USDAのロリンズ長官は5月11日、メキシコの新大陸スクリューワーム(NWS、ラセンウジバエの幼虫によるハエ蛆症)の北方への拡大を受けて、米国の南部国境沿いの入国港を通じた牛・馬・バイソンの生体輸入を即時停止すると発表した。
米国とメキシコはこれまで、NWSの蔓延防止に協力して取り組んできたが、最近になってアメリカ国境から約700マイル(約1100キロ)のオアハカ州やベラクルス州などメキシコ北部でもNWSの発生が確認され、これ以上の北上を食い止めるために今回の措置に踏み切った。
APHIS(動植物衛生検査局)はCBP(税関・国境警備局)と共同で、メキシコを原産地(通過を含む)とする生きた家畜の輸入を制限する。この措置は、十分な封じ込めが達成されるまで月単位で継続される。
ロリンズ長官は、「家畜の保護と食糧供給の安全は、国家安全保障上の最重要課題だ。監視と駆除を強化し、その成果が確認されれば、家畜貿易のために国境を再開放することを約束する」とし、これが政治的な問題ではないことを強調した。
今回の決定に対して、NCBA(全米肉牛生産者・牛肉協会)は賛同のコメントを発表した。コリン・ウッダールCEOは、「NCBAは数カ月前から、NWSの蔓延防止のためにより強力な対策を講じるよう求めてきた。1960年代、米国の畜産業者は、何年もの歳月と数百万ドルの費用をかけてNWSを根絶したという経緯がある。我々は駆除に必要な不妊ハエを生産する資金を提供してきたが、中米諸国の政府の関与が弱かったために、この害虫がパナマから北に広がるのを許してしまった。今回の感染が確実に終息し、ハエがパナマのダリエン地峡以南に押し戻されるまでは、国境閉鎖を続ける必要がある」としている。
NCBAは、国境閉鎖が米国の農家や繁殖農家に経済的な打撃を与え、サプライチェーンに混乱をもたらすと認めながらも、「しかしそのコストは、NWSが米国に侵入し、米国内で害虫と戦わざるを得なくなる場合に比べればはるかに少ない」としている。
|