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TRADER'S Be & Po

vol.449 Jul.08.2024
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 例年より早い“夏枯れ期”入り、熱波到来で
熱波が短期的供給に影響、2025年の見通しは安定
生産動向 世界の牛肉生産縮小、肉牛価格は堅調―ラボバンク
ワールドトレード EU・中国間の貿易摩擦、スペインの豚肉にも波及
ペソ急落、モモ輸出に逆風、カットアウトへの影響も
リテール 小売の牛肉販促、ブランディングも増加
フードサービス ドギーバッグ、ハッピーアワーが再流行
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2024年5月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

例年より早い“夏枯れ期”入り、熱波到来で

 
 

気温が上昇し、屋外でBBQするよりも家の中で涼む人が増えることで、牛肉の売上が減少する、いわゆる“ドッグ・デイズ”(夏枯れ期)は例年7月以降に到来するが、今年はそれよりも早く訪れた。

6月半ばに中西部からニューイングランドにかけて猛烈な熱波が押し寄せたことで、何千万人もの人々がうだるような暑さに見舞われた。小売の牛肉販売は、父の日までは非常に良好だったが、アナリストは、「この熱波が牛肉の売れ行きにも影響する。ドッグ・デイズの到来とともに、牛肉需要はある程度減少する」と予想する。

5月の牛肉小売価格(ポンド当たり)は7.96ドルで、過去最高値を更新した。前月比1セント高、前年同月比では6.1%高い。対照的に、5月のチョイス平均価格は8.11ドルで同4セント安、同0.5%高にとどまっている。

牛肉の小売価格が過去最高値を記録した一因には、牛ひき材やビーフパティの高値がある。90CLの価格は、360.52ドルと5週連続で過去最高値を更新、前年同週比では27.3%も高い。

6月第4週のカットアウト価格は下落したが、生体牛現金価格は過去最高値を更新した。カットアウト平均価格は前週の312.08ドルに対して310.19ドル。チョイスのカットアウト平均価格は、同311.96ドルに対して308.04ドルと値下がりした。

一方、生体牛現金価格(主要5州去勢牛ベース)は過去最高値を更新し、平均192.55ドル、枝肉は平均305.47ドル。前週比ではそれぞれ3.65ドル、4.76ドル上昇した。第4週前半は、生体牛196.50ドル、枝肉価格はアイオワで304〜305ドル、ネブラスカでは310ドルで取引された。

 

※2024年6月21日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

熱波が短期的供給に影響、2025年の見通しは安定

 
 

気温が高いことで、豚の肥育効率や出荷に影響が及ぶ可能性があることから、リーンホッグの先物はここ数日間上昇している。下のチャートが示すとおり、豚枝肉重量はすでに減少傾向に転じているが、中西部を覆うヒートドームの影響により、今後2週間で約2%減少する可能性もある。

この熱波は、豚肉の供給可能量に短期的な影響を与える可能性はあるものの、長期的には豚肉の供給は安定して推移する見通しだ。USDAは最新の予測で、2024年および2025年の豚肉生産量、一人当たり供給量を上方修正したが、その理由は年ごとに異なる。

2024年についての予測では、4大食肉の生産見通しが前月予測から1億1500万ポンド上方修正された。内訳は、豚肉の予想生産量は4000万ポンド(+0.1%)、鶏肉は6000万ポンド(+0.1%)、七面鳥は2000万ポンド(+0.4%)増加した。これらは主に前月の生産量が予想を上回ったことを反映したものだ。

USDAは、今年下半期の豚肉生産量は約5%増加するとの見通しを固めつつある。生産日数が多いこともあるが、と畜頭数や重量が増加しているためだ。第2四半期のトレンドを加味すると、現時点でこれを議論することは難しいものの、四半期調査結果が公表されれば一つの論点になるだろう。

2025年については、USDAは豚肉生産量の予測を1.1%増としている。輸出は3.4%増加すると見られており、豚肉の一人当たり入手可能性は、前回の予測より若干少ない50.3ポンド(小売重量ベース)、前年比0.6%減と予測されている。

 

※2024年6月17日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  豚枝肉重量の推移(全ての豚の5日間移動平均)
  米国の国民一人当たりの豚肉供給量(小売ベース)
 
生産動向

世界の牛肉生産縮小、肉牛価格は堅調―ラボバンク

 
 

ラボバンクの「グローバル・ビーフ四半期報告書」の最新版(第2四半期報告)によると、2024年下半期の世界の牛肉生産量は縮小し、肉牛価格は現在の水準を維持する見通しだ。

牛肉の主要生産国の動向では、欧州と米国における生産の縮小が、オーストラリアとブラジルで予想される増産を上回ることが見込まれている。中国は第2四半期に生産が改善したものの、2024年後半には減少すると予想されている。

北米の牛肉の市場価格は、過去最高値で推移している。USDAの「All Fresh」が示す牛肉小売価格は、5月に1ポンドあたり7.96ドルで、史上最高値を更新した。

しかし、他の地域の価格設定はそこまで極端には上昇していない。欧州は最近生産量が増加しているにもかかわらず、その中間に位置している。

ラボバンクは、世界の牛肉市場は2つの異なるペースで動いており、こうした地域間格差は国際貿易の流れにも影響していると指摘する。米国は輸入量を増やし、アジアの主要市場は安定した輸入水準を維持している。気候変動に関する情報開示への需要の高まりが、牛肉のサプライチェーンにも徐々に波及し、チャンスとリスクの両方をもたらすことが予想されるとしている。

 

※2024年6月21日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ワールドトレード

EU・中国間の貿易摩擦、スペインの豚肉にも波及

 
 

欧州委員会が6月12日、中国製電気自動車の輸出関税を引き上げると発表したことを受けた中国の反応は素早かった。5日後には反撃に出たが、その標的は欧州の豚肉分野だった。

中国の商務省は、EUからの輸入豚肉に対するアンチダンピング調査の開始を発表した。中国はスペイン産豚肉の最大の輸出先で、2023年には56万488トンが輸出され、輸出額は12億3300万ユーロに達している。

スペインの業界団体Interporcによると、同国産の豚肉は中国に次いで日本へ8万トン、フィリピンへ7万トンなどアジア市場に多く輸出され、スペインの農業生産全体の14%を占めている。

農業牧畜組織調整機構(COAG)の養豚部門の代表は、「豚肉ほどEU、特にスペインに打撃を与える可能性のある分野は他にない。中国は、EUの弱点の1つが農業分野であることを理解している。中国がスペイン産豚肉の購入に同意するためには、農場は長期にわたる徹底的な品質検査を受けなければならなくなった。下手をすれば輸出できなくなってしまう」と話す。

この分野の専門家の多くが、中国の対応を「政治的」と表現するが、スペイン輸出業者・投資家協会のアドバイザーは、「これは、中国が欧州の関税の脅威に対して交渉力を得るために下した決断だ。EUの対応次第では他の分野にも拡大する可能性があり、スペインは今、独自に声を上げる必要がある」と指摘する。

アサジャ(青年農業組合)の養豚部門の代表は、「我々は自動車産業とは異なり、補助金なしで懸命な努力によって達成した品質と競争力を十二分に発揮してきた」と憤りながらも、「欧州の生産者はすでに防衛に取り組んでいる。ドイツ、オランダ、デンマーク、ベルギー、フランスも、中国政府が要求するあらゆる文書を提供するために共同で行動しており、我々の誰もがいかなる種類の不正競争も行っていないことを証明している」。

ここ1カ月ほど前に、スペインの50社以上の食肉輸出企業からなる代表団が上海で開催されたアジア最大の食肉フェアを訪れ、中国当局と会談している。Interporcのディレクターは、「イベント期間中、すべてが前向きだった。私たちは、中国で名声を得ていることを誇りに思っていた」と話す。

中国に豚肉製品を輸出するすべての企業は、アンチダンピング調査の一環として、7ページの質問票に記入しなければならない。関係者はこれらの文書をまだ翻訳中であり、報復が長期的な関税につながるかどうかは判断できないと説明している。

これは、中国政府が1年半はかかると説明している調査の第一段階だが、専門家は「中国は無駄な脅しはしない」として、警告のサインと見なしている。

 

※2024年6月24日 Foodmarket.com

 
 

ペソ急落、モモ輸出に逆風、カットアウトへの影響も

 
 

現在、メキシコのペソは1年前から13%安い1米ドル=18.5ペソで取引されており、昨年の秋以来の安値となっている。この影響で、メキシコが輸入する米国産豚肉は突然割高になった。

♯23-27豚モモの価格は、5月下旬に100ポンド当たり約94ドルで、4月の最高値に近い水準だった。それ以降、価格は下落し、6月第2週末には85.5ドルとなった。しかし、ペソの通貨下落によって、ペソ換算ではまだ今年の最高値圏にある。現在の為替を考慮すると、♯23-27モモの価格がペソベースで同等の価格を得るには、70ドル台半ばで取引される必要がある。このため、7・8月のカットアウト価格に大きな逆風が吹く可能性がある。特に、季節的な生産量の落ち込みが例年ほど大きくない場合は、より影響が大きくなるだろう。

 

※2024年6月17日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

 
リテール

小売の牛肉販促、ブランディングも増加

 
 

USDA-AMSは、毎週、主要な小売店(スーパー)から、数百にわたる商品の販促価格のデータを収集してまとめている。

その中の一つ、「小売販促率」は、当該週に当該の牛肉品目を宣伝している店舗数が、サンプリングした店舗数全体のうち何割あるかを表す。6月7日から6月13日までの期間では、全国の店舗の72%が牛肉を販促していた。これは前週の66.1%から増加し、2023年同週の64.1%からも上昇したという。

またこのデータからは、近年、牛肉の小売製品のブランディングが勢いを増しており、各ブランドが他社との差別化を図ろうとしのぎを削っていることが分かる。49のビーフカットに関するデータをまとめた「National Retail Report-Beef」のブランドカテゴリーには、現在73個のUSDA認定ビーフプログラムが実施されているが、中でも1978年に設立されたサーティファイドアンガスビーフ(CAB)は最も歴史がある。

 

※2024年6月21日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
フードサービス

ドギーバッグ、ハッピーアワーが再流行

 
 

Lightspeed Commerce社の最新調査によると、外食費が上昇する中で、アメリカの消費者は外食時に数ドルを節約するために工夫を凝らしている。

米国のレストランにとっての朗報は、回答者の51%が、今後6か月間、外食を同じペースで続ける、もしくは増やすと回答したことだ。とはいえ、10人中7人(69%)が食事の値段が上がったと答え、10人に4人(39%)がお気に入りの料理のサイズが小さくなったこと、いわゆる「シュリンクフレーション」と呼ばれる現象に気づいている。

また回答者のうち、81%が月に1回以上、39%が週に1回以上外食をしているが、そのうち43%がクーポン付きのお得な情報を探し、39%がお得な食事を選び、36%がハッピーアワーの特別提供を最大限に活用すると回答している。

ドギーバッグ(残った食事を持ち帰ること)も再流行している。回答者のほぼ半数(45%)が、このサービスを恥ずかしがらずに頼んでいる。興味深いのは、持ち帰った残り物で2回目の食事を楽しむ可能性が高いのは、男性の38%に対して女性では53%にのぼるということだ。年配者、特に55歳以上にも同様の傾向が見られ、53%がドギーバッグを家に持ち帰っている。とりわけロサンゼルスの外食利用者は食品廃棄物に対する意識が高いようで、51%が持ち帰りを頼んでいる。

Lightspeed社のCEOは、「現在、レストランの利用客にとってバリュー(価値)は最優先事項だ。経営者はコスト削減だけでなく、バリューを実感できる環境づくりが必要だ。消費者は外食体験を自分へのご褒美と感じたいのだ。このことを念頭に置くと、リピーターの増加と全体的な顧客体験の向上が期待できる」と指摘している。

 

※2024年6月26日 Foodmarket.com

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ポーク・ファクト・シート