肉料理マスター編

最終ステップ!
じっくり時間をかけながら料理を楽しもう!

LESSON12

ステーキの焼き過ぎは厳禁!

いよいよこのアメリカンビーフ&ポークのはじめての自炊向上委員会も今月で卒業の回になりました。1年間楽しんでお料理をしていただけましたでしょうか?
全くのお料理初心者だったころに比べると徐々に食材を扱うことにも慣れ、味付けの加減や、自分の好みの味、調理器具や自分のキッチンとも仲良くなれてお料理することが楽しくなってきているといいなぁ~と期待しています。

というわけで、最終回の今回は、連載当初からの目標だった「ステーキ」を焼くことに挑戦していただきます。
お肉売り場に行くとたくさんのステーキ用のお肉が売っています。
国産牛、黒毛和牛、アメリカ産、オーストラリア産、など産地の違いもありますが、お肉の部位も違います。
肩ロース、サーロイン、ヒレ、もも、ミスジ・・・ステーキ肉もいろんな種類があります。

お肉の産地や種類によってもステーキの焼き方は変わってきますが、今回は「アメリカ産」のステーキの焼き方だということを念頭においてください。※今回は「サーロイン」を使用して焼いています。
アメリカ産の牛肉は赤身中心のお肉で、上品できめ細やかな肉質、繊細な柔らかさの極上のうまみを味わえますが、加熱しすぎてしまうとパサつきを感じてしまいやすいので、長時間の焼き過ぎは厳禁。
冷蔵庫から出したての冷たいままの肉の状態で焼き始めると中に火が通るまで時間がかかりすぎてしまうため、必ず焼き始める前に肉を冷蔵庫からあらかじめ取り出し、室温に戻しておくことが重要です。
高温に熱したフライパンでさっと表面に香ばしい焼き色をつけるようにして焼き、あとは火からおろしてホイルに包み、焼いたときのその熱を利用して中まで火を通していく方法が家庭では作りやすいと思います。
何度も焼いているうちに自分なりのベストを見つけられると思うので、ぜひ何度でもトライしてみてください。

アメリカンビーフステーキ和風ポン酢ソース添え

材料

  • アメリカンビーフ(牛肉)サーロイン、肩ロースなど(ステーキカット1センチの厚みのもの)2枚
  • 玉ねぎ1個
  • 適量(肉の重さの1パーセント)
  • ブラックペッパー少々
  • オリーブオイル適量

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  • ポン酢しょうゆ大さじ2
  • みりん大さじ2

作り方

ちょこっとアドバイス

  • アメリカンビーフは、霜降りのお肉ではなく赤身が中心のお肉。肉汁を保ったまま焼くためには必ず肉の温度を室温に戻すこと、高温でさっと焼いてそのあとはホイルにすぐに包み、決してフライパンの上に置きっぱなしにしないことが重要です。事前に包むためのホイルを用意しておく、付け合わせの野菜を肉の焼ける時間に合わせて作っておくなど、段取りを考えてから作り始めましょう。
  • 肉の端っこの脂身の多い部分はステーキを焼いて切り分けた時に別皿に取っておき、細かく刻んでガーリックチャーハンに入れるととびっきり美味しいです。
  • ステーキを焼いた後、すぐに食べない場合はラップしておいておきます(切ってからでも切らずにでもどちらでも大丈夫です)。食べるときにレンジで温めなおしますが、この時加熱しすぎてしまうとせっかくのちょうどよい火加減で焼いていたはずのお肉に火が通りすぎてしまうことがあります。温め加減は手で触れるくらいの温度にしておき、決して再加熱しすぎないようにしましょう。アメリカンビーフは脂身の少ないお肉なので、アツアツじゃなくても少し温かい、くらいの温度で十分に美味しく感じるお肉です。逆に脂身が多い霜降りのお肉などは、アツアツにしないと冷めた脂が気になって食べにくいと思います。

玉ねぎのトースターグリル

玉ねぎを1センチの厚みの輪切りにしてホイルをひいた専用トレーに並べ、オリーブオイルと塩をふりかけ、トースターで15分ほど焼く。

〜母から1人暮らしを始めた娘への手紙〜

すぅさんへ

母さん自身がお料理をし始めたばかりのまだ初心者だったころ、母さんも母さんのお母さん(キミにとってはおばあちゃん)と台所に一緒に立って、お料理を教えてもらっていたことがありました。特に自分が好きだったお母さんの作る料理は絶対にレシピを覚えて、自分でも作れるようになりたいって思ったから、真剣にメモを取りながら教えてもらっていたのだけど、当時お母さんに教えてもらったお料理は、そんな細かい分量とかがあるわけではなくて、お醤油、ジャー!っとひと回しかけるくらい、とか、お砂糖ほんのちょびっと、塩はパラパラっと、とかそんな感じのアバウトなものでした。

ある時ポテトサラダを実際にわたしが作りながら、横でお母さんに見てもらっていたときのこと、「塩の量ってどのくらい入れたらいいの?」「マヨネーズってどのくらい?」といちいちわたしが確認していたら、お母さんに「このくらい入れたら美味しいかな~って量」と言われたことがありました。

素材は毎回違うし、分量だって毎回違うもの。その時の自分の体調によっても、今日は優しい味付けがいいかな、今日はがっつりしっかり味にしたい!って思うこともある。
だから、自分がその時思った「これくらい入れたら美味しいかな~って量」っていうのは、それ以来母さんの中ではひとつの指針になっていて、今でもお料理するときに心の中で「これくらい入れたら美味しいかな~」って唱えながら作っています。

形ある物はどれだけお金をかけて必死に集めたとしても、時が経つうちにいつかは壊れたり、失くしてしまったり、古くなってしまったり、処分してしまったりするものだけど、伝えられた言葉や味、感覚ってずっとその人の中に残っていくものだと思う。 母さんがキミに残せたものが何かあるといいな。

2025年 12月 母より