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TRADER'S Be & Po

vol.453 Sep.09.2024
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛価格、2カ月ぶりに190ドル割れ
生体豚価格、秋季の供給増で値下げ圧力強まる
生産予測 牛肉生産量の予測をわずかに引き上げ―USDA
安全性関連 牛の鳥インフルエンザAモニタリング開始―FSIS
トピック 遺伝子編集の規制当局、USDAへの移管要請―NPPC
輸出動向 6月の豚肉輸出減、アジアでブラジル産との競合も
消費動向 ソーセージの需要増、経済懸念のシグナルか
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2024年7月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛価格、2カ月ぶりに190ドル割れ

 
 

8月第2週の生体牛の現物取引価格は、6月9日週以来の190ドル割れとなった。主要5州の去勢牛価格(100ポンド当たり)は189.14ドル、枝肉価格は298.04ドルでそれぞれ前週比2.20ドル安、5.97ドル安。枝肉価格は5月19日週以来の300ドル割れとなった。

第3週は、火曜日から取引がスタートしたが、価格は続落した。コーンベルト地帯では生体牛184〜190ドル、枝肉は293〜295ドルと幅のある価格帯で取引されたが、南部では生体牛183〜184ドルとなった。

アナリストは、「肥育素牛および子牛の価格が上昇するためには、肥育牛価格が回復するだけでなく上昇する必要がある。しかし、現在の干ばつの状況や、一部の肉牛生産地域を襲っている熱波の影響で、牧草の状況が悪化すると、価格の低下に拍車がかかる可能性がある」という。

とはいえ、肥育素牛および子牛の供給は引き続き縮小しており、長期的な価格見通しでは依然として上昇が予想される。最大の課題は、牛肉の需要が維持できるかどうかだろう。

一方、カットアウト価格(100ポンド当たり)は、日次・週間ともに値動きの揺れが続いている。8月第2週のカットアウト平均価格は、前週比0.90ドル高の315.34ドル。チョイスの平均価格は、同1.20ドル高の314.01ドル。第3週は、前半4日間でチョイスが1.46ドル下落した。

 

※2024年8月23日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

生体豚価格、秋季の供給増で値下げ圧力強まる

 
 

8月第2週の豚と畜頭数は、東海岸の天候不順を主因に240万頭を下回った。しかし、過去4週間の週間平均と畜頭数は、依然として前年を2.1%上回っている。と畜頭数は6月以降、一貫して前年を上回っており、秋季にはさらに増加することが予想される。

レイバー・デー(9月の第一月曜日)の連休を前に、と畜頭数が減少したことで、トリミングなどいくつかの小売品目の価格が下支えされたが、8月後半からは供給増による値下げ圧力が強まる。昨年のレイバー・デー前の1週間のと畜頭数は250万頭弱だったが、今年は255万頭を上回る可能性がある。

これに重量の増加が加われば、レイバー・デーの連休後には、かなり大きな価格変動があるだろう。現在、枝肉重量は前年比1.5%増で推移している。特に生産者所有の去勢豚の平均体重は、この数年と比べて顕著に増加している(グラフ参照)。

昨年の7〜8月は、生体豚現金価格が若干上昇した。しかし、今年は違う。8月第2週の生体豚現金価格は2週間以上ぶりに84ドルを割り込み、春季の水準を下回った。2021年には9月初旬に重量が上昇し始め、生産者の出荷スピードがそれに追いつけなかった結果、生体豚価格は11月末には55ドルまで低下した。

2022年は、生産者が出荷ペースの維持に努めたことで、第4四半期の体重は顕著に減少し、生体豚価格のパフォーマンスは良かった。では、今年のトレンドはどうなるだろうか。現在の出荷ペースでは、2021年や2022年並みの価格推移となる可能性が高い。工場閉鎖に伴う処理能力の低下も、第4四半期の値下げリスクを高めている。

 

※2024年8月12日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の豚と畜頭数の推移
  米国の肥育豚の枝肉重量の推移(週5日移動平均・生産者保有豚)(左)/生体豚の現金取引価格(全米平均・交渉ベース)(右)
 
生産予測

牛肉生産量の予測をわずかに引き上げ―USDA

 
 

USDA−ERS(米国農務省経済調査局)の最新の月次レポートでは、2024年の牛肉生産量予測を前月の予測よりも8100万ポンド上方修正し、267億3600万ポンドとした。ERSはその理由について、「年末までの牛のと畜ペースが、従来の予想より若干速いことを反映した」と述べている。

7月のフィードロット飼養動向調査によると、7月1日時点のフィードロット飼養頭数は1130万4000頭と推定され、前年同月の1124万3000頭をわずかに上回った。6月の正味の導入頭数(死亡・移動を除外したもの)は、150万7000頭。前年同月比では6%以上少ないが、ERSはこの減少幅が予想を若干上回り、その結果として2025年初頭に出荷される牛が2024年後半の出荷に前倒しされると予想している。

雌牛のと畜ペースが予想ほど減速していないことから、2025年の牛肉生産量は、前月予測より2000万ポンド少ない254億4500万ポンドに下方修正された。

第3四半期の出荷ペースがやや速いことを踏まえ、2024年第3四半期の去勢牛平均価格予測(100ポンド当たり)は3ドル引き上げて193.00ドル、第4四半期は2ドル引き上げて190.00ドルとした。2024年の年間平均価格は、2023年より7%以上高い188.11ドルと予測。

この高値は翌年に持ち越されるため、2025年第1四半期の予想価格は1ドル引き上げの189.00ドル。2025年の年間平均価格は、2024年比で1%以上高い190.75ドルと予測している。

 

※2024年8月23日 CATTLE BUTERS WEEKLY

 
安全性関連

牛の鳥インフルエンザAモニタリング開始―FSIS

 
 

食品安全検査局(FSIS)は2024年9月16日から、病原体および化学汚染物質に対して実施している全国サーベイランスプログラムに、と畜された乳牛における鳥インフルエンザA(H5N1)のモニタリングを追加する。

FSISは既存の残留物質検査プログラム(NRP)を活用して、同プログラムのために収集されている乳牛の枝肉の筋肉を使って、H5N1のサンプリング検査を実施する。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査を用いて、FSISの検査官が行う。

H5N1が陽性と判定された場合、USDAは業界と協力して、該当する枝肉が食品供給に混入するのを確実に防止する。FSISは、H5N1サンプリングの結果を常時報告する。

「FSIS通達 26-24-FSIS H5N1インフルエンザ A 乳牛検査プログラム」の詳細は、FSISポリシーのWebページで、また、日本を含む輸出要件の更新は、FSIS Import & Export Libraryを参照。

FSIS H5N1 Influenza A Dairy Cow Testing Program
https://www.fsis.usda.gov/policy/fsis-notice/26-24

FSIS Import & Export Library
https://www.fsis.usda.gov/inspection/import-export/import-export-library

 

※2024年8月20日 Foodmarket.com

 
トピック

遺伝子編集の規制当局、USDAへの移管要請―NPPC

 
 

全米豚肉生産者協議会(NPPC)は、遺伝子編集に関する規制当局を、米国食品医薬品局(FDA)から米国農務省(USDA)に移管することを提唱している。NPPCは、遺伝子編集を「動物用医薬品」のように扱うことは、この技術の普及を阻害する可能性があり、科学に基づくアプローチが重要だとしている。

NPPCは、FDAが更新した食用動物の遺伝子編集に関するガイダンスについて、「遺伝子編集動物の開発者には規制によって大きな負担が課せられており、今回の更新は何ら大きな改善をもたらさない」として、FDAに書簡を送付した。

NPPCは、「遺伝子編集は、過剰に規制されなければ動物の健康を改善し、抗生物質の使用を減らし、安全な食品の生産に役立つ可能性がある」と主張。これまでも、バイオ医薬品や医療機器の生産を目的としない遺伝子編集動物について、連邦食品医薬品化粧品法(FD&C)に基づく承認が必要だとするなら、どのように承認するのかを米国科学アカデミーの報告書を用いて判断するよう求めていた。

FDAの更新されたガイダンスでは、改変されたゲノムDNAは「動物の体の構造や機能に影響を与えることを目的としたものであり、場合によっては動物の病気の診断、治療、緩和、治療、予防に使用することを意図したもの」として、FD&C法に基づく医薬品として扱われているとし、疾病に対する耐性を作り出すなどの動物の疾病に影響を及ぼす改変は、FD&C法による規制の対象となることを明確にしている。

これに対してNPPCは、「動物のDNAの欠失や挿入は自然にも見られるものであり、FDAはそれを考慮していない。更新されたガイダンスの下で規制が継続されれば、産業利用に対する極端な障壁となってしまう。これは、農業におけるバイオテクノロジーの利用に関する連邦政府の方針や前例、そして世界的な規制の傾向に全くそぐわないものだ」としている。

 

※2024年8月26日 Foodmarket.com

 
輸出動向

6月の豚肉輸出減、アジアでブラジル産との競合も

 
 

米国の6月の豚肉(調理済み含む)の合計輸出量は17万9556トンで、前年同月を8.3%下回った。豚バラエティーミートの輸出量は4万413トン(前年同月比11%減)。輸出減少の主な要因は、中国をはじめとするアジア向けの減少だ。

中国向け輸出の鈍化は、特筆すべきニュースではない。中国では、国内生産の増加と消費者の支出抑制から、輸入豚肉の需要が著しく鈍化している。6月の中国向け輸出は1万71トン(同40%減)だった。

もうひとつの主要市場である日本への輸出は2万8056トン(同13%減)。円安・米ドル高が影響しているが、日本では今年に入ってブラジル産豚肉が2万7000トン近く増加している(123%増)。

フィリピンも同様だ。6月の米国産豚肉のフィリピン向け輸出量はわずか3222トン(同40%減)だった。フィリピンでも、今年に入ってブラジル産豚肉の輸入量が3万8000トン以上(71%増)も増加している。

メキシコは依然として米国産豚肉のトップ市場であり、今年の下半期の豚肉需要にとって極めて重要だ。6月のメキシコ向け輸出量は7万1145トン(同1.5%減)だが、上半期累計では6.2%増加している。ペソ安が逆風となっており、輸出量を維持するためには価格の引き下げが必要になるかもしれない。メキシコでも、一時的に輸入が停止されていたブラジル産豚肉の輸入が再開され、7月のブラジル産豚肉の輸入量は5663トンと昨年の4倍になっている。

 

※2024年8月12日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

 
消費動向

ソーセージの需要増、経済懸念のシグナルか

 
 

ソーセージの需要増加は、物価高に苦しむ消費者が財布を引き締め始めた兆候なのか―。FRB(連邦準備制度理事会)が発表した「テキサス製造業見通し調査」に、あるメーカーでディナー・ソーセージのカテゴリーが「緩やかな成長」を示していることに対して、「この部門は経済が弱くなると伸びる傾向がある」とのコメントが掲載されて話題となっている。

この話は、投資会社もXで取り上げている。消費者にとって、食料品の価格は最優先事項だ。年率換算のインフレ率は、政府が健全とみなす水準に近づいたとはいえ、ほんの数年前と比べても物価は急上昇を続けており、多くの消費者を苦しめている。

同調査の回答企業からは、インフレによって消費者の購買力が弱まり、より安い商品を選んで出費を控える傾向が浮き彫りになっている。ある企業は、「ソーセージは高価なタンパク質の代用品だ。それによって消費者は食費を“有効活用”できる」とコメントしている。

大手外食チェーンからも、消費動向が鈍り始めていると警告する声が上がっている。特に低所得者層でストレスが高まっていることが指摘され、ソーセージへの需要シフトは、経済専門家が「トレードダウン」あるいは「不況に備えはじめた」と呼ぶ状況の証の一つになるようだ。

 

※2024年8月27日 Foodmarket.com

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ポーク・ファクト・シート