アメリカン・ポークの安全性について豚肉生産における抗生物質と耐性菌対策
アメリカでは、2017年に動物用の抗生物質の規制に関して大きな変更がありました。食品医薬品局(FDA)は2017年1月1日に、新しい動物用飼料指示書(VFD)を発効しました。これは、抗生物質耐性菌の出現を遅らせ、重要な薬の効果を維持するために導入されたもので、家畜と人の両方で使用されていた抗生物質について、医学的に重要であると指定しました。
FDAの新しい要件では、医学的に(人間の病気にとって)重要な抗生物質は、食用動物の生産における成長促進の目的には使用できなくなりました。これらの製品は、特定の疾患を治療、制御、または予防するための治療用途にのみ利用可能であり、獣医の監視が必要になります。飼料添加の抗生物質は、豚群に対して獣医飼料指令(VFD)を必要とし、水薬は処方箋が必要となりました。
この新しいガイドラインでは、従来、飼料添加物として使用されていた抗生物質の60%が制限の対象となり、抗生物質の流通販売にも大きな変化をもたらしました。動物用医薬品の販売・流通量は、ピーク時(2015年)に比較して2017年、2018年は4割ほど減少しました。
全米豚肉委員会(NPB)は、抗生物質耐性の発生の可能性を減らすために、グローバルな「One Health Umbrella」のコンセプトに沿って、すべての利害関係者と協力して、人、動物、環境に利益をもたらす、耐性問題に対する包括的な解決策を見つけることに注力し、PQA plusでは「責任ある抗生物質の使用」を掲げ、抵抗を最小限に抑え、動物の健康と食品の安全性を最大化するために、獣医師と緊密な関係を維持し、FDA承認の抗生物質は必要な場合にのみ、ラベルに従って使用するように指導してきました。
原則1 | 抗生物質の適用の必要性を減らすために適切な手順を踏む。 |
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原則2 | 抗生物質のすべての使用の利点と欠点を評価する。 |
原則3 | 抗生物質は、測定可能な利益をもたらす場合にのみ使用する。 |
原則4 | 日常業務への動物用医薬品の責任ある使用について説明されている管理慣行を完全に実施する。 |
原則5 | 獣医師/生産者/患畜の関係を構築し、責任ある抗生物質使用ガイドラインに従う。 |
アメリカ国内および輸出豚肉のMRL(最大残留レベル)
全米豚肉委員会(NPB)は、米国産豚肉は年間生産量の25%以上が輸出されているため、輸出先国が豚肉または豚肉製品に独自のMRL(最大残留レベル)を設定する場合があることを考慮し、豚肉生産者はMRLを国際レベルで理解することが重要としてます。
政府は、全米豚肉生産者協議会(NPPC)、米国食肉輸出連合会(USMEF)、米国の豚肉輸出企業などとともに、輸出先の顧客ニーズが満たされるように努めています。豚肉の輸出ルートは農場から始まるため、アメリカのすべての豚肉生産者が、世界の人口増加に対応して、安全で栄養価の高い高品質の豚肉を生産する役割を担っているとの自覚の下で、獣医師との緊密な協力関係を維持し、動物の健康と幸福を保証するだけでなく、抗生物質の適切な使用に関するガイドラインが米国内外の消費者に適合していることも保証するとして、輸出用豚肉のMRLデータベースにある休薬期間、製品ラベル記載事項を遵守するに注意しています。