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TRADER'S Be & Po

vol.452 Aug.26.2024
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 牛市場にも値下げ圧力、需要も鈍く
季節的要因で豚肉価格上昇、秋季は急落の懸念も
生産動向 牛群再構築の兆候はまだ、始まりもスローか
輸出動向 上半期の牛肉輸出額5%増、日本が最大市場に復活
ワールドトレード 世界の牛肉市場規模、2032年に7205億ドルに拡大か
安全性関連ニュース 厳格なバイオセキュリティの実践で旋毛虫症を駆逐
消費動向 消費者に選ばれる、牛ひき肉の強さ
USMEFインフォメーション 9月13日にアメリカンミートトレードセミナー開催
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2024年6月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

牛市場にも値下げ圧力、需要も鈍く

 
 

7月末に起きた株価急落が、8月の生体牛現金取引と牛肉卸売価格にも圧力をかけている。7月末から8月初めの週の主要5州の去勢牛平均価格(100ポンド当たり)は、生体牛194.45ドル、枝肉309.60ドルで、それぞれ前週比0.32ドル高、1.49ドル高だった。

しかし8月第2週には、火曜日に北部で生体牛が193ドル、枝肉は304〜308ドルと値下がりし、その後も軟調で推移した。アナリストは、「この時期は新学期に向けた学校用品の消費支出などもあり、インフレによる低賃金層への圧迫感が強まっている。景気減速あるいは後退の可能性が高まる中で、消費者の買い控え傾向が強まり、8月中の牛肉需要は鈍い状態が続くだろう」と予想する。

7月最終週のカットアウト価格(同)は、全体の平均価格が前週比0.97ドル安の314.40ドル。チョイスは同0.90ドル安の314.77ドルだったが、8月第2週には、前半4日間でチョイスが1.65ドル下落した。週間と畜頭数が依然として60万頭を下回っているにもかかわらず、牛肉価格は軟化している。

 

※2024年8月9日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

季節的要因で豚肉価格上昇、秋季は急落の懸念も

 
 

豚肉市況には季節的な変動がつきものだが、今夏はそれがいっそう顕著だ。通常、夏季にはと畜頭数と枝肉重量が減少し、豚肉の供給量は制限される。旺盛な需要と供給の減少が相まって、価格が劇的に上昇することがあり、2021年と2022年がその良い例である(下記グラフ参照)。

しかし、特に需要が強い年でなくても、供給の減少は価格に影響する。下記グラフの2019年を見ると、この年は全体的な供給が潤沢で、国内需要も特に強くはなかった。今年と同じく2019年も、春季には楽観ムードだったが、最終的に12月限の先物は60ドル以下となった。

全体的に価格が下押していた2019年でさえ、7月3日から8月16日の間で、カットアウト価格は約15ドル上昇した。それをリードしたのはバラ(+11ドル)とモモ(+3ドル)の2品目だった。

ここ2週間のカットアウト価格の上昇要因もほぼ同様で、主因はモモの上昇だ。7月第3週のモモのプライマル価格(100ポンド当たり)は113.5ドルだったが、7月26日には120ドルを超えた。モモはメキシコへの輸出が多いが、ペソ安・ドル高の中にあってもメキシコ向けの輸出は順調に増加している。

7月第4週の豚と畜頭数は、243万6000頭と推定され、4月以来の高い水準となった。今後の懸念は、8月に生体重量が例年のように減少せず、過去よりもはるかに高い水準で9月入りした場合だ。1年前よりも多くの豚がパイプラインにあり、かつ処理能力が低下しているため、厳しい価格競争を余儀なくされるかもしれない。

秋にかけて生体豚重量が急増した2021年は、現金取引価格に大きな下げ圧力がかかり、生体豚価格は8月上旬の103ドルから11月下旬に55ドルまで下落した。

今年もそうなるとは限らないが、供給面の圧力が高まれば、急落のリスクも高まることは明らかだ。2021年には、結果としてカットアウト価格と生体豚先物の価格差が拡大した。現在のカットアウト価格対CME指数価格の価格差は14ドル付近で、2021年の水準に近い。

 

※2024年7月29日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  ポークカットアウト価格の推移
  カットアウトの部位別価格の比較(7月3日Vs7月26日)
 
生産動向

牛群再構築の兆候はまだ、始まりもスローか

 
 

オクラホマ州立大学のダレル・ピール氏は、米国の牛群再拡大の見通しに関する最新の分析で、再構築のスタートは遅く、当初はかなりゆっくりと進むだろうと予想している。

2024年の肉用雌牛群は、1961年以来の低水準にある。これによって2023年から2024年にかけての生体牛価格は記録的な水準へと押し上げられたが、牛群の再構築が進んでいる兆候はまだ見られない。

過去の牛群再拡大の変遷を見ると、1990年から1996年の期間に、肉用雌牛群は286万4000頭増加。2014年から2019年の期間には273万4000頭増加している。2014年から2016年は、わずか2年間で120万頭増加した。

牛群の拡大におけるカギは、未経産牛の維持だ。繁殖牛の更新用在庫は、牛群が再拡大を始めた1991年までの3年間、および2015年の拡大開始前の3年間に、それぞれ増加に転じている。

ピール氏は、「牛群の再構築が始まるゼロ・イヤー(飼養頭数の底)の兆候は、まだ見られない。2024年の現時点での肉用雌牛と畜頭数は、前年比で約16%減少しているが、約22%減少しなければ雌牛の飼養頭数は増加に転じない。2024年に更新用に保留された未経産牛の少なさを加味すると、肉用雌牛群は2024年にも0.5〜1.0%減少する可能性がある」という。

従って、次の牛群拡大が始まるゼロ・イヤーとしては、2025年が最も早い年となるが、2024年の未経産牛のと畜頭数およびフィードロットの未経産牛の肥育頭数を見ると、2025年に更新用に保留される未経産牛の在庫は、ゆるやかな増加(前年比2.0%増)にとどまる可能性が高い。

この水準では、2025年の肉用雌牛群は横ばいか、ごくわずかな増加にとどまり、牛群の本格的な再構築は2026年からになる可能性が高い。干ばつの継続と再発への懸念も、牛群再拡大の開始を制限する要因のひとつになっている。

 

※2024年8月9日 CATTLE BUTERS WEEKLY

 
輸出動向

上半期の牛肉輸出額5%増、日本が最大市場に復活

 
 

USDA発表・USMEF集計の食肉輸出統計によると、6月の牛肉輸出量(バラエティーミート含む)は11万155トン(前年同月比4%減)と減少したものの、輸出額は9億3830万ドル(同3%増)と2022年8月以来の高水準となった。

これにより、上半期(1〜6月累計)の牛肉輸出量は64万3733トン(同4%減)、輸出額は52億2000万ドル(同5%増)となった。上半期の牛肉生産量に占める輸出割合は14.1%、正肉単体では11.8%。

日本は、米国産牛肉の最大の輸出先市場としての復活を遂げた。6月の日本向け輸出量は2万2308トン(同8%増)、輸出額は1億8150万ドル(同9%増)に達し、上半期累計は12万7020トン(同2%減)・9億7820万ドル(同6%増)。

米国産牛肉は、日本の小売業で強い存在感を維持する一方で、訪日観光客の急増によって外食産業からの需要も高まっている。今年の訪日観光客数は、過去最高の3500万人に達すると予想される。6月末時点の日本の輸入牛肉在庫は、前年同期比で9%近く減少しており、2024年下半期にも輸入需要が見込まれることを示唆している。

上半期の台湾向けは、3万710トン(同9%減)・3億3480万ドル(2%増)。カナダ向けは5万1438トン(同1%減)・4億6900万ドル(同12%増)。韓国向けは11万6338トン(同13%減)・11億ドル(微増)。

一方、上半期の豚肉輸出は152万トン(同3%増)・42億6000万ドル(同5%増)で、2023年の記録的なペースを上回っている。上半期の生産に占める輸出割合は30.5%、正肉単体では26.3%。

主要市場では、メキシコ向けが56万3200トン(同6%増)・12億ドル(同13%増)と、昨年の記録的なペースをはるかに上回っている。韓国向けも13万5419トン(同33%増)・4億5960万ドル(同38%増)と大幅に増加。韓国の輸入豚肉市場における米国産のシェアは38%(前年上半期26%)と大幅に拡大した。

日本向けは18万1550トン(同3%減)・7億3700万ドル(同2%減)。日本は長引く円安によって価格に敏感な市場となっているが、最近の日銀の利上げと、米国の利下げの期待から、日本円は7月中旬の1ドル=160ドルから約145ドルに上昇。また、6月末時点の輸入豚肉在庫が14%減少していることなどから、下半期には輸入が増加する可能性を示している。

 

※2024年8月9日 USMEF News Release

 
ワールドトレード

世界の牛肉市場規模、2032年に7205億ドルに拡大か

 
 

アイルランドのダブリンに拠点を置くリサーチ・アンド・マーケッツ・グループが発表した予測によると、世界の牛肉市場規模は、2023年の5001億8000万ドルから、2032年には7205億8000万ドルまで拡大するという。

同調査では、2032年までの年平均成長率は4.14%と予測している。市場規模の急拡大は、世界的な食のし好の変化、高タンパク食品の需要増加、そして肉の品質と調理の利便性の向上に起因するとしており、さまざまな面で牛肉需要が急増すると予測している。

また同調査は、世界人口の増加と所得水準の上昇に加えて、特に新興国で牛肉の消費支出が増加し、小売店と外食産業の両方が成長するだろうと指摘。都市化の進行も市場規模の成長に貢献し、世界の貿易市場で牛肉の需要がより増加するだろうと予測している。

 

※2024年8月9日 CATTLE BUTERS WEEKLY

 
安全性関連ニュース

厳格なバイオセキュリティの実践で旋毛虫症を駆逐

 
 

全米豚肉生産者協議会(NPPC)は、同会の要請を受けて米国農務省(USDA)が新たに行った調査で、320万以上の豚肉サンプルにおいて旋毛虫感染症(トリヒナ症)の陽性がゼロであったことが判明したと発表した。

NPPCのロリ・ステーバーマー会長は、「米国の豚肉生産者は、豚肉品質保証プログラム(PQA Plus)により、トリヒナ症の主な発生源である野生動物やげっ歯類に対する農場内での暴露を防ぐために、厳格なバイオセキュリティを実践してきた。今回の調査で、その取り組みが功を奏していることがUSDAの科学者たちによって確認された。消費者には引き続き、食卓に並ぶ米国産豚肉は安全だという確信を持ってもらうことができる」とのコメントしている。

貿易相手国の一部には、トリヒナ症の懸念から米国産豚肉へのアクセスを制限してきた国もあるが、これは、米国内の豚群におけるトリヒナ症のリスクがごくわずかであることを証明するサーベイランス・データがなかったためだ。

USDAはPQA Plusの下で生産された豚肉について、54カ月間にわたって、23州の12の加工工場から320万8643のサンプルを採取して調査した。要点は以下のとおり。
◆PQA Plusのバイオセキュリティ対策は、米国の豚群におけるトリヒナのリスク軽減に効果的であることが証明された。今回の結果は、公衆衛生に対するリスクは軽微だとする国際的なガイドラインと一致している。
◆トリヒナを貿易障壁とする貿易相手国に、このデータを活用することができる。貿易のための大規模な検査や、さらなる処理は不要となった。
◆今回の包括的調査によって、米国産豚肉の安全性が立証された。

 

※2024年8月12日 FOODMARKET.com

 
消費動向

消費者に選ばれる、牛ひき肉の強さ

 
 

ミズーリ大学のスコット・ブラウン氏は、「米国の消費者の多くが、高価なステーキカットよりも牛ひき肉を選んでいる。牛肉の部位別価格動向にも、それが顕著に表れている」と指摘する。

7月前半の3週間を見ると、ラウンド・プライマルの価格が、ビーフカットアウト全体の価格に比べて急激に値上がりしている(2023年比15.7%高、2015〜19年平均比5.6%高)。チャックの価格も比較的高く、ロインとリブの価格は低下している。

ラウンドの需要は、より低脂肪のトリミングが求められている場合に高くなる。過去の同じ期間の価格統計をさかのぼると、米国のGDP成長率がマイナスとなって牛肉需要が低迷した2008年と2011年にも、ラウンド・プライマルの価格が上昇している。

牛群の再構築に向けて雌牛のと畜が減少し、トリミングの供給量が限られていることが要因の一つだが、高価な部位への需要が弱まっている可能性もある。雌牛のと畜減少を反映して、牛肉輸入量も急増しているものの、トリミングの供給がひっ迫していることは明らかだ。

 

※2024年8月9日 CATTLE BUTERS WEEKLY

 
 
USMEFインフォメーション

9月13日にアメリカンミートトレードセミナー開催

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は9月13日(金)、「アメリカンミートトレードセミナー&テイスティングセッション2024」を下記にて開催します。

本セミナーには、USMEF本部のダン・ハルストロム会長兼CEOをはじめ、米国の牛肉・豚肉および穀物生産者の代表ら多数が来日し、アメリカンビーフ&ポークの最新市場動向、およびUSMEFの販促計画についてご紹介させていただきます。

また、テイスティングセッションでは、USMEFが推奨するアメリカンビーフ&ポークの多彩なメニューをご用意しています。参加(無料)を希望される方は、下記の申込フォームより必要事項をご入力の上、送信下さい。

なお、本セミナーは定員(400名)になり次第、受付を終了させていただきますので、予めご了承下さい。(テイスティングセッションからの参加はご遠慮下さい)。

名称:

「アメリカンミートトレードセミナー&テイスティングセッション2024」

日時:

2024年9月13日(金)15時30分〜19時30分(受付開始15時00分)

会場:

オークラ東京 平安の間(東京都港区虎ノ門10−4)

主催:

米国食肉輸出連合会(USMEF)

後援:

米国大使館/米国大使館アメリカ農産物貿易事務所(ATO)

申込フォームhttps://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSf2kdq2tkP3Lv6aWPsLCbmlBN
_d3g5HaFK4PoGvx7qla-S8PQ/viewform

締切:

2024年8月29日(木)17:00ご入力分まで
(但し定員になり次第、受付を終了させていただきます)

 
 

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