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TRADER'S Be & Po

vol.458 Nov.25.2024
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛・カットアウトともに値下がり
ベリー価格が年初来最高値に、11月に異例な展開
ポーク関連ニュース 9月末の豚肉在庫、5年平均比9%減
生産動向 11月1日のフィードロット飼養頭数、横ばい
トピック マクドナルドが持続可能な牛肉生産でシンジェンタと協業
ワールドトレード 2024年の米国産牛肉輸出5%増、豚肉は記録更新
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2024年9月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛・カットアウトともに値下がり

 
 

生体牛の現金取引市場と牛肉の卸売市場は、依然として値下げ圧力が強い。ターキーやハムの販促が増加するサンクスギビングデー(感謝祭=11月の第4木曜日)のセールが終わるまでは、この状態が続きそうだ。

11月第1週の生体牛価格とカットアウト価格は、いずれも前週より弱含みで推移した。主要5州の去勢牛の平均価格(100ポンド当たり)は生体牛が186.53ドル、枝肉は293.13ドルで、それぞれ前週比3.30ドル安、3.84ドル安。第2週の前半は北部のみの取引で、生体牛が185〜186ドル、枝肉は290ドル前後で推移した。

一方、第1週のカットアウト平均価格は311.45ドルで、前週より4.69ドル下落した。第2週も、前半3日間はチョイスが続落した。

 

※2024年11月14日 Cattle Buyers Weekly

 
 

ベリー価格が年初来最高値に、11月に異例な展開

 
 

豚肉の卸売価格は、この時期としては異例の水準まで上昇している。主因は、11月3日時点でベリー価格(プライマル100ポンド当たり)が176ドルまで上昇していることだ。これに伴い、カットアウト価格も104ドルと、前年比で19%・16.7ドル高い。

2013年にベリーの価格報告が義務化されて以来、11月にベリーの価格が7月や8月を上回ったのは初めてだ。グラフが示すように、例年、ベリーの価格は秋季には安定する。季節的な要因(寒気や新学期の開始など)により、外食需要が冷え込むとともに、豚肉の供給が年間のピークに迫るからだ。

ベリー価格が10月に年間平均を大きく上回った年(2015年・2020年など)もあるが、いずれの年も前年の春・夏季の価格が低かった。昨年の春から初夏にかけては、カリフォルニア州の規制関連で需要の不確実性が強まり、ベリーの価格は低迷した。

今年は、2022年からの高値で小売や外食需要が鈍ったことにより、ベリーの価格は1年の大半で安定的に推移。特に夏季の価格が長期的な季節トレンドを下回っていたことで、バイヤーは手当を楽観していた。

秋季には十分な供給と価格下落が予想されていたため、多くのバイヤーは在庫を消化したが、これにより8月から9月にかけての在庫が急速に枯渇し、11月に年間最高値が出現する要因となった。

しかし、過去15年のうち14年間は、11月と12月の価格が年平均を下回っていることから推測すると、現在のベリー価格がいつまで持続できるか疑問もある。最近の価格上昇はベリーのみに集中しており、カットアウト全体では下振れリスクの懸念が強い。

現在の先物相場は、12月のベリー価格を135ドル前後と予想している。現状の価格をかなり下回るが、季節的な観点で見れば依然として高い水準だ。

 

※2024年11月4日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  ポークベリー価格の推移(過去15年平均を100とした場合の高安)
  
カットアウト価格の前年比高安(2024年11月1日 Vs 2023年11月3日)
 
ポーク関連ニュース

9月末の豚肉在庫、5年平均比9%減

 
 

USDAが発表した9月末時点の豚肉在庫は4億6110万ポンドで、過去5年平均比9%減。前月比で1%増加しているが、別項のとおり、豚肉バイヤーは秋の供給増と価格下落を見越して在庫を消化しており、在庫薄の状況となっている。

9月末のベリー在庫は1780万ポンドで、前年比および過去5年平均比で40%減。前月比では31%減少し、2011年以来の大幅な減少となった。と畜頭数が予想を下回ったことで、ポークトリムの価格もここ数週間で予想以上に上昇している。

この時期は季節的に冷凍在庫の供給が少ないため、バイヤーはスポット市場での買い増しを余儀なくされている。ポークトリムの在庫は3600万ポンドで、過去5年平均を8%下回った。前月比では通常横ばいだが、今年は6%減となった。

 

※2024年11月4日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  ポークベリーの月末在庫量の推移
 
生産動向

11月1日のフィードロット飼養頭数、横ばい

 
 

民間アナリスト6氏の予測によると、11月1日付のフィードロット牛飼養頭数はほぼ前年同月並みとなる見込みだ。アナリストの予測は、前年同月比で飼養頭数が99.5%〜100.0%、導入頭数101.8〜105.3%、出荷頭数104.7〜105.4%となっている。

HedgersEdge.comのアンドリュー・ゴットシャーク氏は、飼養頭数は過去5年平均を7万7000頭上回る1196万3000頭と予測している。7月1日から11月1日までの増加幅は69万3000頭で、過去5年平均の51万1000頭を上回っている。

11月1日時点のフロントエンド(肥育日数150日以上)の牛の頭数は、256万7000頭と推定される。これは、前年同月を1.2%下回っているが、過去5年平均比では10.7%上回っている。

同氏は、「フロントエンドの牛が多いことは、枝肉重量からも確認できる。11月2日までの週間報告で、去勢牛と未経産牛の枝肉重量は、それぞれ前年を31ポンド、25ポンド上回っている。いずれも新記録であり、経産牛を含む平均枝肉重量は34ポンド増。週間と畜頭数に換算すると、約2万5110頭の追加に相当する」。

牛枝肉重量は、季節的に11月下旬から12月にかけてピークに達するが、今年は例年よりも早く増加している。「今後、導入頭数は減少していくだろう。干ばつの状況を受けて、すでに多くの牛が例年より早く牧草地からフィードロットに導入されている。未経産牛の保持率の増加に伴って、フィードロット外にいる肥育素牛と子牛の供給は、さらなる縮小が加速するだろう」という。

 

※2024年11月14日 Cattle Buyers Weekly

 
トピック

マクドナルドが持続可能な牛肉生産でシンジェンタと協業

 
 

農業技術企業であるシンジェンタ・ノースアメリカ社は、マクドナルドUSA社と同社のタンパク質サプライヤー・ロペスフーズ社の3社が、米国内の牛肉生産の持続可能性を向上させる取り組みの一環として、飼料効率を高めて温室効果ガスの排出量を削減するために協業すると発表した。

シンジェンタ社が独占的に提供する「エノジェン® コーン」は、種子内イノベーションであり、牛の飼料効率を向上させ、他のトウモロコシと比較して温室効果ガスの排出強度を削減するのに役立つという。シンジェンタ・シーズのジャスティン・ウルフ社長は、「エノジェン® コーンの素晴らしい特性とともに、マクドナルドとその牛肉サプライチェーンを手助けできることを誇りに思う」と述べている。

米マクドナルドのサステナビリティ・ディレクターは、「シンジェンタ社との革新的なコラボレーションは、科学的根拠に基づく気候変動目標に向けて前進する一助になると信じている。エノジェン® コーンは強力なαアミラーゼ酵素を含んでおり、デンプンを素早く使用可能な糖に変換するため消化がしやすく、より多くのエネルギーを供給できる。畜産における飼料効率の向上は、温室効果ガス排出量の削減を支援するための重要なアプローチとして広く認識されている」とコメントしている。

大学の研究結果等を基に試算すると、この協業によって肉牛1000頭当たり年間で以下の削減が達成できる可能性がある。

  • CO2温室効果ガス削減 196トン→178トン
  • 飼料栽培のための土地使用削減 69エーカー→28ヘクタール
  • 水の使用量削減 600万ガロン→2200万リットル
  • エネルギー節約 231kWh(千キロワット時)

マクドナルドはプログラムの規模を拡大し、年間16万4000トンのCO2排出量を削減することを計画している。

 

※2024年11月14日 FOODMARKET.com

 
ワールドトレード

2024年の米国産牛肉輸出5%増、豚肉は記録更新

 
 

2024年の米国産牛肉の輸出量は、前年比5%増の128万トン、輸出額は105億ドルに達する見通し。豚肉の輸出量は300万トン、輸出額は86億3000万ドルを超え、数量・金額ともに記録を更新する勢いだ。
この予測は、USMEFの年次戦略計画会議で、ダン・ハルストロム会長兼CEOが発表したものだ。輸出拡大の重要な要因の一つは、ラテンアメリカにおける需要の伸びであり、USMEFは「主要市場における機会を最大化するとともに、将来的にはアフリカのような新しい市場を開拓する必要がある」ことを強調した。

同会議では、市場の多様化と新興市場の開拓に焦点を当てたパネル・ディスカッションが行われた。マーケティング・プログラム担当アシスタントVPのスコット・レイノルズ氏は、新規市場や新興市場へのUSMEFの投資配分が、過去5年間で22%増加したことを紹介。「新規・新興市場は、現在の取引量は少ないが、上昇の可能性が大きい。また、牛肉や豚肉の主要市場で市場アクセスに問題が生じた際のリスクヘッジにも効果的だ」という。

アフリカ代表のマット・コープランド氏は、2050年までに世界の4人に1人がアフリカ人になると説明し、「時間はかかるが、アフリカの経済発展の重要性を過小評価してはいけない」と述べ、北はモロッコのカサブランカから、南は南アフリカのケープタウンまで7000マイル以上にわたる広範囲での活動を紹介。「2025年9月には、マラケシュに世界最高級の牛肉レストランの一つがオープンし、米国産牛肉を使用する予定だ。12月にはヨハネスブルグにマーブル2号店がオープンし、スネーク・リバー・ファームのプライムビーフが看板メニューとなる。2025年4月にUSMEFがガーナで開催するイベントは、西アフリカ全体の貿易関係者と出会う素晴らしい機会となるだろう」。

ラテンアメリカ代表のホメロ・レシオ氏は、コロンビアでの新製品発売など、南米での新たな機会開拓に向けた最近の取り組みについて語った。コロンビアは、米国産豚肉のトリミング、モモ、ロース、リブの成長市場。USMEFが新製品として提案しているボストンバットを使用したポークバーガー「BBB」が、桁違いの反響を集めていることを紹介。USMEFは、このバーガーのバリエーションをチリでもテストする予定だ。

ASEANディレクターのサブリナ・イン氏は、シンガポールの高度に発展した市場と、ベトナムやカンボジアのような新興市場とを対比させながら、この地域の多様性と市場発展のさまざまな段階に合わせたUSMEFの活動を紹介した。

 

※2024年11月14日 Cattle Buyers Weekly
注:USMEFが11月7〜8日にアリゾナ州ツーソンで開催した年次戦略計画会議の詳細はUSMEF本部のNews Release(右記アドレス)をご参照下さい。 News | News Articles

 

なお、同会議において、USMEFの2024-25年度の役員が選出されました。現会頭のランディ・スプロンク氏は任期満了に伴い退任。後任の新会頭にはスティーブ・ハンソン氏(ネブラスカ州の牧場主で肉牛生産者)が選ばれました。

  USMEF新役員
 

(USMEF新役員・写真左から) USMEF officers are Vice Chair Dave Bruntz / Chair-elect Jay Theiler / outgoing Chair Randy Spronk/ new Chair Steve Hanson / Secretary-Treasurer Darin Parker

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート