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TRADER'S Be & Po

vol.309 Apr.9.2018
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
ワールド・トレード 中国の報復関税、輸出への影響懸念
市況ニュース 肥育牛価格が上昇、カットアウトも堅調
豚肉価格は生産量増が値下げ圧力に
生産動向 干ばつでフィードロットへの導入促進
輸出動向 食肉輸出は滑り出し好調、牛肉9%増
USMEFインフォメーション アメリカン・ポーク『かんたん低温調理』の提案
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2018年2月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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ワールド・トレード

中国の報復関税、輸出への影響懸念

 
 

米国が通商法301条に基づき、中国の知的財産侵害への制裁としての関税措置を発表したことに対抗して、中国が報復関税(関税25%引き上げ)措置を講じた。米国の食肉産業界からは輸出への影響を懸念するコメントが相次いでいる。

中国政府は4月2日から、米国産の豚肉やワインなど計128品目に関税25%の上乗せを実施。4日には牛肉や大豆を含む106品目を対象リストに追加することを発表した(開始日は未発表)。今回の措置による豚肉の関税率は下表のとおり。牛肉の対象品目はチルド・フローズンのボンインとボンレス、ハーフヘッド、骨など。

こうした動きに対して、USMEF(米国食肉輸出連合会)のダン・ハルストロム会長は2日、要旨、次のようなコメントを発表した。

「米国産豚肉、特にバラエティーミートにとって中国は重要な市場だ。2017年の中国への豚肉全体の輸出は30万9284トン(6億6310万ドル)に達し、輸出量では3番目、輸出額では4番目に大きな市場だ。バラエティーミート単体では18万1351トン・4億2520万ドルと最大の輸出先で、米国のポークバラエティーミート輸出の3分の1以上を占めている。

バラエティーミートの輸出は生体豚枝肉価格に非常に大きな影響を与えており、中国への輸出分だけでも、生体豚一頭当たり換算で3.50ドル以上に相当する。中国は価格変動に敏感な市場であるため、関税率の上昇が米国産豚肉の競争力に影響を及ぼすことが懸念される」

また牛肉が対象リストに追加されたことに関しては、「米国産牛肉に対する中国の関心は着実に高まり、輸出再開後9カ月で顧客基盤が拡大してきた。しかし追加の輸入関税が課せられれば、これまでの建設的なビジネス関係とさらなる成長の機会が危険にさらされるだろう。中国が米国産牛肉にさらなる障害をもたらさずに、この問題を解決できることを期待している」と語った。

USMEFによると、2017年後半の中国への牛肉輸出は3020トン、3100万ドル。2018年1月は月間最高の819トン・750万ドルに達している。

NPPC(全米豚肉生産者協議会)は、中国が米国産豚肉に課す関税は米国の農業に重大な悪影響を及ぼす可能性があると警告した。ジム・ハイマーレル会長は「多くの豚肉を中国に輸出しているため、関税引き上げは豚肉生産者に損害を与え、農業経済を悪化させるだろう。対抗的な貿易戦争では、少なくとも農業従事者と消費者は誰一人得をしない。貿易は、すべての国が国際ルールに従って公正に取引することが大切であり、すべての国が、企業、農家、消費者に害を及ぼさない形で貿易紛争を解決することを期待する」とコメント。

NCBA(全米牛肉生産者牛肉協会)のケント・バカス国際貿易・市場アクセス担当ディレクターは「米国産牛肉が報復の標的に挙げられたことは不安だが、残念ながら、これは貿易戦争の必然的な結果であり驚くことではない。政府間の戦いで、被害を受けるのは米国の牛肉生産者と中国の消費者だろう。政府がこの問題を5月末までに解決することを期待するが、無限の報復はどちらにとっても良い道ではない」と述べた。

 

※2018年4月4日 Meatingplace.comならび各団体News release等の抜粋

  中国の米国産豚肉の関税率
 
市況ニュース

肥育牛価格が上昇、カットアウトも堅調

 
 

肥育牛の供給は、南部では増加の兆しが見え始めたが、北部では依然ひっ迫したままだ。このため、前週はパッカーの仕入値が上昇し、スポット市場のボックスビーフ価格は高止まりしている。

3月第1週の主要5州の去勢牛平均価格は、100ポンド当たり126.79ドル、枝肉で同203.88ドル。それぞれ前週比0.03ドル高、0.03ドル安とほぼ横ばいで推移した。カンザスでは生体牛が平均126.82ドル、テキサスでは127.00ドルで取引され、北部ではさらに若干の高値をつけた。

生産量の減少により、カットアウト価格は堅調だ。総合(カット、ひき材、トリム)の平均価格は100ポンド当たり220.67ドルで、前週比3.87ドル高。チョイスは平均219.88ドルで同3.88ドル高、セレクトは214.34ドルで同3.07ドル高。カットアウト全体としては3週間で13.74ドル、チョイスは14.63ドル上昇した。

週当たりの取引量は前の週より減少し、前年比でも4.8%減。スポット市場の取引量は非常に少なかった。第2四半期は牛肉の生産量が第1四半期より12%増加すると予想される。バイヤーは4月になればボックスビーフ価格が下がり始めると予測しているため、予約取引での販売量も芳しくない。先週のカットアウトの取引量は319ロード≒コンテナと少なかった。

 

※2018年3月19日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

豚肉価格は生産量増が値下げ圧力に

 
 

豚肉の供給が増加する一方で、小売での販促活動が冷え込んでいることが、豚肉の卸売価格を強い値下げ圧力にさらしている。USDA公表のポークカットアウト価格は、2月末には100ポンド当たり80.27ドルだったが、3月16日には72.57ドルとわずか3週間で10%下落した。これは前年比では11%安。

同週のと畜頭数は、推定で241万3000頭(前年同週比3.5%増)。過去4週間の平均と畜頭数は240万頭(同4.3%増)。と畜頭数の増加に加え、枝肉重量も増加している。USDA公表の先週末の去勢豚・未経産豚の枝肉平均重量は214.5ポンド、前年同期比0.8%増で、これがスポット市場の生体豚の相対取引価格に影響している。

と畜頭数の4%増と枝肉重量の1%増の相乗で、この数週間の豚肉生産量は前年比約5%増で推移している。昨年は豚肉需要が良好で、2018年も継続するとの見通しを反映した価格予想が多かったが、ここにきて様相が一変しつつある。

豚肉需要において、今後のマイナス要因は、第2・第3四半期の牛肉供給量の増大だ。推定では、3月1日のフィードロットの総飼養頭数は前年比8.5%増。第2四半期の出荷が加速し、第2四半期の牛肉生産量は6.8%増加と予想される。短期的には、東海岸部を襲った寒波とともに、イースター(今年は4月1日)が豚肉の小売需要にマイナスの影響を及ぼしている。

輸出もまた豚肉市場を左右する重要な要素だが、現状は非常に良好だ。週間輸出データからの推定では、3月の豚肉輸出は前年同月比4%増。4月も前年水準を超えると予想される。輸出の増加と季節的なと畜頭数の減少が生体豚価格の回復基盤を整えるかも知れない。

 

※2018年3月19日 Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  米国の週間当たり豚と畜頭数の推移
 
生産動向

干ばつでフィードロットへの導入促進

 
 

北部、南部平原、南西部にかけて干ばつが続き、肥育牛のフィードロットへの導入が予想外に早められている。全米の肥育牛素牛の30%がこれらの地域にいる。干ばつは27州に及び、肉牛全体の76%に影響している。飼料用小麦が不足していることも導入増加の一因だとアナリストは指摘する。

フィードロットの総飼養頭数は3月1日時点で、少なくとも前年同月比8%増となる見込みだ。干ばつが特に深刻な地域は、ダコタの一部、カンザス南部および南西部全域。カンザス州知事は先週、州内の全105地域についての干ばつ宣言に署名した。

2月の肥育牛市場が堅調で肥育業者のマージンが良好だったことも、導入増に拍車をかけた。導入の早期化により、通常は重量級区分の導入が増加する時期にもかかわらず、1月の導入時の生体重量は軽量化した。このため、3〜5月期の肥育牛供給の減少と原価の上昇が懸念されるとアナリストは指摘する。

2月の出荷が予想より少なく、導入が増加したことで、3月1日時点のフィードロット総飼養頭数は2008年以来最大の1170万頭近くに達すると予測される。夏季に向けて肥育牛の在庫が増大する可能性がいよいよ確実となった。

一方、プライムの格付け割合は4週連続で記録を更新。3月2日までの週のプライム発生率は8.74%で、前週より0.12ポイント上昇。前年同週は6.37%だった。チョイス以上の割合は80.66%で、前週に次ぐ記録的な水準。一部のアナリストは、肥育過多がこの記録的水準の原因であると指摘する。

3月3日までの週の枝肉重量は、去勢牛平均が883ポンドで、前年比で7ポンド増。未経産牛は828ポンドで、同5ポンド増。

 

※2018年3月19日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
輸出動向

食肉輸出は滑り出し好調、牛肉9%増

 
 

今年の米国牛肉業界は生産量が5%増と予想され、輸出の重要性が増しているが、USMEFによると、1月の牛肉輸出量は10万5486トン(前年同月比9%増)、輸出額は6億2440万ドル(同21%増)と大幅に増加し、好調な滑り出しとなった。豚肉も輸出量は前年と同水準だが、輸出額は7%増加した。

1月の牛肉生産量全体に占める輸出比率は12.4%。正肉単体では10.1%。肥育牛1頭当たり換算の輸出額は293.06ドル(前年比14%増)。輸出先では、特に日本市場で勢いを強めている。

日本向け輸出量は2万3968トン(同7%増)、輸出額は1億4860万ドル(同19%増)。このうち、チルドビーフの輸出額は30%増加、フローズンは輸出量が13%減少したものの、輸出額は微増。日本の米国産冷凍牛肉の関税率は、セーフガード発動により50%となっているが、会計年度が替わる4月1日には38.5%に戻る予定。

韓国向けは1万7133トン(同13%増)、輸出額は1億2230万ドル(同34%増)。米韓FTA(KORUS)により、米国産牛肉への関税は1月1日から21.3%となり、FTA締結前の40%から大幅に引き下げられている。

香港向けは1万493トン(同41%増)、中国向けは819トンで月間最多を記録した。台湾向けは4207トン(同17%増)。インドネシア、ベトナムがけん引し、ASEAN向けも3108トン(同22%増)と好調だった。

1月の豚肉輸出は、メキシコ向けは7万2997トン(同1%増)。メキシコ市場は米国産豚モモ肉の一大市場であり、バラエティーミート(内臓)でも中国・香港に次ぐ二番目の市場。輸出額のリーディングマーケットである日本向けは、輸出量3万5048トン(同11%増)、輸出額1億4640万ドル(同17%増)。特にチルドポークは2万212トン(同15%増)と増加した。韓国向けは1万8879トン(同17%増)、中国は国内生産量が増加し、豚肉価格が下落していることから、中国向けは香港向けと合計で3万1997トン(同16%減)と減少したが、輸出額は2%増加した。

 

※2018年3月19日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
USMEFインフォメーション

アメリカン・ポーク『かんたん低温調理』の提案

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)はアメリカン・ポークの需要拡大に向けて「かんたん低温調理」の提案に取り組みます。いま、家庭メニューでも「低温調理」がヒットの兆しがあります。

実際に、調理家電製品でも温度調節機能にこだわった製品が増えています(日経Trendy誌の今年のヒット予測で低温調理家電は第6位)。また一般的な調理器具を利用した「低温調理手法」を活用したメニューが個人ブログや料理雑誌、書籍などで話題になっています。

低温調理とは、肉などタンパク質の凝固温度を考慮し、比較的低い温度で、時間をかけてじっくり調理することで、肉がかたくならず、水分を内部に保持するというメリットがあります。

USMEFは専門機関(味香り研究所)に依頼し、低温調理した場合のうま味成分、ジューシーさ、やわらかな仕上がりなど科学的に検証。特別な調理器具を使わなくても、火加減や加熱時間を工夫することで、アメリカン・ポーク本来がもつうまみを最大限に引出し、よりジューシーでやわらかく仕上がる定番メニューを探求し、低温・弱火でぐんとおいしくなる「かんたん低温調理」レシピを開発しました。

それらのメニューの調理ポイントをわかりやすくお伝えする動画サイトを開設(データでの送付も可)するとともに、レールPOP、B5版POP、レシピステッカーなど店頭ツール(USMEFのWebより発注可能)も用意しましたので、販促活動にご活用下さい。

販促ツール・ガイドブック
https://www.americanmeat.jp/trd/publications/

アメリカン・ポーク ごちポのかんたん低温調理
https://www.americanmeat.jp/csm/topics/low_temperature_cooking/

  「かんたん低温調理」レシピを動画でも展開。調理ポイントをわかりやすく伝えます。
   
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ポーク・ファクト・シート