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TRADER'S Be & Po

vol.484 Dec.22.2025
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛価格反発、カットアウトは続落
来春の豚肉価格、小売用は維持、加工用は波乱含み
ワールドトレード スペインのASF、世界の豚肉貿易に影響
生産動向 米国のと畜牛の生体重量、10月に過去最高を更新
2026年の世界の牛肉生産量、前年比3.1%減
トピック 米国の食肉産業の経済貢献573億ドル、関連含め3477億ドル
トランプ政権、120億ドルの農業支援を発表
ファクトシート ビーフ(2025年10月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛価格反発、カットアウトは続落

 
 

生体牛現物価格は、11月に100ポンド当たり19.33ドル下落したが、12月に入って反発に転じた。12月第1週の生体牛の平均価格は221.71ドル(前週比10.18ドル高)、枝肉価格は342.61ドル(同13.23ドル高)となった。

第2週も、水曜日に北部で生体牛225〜234ドル、枝肉350〜355ドルをつけ、カンザスでも生体牛が230ドルで取引された。コーンベルト地帯では、依然としてフロントエンド(肥育日数150日以上の牛)の供給が多いことも価格上昇の一因だが、中西部北部を襲った寒波により、枝肉重量は11月22日終了週が季節的なピークとなった可能性がある。

 一方、カットアウト価格は続落した。第1週の総合カットアウト平均価格は100ポンド当たり366.40ドル、前週比3.87ドル安となった。チョイスは364.19ドル(同2.35ドル安)、セレクトは351.19ドル(同0.83ドル安)。第2週は前半4日間でチョイスが3.09ドル下落して358.11ドルに、セレクトは3.93ドル下落した。

アナリストは、「パッカーの利益率は再び赤字に転落した。小売・外食でのホリデーシーズン向けの牛肉販売計画により、カットアウト価格は上昇する可能性があるものの、それも一時的な解決策に過ぎないだろう」と予想している。

 

※2025年12月12日 Cattle Buyer’s Weekly

 
 

来春の豚肉価格、小売用は維持、加工用は波乱含み

 
 

11月最終週の豚肉生産量は4億7000万ポンド(前年同週比4.7%減)で、週間のと畜頭数としては7月上旬以来の低水準となった。減少は予想されていたものの、その減少幅は事前の予測以上だった。11月第1〜3週の豚肉生産量は週平均5億7400万ポンドで、前年比2.5%増加しており、生産者は年末年始の休業を前に、11月前半の3週間で出荷を加速したようだ。

週当たり豚肉生産量が5億7400万ポンドに達したのは1月以来だが、当時のカットアウト価格は100ポンド当たり90ドルまで下落した。11月中旬のカットアウト価格もほぼ同水準となっている。

年末年始に向けた肥育豚供給は大きく変化しそうだ。今年のクリスマスは木曜日のため、週半ばの生産量が制限されるが、パッカーが週末に向けてフル稼働する可能性は低い。この供給動向に伴い、小売用と加工用それぞれの品目への影響を考察すると―。

小売用:1月のと畜頭数が260万頭を下回っても、ロイン、バット、ピクニックは現状の価格帯を維持する見込みだ。CCロインは、年間を通じて極めて狭い価格帯で推移しており、年明け以降も現在の水準を維持するだろう。

バット価格は休日需要によって短期的な下支えが見込まれる。ピクニック価格は季節的に12月までは下支えされ、第1四半期に軟化するだろう。スペアリブは牛肉価格の高騰が下支え要因となる。リブの価格は、今秋の価格高騰で在庫の積み増しが控えられたため、来年は上昇リスクが大きい(特に第2四半期)。

加工用:モモ、バラ、トリミングのなどの加工原料品は、大幅な価格変動が見込まれる。モモの価格は、ここ数週間のと畜頭数の増加で下落傾向にある。また、夏場の価格高騰で年末商戦での販売が抑制される可能性もあり、クリスマス後に底値を付けるだろう。

バラとトリムについては、低価格な食肉を活用したいとの外食事業者のニーズに牽引され、全体的な需要は堅調だ。通常、QSR(ファーストフード)の需要は年明けに鈍化する。しかし春季には供給の増加が限定的であることと、季節的な需要および競合する食肉の高価格を考慮すると、価格は上昇する可能性が高いだろう。

 

※2025年12月2日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の週当たり豚肉生産量の推移
  CCロイン(ストラップオフ)の価格推移(左)/ベリー(皮なし)の価格推移(右)
 
ワールドトレード

スペインのASF、世界の豚肉貿易に影響

 
 

スペインで1994年以来初のアフリカ豚熱(ASF)が確認されたことを受けて、世界の豚肉貿易に変化が生じている。スペインはEU最大の豚肉生産国であり、米国に次ぐ世界第2位の豚肉輸出国だ。

米国食肉輸出連合会(USMEF)の経済分析担当副社長のエリン・ボロー氏よると、「スペインの豚肉生産量は、年初来でEU全体の約27%を占めている。1〜9月の生産量は約388万トンと過去最高のペースで、前年比6.6%増となっている」という。

中国や韓国など一部の国は、スペインとの間にASFのゾーニング協定を結んでいる。中国は、ASF感染が確認されたバルセロナ県内の施設からの輸入のみを停止。韓国も同様にASFの影響を受けていない地域からの輸入は受け入れる方針で、英国とEU加盟国もASFの非発生地域からの輸入を認める。

しかし、その他の主要輸出先国では、スペインからの豚肉輸入を全面停止している国もある。EU域外では輸出量第2位の日本と第3位のフィリピン、第6位の輸出先でスペイン産が35%のシェアを持つマレーシアなどがそうだ。メキシコ、台湾、タイも輸入を全面停止した。

エリン・ボロー氏は、以下のような見通しを示している。

「スペインの豚肉輸出は、EU域内では継続されており、域内に限れば実質的な影響はない。重要なのは第三国との貿易だ。第三国向け輸出のうち完全に停止されているのは約3分の1に過ぎないが、これらの市場では米国産豚肉に新たな輸出機会がもたらされる可能性がある。特に、日本市場では冷凍ロインにチャンスがあるだろう。マレーシアも一定の追加ビジネスが見込まれる」。

 

※2025年12月10日 meatpoultry.com

 
生産動向

米国のと畜牛の生体重量、10月に過去最高を更新

 
 

米国のと畜牛の生体重量は、1月の月間平均が史上最高の1439ポンドで始まり、春から夏にかけてわずかに低下した後、再び上昇に転じた。10月には1448ポンドと新たな記録を更新した。

生体重量は、季節的に晩秋にかけて上昇傾向を示すが、天候や出荷ペース次第では、12月に一時的に低下することもある。米国農務省(USDA)の週間報告の推定値では、1454〜1461ポンドの範囲で推移しており、新たな水準に達することが予測される。夏から秋にかけての飼料コストが安定していることも要因の一つだ。

 

※2025年12月5日 Foodmarket.com

  米国のと畜牛の生体重量の推移)
 
 

2026年の世界の牛肉生産量、前年比3.1%減

 
 

世界の牛肉生産量は、来年2026年にも減少が続き、2025年比で3.1%の減少が予測される。主要生産国の2025年の牛肉生産量は、2024年比で0.8%減少する見込みだ。

ラボバンク社の最新レポートによると、牛肉の主要生産国では、NZが4.7%(3万4000トン)減と、最も大幅な減少率となる見込みだ。米国は4%(約50万トン)の減少、カナダとEU27(+英国)もそれぞれ3.9%(5万トン減)、3%(22万5000トン減)の縮小が見込まれている。

同レポートでは、メキシコの牛・牛肉産業は2026年に重要な転換点を迎えるとしている。干ばつと強力な輸出奨励策によって2年連続で牛群が縮小しており、さらに感染症(スクリューワーム)関連の国境制限と貿易の変化、国内価格の変動とマージン・コストに影響があるだろうと指摘している。

カナダは、米国と同様の供給逼迫パターンをたどっており、1〜8月の牛肉純輸出量は前年比で約4万1000トン減少した。カナダの牛肉供給は、2026年にはさらに逼迫すると同レポートは予測している。中国の2025年の牛肉生産量はわずかに増加する見込み。過去の供給過剰が解消されるにしたがって、価格は緩やかに回復している。

世界の主要生産国の牛価格は、上昇中または過去最高水準に近い状態を維持している。これは世界の牛肉供給が逼迫し始めているせいだが、2026年にはさらなる縮小が見込まれるため、牛・牛肉の価格見通しは引き続き堅調だ。

 

※2025年12月12日 Cattle Buyer’s Weekly

   
トピック

米国の食肉産業の経済貢献573億ドル、関連含め3477億ドル

 
 

Meat Institute(米国食肉協会)の経済調査によると、米国の食肉・家きん類加工産業は、米国経済に573億ドルの貢献を果たすとともに、58万4000人の雇用を提供している。畜産、飼料、設備製造、輸送などを含む広義の関連産業全体では、3477億ドルの経済価値を創出し、320万人の雇用を支えている。

同協会のジュリー・アンナ・ポッツ会長兼CEOは、「食肉産業は米国経済において不可欠な成長分野であり、特に地方経済にとって極めて大きな意義を持つ。加盟企業は地方社会で最大の雇用主となっていることが多く、さらに納税や食品の寄付、投資などを通して、地域経済とインフラに大きく貢献をしている」ことを強調している。

同調査における2025年の米国経済に対する食肉産業の貢献は以下のとおり。

総価値573億ドル・雇用数約58万4000人・労働所得406億ドル・総売上高(生産高)3110億ドル・地方/州/連邦税125億ドル。間接的・誘発的効果までを考慮すると、総価値3477億ドル・雇用320万以上・労働所得2053億ドル・総売上高(生産高)9117億ドル・地方/州/連邦税770億ドル。

 

※2025年12月5日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

トランプ政権、120億ドルの農業支援を発表

 
 

トランプ大統領は、対中関税を含む広範な通商摩擦の影響によって、生産コストの上昇や輸出市場の縮小に直面している米国の農家を支援するために、総額120億ドルの農業支援策を発表した。支援金の大部分は、畑作農家への一時金として迅速に配分され、園芸作物向けにも追加の資金が確保される。

財源は関税収入とされているが、これらの関税が中国による報復関税を招き、大豆、トウモロコシ、牛肉、豚肉など米国農産物の輸出減少につながった側面もある。特に大豆やソルガムは、中国向け輸出依存度が高かったことから大きな打撃を受けている。

一方、トランプ大統領は、食品・食肉関連産業における価格操作や反競争的行為の可能性について、司法省(DOJ)および連邦取引委員会(FTC)に調査を命じた。牛肉価格は、1951年以来の低水準まで減少した牛飼養頭数を背景に、過去最高水準に達しており、当面は高止まりが見込まれている。

政権は食肉加工業者に注目しているが、業界団体は、「加工業者は原料牛価格の高騰と供給逼迫によって収益を圧迫されている」と反論している。大手企業では、肥育牛の供給制約を背景に人員削減や工場閉鎖も起こっている。

 

※2025年12月12日 Cattle Buyer’s Weekly

 
 

ビーフ・ファクト・シート