そして食べるタイミングや必要な量など、年を重ねた世代に気を付けてほしい食のポイントを赤堀料理学園の校長、赤堀博美先生に伺いました。

01 50代から食生活を見直そう

オトナ世代になると、自分の身体のことをもっと考えようという意識がより強くなるので、健康について立ち止まって考えられるいいチャンスです。

50代になると免疫力*1は20代に比べて半減することがわかっています。それに気づかず、若い頃と同じ食生活を続けていたら、疲れやすくなったり、風邪を引きやすくなったりと、日常生活に影響が出てきてしまいます。

ほかにも筋力低下や骨粗しょう症、脳の機能が下ってきて物忘れの心配も出てくるのがオトナ世代。50代から上の世代が自分の健康についてきちんと考え、実践していくことは、今後の高齢者介護の問題にも関係すること。要介護者になるリスクを減らすためにも、食生活に何が必要なのかを考えるべきですね。

*1 免疫力・・・身体が病気などに対抗する力のこと。風邪や病気を防ぐほか、疲れにくい体にしたり、病気になった場合にも回復をしやすくしたりするのも、免疫力の働きによるもの。

02 肉は毎日、摂取すべし

「年をとったらなるべく肉や脂を控え、あっさりとした食事にすべき」と思いがちですが、「粗食イコール健康食」ではありません。日本では昔から粗食を美徳とする風潮が根強いのですが、どうしても栄養のバランスが偏ってしまいます。

特にオトナ世代には肉に対して「脂肪がつきやすい」「太りやすい」といった思い込みが強く、積極的に食べようとしない人が多いようですが、実はオトナ世代の約2割に低栄養*2のリスクがあるのです。

また、老化が進むと若いころに比べて栄養素の吸収率が低下するため、同じ量を食べたとしても身になりにくい。筋肉や骨などは日々代謝を繰り返すので、それらの材料となる肉に含まれる動物性たんぱく質*3は毎日必要となります。つまり、オトナ世代ほど積極的に肉を食べることが大切なのです。

*2 低栄養・・・低栄養とは、エネルギーとたんぱく質が欠乏した状態のこと。特に高齢者の場合、うまく咀嚼できなくなったり消化機能が落ちたりして、栄養や水分を充分に摂れなくなることが少なくないのです。
*3 たんぱく質・・・筋肉や内臓、骨などをつくるために必要な栄養素。不足すると筋力低下や骨がもろくなるほか、免疫力の低下にもつながります。

03 推奨量をこまめに

では、どの程度が推奨量*4なのでしょうか。一食でたんぱく質20グラムを摂取するために必要な肉の量は、牛ヒレ肉なら約100グラムで、厚さ2センチのステーキ1枚程度。豚ヒレ肉では約90グラム、一口ヒレカツ用の豚ヒレを3枚分が目安。この量をいきなり摂取するのは難しいので、まずは毎食肉を食べるように心がけることが大切です。

*4 推奨量・・・現在、日本で提唱されているたんぱく質の推奨量は、女性は1日約50g、男性なら約60gです。動物性たんぱく質をバランスよく摂取することが大切です。

04 3食は12時間以内に

また、朝食にボリュームを持ってくることもお勧めです。というのも、体内時計*5の1日は朝食からスタートします。朝にきちんと動物性たんぱく質や脂質、炭水化物を体内へ入れることで、体や脳が目覚め、栄養素の吸収も活発になっていきます。

その際に気を付けたいのは、朝食は9時までに食べること。朝食を食べることで、脳内から活動開始の指令が出されるので、朝食が遅くなると体内時計もずれてしまいます。そしてもうひとつのポイントは朝食から12時間以内に夕食を済ませること。夜10時以降は脂肪の吸収率が高くなるので、それまでに夕食を食べ終えておいた方がいいのです。

とはいえ、「朝からたくさんの肉は難しい」という場合は、朝は軽めの肉料理にして、足りない分は昼に補えば大丈夫。逆に夜は量より質に気を付けて。オトナ世代には肉の中でも脂質が少なめの赤身がお勧めですね。

*5 体内時計・・・体内時計とは体の様々な臓器にあり、体内周期、リズムをきざんでいます。近年、この体内時計をつかさどる時計遺伝子のリズムから考えられた「時間栄養学」が注目されています。

05 どんな肉を選ぶべきか

オトナ世代にぴったりの肉として、私が今注目しているのはアメリカン・ビーフ&ポークです。同価格帯の国産牛とアメリカン・ビーフを比較した場合、たんぱく質や脂質のバランスがいいのはアメリカン・ビーフ。他の牛肉と比較して低脂肪、低カロリーなので、動物性たんぱく質をしっかり摂れるいっぽう、脂質、カロリーを摂りすぎるリスクが少ないんです。

また、アメリカン・ビーフは穀物を飼料にしているので、牧草だけで育てる牛肉とは味や香りが違います。そして日本人に好まれやすい味になります。

アメリカン・ポークの場合はとにかく柔らかな肉質が特長。肥沃で広大な土地で、ストレスなく、衛生的に育てられているので、クセがなく、柔らかな肉に育ちます。だから「硬い肉だと噛み切りにくくて…」「クセが強い肉はどうも受け付けなくて…」というオトナ世代にお勧めです。

オトナ世代にお勧めの肉料理レシピをご提案します。ぜひアメリカン・ミートで、健康的な食生活に取り組んでみてください。

PROFILE

管理栄養士
赤堀博美

赤堀料理学園校長、管理栄養士、日本女子大学非常勤講師、日本フードコーディネーター協会常任理事。子供料理教室、男性料理教室、高齢者へのユニバーサルデザインフードの開発など多方面で活躍。フードコーディネーターとして料理番組、ドラマ、CMを担当。