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TRADER'S Be & Po

vol.470 May.26.2025
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛現物価格が過去最高値を更新
2025年予測、生体豚88ドル、カットアウト97ドル
輸出動向 世界の牛肉需要は引き続き堅調
ワールドトレード メキシコからの生体牛の輸入を停止―USDA
ブラジルの家きん肉輸入17カ国が停止
トピック PRRS耐性豚、FDAが食用流通を承認
USMEFインフォメーション バガチャン2025に協賛、6月13-16日に横浜赤レンガ倉庫
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクトシート ビーフ(2025年3月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛現物価格が過去最高値を更新

 
 

グリルシーズンに向けた買いが強まり、生体牛価格は2週連続で過去最高値を更新した。4月28日〜5月3日までの主要5州の去勢牛平均価格(100ポンド当たり)は220.97ドルで、前週比4.65ドル高。この3週間で13.27ドルの値上がりとなった。前年同週比では19.0%高。枝肉価格も前週比7.95ドル高の349.37ドルと過去最高を更新した。

5月第2週も強含みでスタートし、月・火曜日にはサザンプレーンズ(オクラホマ南部〜テキサス北部)で、1万1816頭の生体牛が218〜220ドルで取引された。水曜日には北部で1万4202頭が生体牛220〜225ドル、枝肉352〜360ドルを付けた。南部の生体牛価格は218ドル近辺だった。

一方カットアウト価格は、5月第1週の全体(カット・ひき材・トリム)平均が337.46ドルと前週比4.54ドル高。チョイスの平均価格は338.46ドルで、同5.38ドル高。5月第2週も、チョイスは週初から4日間連続で上昇し、4.95ドル高の347.89ドルとなった。

アナリストは、「カットアウト価格は、5月中旬までは季節的な上昇傾向が続く。週間の畜頭数が増加基調に入る時期だが、牛肉需要が維持されれば、カットアウト価格は6月まで小幅ながら上昇トレンドを維持するだろう」と予想する。

 

※2025年5月9日 CATTLE BUYER’S WEEKLY

 
 

2025年予測、生体豚88ドル、カットアウト97ドル

 
 

2025年の豚肉生産量は、前年比0.4%増の微増にとどまると予測される。繁殖豚の減少と生産性の向上が小幅であることから、飼料コストの低下にもかかわらず、生産者の拡大意欲は限定的だ。3月1日時点の繁殖豚は前年比0.6%減の598万頭と報告されており、2016年3月以来の低い水準だ。母豚数は2019年12月以降8.7%減少している。

輸出の不透明感も、生産の抑制要因になっている。特に中国との関税を巡る貿易摩擦が輸出見通しを圧迫しており、2025年の輸出量は前年を下回る可能性がある。2024年の米国産豚肉輸出額における中国のシェアは約6%だが、バラエティーミートにおいては60%以上を占めていた。現在の予測では、2025年の豚肉輸出は前年比微減、2026年には2.2%の小幅増を見込んでいる。

米国内を見ると、供給がひっ迫しているにもかかわらず、生鮮豚肉の価格は前年比で大幅に下落している。また、競合する食肉の価格が高騰しているにもかかわらず、バット・ロイン・ピクニックの価格は前年に比で2桁台の下落となっている。豚肉は鶏肉や牛肉に比べて外食産業での利用が少ないこと、小売ではより安価なものを求める傾向が強まっていることが要因だ。

これらを踏まえた中・長期的な豚肉価格予想では、2025年の生体豚価格(100ポンド当たり)は平均88ドル。カットアウト価格は平均97ドルで、前年より1.2%高いものの、年初の予想(99ドル)よりは低くなる見込みだ。

2026年は、供給の伸びは引き続き限定的との予測。主要市場への輸出に大きな混乱がなければ、カットアウト価格は前年比3%高、全般的なインフレ動向と概ね一致すると予想される。

 

※2025年5月5日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の豚肉生産量
  CMEリーグホック先物価格指標(左)/米国の国民1人当たり豚肉消費量(右)
 
輸出動向

世界の牛肉需要は引き続き堅調

 
 

3月の米国産牛肉・豚肉の輸出は前年を上回った。牛肉の輸出額は昨年6月以来の高水準となり、豚肉の輸出成長は南米市場がけん引した。米国食肉輸出連合会(USMEF)によると、3月の牛肉輸出量は10万9330トン(前年同月比1%増)で、輸出額は9億2200万ドル(同4%増)と6月以来の高水準となった。

この結果、第1四半期の牛肉輸出量は31万368トンで、前年をわずかに下回ったが、輸出額は2%増の25億3000万ドルとなった。USMEFのダン・ハルストロム会長兼CEOは、「関税問題で先行きに不透明感がある中でも、米国産牛肉に対する世界の需要は依然として力強く、底堅い」とコメントしている。

3月の輸出実績もこれを裏付けている。台湾とメキシコの需要は増加傾向にあり、中米での需要も記録的な水準に達している。日本と韓国も好調を維持している。USMEFは、中国との関税問題と工場登録の失効は、4・5月の輸出に深刻な影響を与えると予想しているが、「輸出市場を多様化し、米国産牛肉の市場を広げるための業界の努力は、着実に実を結んでいる」としている。

3月の豚肉輸出量は26万9344トン(同3%増)、輸出額は7億6970万ドル(4%増)だった。第1四半期の輸出額は21億1,000万ドルで、昨年の記録的なペースを上回ったが、輸出量はわずかに下回った(75万4,488トン)。メキシコと中米向けの輸出は好調に推移している。

 

※2025年5月9日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ワールドトレード

メキシコからの生体牛の輸入を停止―USDA

 
 

USDAのロリンズ長官は5月11日、メキシコの新大陸スクリューワーム(NWS、ラセンウジバエの幼虫によるハエ蛆症)の北方への拡大を受けて、米国の南部国境沿いの入国港を通じた牛・馬・バイソンの生体輸入を即時停止すると発表した。

米国とメキシコはこれまで、NWSの蔓延防止に協力して取り組んできたが、最近になってアメリカ国境から約700マイル(約1100キロ)のオアハカ州やベラクルス州などメキシコ北部でもNWSの発生が確認され、これ以上の北上を食い止めるために今回の措置に踏み切った。

APHIS(動植物衛生検査局)はCBP(税関・国境警備局)と共同で、メキシコを原産地(通過を含む)とする生きた家畜の輸入を制限する。この措置は、十分な封じ込めが達成されるまで月単位で継続される。

ロリンズ長官は、「家畜の保護と食糧供給の安全は、国家安全保障上の最重要課題だ。監視と駆除を強化し、その成果が確認されれば、家畜貿易のために国境を再開放することを約束する」とし、これが政治的な問題ではないことを強調した。

今回の決定に対して、NCBA(全米肉牛生産者・牛肉協会)は賛同のコメントを発表した。コリン・ウッダールCEOは、「NCBAは数カ月前から、NWSの蔓延防止のためにより強力な対策を講じるよう求めてきた。1960年代、米国の畜産業者は、何年もの歳月と数百万ドルの費用をかけてNWSを根絶したという経緯がある。我々は駆除に必要な不妊ハエを生産する資金を提供してきたが、中米諸国の政府の関与が弱かったために、この害虫がパナマから北に広がるのを許してしまった。今回の感染が確実に終息し、ハエがパナマのダリエン地峡以南に押し戻されるまでは、国境閉鎖を続ける必要がある」としている。

NCBAは、国境閉鎖が米国の農家や繁殖農家に経済的な打撃を与え、サプライチェーンに混乱をもたらすと認めながらも、「しかしそのコストは、NWSが米国に侵入し、米国内で害虫と戦わざるを得なくなる場合に比べればはるかに少ない」としている。

 

※2025年5月11日 USDA、NCBA News Release

 
 

ブラジルの家きん肉輸入17カ国が停止

 
 

ブラジルのリオグランデ・ド・スル州モンテネグロで高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)の発生が検出されたことを受けて、5月20日時点で少なくとも17カ国が輸入停止措置を講じている。

メキシコ、韓国、チリ、カナダ、ウルグアイ、マレーシア、アルゼンチンは、すべての家禽の輸入を停止する決定をブラジルに正式通知。ブラジル当局は、衛生プロトコルを遵守して、中国、EU、南アフリカ、ロシア、ペルー、ドミニカ共和国、ボリビア、モロッコ、パキスタン、スリランカへの輸出に関する衛生証明書の発行を停止した。

英国、キューバ、バーレーンは、特にリオグランデ・ド・スル州からの輸入を停止し、日本はモンテネグロからの輸入のみを制限。シンガポール、フィリピン、ヨルダン、香港、アルジェリア、東ティモール、インド、レソト、ミャンマー、パラグアイ、スリナム、バヌアツ、ベトナムなどは、発生農場の半径10kmからの輸入を禁止している。

 

※2025年5月11日 USDA、NCBA News Release

 
トピック

PRRS耐性豚、FDAが食用流通を承認

 
 

米国の食品医薬品局(FDA)がPRRS(豚繁殖・呼吸障害症候群)ウイルスへの耐性を持つ豚(PRRS Resistant Pig=PRP)を米国のフードサプライチェーンで使用することを承認したと、ゲノム編集の開発者であるGenus社が発表した。

英国ベイジングストークに本社を置く同社のマット・カルバートソンCOOは、「我々は何年もかけて広範な研究を行い、研究結果を検証し、FDAと協力して認可を獲得した。これはPRPの米国での商業化に向けた重要な一歩であり、豚肉業界にとって大きな節目となる」とのコメントを発表した。

同社は、米国での製品化を成功させるためには、メキシコ、カナダ、日本といった米国の主要輸出市場でも承認を得ることが重要であるとして、承認手続きを進めているという。ブラジル、コロンビア、ドミニカ共和国はすでに、PRPを他の豚と同等に規制することを選択している。

PRRSウイルスは、豚に免疫抑制作用を及ぼすウイルス病原体。アイオワ州立大学が行った研究では、PRRSは抗生物質の必要性を200%以上増加させるという。またエジンバラ大学の研究では、米国とヨーロッパを合わせると、この疾病によって年間およそ25億ドルもの産業損失が生じているという。

英国の全国養豚協会(NPA)のウィルソンCEOは、「この技術が適切に規制・伝達されれば、養豚業界に大きな利益をもたらすだろう。PRRSは非常に大きな被害をもたらす風土病であり、イングランドだけでも年間3000万ポンドもの経済的損失が生じている」と、FDAの決定を支持するコメントを発表した。

 

※2025年5月1日 FOODMARKET.com

 
USMEFインフォメーション

バガチャン2025に協賛、6月13-16日に横浜赤レンガ倉庫

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、6月13〜15日に横浜赤レンガ倉庫で開催されるグルメバーカー日本一決定戦「Japan burger championship」に協賛します。6月13日と14日に実施される準決勝では、指定食材としてアメリカンビーフが使用されます。

準決勝は、全国から応募した72チームのうち、書類審査・予選を勝ち抜いた12チームが競うもので、上位4チームが16日の決勝戦に進みます。優勝チームには、10月に米国・インディアナ州で開催される「ワールドフードチャンピオンシップ」に日本代表として出場する権利が与えられます。

選手権の期間中、赤レンガ倉庫では全国の有名ハンバーガー店21店舗が出店するほか、フライドポテト専門店(6店)やハンバーガー関連グッズの専門店などが出店。さまざまなステージイベントが行われます。詳細は下記のURLをご参照下さい。
https://jburgerchamp.com/

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート