USDAの最新の豚飼養動向調査報告は、主要数値の多くがアナリスト予想の平均値に近く、先物市場の予想は変化しなかった。豚肉の供給拡大が継続し、2018年から2019年初めまでの豚肉価格のインフレリスクは限定的であることがはっきりと示されている。
ここ数年間、全米の豚肉生産者は安定した利益を享受し、生産規模の拡大を続けてきたが、輸出市場の先行きが不透明で、さらに飼料コストが上昇する可能性もあることから、これまでの飼養規模の拡大サイクルに歯止めがかかりそうだ。
3月1日現在の豚総飼養頭数は7290万8000頭(前年同月比3.1%増)。3月としては史上最多だが、7355万9000頭を記録した2017年9月の水準よりは低い。繁殖豚の拡大と分娩頭数の多さからして、今秋の総飼養頭数は昨年の水準を上回ることが確実視される。
繁殖豚の推定飼養頭数は620万頭(同1.7%増)で、これまでの増加サイクルのピークである2007年12月の水準に達している。アナリストらの事前予測では1.5%増とされていたが、いずれにしろ繁殖豚の増加により、肥育豚供給は今後半年間、引き続き増加する見通しだ。
マーケットホッグ(今後5〜6カ月間に出荷される豚)の飼養頭数は、3〜4%増加している。肥育豚3.1%増、12〜2月期の子豚生産頭数3.8%増から推測すると、今夏のと畜頭数は3.5〜4%増になる。9〜11月に出荷される3〜5月期の子豚生産頭数はおよそ3%増(分娩頭数2.1%増+一腹当たり産子数0.7%増)と予想される。
昨年の週間(5日稼働)当たりのと畜頭数は、平均で約250万頭。飼養頭数から推定すると、週間と畜頭数はさらに7万5000〜8万頭増え、260万頭を超える週が出る可能性もある。豚肉の供給は史上最多記録をさらに塗り替える見込みで、こうした増加分の消化には国内外の強い需要が不可欠だ。
今後の焦点は飼料価格と輸出市場の動向になる。中国の報復関税(25%上乗せ)は、中国向け輸出に重大な影響を及ぼしかねない。2017年の中国向け輸出は、輸出全体の7%に相当する。さらに豚肉副産物製品の中国向け輸出は、全体の約三分の一を占める。と畜頭数が260万頭に近づく秋季に、正肉と副産物の新たな輸出先を開拓する必要がある。
干ばつによってトウモロコシの収穫量が減少し、今夏に飼料価格が上昇する懸念もあるが、肥育豚の供給は短期的には潤沢で、豚肉生産量の大幅な増加により、今後12カ月の価格は前年水準を下回る推移が続くだろう。
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