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TRADER'S Be & Po

vol.466 Mar.24.2025
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛の先物市場は関税問題の影響なし
豚先物の価格変動続く、カットアウトは供給減が下支え
トピック 新たな関税は北米全域の貿易を混乱させる
輸出動向 豚肉貿易に迫りくる関税問題の嵐
生産動向 フィードロットで乳用種との交雑牛肥育が増加
調査研究 豚肉・牛肉の輸出は穀物生産者に大きなプラス
ワールドトレード ハンガリーで50年ぶりに口蹄疫、韓国でも2年ぶり発生
USMEFインフォメーション 4月22日に沖縄でU.S.ミートセミナー&提案メニュー試食会
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクトシート ビーフ(2025年1月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛の先物市場は関税問題の影響なし

 
 

生体牛の先物市場には、株式市場とは対照的に、カナダ・メキシコへの関税発動による変化は見られない。生体牛先物の4月限取引は、米国の関税発動前にやや軟化したものの、3月第2週の終値は196.55ドル。現物取引は195ドルから197ドルで推移した。

3月第1週の主要5州の平均価格は、生体牛197.65ドル、枝肉312.92ドルで、それぞれ前週比1.99ドル安、2.20ドル安だった。同週の総合カットアウト(カット・ひき材・トリム)の平均価格は317.18ドル、同0.38ドル安だった。

3月第2週には、チョイスのカットアウト価格が1.29ドル、セレクトは1.46ドル上昇したが、アナリストは、「今年はイースターが遅く(4月20日)、例年の季節的な上昇が本格化するのは、3月後半にずれ込む可能性が高い」と予想する。

枝肉重量は、最新の報告(2月22日までの1週間)で大きく減少したが、依然として前年同期は大幅に上回っている。去勢牛の平均重量は946ポンド、前週比8ポンド減、前年同期比32ポンド増。未経産牛は平均866ポンドで、同10ポンド減、同32ポンド増。全体平均は875ポンドで、同2ポンド減、同41ポンド増だった。

 

※2025年3月7日 Cattle Buyers Weekly

 
 

豚先物の価格変動続く、カットアウトは供給減が下支え

 
 

3月7日のリーンホッグ先物は、4月限取引が100ポンド当たり87ドル強をつけ、年始と同水準で終えた。しかし、下図のチャートが示すとおり、年初来の先物価格は95ドルの高値から82ドルの安値まで乱高下しており、±5%の変動を約8回繰り返している。

関税問題が要因であることは明らかだが、第1四半期の豚肉供給見通しも影響している。市場を不確実な状態にしている関税問題のハイライトは以下の通りだ。

1月20日:トランプ大統領は就任演説で、米国の立場を強化するために関税などの経済措置を用いることを強調した。

1月23日:ダボス会議で、トランプ大統領は国際企業に対し、米国に投資しなければ関税を課すと警告。

1月31日:米国政府が、カナダとメキシコからの輸入品すべてに25%関税をかけると発表。

2月3日:メキシコとカナダへの関税発動を1カ月間延期。

2月10日:すべての鉄鋼とアルミニウムに対する25%関税が、3月12日に発動することが決定。

2月13日:米国の各機関に、相互関税の発動について報告を求める覚書が4月2日を期限として送られた。

2月26日:米国はEUからの輸入品に25%の関税を課す意向を発表。

3月4日:メキシコとカナダへの関税が発動

3月6日:USMCA(アメリカ・メキシコ・カナダ協定)の対象となる製品に対する25%関税の一部撤廃が発表される。

3月7日:カナダの乳製品と木材に相互関税を課すと警告。

新政権からのメッセージは、しばしば市場の麻痺を招き、バイヤーやトレーダーは日々その場しのぎの対応に終始し、計画を立てられない状況に陥っている。

一方、豚先物の期近取引が好調である要因は、一つには豚肉の小売価格が安定し、牛肉や鶏肉との競争力を保っていること。二つ目は、週間の豚肉供給量が当初予想を下回っていることだ。3月第1週の豚と畜頭数は241万8000頭となり、前週比で4.7%減(12万頭減)、前年同期比1%減だった。

1月中旬以降、週間と畜頭数は前年同期比2.8%減(57万6000頭減)で、USDAの12月度の豚飼養動向調査の予測を大きく下回っている。予測では、120〜179ポンドの豚は前年比0.6%減、50〜119ポンドは同1.4%増と推定されていた。豚肉供給量が予想以上にひっ迫していることが、カットアウト価格を下支えしている。

 

※2025年3月10日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  リーンホッグの先物(4月限)価格の推移
  ポークロインと牛粗びき挽肉(81CL)との価格(左)/ポークロインと鶏骨なしムネ肉との価格比率(右)比率
 
トピック

新たな関税は北米全域の貿易を混乱させる

 
 

トランプ大統領は3月6日、SNSで「USMCA(アメリカ・メキシコ・カナダ協定)に含まれる品目は4月2日まで関税措置の対象としない」と発表した。この決定により、メキシコとカナダからの食肉・鶏肉・家畜の輸入は25%関税から除外されているが、カナダからの輸入品の62%とメキシコからの輸入品の一部は、依然として関税の対象になっている。

NAMI(北米食肉協会)などの農業団体の一部は、トランプ大統領の決断を称賛したが、一部の観測筋は、依然としてカナダとメキシコからの多くの輸入品に関税が課される可能性があり、関税が撤廃されるまで北米全域の貿易が混乱することに懸念を示している。

現状、カナダとメキシコは米国への対抗措置を停止しているが、10%の追加関税が実行された中国は、米国産の小麦・トウモロコシ・綿花・鶏肉に15%、大豆・ソルガム・豚肉・牛肉・その他の農産物に10%の追加関税を課すと発表した。

USMEFのダン・ハルストロム会長兼CEOは、「メキシコとカナダおよび中国からの輸入品に対する関税の引き上げを回避、または延期するという合意が成立していないことを憂いている。カナダと中国が発表した報復措置を精査し、メキシコからの対応の詳細を注視している」と述べている。

また同会長は、「この3カ国への昨年の米国産牛肉・豚肉の輸出額は84億ドルにのぼり、うち約40億ドルはメキシコ向けだ。米国はメキシコへの豚肉と牛肉の主要供給国だが、我々はすでに、この重要な市場で競争の激化に直面している」とコメントしている。

カナダは2024年に10億ポンドの牛肉を米国に輸出し、メキシコは6億ポンドの牛肉を輸出した。一方、米国は2024年に1億3500万ポンド・8億7700万ドル相当の牛肉をカナダに輸出した。メキシコには2億3250万ポンド・13億5000万ドル相当の牛肉を輸出。米国は2024年にカナダから生体牛78万頭、メキシコからは124万頭を輸入している。

 

※2025年3月7日 Cattle Buyers Weekly

 
輸出動向

豚肉貿易に迫りくる関税問題の嵐

 
 

USDAは、2025年の豚肉輸出を2.5%増と予測している。しかし、この予測には、関税措置による貿易の混乱などの潜在的な要素は考慮されていないことに注意する必要がある。

1月の米国産豚肉の輸出量には、迫り来る関税措置が需要の先送りを促した可能性がある。メキシコ向けは9万189トン(前年同月比3.2%増)で、引き続き輸出先第1位だった。中国向けも増加したが、中国の米国産豚肉に対する実効関税率が47%(従来の37%に追加関税10%)に達しており、増加傾向がいつまで続くかは未知数だ。

主要市場の一つである日本向けは2万1833トン(同21.4%減)。欧州産との競争激化、円安や消費鈍化により、米国産豚肉の需要が低下している。

カナダ向けは1万3387トンと中国向けを上回っているが、前年同月比で11%減。米国産豚肉に対する新たな関税の可能性や米国産製品に対する市場心理も考慮すると、さらに減少することが予想される。

 

※2025年3月10日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  2025年1月の国別の豚肉輸出量の前年同月比増減
      
      
      
      
   
   
   
     
     
 
生産動向

フィードロットで乳用種との交雑牛肥育が増加

 
 

米国の牛群が1951年以来の最低水準に縮小する中、フィードロットは入手可能なあらゆる供給源から肥育素牛を導入する動きを強めている。CoBank Knowledge Exchangeの最新レポートによると、乳牛の繁殖プログラムに肉牛の遺伝子を導入する手法は「ビーフ・オン・デイリー」と呼ばれ、米国の肉牛頭数の減少に関連して着実に増加している。

USDAは2024年3月、公売オークションで落札された交雑牛の追跡を開始した。

USDA−AMSの最新データによると、交雑牛の増加は、生産者にとっては牛の価格上昇につながり、フィードロットや加工業者には付加価値をもたらしている。

CoBank はこの新たな価格データを使って、交雑牛が牛市場に与える影響を分析し、定量化した。それによると、交雑牛の競売価格は肉牛よりもわずかに高く、乳牛よりもかなり高い。交雑牛の重量は肉牛と乳牛の中間だった。

CoBankの家畜アナリストは、「交雑牛は素牛段階から出荷まで、他の牛よりも大きな価値を維持している。これはフィードロットにとって重要な財務指標だ。今後もデータを追跡し、この傾向が長期にわたって維持されるかを確認する必要があるが、交雑牛が牛肉生産の各段階で新たな価値を提案しているのは明らかだ」という。

 

※2025年3月7日 Cattle Buyers Weekly

 
調査研究

豚肉・牛肉の輸出は穀物生産者に大きなプラス

 
 

2024年は、米国のトウモロコシと大豆の生産者にとって厳しい年となったが、USMEFとジュデイ・グループが実施した独自調査によると、豚肉と牛肉の輸出が穀物生産者の収益を支えていることが明らかになった。

2024年の米国産豚肉・牛肉の輸出額は191億ドルで、2023年より10億ドル増加した。USMEFの副議長であり、ネブラスカ州でトウモロコシ・大豆・肥育牛を育成しているデーブ・ブランツ氏は、「米国で生産されたトウモロコシと大豆のかなりの部分は、最終的に豚肉や牛肉になって輸出されており、輸出が伸び続けていることは心強い。この調査は、牛肉と豚肉の輸出がどれほど直接的に生産者へ価値を還元しているかを示している」とし、トウモロコシと大豆の生産者がチェックオフ資金の一部を、USMEFが実施する市場開拓活動に投資している価値を強調している。

主な調査結果は以下の通り:

米国のトウモロコシ使用量のうち、牛肉・豚肉の輸出にかかる使用量は5億2510万ブッシェルを占め、その市場価値は22億4000万ドルに相当する(2024年のトウモロコシ平均価格4.27ドル/ブッシェル)。DDGS(トウモロコシ蒸留かす)の同使用量は304万トンを占め、5億2500万ドルに相当する(2024年の平均価格1トン当たり172.56ドル)。2024年の牛肉・豚肉の輸出は、トウモロコシ平均価格(4.27ドル)のうち14%を占め、同0.59ドルの経済効果をもたらしたと推定される。

米国の大豆使用量において、豚肉輸出にかかる使用量は1億70万ブッシェル、市場価値は11億2000万ドルに相当する(大豆平均価格11.11ドル/ブッシェル)。豚肉の輸出は、2024年の大豆の平均価格の13.2%を占め、同1.46ドルの経済効果をもたらしたと推定される。

 

※2025年3月7日 FOODMARKET.com Source: USMEF

 
ワールドトレード

ハンガリーで50年ぶりに口蹄疫、韓国でも2年ぶり発生

 
 

ハンガリーでは3月7日、スロバキアとの国境沿いの北西部の牧場で、50年以上ぶりに口蹄疫の感染が報告された。これを受けて、英国はハンガリーとスロバキアからの牛・豚・その他の畜産物の輸入を禁止すると発表。3月8日以降、両国から肉・肉製品・牛乳・乳製品・豚や反芻動物の副産物を持ち込むことが禁止された。

ザイクナー農相は、「感染が広がれば、他の国もリストに追加する」と述べ、今後も状況を注視し、当局と緊密に連携していくと付け加えた。今年1月にはドイツで口蹄疫の発生が確認されている。

韓国では3月14日に、約2年ぶりとなる口蹄疫が確認された。韓国農業省によると、口蹄疫の症例は2023年5月以来のことで、全羅南道南西部にある牛の牧場で確認された。農場の約180頭の牛を殺処分し、同地域での消毒の取り組みを強化するなど、警戒を強めるとしている。

 

※2025年3月10日・14日 FOODMARKET.com

 
USMEFインフォメーション

4月22日に沖縄でU.S.ミートセミナー&提案メニュー試食会

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、「アメリカンミートトレードセミナー2025 IN 沖縄」を下記内容にて開催いたします。本セミナーでは、アメリカンビーフ&ポークの最新の市場動向とUSMEFの販促計画をご説明するととともに、沖縄におけるアメリカンミートの有効活用策についてのパネルディスカッションを行います。

テイスティングセッションでは、USMEFの2025年春夏向け推奨メニューを中心に、リゾート地に適したBBQ・ステーキ、バーガーなどの多彩なメニューの試食をお楽しみいただけます。ユーザーの皆様との交流を深めるために、メンバー企業も多数参加いたしますので、是非ともご参加いただきますようご案内申し上げます。

アメリカンミートトレードセミナー&テイスティングセッション 2025 IN 沖縄
〜沖縄におけるアメリカンミートの有効活用策と提案メニュー試食会〜

● 開 催 日 時 ●

2025年4月22日(火)
14:30〜18:00(受付開始14:00)
主催:米国食肉輸出連合会(USMEF)

● 開 催 場 所 ●

ロワジールホテル那覇 本館3階「天妃」
〒900-0036 沖縄県那覇市西3-2-1

《主なプログラム》

【 第 1 部 】
情報提供セミナー…14:30〜
◎米国の食肉市場の最新動向とUSMEFの販促活動のご説明
◎パネルディスカッション
〜沖縄におけるアメリカンミートの有効活用策〜

【 第 2 部 】
テイスティングセッション…16:30〜18:00
USMEFが推奨する2025春夏メニューを中心に、アメリカンビーフ・ポークそれぞれの焼肉・ステーキ・BBQ・バーガーなど多彩なメニューを、着席ブュッフ形式でご試食いただけます。

【 定 員 】 160名

【 参 加 費 】 無料(テイスティングセッションからの参加はご遠慮願います)

【 申込方法 】 申込フォームに必要事項をご記入の上、4月9日までに送信下さい。
(定員になり次第締め切らせていいだきますことを予めご了承願います)

◆申込フォーム https://forms.gle/PoBXjLLw9UgAN1sMA

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート