アメリカン・ビーフの安全性について牛肉品質保証(BQA)プログラムについて

牛肉品質保証プログラム(Beef Quality Assurance、BQA)は、全米肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)が自主的に行っている牛肉生産者の教育および認定プログラムです。1980年代後半から1990年にかけて、州単位での策定が進み、1991年に初の全米統一的なフレームのガイドラインとして策定されました。

飼育中の家畜の疾病を予防し、安全な食肉を提供するために、動物用医薬品や農薬の正しい使い方を周知しています。主に化学物質の残留抑止を図るトレーニング・プログラムと位置づけ、HACCPシステムをベースに以下の5分野に焦点を当てて、牛肉生産の過程で起こりうる食品のハザード(危害要因)と、コントロールすべきポイントを定義しました。

  1. Feedstuff (飼料)
  2. Feed additives and medication (添加飼料と薬剤)
  3. Processing/treatment and record (加工処理/治療と記録)
  4. Injectable animal health products (注射用動物用医薬品)
  5. Care and husbandry practices (牛の取り扱いと世話)
Beef Quality Assurance
HACCP をベースにした 品質管理ポイントの例
プロセス管理点潜在的危害要因
給餌 / 添加飼料 購入、受け取り、保管、飼料保管 抗生物質残留物、化学残留物、毒性の餌
健康障害の予防と治療 分娩、離乳牛、種牛または育成牛の受け取り 注射部位斑点、抗生物質残留物、注射針の欠損
加工と牛の取り扱い 役牛、離乳牛、牛の出荷 注射部位傷害、あざ、皮の損傷、枝肉の欠陥、病弱
牧草の化学薬品使用 除草剤 / 農薬の散布、容器処理 水質、土壌汚染、残留物

安全で、衛生的な牛肉を生産することを目的にスタートとした同ブログラムは、その後、動物医薬品、特に抗生剤の使用にあたり、過剰な投与を制限し、抗生剤耐性菌の発生を防止するための「牛肉生産者のための抗生物質管理マニュアル」や消費者の動物福祉への関心の高まりに対応した「キャトル・ケア&ハンドリングガイドライン」、さらには環境保護・持続可能性への取り組みなどを含めて、牛肉産業と牛肉製品への消費者の信頼を高めるための系統的かつ総合的なプログラムへと進化を続けています。

BQAの認定は、対面式トレーニングまたはオンラインコースの受講により取得するもので、現在、米国産牛肉の85%以上はBQA認定の肉牛生産者から供給されています。