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TRADER'S Be & Po

vol.479 Oug.14.2025
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛5週連続下落、カットアウトも続落
9月のポークカットアウト価格、10年ぶりの高値
供給動向 NWSの影響、市場予測への織り込み進む
2026年の豚肉供給量、小幅増加の見込み
セーフティー関連 FSIS輸出ライブラリをAPHISのWebサイトへ移行
フードサービス 新レポート「ステーキの現状」を発表―カーギル社
ファクトシート ポーク(2025年8月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛5週連続下落、カットアウトも続落

 
 

牛のと畜頭数は依然として前年を大幅に下回っているが、生体牛の現物および牛肉卸売市場は弱含みで推移している。9月22日週のと畜頭数は前年同週比10%減、牛肉生産量は8.9%減だったが、それでも牛肉卸売価格は値下がりした。

アナリストは、「牛肉小売価格が過去最高値を続けていることで、牛肉需要の減退が懸念される。牛肉は豚肉に比べて歴史的な高値になりつつあり、今後の牛肉需要については慎重な見方が必要だ。経済が減速し、消費者が支出を控えるようになれば、この懸念はさらに強まるだろう」と指摘する。

9月22日週のカットアウト平均価格は100ポンド当たり393.06ドルで、前週から11.31ドル下落した。チョイスは391.87ドル(前週比10.84ドル安)、セレクトは372.65ドル(同7.95ドル安)。9月29日週も前半4日間で、チョイスが10.08ドル下落して371.97ドルに、セレクトは6.47ドル下落の353.45ドルに続落した。

一方、生体牛現物価格は5週連続で下落した。9月22日週の主要5州の去勢牛平均価格は237.51ドル(同1.82ドル安)、枝肉は370.88ドル(同5.27ドル安)。9月29日週は、水曜日までの取引は少なく、木曜日に北部で生体牛が231〜235ドル、枝肉が365ドルで取引された。南部では、メキシコからの生体牛の輸入停止の影響もあり、生体牛が236〜237ドル、枝肉は365ドルで、北部よりも高値を付けた。

アナリストは、「現在の肥育牛価格の弱さは一時的なものだろう。季節的傾向として、10月中にはホリデーシーズン向けの需要と輸出需要の改善で活気が戻り始めるはずだ」と予想している。

 

※2025年9月26日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

9月のポークカットアウト価格、10年ぶりの高値

 
 

Expana社の分析によると、9月の豚肉のカットアウト価格は下図のように、同月としては10年ぶりの高値圏で推移した。カットアウト平均価格は前年同月を7.9%上回り、過去10年平均比では28.4%も上回っている。
この高値の主因は、ベリープライマル価格の高騰だ。ベリープライマルの価格は前年同月比で約34%高く、過去3年平均比でも約31%高い。

 

※2025年9月30日 FOODMARKET.com

  ポークカットアウト価格の推移
 

◎豚肉供給は季節的な増加が本格化

9月15日週の豚と畜頭数は、今年2番目に多い258万8000頭を記録し、前年同週比2.8%増となった。9月22日週は257〜258万頭前後で推移し、前年比0.7%増となる見込みだ。

と畜頭数の増加と生体重量の増加により、9月15日週の豚肉生産量は同3.5%増、9月22日週は同1.5%増になると予測される。10月に入っても豚肉供給量は増加傾向が続き、春から夏にかけて高まっていた供給圧力は緩和される見込みだ。

牛肉価格が過去最高値にあること、消費者が手頃なタンパク源を求めていることから、小売市場での生鮮豚肉の需要は引き続き良好だろう。夏場に高騰したモモの価格も、供給量の増加に伴い、やや下落すると見られる。

 

※2025年9月22日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の週当たり豚と畜頭数の推移
   
供給動向

NWSの影響、市場予測への織り込み進む

 
 

肉牛市場アナリストのケビン・グリアー氏は、新大陸スクリューワーム(NWS)の防御対策で、メキシコからの生体牛輸入が禁止されていることにより、テキサス州のフィートロットでの肥育頭数が減少していることを指摘。これにより、米国南部の生体牛価格が北部を上回っているという。

パッカーは、供給の多いネブラスカの肥育牛をコロラドやテキサスの工場に振り分けているが、カンザス州のパッカーは必要量のほとんどを州内で調達せざるを得ない状況になっている。

同氏は、「NWS問題の解決が長期化し、肥育素牛の供給量が不足していることで、生体牛の先物価格は9月下旬から上昇基調に入った。しかし、これはすでに織り込み済みのことで、当面の生体牛現物価格は弱基調が続くだろう」と予想する。

繁殖用雌牛を除くと、サプライチェーン全体に利益圧迫の傾向があり、カットアウト価格の下落により、回復傾向にあったパッカーマージンも再び低下している(9月25日時点の推定で1頭当たり164.05ドルの赤字)。

公表済のと畜頭数のデータでは、9月20日までの4週間の平均と畜頭数は前年同期比9%減。9月6日までの肥育牛の4週間平均も同9%減で、非肥育牛は同12%減だった。

最近の現物価格の下落基調は、フィードロットの出荷を促す可能性もあるが、同氏は、「カットアウト価格の主要7部位がほぼ全面安の状態にあり、パッカーはカットアウト価格を維持するために、再びと畜頭数を抑制する可能性が高い」とし、10月の肥育牛供給は前年同月比4%減と予想している。

 

※2025年9月26日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

2026年の豚肉供給量、小幅増加の見込み

 
 

将来の豚肉供給量を予測する上で、重要な数値は繁殖豚の頭数である。9月1日時点の繁殖豚(雌豚・雄豚)の飼養頭数は約600万頭と見込まれる。6月1日の豚飼養動向調査から2万頭増加するが、前年同期比では依然として0.7%低い水準だ。

過去3カ月間、繁殖豚のと畜頭数は減少しているが、同時にカナダからの母豚の輸入も顕著に減少している。6〜8月期の未経産豚の保留数は不明だが、繁殖豚群の規模と保留数(推計値)や母豚のと畜頭数の相関を基に、今後の出荷動向を推測してみる。

まず、未経産豚の保留頭数は前年を下回ると予測される。主な理由は、飼養頭数全体が縮小しているためだ。未経産豚保留の主目的が繁殖用の補充であるなら、豚群の規模が小さいほど補充頭数も減る。

生産者のマージンは、過去6カ月間にわって堅調だった。飼料コストの低さは、今後の6カ月間の飼養頭数の拡大を促す要因となるはずだ。ただし、この拡大は緩やかなペースで進むだろう。

6〜8月期の子豚生産頭数(今冬の出荷見込みの豚)は前年同期比0.6%増と予測される。これは、分娩頭数が前年比0.4%減、一腹当たり産子数が1%増となる予測を反映している。

繁殖豚は昨年より縮小しているが、分娩頭数が増加する可能性はある。過去2年間の分娩率は低水準だったが、収益性の改善によって2022年の水準に近づくと予想する。これが実現した場合、一腹当たり産子数の増加傾向と相まって、9〜11月の子豚生産頭数は1.5%増加すると予測される。この増加率は来春のと畜頭数の予測に反映される。

 

※2025年9月22日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の繁殖豚飼養頭数の推移
  米国の繁殖豚の分娩頭数割合の推移(左)/米国の子豚生産頭数(1-8月)(右)
 
セーフティー関連

FSIS輸出ライブラリをAPHISのWebサイトへ移行

 
 

2026年度初頭より、米国産食肉・家きん類・卵製品の輸出に影響する動物衛生制限に関する詳細情報は、USDAのFSIS(食品安全検査局)輸出ライブラリからAPHIS(動植物衛生検査局)のウェブサイトへ移行する。

輸出ライブラリは、国別の輸出要件を一箇所に集約することで、米国貿易を支える重要なツールとなっていた。FSISは認証要件の掲載と維持を担当するが、動物衛生上の制限事項はAPHISが交渉・維持を行う。

移行後、輸出ライブラリでは動物衛生制限の全文は掲載されなくなるが、APHISが情報を維持・定期的に更新するAPHISウェブページへの直接リンクが貼られる。また、業界からの要望に応え、情報の検索・フィルタリング・更新が容易になるよう、検索・ダウンロード可能なエクセル形式でも表示する。

技術とデータシステムを改善して活用することで、USDAは情報をより効率的に提供し、業界の利便性を向上させ、FSIS職員が日常的に使用するリソースの正確性と信頼性を強化できるとしている。

政策の更新

公衆衛生および規制問題に関するFSISの通知および指令は、FSIS政策ウェブページで閲覧できる。

輸出要件の更新

輸出要件ライブラリでは以下について更新された:
北マケドニア/南アフリカ/日本/メキシコ/香港/カナダ
完全な情報は、FSISの輸入・輸出ライブラリで閲覧可能。

 

※2025年9月26日 FSIS News Release

 
フードサービス

新レポート「ステーキの現状」を発表―カーギル社

 
 

カーギル社は9月29日、「ステーキの現状―フードサービス版」レポートを公表した。これは、米国の外食業界全体で、ステーキに対する消費者の意識がどのように変化しているかを包括的に分析した初のレポートだ。
レポートでは、米国のメニューにおけるステーキの位置づけと未来像について3つの主なトレンドを概説している。

  • 同レポートでは、外食産業を形作る重要な消費者動向や予測の要因として、米国の消費者が持つステーキへの特別な思い入れが強調されている。
  • ステーキを食べるという体験は、他のタンパク質では得難い顧客満足度、ロイヤルティ、消費額に影響を与え続けている。
  • 「ビッグフォー」と呼ばれる主要4部位のステーキが求められる一方で、明確な等級表示、柔軟なサイズ展開、注文を簡単で楽しいものにするメニュー表記も期待されている。

カーギル北米食品事業部のマーケティングディレクター、グレンドン・テイラー氏は、「ステーキは単なるタンパク源ではない。品質、贅沢、体験の象徴だ。ステーキはレストランの収益源だが、焼き加減や柔らかさ、盛り付けといった消費者の期待を満たす場合に限られることを、この調査は示している。だからこそ、顧客の心理を理解することが重要になる」と語る。

また同レポートでは、消費者の好みや品質の定義から、レストランが常に優れたステーキを提供するための運営上の課題を、以下のように説明している。

● 高まる「ステーキ」へのハードル:ステーキ消費者の4人に1人が、最近レストランで食べたステーキに不満があると報告している。理由としては、焼き加減、部位、品質のばらつきが挙げられている。過去の経験がレストラン選択において最も重要となる今日の競争環境で、ステーキで期待に応えられないことは、顧客を獲得する機会を逃すことに等しい。

● メニュー開発で「ステーキ」の質を上げる:ステーキの注文は「ビッグフォー」と呼ばれるリブアイ、ニューヨークストリップ、フィレ、サーロイン(トップサーロインバット)の4種類に集中しており、メニューの明確さと柔軟性を求める傾向が強まっている。

● ステーキの持つ魅力:祝い事やご褒美、贅沢のいずれにせよ、ステーキは顧客にとって深い意味を持つ。同レポートでは、メニュー提供形態や価格設定を、消費者のそうしたニーズに合わせるよう促している。ステーキを特別な日の贅沢品ではなく、日常のプレミアムな楽しみとして位置付けるべきだ。

同レポートは、接客から厨房までの従業員トレーニングが不可欠だと述べている。

また、メニューでは人気部位を前面に押し出して、USDA等級や「人工添加物不使用」といった品質の高さを強調し、サイズや提供形式を柔軟にすることで、幅広い客層にアピールすることも重要だとしている。消費者はステーキを特別な機会と結びつける傾向があるため、レストラン側では「祝い」「ご褒美」「癒し」といった感情に訴えるプロモーションやメッセージをタイミングよく組み合わせることで、さらなる価値を創出できるという。

レポートの完全版では、データに基づく洞察、顧客像の分析、提言など、レストラン経営者やシェフのステーキ品質向上を支援する情報も提供されている。

 

※2025年9月29日 FOODMARKET.com/Cargill News Release

 
 

ポークpファクト・シート