「免疫細胞」イキイキ!もっと豚肉を食べて「負けない体」をつくろう <前編>
日常生活や健康をおびやかすさまざまなウイルスや感染症の存在に、多くの人が「免疫力を上げたい」と思っているのではないでしょうか。いまやよく耳にする「免疫」という言葉ですが、改めてその機能を高める方法をご紹介します。今回はその前編です。
「免疫細胞の材料」になる肉をもっと食べるべし!
免疫機能について考えるとき、知っておいてほしいのが「免疫細胞の材料」についてです。免疫細胞はほかの細胞と同様に、たんぱく質によって作られています。たんぱく質は体内で分解されてアミノ酸となり、細胞の材料になります。しかし、偏った食事や、食事の絶対量の減少などによってたんぱく質が不足すると、免疫細胞が作られにくくなり、免疫機能は低下してしまいます。
「私は肉を食べているから大丈夫」と思うかもしれませんが、100gの赤身肉を食べても100gのたんぱく質は摂取できません。赤身肉の場合、約80%は水分で、たんぱく質は約20%。100gの赤身肉を食べて摂取できるたんぱく質は20g程度です。成人のたんぱく質の1日の推奨摂取量の目安は60g前後ですから、肉なら300g程度摂取する必要があります。
たんぱく質をしっかり摂取しようと思ったら、意外と「たっぷり」肉を食べる必要があるんですね。
肉はアミノ酸バランスが良く、脂もけっして悪者ではない!
肉の脂を敬遠して、大豆製品などから植物性のたんぱく質を摂取したいと考える人もいるかもしれませんが、植物性たんぱく質に比べ、動物性たんぱく質は必須アミノ酸のバランスをあらわすアミノ酸スコアが高い(アミノ酸スコア100)という特長も。肉はバランスよく必須アミノ酸を摂取できる食品なのです。
そもそも、肉の脂に一番多く含まれている脂肪酸はオレイン酸で、体に良い油として有名な「オリーブ油」に多量に含まれる脂肪酸と同じです。オレイン酸には悪玉コレステロールを減らす働きがあり、肉類の脂はけっして健康に良くない脂とはいえないのです。
東京農業大学名誉教授鈴木敏郎さん
東京農業大学名誉教授。東京農業大学農学研究科農芸化学専攻(博士後期課程)修了(農学博士)後、CSIRO(オーストラリア)食品科学部門食肉研究所へ2年間留学。帰国後、東京農業大学農学部学部長など経て、退職後、名誉教授に。お肉の価値向上を目指したさまざまな活動を行なっている。