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TRADER'S Be & Po

vol.463 Feb.10.2025
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛価格の最高値更新続く
ポークカットアウト乱高下、モモの値下がりが影響
トピック カナダ、メキシコへの関税発動は1カ月延期
2025年に米国農業の直面する問題でレポートやウェビナー
トウモロコシと牛の先物、投機筋が買い強める
生産動向 2024年の牛と畜、経産牛大幅減、2026年には牛群増か
ワールドトレード 中国の2024年牛肉輸入5%増、アンチダンピング調査も
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクトシート ポーク(2024年11月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛価格の最高値更新続く

 
 

生体牛現物価格は、年初から週間最高値を更新し続けている。1月第2週の主要5州の去勢牛の平均価格(100ポンド当たり)は203.67ドル、枝肉は321.98ドル。前週比で生体牛は1.09ドル上昇し、枝肉は1.73ドル上昇した。

第3週は水曜まで取引頭数が少なく、生体牛は北部で205〜206ドル、南部で201〜202ドルで取引された。水曜には生体牛先物の2月限の終値が200.5ドルと、初めて200ドルを突破。木曜日にはさらに105ポイント上昇し、終値は200.72ドルを付けた。

1月第2週の枝肉重量は、去勢牛と全体で新記録を更新した。去勢牛の平均重量は962ポンド、前週比3ポンド増、前年同週比35ポンド増。未経産牛は871ポンドで、前週比7ポンド減少したが、前年同週比では22ポンド増加。全体の平均体重は882ポンドで、同1ポンド増、同44ポンド増。

アナリストは、「これは、週間のと畜頭数59万1422頭に3万1055頭を追加したことに相当するが、第3週のと畜頭数は61万頭を下回ったと見られる。生体牛価格の上昇にカットアウト価格の上昇が連動していないことから、パッカーマージンは依然として赤字で、と畜頭数が抑えられている」という。

第2週のカットアウト全体(カット・ひき材・トリム)の平均価格は330.37ドル、前週比で6.92ドル高だったが、第3週はチョイスが前半4日間で2.73ドル下落し、330.96ドルとなった。

 

※2025年1月24日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

ポークカットアウト乱高下、モモの値下がりが影響

 
 

ポークカットアウト価格は、年末年始の3週間で大きく変動し、生体豚の先物取引にも大きな影響を与えている。乱高下の要因の一つは、投機筋の資金の流れだ。12月初旬、ファンド会社はリーンホッグ先物で過去最大の買い越しポジションを保有していた。しかし、その後の3週間で、先物の建玉は3万枚近く減少。2月限の建玉で期先契約へ持ち越されたのは、ごく一部だった。

年末から年初にかけての下落は、モモの価格の季節的な下落が大きな要因だ。1月10日のカットアウト価格は91.40ドルで、12月20日に比べて6.00ドル近く下落。この大部分はモモの値下がりによるものだ。

通常、モモの価格はクリスマスが過ぎると軟化して、加工業者がイースターに向けて在庫を積み始めると徐々に回復する。今年はイースターが例年より遅いため、2月後半から3月にかけて上昇すると予想される。

一方で予想外なのは、年明けからロイン価格が低調なことだ。例年、スーパではクリスマス後にロインを販促することが多く、これが価格を下支えすると予想されていた。しかし実際には、ロインの価格は12月20日以降値下がりしている。

現在、ボンレスロイン(ストラップオフ)は81CLの牛ひき肉の半値に近く、この時期の相対価格としては過去15年間で最も低い。さらに、ボンレスロインの卸売価格は、鶏ムネ肉よりわずかに高いだけだ(前年同時期は1.55倍)。牛肉や鶏肉の価格高騰で、ロインの小売用需要が強まると期待する向きが多いものの、これまでの値動きから判断すると、こうした期待は楽観的過ぎるかも知れない。

 

※2025年1月13日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  ポークカットアウト価格の推移 (左)/カットアウト構成部位の価格比較(2024年12月20日対2025年1月10日) (右)
 
トピック

カナダ、メキシコへの関税発動は1カ月延期

 
 

トランプ大統領は、不法移民や合成麻薬フェンタニルの流入を阻止するために、2月1日までにカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を課すと警告を発していた。だが、メキシコのシェインバウム大統領との交渉により、メキシコが国家警備隊員1万人を国境に派遣して麻薬密売に対処することに同意したため、関税発動は1カ月延期。その後に、カナダについてもトルドー首相との2度の協議を経て、30日間の発動停止となった。

こうした動きの背景には、アメリカン・ファーストの貿易政策を定めた大統領令がある。その条項の中で、大統領令は米通商代表部(USTR)に対し、2020年に署名された「フェーズ1貿易合意」を中国が遵守しているかを見直すよう指示するとともに、来年に予定されているUSMCA(米国・メキシコ・カナダ貿易協定)の来年の見直しに向けて、公開協議プロセスを開始するよう命じている。

またUSTRに対しても、アメリカの労働者・農家・牧場経営者にUSMCAが与える影響を精査するよう指示している。

 

※2025年2月4日 FOODMARKET.com 他

 
 

2025年に米国農業の直面する問題でレポートやウェビナー

 
 

オランダの金融機関ラボバンクが発表したAgri Commodity Markets Outlook 2025では、2025年に米国の農業が直面する重要な問題点が指摘されている。中でも、新たな関税紛争や世界各地で続く地政学的紛争、気候変動関連政策への反対姿勢などは、エネルギー調達、輸出機会、全体的な収益性に大きな影響を与える可能性がある。

関税は農家、特に2024年に価格下落が見られた主要穀物や油糧種子を生産する農家の利幅を縮小する恐れがある。米国は2023年に1950億ドル相当の農産物を輸入している。これは過去20年間で2.8倍になっている。

一方、NAMI(北米食肉協会)が開催したウェビナーでは、新政権の行動が食肉・家きん類産業にどのような影響を与えるかについて、コンサルタントのタッカー・エスキュー氏は今後4年間にわたる見通しを示した。

同氏によると、選挙結果は有権者の願望を反映したものであり、「有権者は変化を求め、現状維持を決定的に拒否した。バイデン政権の失敗を宣言したトランプ氏の選挙綱領に沿って、移民問題が最優先課題のひとつになる。最初の矛先は、不法移民の中でも悪質度が高い者の逮捕や強制送還に向けられる可能性が高い」と説明した。

 

※2025年1月24日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

トウモロコシと牛の先物、投機筋が買い強める

 
 

米国のトウモロコシと肉牛は、在庫が減少しているにもかかわらず、ここ数カ月間堅調に推移している。投機筋は両市場で超強気なスタンスをとっている。1月21日までの週に、資産運用会社などは、CBOTトウモロコシ先物オプションの買い越しポジションを、前週の29万2228枚から31万1678枚に増やした。

これは2022年5月以来、最も強気な見通しだ。さらに1月21日までの2週間で、トウモロコシの先物オプションの建玉は19%も急増し、2021年6月以来の最高水準に達した。資産運用会社がCBOTの先物オプションの買い越しを30万枚以上保有した週は、2006年半ばの記録開始以来、わずか10%しかない。過去の分析によると、彼らは少なくとも3月下旬までは強気姿勢を維持する可能性が高い。

一方、生体牛価格は史上最高値を更新し、ポンド当たりで初めて200セントを超えた。これを受けて、投機筋はここ数日、CME生体牛の買い越しポジションを記録的に増加させた模様だ。

1月21日に終了した週のCME生体牛先物オプションの買い越しは1000枚余り増加し、14万8466枚となった。史上最高値は2019年4月の15万4550枚だ。4月限の取引が最も活発で、その後の3セッションでさらに3%上昇。金曜日にUSDAのフィードロット調査で12月の導入頭数が前年比3%減と報告されると、さらに強気になった。1月中旬の厳しい寒波も牛供給不足に拍車をかけたが、2月は平年よりかなり暖かい日が続く見通しで、供給不足は緩和されるはずだ。

 

※2025年1月27日 FOODMARKET.com

 
生産動向

2024年の牛と畜、経産牛大幅減、2026年には牛群増か

 
 

USDA-ERSの最新レポートでは、2024年の牛と畜頭数は去勢牛と未経産牛が前年比で増加したが、経産牛は大幅に減少。乳牛、雄牛も減少した。未経産牛・経産牛・乳牛のと畜頭数に占める割合から判断すると、2026年には牛群の維持・拡大に向かうことが予想される。

と畜頭数全体に占める未経産牛と経産牛の割合は、2023年から約2ポイント減少した。過去25年間では3番目に高い割合だが、2024年の価格上昇で収益が向上した生産者の増頭意欲が高まったようだ。

一方でERSは、2024年第4四半期の牛肉生産量予測を5000万ポンド引き下げた。この下方修正は、全ての区分のと畜頭数が前回予想から微減したことを反映している。と畜頭数の減少は、枝肉重量の増加によって一部相殺される。

枝肉重量の増加は、と畜頭数に占める去勢牛の割合が大きいこと、またフィードロットから出荷される去勢牛と未経産牛の体重が全般的に増加していることによるものだ。その結果、2024年の牛肉生産量は、前年比0.1%増の269億8500万ポンドになったと推定される。

2025年の牛肉生産量予測は、前回予測から1億2500万ポンド引き上げられ、257億9000万ポンドに上方修正された。2025年の第1四半期の予測は、肥育牛のと畜が第1四半期から第2四半期にずれ込むことから下方修正。その反動で、第2四半期の牛肉生産量は上方修正された。

第3四半期と第4四半期は、肥育牛の出荷が増加するとの見込みをもとに、牛肉生産量予測が上方修正された。2025年下半期の出荷増は、2024年第4四半期のフィードロット導入頭数が予想よりも多かったことを反映している。

 

※2025年1月10日および15日 FOODMARKET.com

 
ワールドトレード

中国の2024年牛肉輸入5%増、アンチダンピング調査も

 
 

中国海関総署(GACC)のデータによると、2024年の中国の牛肉輸入総量は287万トンに達した。前年比では5.0%、13万7816トンの増加。ブラジル・アルゼンチン・ウルグアイを含むメルコスール貿易圏からの増加が成長を押し上げた。豪州、NZ、米国からの輸入は減少した。

中国では、経済の疲弊により、牛肉消費が抑制されている。寒い時期は需要が増加する傾向にあるが、伝統的に牛肉は豚肉よりも人気が低い。中国の肉牛生産社は比較的小規模で、大部分が穀物肥育であるため、牧草牛肉は輸入への依存度が高い。

中国の若年層はハンバーグやステーキを好み、中産階級が拡大を続けるにしたがって、アンガス牛や和牛などの輸入高級牛肉の需要も増加している。しかし、現在は乳牛部門が苦境に立たされているため、乳牛の淘汰によって国内産の牛肉供給も増加している。

中国商務部(MOFCOM)は、2024年12月27日、生鮮牛肉と冷凍牛肉の輸入に関するアンチダンピング調査を開始した。これは、2019年1月1日から2024年6月30日までの牛肉の輸入について調査するものだ。影響を受けるのは、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、豪州、NZなどの22社。調査は8カ月以内に終了する予定だが、場合によっては延長される可能性もある。

  中国の牛肉輸入量の推移(1月から各月末までの累計)(左)/中国の月別牛肉輸入量の推移(右)
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

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