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TRADER'S Be & Po

vol.459 Dec.09.2024
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース ビーフカットアウト続落、生体牛は小幅高
ホリデーシーズンはポークロインの仕入れチャンス
生産動向 2025年の一人当たり豚肉供給1%増
トピック 食肉業界は次期農務長官を支持
ワールドトレード 新政権の関税戦略、牛・豚肉の価格上昇も
メキシコから牛の輸入を一時停止、NWS検出で
業界ニュース 「ミートバイヤーズガイド」改訂版でNAMIとAMSA提携
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2024年9月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

ビーフカットアウト続落、生体牛は小幅高

 
 

11月第3週(18-22日)のボックスビーフ市場は、全体的には小幅ながら続落した。季節的に好調な商品もあるが、全体需要は概ね横ばいで推移している。今年は、感謝祭からクリスマスまでの期間が1週間(5日間)少ないため、ホリデーシーズンの商品により強い焦点が当てられ、一部商品は引き続き高値圏で推移した。

生体牛の現物市場は、北部の生体牛価格(100ポンド当たり)が185〜186ドル(価格範囲は184.00〜188.00ドル)と、前週比で1ドル高。枝肉は290.00ドル(同290〜297ドル)で安定。南部は生体牛価格が1ドル上昇し、186.00ドル(同186〜189ドル)で取引された。

週間と畜頭数は、前週の60万6000頭に対して、63万1000頭だった。平均の生体重量は1ポンド増の1426ポンド。枝肉重量は869ポンドで前週と変わらず。

部位別の値動きでは、リブはほぼ横ばいだった。直近のホリデー需要が下支えとなり、価格を維持した。チョイスのリブの輸出価格は高値を更新した。セレクトとノーロールのリブは供給が多く、相場は横ばいとなった。

チャックの値動きはまちまちだった。チャックロールやチャックテンダーは、すべての品質等級で値下がり。アームローストとチャックフラップは、在庫不足を背景に高値を付けた。ショルダークロッドは2週連続で価格を維持し、バランスが取れている。

ラウンドは、週を通して大きく下落した。インサイドラウンドは安定しているが、ピールドナックル、アウトサイド、アイオブラウンドは、いずれも供給量の増加を背景に値下がりした。

ロインは、比較的落ち着いた値動きとなった。ショートロインは需要の減退を背景にわずかに下げたが、ストリップロインとトップサーロインバットは価格を維持した。テンダーロインも、需給が概ね均衡しているため価格を維持した。

 

※2024年11月22日 Red Meat Market Insight

 
 

ホリデーシーズンはポークロインの仕入れチャンス

 
 

ポークロインの価格が11〜12月に下落することは珍しくない。小売業者がホリデーシーズンに向けて、ハム(豚モモ肉)やターキー・リブローストなど、感謝祭やクリスマスの定番メニューの販促を強化するためで、今年も同様の傾向が見られる。

しかしホリデーシーズン後のニーズを考えると、牛肉や鶏肉と比較して、ポークロインの割安感が際立っている。下のグラフは、ボンレスセンターカットロインの価格を、牛ひき肉(81CL)および骨・皮なし鶏ムネ肉と比較したものだ。過去15年間にわたって調査し、2023〜2024年の価格推移に焦点を当てている。

比率は年ごとにかなり変動しているが、現在の水準は15年間の範囲の下限付近にあり、この2年間は豚肉の価格競争力が強まっている。インフレによって、消費者の購入は低価格商品へとシフトしている。

最近の豚肉先物の上昇により、豚肉価格が割高になっているように見えるかもしれないが、実際はそうではない。この上昇の大部分は、豚バラ肉価格の急な変動によるもので、ロインは他の食肉に対して非常に競争力が高い。

ポークバット、ベイビーバックリブ、ピクニックなど、他の生鮮豚肉製品の価格も魅力的だ。2025年にも豚肉供給は増加が予想されており、価格上昇は控えめに留まる見込みだ。

 

※2024年11月18日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  ポークロイン(ボンレスセンターカット)と牛ひき肉(81CL)の価格比 2010-2024(左)/ポークロイン(ボンレスセンターカット)と鶏ムネ肉の価格比 2010-2024(右)
 
生産動向

2025年の一人当たり豚肉供給1%増

 
 

USDA(米国農務省)は、最新の食肉需給予測で、2025年の豚肉生産量予測を引き下げた。繁殖豚の減少、および生産性が通常のトレンドに戻ることを考慮すると、来年の豚の供給は前半に減少し、後半には小幅に増加すると予想している。

年間の豚肉生産量は284億1500万ポンドで、前月発表の予測より1億1500万ポンド少ないが、それでも前年比では1.9%多い。豚肉輸出については、メキシコや中国との貿易に不確実な要素があるものの、予想は横ばいとなっている。

国民一人当りの豚肉供給量は前年比1%増となっており、過去にないような顕著な需要変化が起きない限りは、豚肉の卸売価格の上昇は限定的であることを示唆している(グラフ参照)。

 

※2024年11月18日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国民1人当たりの豚肉消費量(小売重量)とポークカットアウト価格(インフレ調整済み)の推移
 
トピック

食肉業界は次期農務長官を支持

 
 

ドナルド・トランプ次期大統領が、次期農務長官にブルック・ロリンズ氏を指名したことを受け、食肉業界の多くが新トップ候補に祝意を表明した。テキサス州出身のロリンズ氏は、現在アメリカ・ファースト政策研究所の社長兼最高経営責任者を務めている。

全米肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)の政府担当副会長であるイーサン・レーン氏は、「ロリンズ氏の経歴が、牛肉産業に利益をもたらすと確信している。彼女には、農業開発を研究していた大学生時代から、テキサス州やワシントン州での卓越したキャリアに至るまで、アメリカ農村部のために戦ってきた実績がある。アメリカの肉牛生産者は、家族経営の農場や牧場を守り、過剰な規制を撤廃し、農村の価値観を擁護する農務長官を必要としている。我々は、新しい農務長官と共にこうしたことを実現するのを楽しみにしている」とコメントした。

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、ロリンズ氏が業界にとって貿易政策に関する貴重な存在となり得るとして、「USMEFはロリンズ氏の指名を祝福し、承認プロセスの成功を願っている。その経験と経歴から、彼女は自由市場政策と農業貿易の強力な擁護者となってくれるだろう」と述べている。

全国豚肉生産者協議会(NPPC)や北米食肉協会(NAMI)など、他の業界団体も祝福のコメントを発表している。

NPPCは、「ロリンズ氏が農務長官に指名されたことを祝福する。我々の産業に影響を与える課題に、次期長官と協力して取り組むことを楽しみにしている。我々豚肉生産者は、米国の農家の成功を確かなものにする強力なリーダーシップを期待している」。NAMIの広報担当は、「我々は、次期農務長官と重要な課題に取り組んでいくことを楽しみにしており、迅速な承認の手続きを希望する」と述べている。

 

※2024年11月26日 FOODMARKET.com

 
ワールドトレード

新政権の関税戦略、牛・豚肉の価格上昇も

 
 

トランプ次期大統領は、来年1月の就任初日に、違法薬物や移民の米国への流入を抑制するために、カナダとメキシコから米国に輸入されるすべての製品に25%の関税を課す大統領令に署名すると述べた。これに関して、農業経済学者や業界幹部は、「これが実際に実行されれば、米国内の生鮮食品の価格は上昇する可能性がある」と述べている。

メキシコとカナダは、米国への農産物の供給国第1位と第2位であり、圧倒的なシェアを占めている。USDAのデータによると、米国の昨年の農産物輸入額は約860億ドル。メキシコからの輸入は、輸入野菜の約3分の2、果物とナッツは約半分、アボカドの約90%を占めており、全米生鮮食品協会のランス・ユングマイヤ会長は、「もし関税が実現すれば、食料品店では品切れが起こり、レストランはメニューの再構成を迫られることになるだろう」と述べた。

アメリカファームビューローの公共政策担当副社長であるサム・キーファー氏は「農家が肥料に支払う金額が2020年に比べて50%近くも増加している現状で、カナダへの関税を課せば、輸入肥料の価格がさらに上昇する可能性がある。今は農業経済に衝撃を与える時ではない」と述べている。

両国への関税は、メキシコが米国に輸出する100万頭以上の生体牛にも影響を与える。全米畜産農家連の牧場主・肉牛生産者行動法務基金の最高経営責任者、ビル・バラード氏は、「米国では牛群が減少し、牛肉の価格が高騰しているが、メキシコへの関税が生体牛や牛肉の輸入を減らすことに繋がれば、生産者には利益をもたらす可能性がある。国内の生産者の競争条件を平準化するのに役立つだろう」としている。

北部では、関税によって米国とカナダ間の肉牛や乳牛、豚の出荷が混乱する恐れがあり、両国の生産者に影響を与えることが懸念される。カナダ豚肉評議会とマニトバ豚肉評議会によると、マニトバ州だけでも毎年約300万頭の子豚を、アイオワ州・ミネソタ州・サウスダコタ州・ネブラスカ州の生産者に輸出している。

一方、元USDA貿易担当官のピーター・テイバー氏は、「関税の脅威は、2026年に見直される予定のUSMCA貿易協定の再交渉に向けて、メキシコとカナダに対する影響力を獲得する方法になる可能性がある」と述べている。

 

※2024年11月27日 FOODMARKET.com/Copyright © 2024 Thomson Reuters.

 
 

メキシコから牛の輸入を一時停止、NWS検出で

 
 

メキシコの獣医師長は、11月22日、グアテマラ国境に近いチアパス州の牛で新大陸スクリューワーム(NWS)が確認されたことを、米国農務省(USDA)動植物検疫局(APHIS)に通知した。

APHISは、メキシコ産またはメキシコを経由する生きた家畜の輸入を一時的に停止した。この措置は、メキシコ当局が発生範囲に関する追加情報を発表するまで継続される。

NWSはハエの一種の幼虫で、温血動物の生体組織に侵入して食害するため、家畜やその他の動物にとって重大な脅威となる。米国の主任獣医官であるローズマリー・シフォード博士は、「NWSの北方拡散に伴い、APHISは中米諸国との協力体制を強化し、害虫の駆除に取り組んでいる。米国の農業を保護して中米の障壁を回復するためには、こうした取り組みを強化する必要があるのだということが、今回のメキシコでのNWS発生によって再確認された」としている。

USDAのデータによると、10月のメキシコから米国への肥育素牛輸入は合計8万9188頭で、前年同月比21.9%減。1〜10月累計では13.2%増加している。肥育素牛の輸入は、例年秋から冬にかけて増加する。

 

※2024年11月25日 FOODMARKET.com

 
業界ニュース

「ミートバイヤーズガイド」改訂版でNAMIとAMSA提携

 
 

米国食肉科学協会(AMSA)と北米食肉協会(NAMI)は、業界で広く活用されている「ミートバイヤーズガイド」(MBG)を協力して管理することになったと発表した。

1961年に初版が発行された同ガイドブックは、米国農務省(USDA)の公定食肉購入規格(IMPS)を要約したもの。規格書(IMPS)、写真、製品説明、業界内コミュニケーションに不可欠な情報を網羅している。米国内外で広く利用されており、政府機関や学術、食肉産業界に広く貢献してきた。

段階的なアップグレードを経て、2024年12月に改訂初版が発行された。2025年(第4四半期)には、IMPSとURMISに完全対応、かつ新たな写真と最新の技術情報を追加した完全更新版が発行される予定だ。

NAMIのジュリー・アンナ・ポッツ会長兼CEOは、「AMSAとの提携により、ミートバイヤーズガイドに新たな製品群を追加できることを嬉しく思う。新しいガイドブックは、食肉業界への技術的リソースの提供を継続すると同時に、今後も米国産食肉製品の調達や理解の要になるだろう」とコメントした。

新版の予約注文、または更新についてのお問い合せは下記まで。

米国食肉科学協会
電子メール : information@meatscience.org
電話 : [800-517-AMSA]

 

※2024年11月18日 NAMI News Release

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ポーク・ファクト・シート