秋季の豚肉供給が予想より少なかったため、先物市場は今冬から来春にかけて、さらなる減少を見込んでいる。USDAの四半期レポート「Hogs and Pigs」に基づく出荷予想と、実際の供給には誤差がある。特に供給量の急激な変動や市場の転換期には、この誤差が大きくなる。
9月調査の発表では、3〜5月期の子豚生産頭数は3412万3000頭、前年比2.1%増だったが、9月第1週から11月最終週までの週間と畜頭数は3310万4,000頭、前年同期比0.1%減だった。
6〜8月の子豚生産頭数は3503万頭、同0.8%減。50〜119ポンドの飼養頭数は同1.3%減、50ポンド未満は同1.5%減であるため、12〜2月期の出荷は1〜1.5%程度の減少が示唆されるが、前期の誤算を考えると、先物市場は出荷をもっと低めに見積もっている可能性が高い。
2024年の年初8週間の平均と畜頭数は253万7,000頭だった。もし、と畜頭数が1.5%減少すれば、週間と畜頭数は250万頭を下回ることになり、現在の水準より約10万頭減少することになる。
この数年、冬場のPRRS(豚繁殖・呼吸障害症候群)の発生は低下している。UMNの「豚の健康モニタリング・プロジェクト」では、10月下旬から11月上旬にかけて発生率がわずかに上昇したが、来年の供給に影響を及ぼすかどうかは不透明だ。
こうした状況を見越して、先物市場ではマネージド・マネー(ヘッジファンドや投機筋)による買い越しが過去最高を記録している。一方、生産者はリスク軽減の機会としているようで、2021年以降で最大の売り越しを形成している(チャート参照)。
先物市場の強気心理が持続するかどうかは、①供給が予想どおり逼迫するかどうか②需要回復が来年の春夏まで持続するかどうか、にかかっている。次期政権の関税戦略についての議論や脅威は織り込んでいないが、豚肉の場合、米国の輸出量の40%を占めるメキシコに対して関税が導入されれば、明らかな弱気材料になるだろう。
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