CoBank社の調査によると、2025年は食料品価格が上昇しているにもかかわらず、牛肉製品の需要は拡大している。拡大要因としては、①タンパク質摂取への関心の高まり②牛肉に対する健康観の変化B小売店でレストラン品質の牛肉の入手が可能になったことなどを挙げている。
同社の動物性タンパク質主任エコノミストは、「1年前は、値上がりの中で牛肉需要が維持できるかが疑問視されていたが、現在では大半のアナリストが牛肉価格の上昇リスクを確信している」と語る。
今年、米国の国民一人当たりの小売牛肉消費量は60ポンドに達する見込みだ。労働統計局の最新データによると、コアインフレ率の前年比は2.9%だが、牛肉価格の上昇率はそれ以上だ。7月の「All Fresh」小売価格は前年同月比9%高と大幅に上昇し、ポンドあたり8.90ドルに達している。
同社では、牛肉の品質向上と小売店での高級部位の供給増加が、需要を牽引していると指摘する。米国では肉牛生産において、霜降り度が高く、風味の良い牛肉を生産するため、遺伝子改良を選別的に進めてきた。その結果、現在の牛肉格付けでは85%がUSDAチョイス等級以上となっている。高品質な牛肉へのアクセスはかつてないほど身近になり、消費者はその味を好むようになったという。
この背景には、コロナ過の影響で、「高級サービス」よりも「高級品の購入」によって生活をランクアップさせようとする傾向が強まったこともあるという。高品質な牛肉を自宅で消費すれば、高級レストランでの食事に比べて割安なコストで楽しむことができる。
また、牛肉を食べる消費者の健康意識が著しく向上していることも指摘されている。筋肉の生成に必要なたんぱく質を求めるフィットネス志向の消費者が、牛肉を好む傾向にあるという。減量目的のGLP-1薬の普及も消費者の関心を変化させ、食事に含まれるたんぱく質量の増加につながっている。
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