脳に元気をチャージ!メンタルを整える食と行動の生活習慣
疲れて元気が出ないときや、心が不安定になってしまうことはありませんか? そのままにしておくと、さらにやる気を失って楽しい発想ができなくなります。実は、不足している栄養素を補うことや、日常生活のちょっとしたコツで、前向きな気持ちに切り替えることができます。精神科医の千村晃さんにお話しを伺いました。
食や行動を変えると心も変わっていく
うつやイライラ、不安など心のトラブルは、悩みやストレスが原因と思いがちですが、実は必要な栄養素が不足していることが原因のケースもあります。
例えば、神経細胞や神経伝達物質の材料となるビタミン、ミネラル、たんぱく質、コレステロールなどが不足していると、「幸せホルモン」とよばれるセロトニンなどが作られず、脳の働きが悪くなり、気分の低下や心を不安定にします。鉄分の不足なども、うつ状態や不眠につながってしまいます。
前向きな気持ちは、毎日の行動を変えることで取り戻せます。心を安定させるセロトニンを分泌しやすくする習慣や、自律神経を整える習慣を日常生活に積極的に取り入れましょう。
心が不安定になるのはなぜ?
そもそも心が不安定になるのはどんなメカニズムなのでしょうか。具体的な悩みで気持ちがふさぐということだけでなく、栄養の偏りや睡眠不足、多忙などが続くと、それによるストレスが蓄積していきます。それらは脳内のセロトニンなどを減少させ、脳の働きを低下させます。その結果うつや不安などが生じます。また、自律神経の「交感神経」と「副交感神経」のバランスを崩し、不調を生み出します。
次で紹介する、朝・昼・夜のポジティブ習慣を実践して、毎日を心豊かに、安定した気持ちで過ごしましょう。
朝のポジティブ習慣
朝食には、セロトニンの材料が含まれるたんぱく質が豊富な牛乳や納豆、豚肉などの食材をしっかり摂るのがよいでしょう。無気力の改善には、ビタミンB群でエネルギーチャージ。ビタミンB群はバランスよく摂取することで機能するので、組み合わせて食べましょう。ビタミンB1は豚肉、B2は豚レバーや卵、納豆、B6は魚介類、B12は貝類に豊富です。
昼のポジティブ習慣
動きやすい服装で外出しましょう。適度な運動は心の安定に大きな効果があります。また、太陽の光を浴びるのもセロトニンの分泌を促します。曇り空でもOK。時には、ひとりの時間を作って自律神経を整える深呼吸を! たとえ親しい仲間や家族でも、他人といる時には無意識に気を遣い、交感神経がフル稼働になっています。
夜のポジティブ習慣
悩みや心配ごとなど、ありのままの気持ちをノートに書き出すだけでもスッキリします。嫌なことだけでなく、今日1日のよかったこと、楽しかったことも書いてみましょう。気持ちが明るくなります。ほのかな灯りの浴室で、アロマのお湯にゆっくり浸かって全身をほぐしたり、軽いストレッチもよいでしょう。交感神経を落ち着かせてリラックスモードに切り替わり、ぐっすり眠りにつけるでしょう。
精神科医千村晃さん
精神科医。千村クリニック院長。千葉大学医学部卒業後、千葉大学付属病院脳外科、東京医科歯科大学付属病院精神科などを経て千村クリニックを設立。「薬に頼らない医療」を提唱し、食事や運動での改善を治療に取り入れている。