3月7日のリーンホッグ先物は、4月限取引が100ポンド当たり87ドル強をつけ、年始と同水準で終えた。しかし、下図のチャートが示すとおり、年初来の先物価格は95ドルの高値から82ドルの安値まで乱高下しており、±5%の変動を約8回繰り返している。
関税問題が要因であることは明らかだが、第1四半期の豚肉供給見通しも影響している。市場を不確実な状態にしている関税問題のハイライトは以下の通りだ。
1月20日:トランプ大統領は就任演説で、米国の立場を強化するために関税などの経済措置を用いることを強調した。
1月23日:ダボス会議で、トランプ大統領は国際企業に対し、米国に投資しなければ関税を課すと警告。
1月31日:米国政府が、カナダとメキシコからの輸入品すべてに25%関税をかけると発表。
2月3日:メキシコとカナダへの関税発動を1カ月間延期。
2月10日:すべての鉄鋼とアルミニウムに対する25%関税が、3月12日に発動することが決定。
2月13日:米国の各機関に、相互関税の発動について報告を求める覚書が4月2日を期限として送られた。
2月26日:米国はEUからの輸入品に25%の関税を課す意向を発表。
3月4日:メキシコとカナダへの関税が発動
3月6日:USMCA(アメリカ・メキシコ・カナダ協定)の対象となる製品に対する25%関税の一部撤廃が発表される。
3月7日:カナダの乳製品と木材に相互関税を課すと警告。
新政権からのメッセージは、しばしば市場の麻痺を招き、バイヤーやトレーダーは日々その場しのぎの対応に終始し、計画を立てられない状況に陥っている。
一方、豚先物の期近取引が好調である要因は、一つには豚肉の小売価格が安定し、牛肉や鶏肉との競争力を保っていること。二つ目は、週間の豚肉供給量が当初予想を下回っていることだ。3月第1週の豚と畜頭数は241万8000頭となり、前週比で4.7%減(12万頭減)、前年同期比1%減だった。
1月中旬以降、週間と畜頭数は前年同期比2.8%減(57万6000頭減)で、USDAの12月度の豚飼養動向調査の予測を大きく下回っている。予測では、120〜179ポンドの豚は前年比0.6%減、50〜119ポンドは同1.4%増と推定されていた。豚肉供給量が予想以上にひっ迫していることが、カットアウト価格を下支えしている。
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