USDAが四半期ごとに発表する「世界の食肉需給予測」の最新レポートによると、2025年の世界の牛肉生産量は、2024年比1%減の6090万トンになると予測される。主要生産国ではアルゼンチン・豪州・インド・メキシコで増加するものの、ブラジル・EU・米国の減少がそれを上回る。
豪州の生産量予測は260万トンで過去最高の2%増を記録すると予想され、輸出需要を満たすために雌牛のと畜頭数が増加して、枝肉重量は減少する。2025年の牛飼養頭数は、インドが3億7749万頭で最も多く、次いでブラジル1億8617万頭、中国1億400万頭、米国8600万頭と続く。
アルゼンチンは、国際需要の増加と、新たに実施された国内政策が生産の増加を後押しする。ブラジルの牛群は2年連続で縮小して、牛肉生産量は1%減の1180万トンとなる予想。EUは経済的逆風と不透明な規制環境が相まって、2%減少する。
2025年の世界の牛肉輸出量は、ほぼ横ばいの1290万トンとなる予想。アルゼンチン・豪州・インドの増加を、カナダ・EU・米国の輸出減が相殺する格好だ。米国の輸出が減少する中で、ブラジルと豪州が市場シェアを拡大する見通し。豪州の輸出量は前年比2%増の190万トンで、過去最高を記録すると予想される。
米国の牛肉生産量は4%減の1181万トンと予想される。特に加工用赤身肉が減少して、アルゼンチン・豪州・ブラジルなどからの輸入が増加。輸出は、国内供給のひっ迫と東アジアにおける豪州との競合により、12%減の117万9000トンの予想となっている。
●世界の豚肉生産量も1%減、輸出量は1%増
2025年の世界の豚肉生産量予測は、1%減の1億1513万トン。米国・ベトナム・ブラジルでの増加分を、中国とEUの減少が相殺する。ベトナムの生産量は、養豚部門の統合とASF(アフリカ豚熱)の管理改善で飼養頭数が増加し、3%増の380万トンになると予想される。
ブラジルは、旺盛な輸出需要と投入コストの緩和により、1%増の460万トンと予想される。中国は2024年に母豚が淘汰されたことで、2%減の5550万トンになる予想。EUは、豚肉価格の低下の影響で2%減の2090万トンになると予測される。
世界の豚肉輸出量は、米国とカナダからの輸出が増加、EUは減少して、全体では1%増の1040万トンになる見込み。カナダの輸出量は、アジア市場向けが継続的に増加しているため、1%増の150万トンになると予測される。EUの輸出量予測は、供給量の減少とASF発生国の貿易規制の影響で、2%減の295万トンとなる。
米国の生産量は2%増の1294万1000トン。2024年に収益性が改善し、飼料コストの低下により、生体重量の増加が見込まれる。米国の輸出は、十分な国内供給と強力な輸出価格競争力を背景に、3%増の335万4000トンになると予想される。
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