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TRADER'S Be & Po

vol.450 Jul.22.2024
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛最高値更新、カットアウトも上昇
生産動向 豚飼養動向調査に見る供給見通し、冬季には減少も
輸出動向 5月の牛肉輸出額9億ドル超え、日本、メキシコがけん引
供給動向 5月のフィードロット導入増、フロントエンドの割合上昇
リテール 牛ひき肉小売価格が前年比6.5%高
フードサービス マックがスモーキーBLT復活、日本アニメコラボメニューも
消費動向 アメリカ人が求める"付加価値型食肉"
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2024年5月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛最高値更新、カットアウトも上昇

 
 

6月の生体牛の現金取引価格は、4週連続で史上最高値を更新。カットアウト価格も予想を上回り、1年ぶりの高水準となった。

6月第4週のカットアウト平均価格(100ポンド当たり)は318.44ドルで、前週比2.06ドル高。3週間で8.25ドル上昇したものの、前年同週比では0.2%安だった。チョイスのカットアウト平均価格は302.95ドル。低脂肪ひき材の90CLの価格は371.06ドルで、史上最高値を7週連続で更新した。

同週の生体牛現金価格(主要5州の去勢牛平均価格・100ポンド当たり)は195.81 ドル、枝肉価格は313.47ドルをつけた。それぞれ前週比0.97ドル高、2.92ドル高。2014年11月に記録された過去最高値を大きく上回った。

7月第1週は、祝日(4日)もあって現金取引頭数は少なく、月曜日にアイオワで生体牛が197ドル、火曜日には北部で生体牛195〜198ドル、枝肉315ドル、カンザスで生体牛が189ドルで取引された。

アナリストは、「季節的に見て、生体牛価格は天井をつける可能性が高い。1975年以来、カンザス州西部の月平均ベーシス(現金取引と先物取引の価格差)が最大となったのは、2016年の8月限先物に対する現金プレミアム4.9%(100ポンド当たり9.30ドル相当)だ。現金ベーシスが歴史的なプラスにあることで、今後は取引が活発になるはずだ」という。

 

※2024年7月5日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
生産動向

豚飼養動向調査に見る供給見通し、冬季には減少も

 
 

USDAが6月25日に豚飼養動向調査(四半期調査)を発表して以降、生体豚の先物価格は上昇している。同調査の重量区分ごとの飼養頭数を基に、夏から秋冬へ向けた豚肉供給を予測してみる。

6月〜7月中旬:同調査の180ポンド超の出荷時期となり、と畜頭数は前年比約2%増の週当たり240万頭前後となる見込み。

7月中旬〜8月下旬:120-179ポンドの出荷時期で、この区分の飼養頭数は前年比2%増。と畜頭数は7月下旬に年間の底となり、その後8月中は回復することが多いため、8月上旬までは週240万頭前後、8月後半は245万頭前後となる見込み。

8月下旬〜10月中旬:50-119ポンドは前年比1.2%増。生産者がレイバーデーの連休週へ向けた出荷に注力するため、8月最終週のと畜は増加する傾向にある。レイバーデー後から10月下旬へ向けたと畜頭数は週260万頭前後となる見込みだが、大手パッカーのアイオワ州の工場が閉鎖されたことから、生産能力が制約される可能性もある。

10月下旬〜11月:50ポンド未満は前年より1.4%多いと推定される。週のと畜頭数は270万頭前後となり、土曜のシフトを増やす必要性が高い。結果として、過去2年間に比べて、生体豚とカットアウト間の価格差が広がると考えられる。

冬季以降:最大の指標である6月1日時点の繁殖豚飼養頭数は前年比3.2%減。6-8月期の分娩見込み頭数は同2.5%減。繁殖豚に対する分娩見込み頭数の割合は49.3%で、過去2年間と変わらず。

分娩見込み頭数の減少は、一腹当たり産子数の増加で相殺されるとの予想もあるが、3-5月期の一腹当たり産子数は同1.8%増加しているものの、コロナ前のトレンドラインを割り込んでいる。6-8月期も同様に推移すれば、一腹当たり産子数は前年比でほぼ横ばいとなり、12-2月期あるいは3-4月までの期間のと畜頭数は減少することが予測される。

 

※22024年7月1日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の子豚生産頭数の前年比増減(4半期毎)
  米国の繁殖豚の飼養頭数の推移(左)/一腹当たりの産子数の推移(右)
 
輸出動向

5月の牛肉輸出額9億ドル超え、日本、メキシコがけん引

 
 

USDA発表・USMEF集計の食肉輸出統計によると、米国産牛肉の5月の輸出額は9億ドルを超え、2023年6月以来の高水準となった。豚肉は輸出量・輸出額ともに前年同月を下回った。

5月の牛肉輸出量は11万133トン(前年同月比5%減)。輸出額は9億240万ドル(同3%増)に達し、11カ月ぶりの高水準となった。1〜5月累計では53万3578トン(同4%減)・42億9000万ドル(同5%増)。

USMEFのダン・ホルストロム会長兼CEOは、「為替相場で大きな逆風にさらされている日本で、米国産牛肉の需要が安定しているのは心強い。観光ブームが日本の外食産業に活力を与えている。メキシコ・グアテマラ・カリブ海諸国などの堅調さとともに、台湾やASEAN地域の回復も明るい材料だ」としている。

日本は、円安が続くなどの経済的な逆境にもかかわらず、2024年の米国産牛肉輸出先としてトップの地位を維持している。5月の日本向け輸出は2万1000トン弱(同9%増)、輸出額は1億6410万ドル(同20%増)。1〜5月累計は10万4712トン(同3%減)・7億9680万ドル(同5%増)。

円安のプラス面の効果は、外国人観光客の急増が日本の外食産業とホスピタリティ業界に貢献していることだ。5月の訪日観光客数は前年同月比で60%増え、300万人を突破。観光当局は、今年の訪日者数は2019年の記録である3188万人を超える可能性があると予測している。

5月のメキシコ向けは、1万8793トン(同9%増)・1億980万ドル(同17%増)に達した。1〜5月累計は9万6323トン(17%増)・5億6400万ドル(同23%増)。メキシコは米国産牛バラエティーミートの最大の出荷先だが、1〜5月累計で牛バラ肉も5万トン以上に達し、輸出額も1億3660万ドル(同13%増)に達している。

 

※2024年7月8日 Foodmarket.com

 
供給動向

5月のフィードロット導入増、フロントエンドの割合上昇

 
 

フィードロットの飼養動向調査によると、5月の導入頭数は204万6000頭(前年同月比4.3%増)に達し、アナリストの平均予想(99.4%)を4.9ポイント上回る大量導入となった。5月の出荷頭数は195万5000頭(同0.2%増)。6月1日時点のフィードロット飼養頭数は1158万3000頭(同0.1%減)。

導入頭数の重量区分をみると、すべての区分で前年同月を上回っているが、特に増加しているのは800-899ポンド区分の2万4000頭増(飼養頭数53万1000頭)、900-999ポンドの1万5000頭増(同23万頭)、1000ポンド超の1万頭増(同9万頭)など、重量の重い3つの区分。これらの大部分は年内に出荷される見込みだ。

アナリストは、「フロントエンド(肥育日数150日以上)の牛の供給は、出荷率に大幅な増加が見られない限り、12月まで引き続き前年を上回ると予測される。2024年の7月から12月までの間に、フロントエンドの牛は約10万2000頭増加するだろう」という。

フィードロットにおけるフロントエンドの牛の割合が増加すると、肥育牛価格がさらに上昇しない限り、肥育素牛や子牛の価格は天井を打ち、下落基調あるいは失速する可能性がある。

 

※2024年6月28日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
リテール

牛ひき肉小売価格が前年比6.5%高

 
 

米国農務省経済調査局(USDA-ERS)は、特定の家畜・鶏肉・卵製品について、2021年1月から2024年5月までの月次小売価格を算出した。それによると、タンパク質含有量1グラム当たりの牛ひき肉の小売価格は、今年の前半5カ月間で前年同期比6.5%上昇した。

ESRによると、小売価格は様々な経済的要因に影響されるが、1グラム当たりのタンパク質含有量の推定値には大きな変化は見られないという。

2021年から2024年にかけて、こうした製品の小売価格はインフレに伴って上昇傾向にあるが、今年に入ってからの5カ月間で、平均小売価格が前年を下回っているものもある。

タンパク質1g当たりの小売価格が前年を下回っているのは、骨付き鶏モモ肉(4.0%減)、骨なし鶏ムネ肉(5.4%減)、卵(23.6%減)、骨なし鶏モモ肉(0.7%減)。

逆に前年を上回っているのは、牛ひき肉(6.5%増)と骨なしポークチョップ(2.4%増)だ。

ERSによれば、調査期間中の主要製品の順位は、卵を除いてほとんど変わらなかったという。卵の価格は、2022年以降、他の多くの畜産物の価格とは明らかに異なるパターンをたどっており、高病原性鳥インフルエンザの発生による供給ショックが、この期間の不安定な価格変動の一因となったとしている。

 

※2024年6月28日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
フードサービス

マックがスモーキーBLT復活、日本アニメコラボメニューも

 
 

米国マクドナルドは、ファンの要望に応えて「スモーキーBLTクォーターパウンダー・チーズ」を期間限定で復活させる。また、日本のアニメとのコラボメニューも新登場する。

「スモーキーBLTクォーターパウンダー・チーズ」は2022年に初めて導入したサンドイッチで、1/4ポンドのビーフパティ、アメリカンチーズのスライス2枚、アップルウッドでスモークした厚切りベーコン3枚、フレッシュローマトマト3個、千切りレタス、特製スモーキーBLTソースをトーストしたゴマバンズに挟んだもの。

一方、日本のアニメ『呪術廻戦』とコラボした「スペシャルグレードガーリックソース」は、期間限定かつマクドナルドのアプリでのみ利用可能。アニメのキャラクターをベースにした8種類のユニークなラベルデザインが特徴で、日本マクドナルドの“黒にんにくソース”から着想を得て、ニンニクと醤油のユニークなミックスと、甘みがありつつもピリッとした辛さが際立つ味わいとなっている。

 

※2024年7月10日 Foodmarket.com

 
消費動向

アメリカ人が求める"付加価値型食肉"

 
 

「2024 Power of Meat」のデータによると、アメリカ人の3分の2近くが"付加価値型食肉"を時々あるいは頻繁に購入している。多くの人にとって"付加価値"とは、あらかじめ味付けやマリネされた製品を意味し、食肉メーカーや小売業者はこれを最大限に活用することが重要だ。

シーボード・フーズのマーケティング・イノベーション担当バイス・プレジデントは、「こうした商品は、質の高い家庭料理を求める消費者からの需要が高い。価値と利便性を一つにして提供することで、お金をかけずに家庭での食事を充実させたい人々を惹きつけている。中でも豚肉は、タンパク質のカテゴリーにおける優れた"味の運び屋"だ」という。

同社の味付け済み豚肉製品のシリーズ、「プレーリー・フレッシュ・シグネチャー」では、ここ数年でフレーバーが13種類に増えた。特に「ハワイアン・シー・ソルト」「ハニー・シラチャ」などの人気が高い。今年後半には、これらの人気フレーバーを使った豚ひき肉とソーセージを発売する計画だ。

タイソンフーズの牛肉・豚肉マーケティング・ディレクターは、「Z世代やミレニアル世代、特に都市部の人々の間で、マリネや味付けをした食肉製品に対する需要が高い」という。同社は、外食の頻度が以前より減っていると答えた43%の買い物客に、味付け・マリネ加工品の利点をアピールしたいと考えている。こうした商品は、消費者に新しいものを試してもらうきっかけになり、期間限定サービスやプロモーションの目玉商品としては理想的だ。初回購入では価格も重要だが、リピート購入では味が最も重要視される。

同社はケースレディの味付け・マリネ済み製品も拡大する予定だ。新商品には、5種類のフレーバーの豚ロース・ヒレステーキ、ステーキハウス、ハーブ&オリーブオイル、ホームスタイル・ロティサリー、照り焼き、サウスウエストの豚ロース・グリラー・ステーキ、牛肉では、ストリートタコス・ミールキットや牛肉入り焼きそばなどがある。

 

※2024年7月9日 Foodmarket.com

 
 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート