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TRADER'S Be & Po

vol.447 Jun.10.2024
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース ポークのカットアウトは例年と異なる展開
ワールドトレード 中国の牛肉需要低迷、4月の輸入量は今年最低に
生産動向 豚肉生産は下期に大幅増、2025年は1.2%増
トピック 米国のオーガニック市場、2023年は700億ドルに迫る
超党派によるProp.12対処法案可決を評価−NPPC
リテール ビーフの販促、グリル・BBQ需要への対応強化
サスティナブル関連 牛のメタン削減飼料をFDAが認可
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2024年4月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

ポークのカットアウトは例年と異なる展開

 
 

メモリアルデー(5月の最終月曜日)の連休は、夏需要の始まりの象徴として、豚肉販売にとっても重要な時期だ。例年、ポークリブ・ベーコン・バットは、この連休の人気メニューとして需要が増えるが、今年はProp.12施行後の在庫水準や母豚のとう汰、経済の不透明感が重なり、例年とは異なる市況展開となっている。

昨年のこの時期の豚肉在庫は潤沢だったが、今年4月末の在庫は、前月比で8.2%増加したものの、前年同月比では11.6%減と依然として少ない。さらに、アジアや中南米への輸出需要が回復しているため、部位によっては供給不足も起こりつつある。

ボンインバットの価格は、前年同期比で3.9%高く、過去5年平均比では10.4%高い。大きな要因の一つは、韓国向けをはじめとする輸出需要の"再燃"だ。

USDAの最新報告によると、3月の韓国向け豚肉輸出量は前月比で31.7%増、前年同月比では47.1%増と急激に増加している。輸出需要の増加と今後への期待は、バットのみならず豚肉市況全体に影響を与えている。

  バット(1/4トリム・バキュームパック)の週間平均価格推移
 

ベーコンの主原料である皮なしベリーの価格は、前年同期比では37%高い。在庫量は回復しつつあるが(4月末は前月比3%増)、ここ数週間、ベーコンの生産量は増加している。過去5年平均比では19%下回っており、今後、生体豚の供給が落ち込む夏場に向けて、スポット市場の動きが注視される。

  ベリー(皮なし・9-11♯)の週間平均価格の推移
 

メモリアルデーの連休で、最も人気の高いバックリブの価格は、前年同期比で26%高くなっているが、過去5年平均比では依然として14.6%低い。リブは、昨年の第3・第4四半期にProp.12で最も打撃を受けたアイテムの一つだ。リブ全体の在庫は5年ぶりの低水準にとどまっている。小売での需要が高まる中で、4月末在庫は前月比3%増と、例年とは異なって在庫が積み増しされている。

  バックリブ(2/up)の週間平均価格の推移
 

※2024年5月14日 FOODMARKET.com

 
 
ワールドトレード

中国の牛肉需要低迷、4月の輸入量は今年最低に

 
 

中国税関総署の最新データによると、中国の2024年4月の牛肉輸入量は22万4402トンで、前月比7.7%減(1万8718トン減)と今年最低の水準になった。このうち、冷凍骨なし牛肉は前年比で22.9%(4万1856トン)増加した。

中国は、食肉供給の多様化によって30カ国以上の国からの輸入を許可しているが、冷凍牛肉では依然としてブラジル、アルゼンチン、ウルグアイなど南米諸国が優勢であり、4月の輸入量に占める南米産のシェアは70%近くに達している。

輸入量トップであるブラジルからの輸入量は9万826トン、市場シェアは40.5%。前月比で6.2%(6016トン)減少したが、前年同月比では70.2%(3万7457トン)増となった。これは2023年にBSE問題で輸出が一時停止していたことの反動だ。

2位のアルゼンチンは4万4853トン、シェアは20.0%で、前月比18.6%(1万233トン)の減少。3位のオーストラリアは2万1210トン、シェアは9.5%で、前月比3.5%(778トン)の減少。前年同月比では12.3%(2331トン)増となった。

4位のウルグアイは1万9754トン、シェアは8.8%。前月比で17.8%(4285トン)減、前年同月比では19.8%(4889トン)減だった。5位のNZは1万6885トン、シェアは7.5%で、前月比7.4%(1345トン)の減少。低脂肪なグラスフェッドの生産量が多いNZは、米国市場への輸出が優先され、前年同月比でも14.3%の減少となった。

 

※2024年5月24日 FOODMARKET.com

  4月の中国の牛肉輸入量(国別)
 
生産動向

豚肉生産は下期に大幅増、2025年は1.2%増

 
 

USDA(米国農務省)は、2024年の豚肉生産量を280億7900万ポンド(前年比2.8%増)と予測している。前年比7億6100万ポンド増の大部分(6億4200万ポンド)は、下半期の生産増が寄与する見通しだ。

第3四半期の生産量は5.1%増、第4四半期は4.4%増と予測されているが、第3・第4四半期ともに出荷日数が昨年より1日多いことを加味すると、実質的な生産増はそれぞれ3.4%増、2.7%増となる。

第3四半期のと畜頭数が2%近く増加するという見通しの根拠は、12〜2月期の子豚生産頭数が前年比1.9%増だったことだが、昨年の生体重量は第3四半期が1.5%減、第4四半期は0.6%減。USDAは、今年後半の生体重量が2022年の水準へ戻ると予想しているようだが、これは注視する必要があるだろう。

2025年の豚肉生産量の一次予測は3億3600万ポンド(同1.2%増)、一人当たり供給量は長期的傾向に沿って50ポンド超を維持すると予想される。

短期的な見通しでは、6、7月のと畜頭数は季節的傾向で低下するが、5月第3週の週間と畜頭数は240万4000頭で、前年とほぼ同水準。過去4週間の合計と畜頭数は956万4000頭、前年比0.4%減。

昨年6月(4週間)の週平均と畜頭数は234万5000頭、7月は235万3000頭だったが、今年の6、7月は、3月1日時点の豚飼養動向調査から推定すると238〜239万頭前後で、前年同月をかなり上回ることが予想される。

 

※2024年5月20日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の国民一人当たり豚肉供給量(消費量)
  米国の週当たり豚と畜頭数の推移
 
トピック

米国のオーガニック市場、2023年は700億ドルに迫る

 
 

米国におけるオーガニック認証製品の2023年の売上は700億ドルに迫り、新記録を更新した。米国オーガニック・トレード協会(OTA)の発表によると、2023年のオーガニック市場の売上は697億ドルに達し、このうち、食品は638億ドルで9割以上を占めている。

2023年の売上額の増加は、販売数より価格設定による効果が大きいようだ。調査では、多くの非オーガニック製品の価格が、オーガニック製品よりも速い速度で上昇していることが明らかになっている。これは、従来製品とオーガニック製品の価格差が縮まりつつあることを意味しており、今後のオーガニック製品の成長を後押しする要因になると考えられる。

売上額の製品別構成をみると、最も販売額が高いのは農産物で29.4%。前年比で2.6%増加した。主要製品はアボカド、ベリー類、リンゴ、ニンジン、パッケージサラダで、バナナは非有機バナナの成長を上回っている。

次いで食料品が22.1%を占め、前年比で4.1%増加した。パン、シリアル、ベビーフードなどが主要製品。3番目に大きな製品群は飲料で、前年比3.9%増の94億ドル。有機乳製品と卵は同5.5%増の82億ドル。食肉・家きん肉・シーフードの売上構成比は2.9%だった。

 

※2024年5月14日 FOODMARKET.com

  米国のオーガニック製品販売額と今後の見通し
  米国のオーガニック製品販売額の内訳(2023)
 
 

超党派によるProp.12対処法案可決を評価−NPPC

 
 

全国豚肉生産者協議会(NPPC)のロリ・ステバーマー会長は、米国下院農業委員会が2024年度農業法案を可決したことについて、「2024年度農業法案は、全米の豚肉生産者の最重要課題であるカリフォルニア州Prop.12に対処する絶好の機会であり、農場内規制の異なる50州が雑然と統一されてしまう可能性を阻止する機会を、米国下院農業委員会がつかんだことを嬉しく思う」とのコメントを発表した。

NPPCは、「ワシントンで超党派主義という言葉がしばしばタブーとされる昨今の政治情勢の中で、米国の豚肉生産者のニーズを満たす農業法案を提出するために協力した下院農業委員会に拍手を送りたい。米国上院がこれに続いて、全米の豚肉生産者と消費者に必要な確実性を提供するよう強く求める」としている。

カリフォルニア州のProposition 12は、2018年に住民投票が主導したアニマルケアの規則だが、規定に従って生産されていない未調理の豚肉全ての販売を禁止している。USDAの最新データによると、Prop.12の施行以来、同州の豚肉価格は41%も高騰している。

2024年の農業法案には、米国の豚肉生産者が求める次の優先事項がすべて含まれている。(1)外来動物からの疾病予防を通じて国の食料供給を保護するために必要な資源の保全、(2)米国産豚肉の市場アクセスプログラムの拡大、(3)飼養豚群の健康を守るために、野生の豚を根絶するための資源の強化、(4)入国地における早期発見のため、防衛の最前線として機能する国立探知犬訓練センターの認可。

 

※2024年5月24日 NPPC News Release

 
リテール

ビーフの販促、グリル・BBQ需要への対応強化

 
 

スーパーでは、グリルシーズンのスタートへ向けた準備に熱が入っている。アウトドア用品・グリル用カットなど、BBQに欠かせない品々が販促広告の表紙を飾るようになってきた。

昨年のメモリアルデー向けの販促では、赤身率78-84%の牛ひき肉は平均価格(特売と通常価格の平均・ポンド当たり)が4.52ドル。ステーキ用の平均価格は過去3年間で最も高い13.57ドルだったが、今年はそれらをさらに上回っている。

赤身率78-84%の牛ひき肉の販促価格は4.71ドル。一部では大容量パックでの安値提供もあり、価格幅は2.57〜6.93ドル。ステーキ用の平均価格は14.04ドル。テンダーロインは昨年より1.4%高い20.08ドルで販売されている。Tボーンやポーターハウスステーキの平均価格はそれぞれ11.04ドル、11.71ドルで、いずれも昨年を上回っている。

 

※2024年5月14日 FOODMARKET.com

 
サスティナブル関連

牛のメタン削減飼料をFDAが認可

 
 

世界最大手の動物用医薬品メーカー、エランコ・アニマル・ヘルス社は、牛の排出するメタンガスを削減するための同社の乳牛用飼料成分が、FDA(食品医薬品局)の認可を受けたことを発表した。

メタンガス削減飼料「Bovaer®(ボベアー®)」は、泌乳中の乳牛1頭に1日大さじ1杯与えることで、メタンガス排出量を約30%、二酸化炭素換算で年間約1.2トン削減できるという。Bovaer®には、牛の第一胃(ルーメン)でメタンを生成する酵素を抑制する効果がある。

同社のCEOは、「この飼料成分は、乳製品会社が自社農場からカーボンクレジットを購入し、牛1頭あたり20ドルのバリューストリームを生み出すのに役立つ。農家は排出量削減の取り組みを定量化でき、販売用のカーボンクレジットの認証を受けることが可能になり、カーボンインセット(CO2排出量削減)市場が創出される」という。

企業は、カーボンインセットに取り組むことで、サプライチェーンまたは業界内の排出量とカーボンフットプリントを削減できる。

同社の試算では、「Bovaer®」を100万頭の牛に与えることで削減できる排出量は、1年間で28万5000台以上の車を道路から排除することに相当するという。

 

※2024年5月30日 FOODMARKET.com

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ポーク・ファクト・シート