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TRADER'S Be & Po

vol.478 Sep.29.2025
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛・牛肉卸売価格ともに下落
豚カットアウト、供給不足による高値続く
トピック ケネディ長官がMAHA戦略の全容発表、食肉業界の反応
輸出動向 牛肉輸出の低調続く、豚肉は比較的良好
ワールドトレード 2026年のメキシコの対米輸出、生体牛ゼロ、牛肉増加
フードサービス 米マクドナルド、再生農業に過去最大規模の投資
米国の大手外食企業の店舗拡大・海外進出が加速
ファクトシート ビーフ(2025年7月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛・牛肉卸売価格ともに下落

 
 

生体牛と牛肉の卸売価格は、レイバーデー(9月第1月曜日)の連休の終わりとともに軟調相場に転じた。生体牛の現金取引価格は、8月最終週に夏季の高値を記録したが、その後2週間は下落基調で推移し、カットアウト価格も9月第2週に入って急落した。

9月第1週の主要5州の去勢牛平均価格は242.55ドル(100ポンド当たり/前週比1.05ドル安)、枝肉価格は383.15ドル(同2.50ドル安)。第2週には、水曜日までに北部で2万1648頭が生体牛237〜245ドル、枝肉375〜382ドルで取引された。

南部は取引量が少なく、生体牛は235〜238ドルの値動きだった。南部平原では、メキシコからの生体牛の輸入停止で肥育素牛が不足していることから、北部とは異なり、肥育牛の価格がやや上昇する兆しも見られる。

一方、9月第1週のカットアウト平均価格は、チョイスが409.20ドル(前週比4.83ドル高)、セレクトは385.31ドル(同5.19ドル高)だったが、9月第2週には、前半4日間でチョイスが400.79ドル(前週比9.97ドル安)、セレクトは379.95ドル(同5.24ドル安)と急落した。

ただ、90CL(低脂肪の牛ひき肉)の平均価格は、5週連続で史上最高値を更新している。8月末の431.66ドルからさらに上昇し、9月第1週は435.31ドルと最高値を記録した。

アナリストは、「9月第1週は祝日週にもかかわらず、牛肉の取引量は期待外れだった。週間輸出量も574コンテナと前年同週より少なかった。今後は、牛肉需要が維持できるかどうかが最大の課題となるだろう。高所得層の牛肉需要は引き続き高い見込みだが、低所得層では家計への負担が強まっており、需要を支えることは難しいだろう」と予想する。

 

※2025年9月12日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

豚カットアウト、供給不足による高値続く

 
 

豚肉市況は、依然として堅調に推移している。スポット供給が限られているため、加工業者は供給不足による高値での購入を強いられている。投機資金はネットロングポジション(買い持ち高)を積み増しており、現在の高値が消費者の買い控えにつながるとの懸念も広まり始めている。

しかし強気基調の主因は、当初予想されていた供給量と、実際のと畜頭数との乖離が大きいことだ。5月以降、豚と畜頭数は前年を下回っている。9月第1週のと畜頭数は231万9000頭で、前年同週と比べて約1万頭少ない。

6-8月に出荷された頭数は、12-2月の子豚生産頭数の推計値が示していた水準を大きく下回っている。8月のと畜頭数は未公表だが、前年同月比6-7%減となる可能性がある。

6-8月期のと畜頭数は3050万頭と推定される。これは前年同期比で3.2%減・約100万頭少ない。12-2月の子豚生産頭数の予想は0.2%減だった。USDAは9月公表の豚飼養動向調査で、と畜実績に基づいて子豚生産頭数の推計値を修正すると見られる。6月の公表時には、9-11月の子豚生産頭数は予想値より36万3000頭下方修正されたが、12-2月期の修正はさらに大幅になることが見込まれる。

予想以上の供給不足により、最も影響を受けているのが加工業者だ。入手可能な原料肉が減少したことで、加工業者はスポット市場での高値購入を余儀なくされている。その象徴が42CLの価格急騰だ。

ベリー(バラ)の価格も非常に堅調で、過去3カ月間は180〜200ドル台で取引されている。秋季にはと畜頭数が着実に増加すると予想されるため、ベリー価格にも若干の下落圧力が生じると予想される。

昨年9月の3週間(通常稼働週)における週間と畜頭数は255万頭だった。と畜頭数が最近に傾向に沿って前年比3%減・247万頭規模で推移すると、ベリー価格が170ドル台半ばとなる可能性がある。

過去3カ月間のロインのプライマル価格の上昇率は前年比1.2%高にとどまっており、需要低迷を示唆している。牛肉価格の高騰を考慮すると、秋季には需要が回復する可能性もあるだろう。ロイン以外の部位の価格は上昇しており、ピクニックは前年比19%高、リブは同15%高、バットは同10%高となっている。

 

※2025年9月8日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  ベリープライマルの価格推移
  6-8月のカットアウト価格上昇に対する部位別寄与度
 
トピック

ケネディ長官がMAHA戦略の全容発表、食肉業界の反応

 
 

保健福祉省(HHS)のロバート・ケネディ Jr. 長官と Make America Healthy Again(MAHA)委員会は、「Make Our Children Healthy Again Strategy Report(子供たちを再び健康にするための戦略報告書)」と題した新計画を発表した。

これはトランプ政権が、食品・栄養システムの確立および米国の子供たちの健康改革を検討するもので、子供の慢性疾患の増加に関する4つの潜在的要因(不健康な食事・化学物質への曝露・運動不足と慢性的なストレス・過剰な医療化)について考察している。

戦略の主な要素には、米国民向けの食事ガイドライン(DGA)の更新も含まれている。これに合わせて、HHSと米国農務省(USDA)が連携した新たな啓発キャンペーンが実施される。同ガイドラインの見直しを目的として、たんぱく質が豊富な食品、果物、野菜を含む自然食品を優先する一方で、加工食品や添加物を最小限に抑えて、健康増進への意識向上を図る。新DGAは2025年末までに発表される予定だ。

USDAのロリンズ長官は、「この報告書は、わが国にとって新しい歴史的なマイルストーンであり、米国の農業界は医師・保護者・地域社会と協力して、改革に向けた中心的な役割を担うことになる」としている。

同戦略の一環として、主要食品メーカーは人工着色料の自主的な排除に取り組み、ジャンクフードやソーダを制限する州には技術支援を提供して、再生農業実践プログラムなどの新しいツールを生産者に提供する計画だ。

食肉業界の反応、NAMIやNCBAは好感、NPPCは苦言も

上記の新たなMAHA戦略については、米国の食肉産業団体がそれぞれの立場や見解を発表している。

北米食肉協会(NAMI) ジュリー・アンナ・ポッツ会長

栄養価の高い食肉・家きん類製品が、バランスの取れた食事に不可欠であることは科学的に証明されている。過去の政権は長年にわたって、主に栄養とは無関係な理由で肉類の消費を控えるよう働きかけてきた。その結果、最も脆弱な層である子供・思春期の少女・授乳中の母親・高齢者が、たんぱく質や鉄分・亜鉛などの重要な栄養素を十分に摂取できなくなっていた。

HHSとUSDAが食品安全について連携するのは素晴らしいことであり、今回の計画を歓迎する。この計画はHACCPの食品安全基準に沿っており、アメリカ国民は良質で入手しやすい栄養源としてより積極的に肉類を摂取できることになるだろう。

全米鶏肉協議会(NCC) 広報担当 トム・スーパー氏

今回のMAHAの計画に、家きん類業界は全面的に協力する。鶏肉は、栄養価、健康へのプラスの効果、人気、汎用性、手頃な価格などを兼ね備えており、アメリカ国民を再び健康にする上で重要な役割を果たすたんぱく質源となるだろう。

全国豚肉生産者協議会(NPPC) デュアン・ステイター会長

当初、MAHAの報告書には農業界の声がほとんど反映されていなかったため、今回の報告書の発表前に耳を傾けてくれた現政権に感謝する。しかし、この戦略は現代農業を否定的に扱う恐れがあり、またトランプ大統領の「食料安全保障・安全性・価格の手頃さ」に関する指示から逸脱することも懸念している。報告書で示された規制の拡大によって、食品や農業分野を含む米国企業への訴訟の増加につながる可能性もある。

この目標を最善の形で達成するには、さらなる取り組みと理解が必要だ。NPPCは同戦略の発表に先立って、MAHA委員会に以下のような提言を行っている。

  • 「高度加工食品」の公平かつ実用的な定義
  • 食品の安全性、保存期間、栄養価の向上に寄与する食品添加物の使用保護
  • 動物の健康保護のために「一般に安全と認められる基準」の改革で飼料を除外
  • 食品生産技術の評価において、危機ベースではなくリスクベースでのアプローチを採用

全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA) イーサン・レーン政府渉外担当上級副会長

MAHA戦略の中で、牛肉は積極的な役割を果たすことができる。現政権が指摘している通り、牛肉はアメリカ農業の宝だ。毎週、何百万もの米国の家庭が牛肉をメインに健康的な食事を作っている。我々は今後もトランプ政権と協力してサプライチェーンを維持するとともに、世界で最も安全かつ高品質な牛肉を提供し続けるために努力していく。

 

※2025年9月17日 FOODMARKET.com

 
輸出動向

牛肉輸出の低調続く、豚肉は比較的良好

 
 

7月の米国産牛肉の輸出は、依然として低調だった。USMEFによると、7月の牛肉輸出量は8万9579トン(前年同月比19%減)で、5年ぶりの低水準となった。輸出額は7億5250万ドル(同17%減)で、2023年1月以来の低水準。1〜7月累計輸出量は69万1800トン(同8%減)、輸出額56億7000万ドル(同7.5%減)だった。

牛肉輸出の減少の主因は、中国が米国産牛肉の加工施設および冷蔵倉庫の大半の登録を更新していないことだ。これらの登録は、ほとんどが3月に期限切れとなったものだが、6月以降も11の施設の更新が行われなかった。

USMEFのダン・ホルストロム会長兼CEOは、「中国との施設登録の問題が長期化し、米国産牛肉は事実上、中国市場から締め出されている。他の地域では、価格上昇にもかかわらず比較的堅調に推移しており、中国市場へのアクセス回復は最優先課題だ」と述べている。

中国向けの輸出量はわずか1110トン(同92%減)に落ち込み、輸出額は800万ドル未満(同94%減)となった。第1四半期は比較的堅調だったものの、1〜7月累計は5万5632トン(同46%減)、4億8140万ドル(同47%減)と半減した。

韓国向けは1万9907トン(同13%増)、1億8640万ドル(同10%増)と、引き続き好調だった。7月までの累計では、数量(14万6084トン)・金額(13億9000万ドル)ともに前年同期比9%増となっている。

日本向けは2万1048トン(同4%減)、1億5670万ドル(同10%減)だった。7月までの累計は14万5053トン(同3%減)、10億8000万ドル(同7%減)。

一方、7月の米国産豚肉の輸出量は23万8922トン(同1%減)、6億8090万ドル(同4%減)。1〜7月累計は、数量(169万トン)・金額(48億ドル)ともに前年同期の記録的水準を4%下回っている。

ホルストロム会長兼CEOは、「7月のメキシコ向け輸出は、前年の驚異的な数値には及ばなかったものの、主要市場における米国産豚肉への需要は依然として堅調だ。アジア向けはほぼ横ばいだが、中南米向けは好調な伸びを続けている。特に、豚バラエティーミートの輸出量が広い地域で成長している」と述べた。

7月のメキシコ向けは9万2524トン(同8%減)、2億2840万ドル(同7%減)と前年を下回ったが、6月の過去最高に次ぐ今年2番目の高水準。7月までの累計は67万8815トン(同2%増)、15億3000万ドル(同6%増)に達している。

 

※2025年9月12日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ワールドトレード

2026年のメキシコの対米輸出、生体牛ゼロ、牛肉増加

 
 

米国農務省海外農業局(FAS)が発表した年次報告書によると、米国のメキシコからの生体牛輸入は、2026年までゼロになると予測されている。国境閉鎖によって輸出の機会を逃したメキシコの牛は、国内市場に供給され、メキシコ国内の牛供給量が増加する見込みだ。

2026年におけるメキシコの牛・牛肉の輸出入見通しは、新大陸スクリューワーム(NWS)の発生継続を受けて、米国への生体牛輸出が停止したままとなり、メキシコ国内と畜頭数ならびに牛肉生産量は、それぞれ760万頭・250万トンに増加すると予想される。これは前年比で6%の増加だ。

人口増加と商業・食肉加工業の需要増に支えられ、牛肉消費量は240万トン(同5%増)に拡大。牛肉輸入量は30万トン(同5%増)、輸出量は35万トン(同11%増)に増加すると予測している。

国内供給の増加により、メキシコは世界的な牛肉需要に対応して輸出を拡大できる見通しだ。FASは、メキシコ産牛肉の輸出増加は、米国における強い牛肉需要とカナダ・日本・韓国などの需要増に支えられると予測している。

 

※2025年9月5日 CATTLE BUYERS WEEKLY

   
フードサービス

米マクドナルド、再生農業に過去最大規模の投資

 
 

米マクドナルドは9月17日、再生農業の分野で過去最大規模の投資を行うことを発表した。

同社は、米農務省天然資源保全局(NRCS)や全米魚類野生生物財団(NFWF)および主要サプライヤーと提携して、「the Grassland Resilience and Conservation Initiative(牧草地の回復力と保全イニシアチブ)」を開始。今後7年間で2億ドルを投資する。

この計画では、38州にまたがる最大400万エーカーの牛牧場において、放牧手法の改善や生息地の回復、水資源・野生生物保護の支援を行う。またサプライチェーンを強化しつつ、再生型放牧を促進する研究開発を目指す。

参加サプライヤーには、カーギル、ゴールデンステートフーズ、ロペスフーズ、OSI、ザ・コカ・コーラ・カンパニーといった業界大手企業が含まれ、米マクドナルドと共にNFWFへ資金提供を行う。

同社の北米地域上級副社長兼最高サプライチェーン責任者は、「アメリカ人の90%以上にサービスを提供するブランドとして、我々は長期的なフードシステムを維持する責任がある。今回の支援を通じて、食糧供給と天然資源の管理が両立できることを実証したい」としている。

 

※2025年9月17日 FOODMARKET.com

 
 

米国の大手外食企業の店舗拡大・海外進出が加速

 
 

米国の大手外食企業が相次いで野心的な拡大計画を発表。国際市場への進出を加速している。

メキシコ料理のレストランチェーンであるクドバは、過去最大の開発契約を発表した。B Wild インベストメント社と提携し、アラスカ州、ユタ州、ネバダ州、コロラド州、ニューメキシコ州に50店舗の新規レストランを展開する。またクドバは20の新規フランチャイジーとも契約を結び、今後の開発予定店舗は600店以上にのぼるという。

カジュアル・ダイニングチェーンのTGIフライデーズは、世界で1000店舗の出店を目指す。運営会社のシュガーローフTGIFマネジメントは、長年のFCパートナーであるフランキシアス・アリアンテリアスSAとワタミ株式会社との契約を延長したと発表した。両グループは、現在の20店舗からさらに増やし、ペルーと日本で50店舗の新規出店を通じてブランドの存在感を拡大する計画だ。

メキシコ料理のファストカジュアルチェーンであるチポトレは、グローバル市場での拡大を模索中だ。現在の総店舗数は3800店を超えており、今年だけで少なくとも315店舗の新規出店を計画。米国とカナダで7000店舗の展開を目指している。

米国以外では、カナダに60店舗、英国20店舗、フランス6店舗、ドイツ2店舗を展開。このほど韓国を代表する食品企業SPCグループと新たに提携し、2026年までに韓国とシンガポールで初のチポトレ店舗を開設する。

同社は2023年、アルシャヤ・グループとの開発契約を締結し、クウェートに3店舗、アラブ首長国連邦に3店舗を出店し、国際市場での存在感を拡大し始めた。今年はメキシコでの拡大にも目を向けており、2026年に初店舗を開店する計画だ。

 

※2025年9月12日 FOODMARKET.com

 
 

ビーフ・ファクト・シート