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TRADER'S Be & Po

vol.446 May.27.2024
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 牛肉需要、例年のような季節的な増加見られず
テンダーロイン、春季の傾向に反した価格推移
第1四半期の豚価、堅調な輸出が下支え
輸出動向 3月の牛肉輸出、輸出額は23年6月以降で最高
トピック 米豪の肉牛生産者がパートナーシップで共同声明
ポーク関連ニュース 3月末の豚肉在庫、2021年以来の低水準
安全性関連 USDAが乳牛のHPAIでサンプル検査を実施
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2024年3月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

牛肉需要、例年のような季節的な増加見られず

 
 

例年、5月はビーフカットアウト価格が上昇する時期だが、今年は異例の展開となっている。メモリアルデー(5月27日)の連休に向けた手当はほぼ終了したが、牛肉バイヤーは在庫を抱えることに慎重な姿勢を続けている。

アナリストは、「5月は牛肉需要が年間で最も強い月で、需要指数は年平均をおよそ4.2%上回る。過去10年間、牛肉卸売価格は5月第3週に季節的なピークを迎えてきたが、今年はそれが見られない。と畜頭数が少なく、枝肉重量が増加していることを考慮すると、かなり憂慮すべき状況だ」という。

5月第1週のカットアウト平均価格(100ポンド当たり)は298.71ドル、前週比0.48ドル安。第2週は月曜日に4.56ドル上昇したが、その後は下落し、4日間での上昇は1.89ドル高にとどまり、セレクトは4日間で1.89ドル安となった。

一方、同週の生体牛の現金取引価格は、主要5州の去勢牛平均価格が185.74ドル、枝肉価格は294.65ドル。それぞれ前週比で1.59ドル高、0.26ドル高だった。パッカーは連休向けの対応で、肥育牛のと畜頭数を前週より増やしたものの、週間のと畜頭数は、前年同週の64万4313頭に対して62万頭にとどまったようだ。

枝肉重量は、前年比では高止まりしている。4月最終週の平均重量は、去勢牛が920ポンド(前年同週比30ポンド増)、未経産牛が848ポンド(同24ポンド増)、全体平均は848ポンド(同32ポンド増)で、前週比では1ポンド減となった。

 

※2024年5月9日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

テンダーロイン、春季の傾向に反した価格推移

 
 

従来、テンダーロインは春の買い付け期間に価格が上昇する品目だが、今年は例外的な値動きとなっている。今年初めのチョイスのテンダーロインの価格(ポンド当たり)は15.85ドル前後で、昨年の初めとほぼ同水準だった。しかし、現在の価格は12.63ドル。年初から5カ月間で20%下落した。

前年の同時期は16.23ドルで、現在の価格は約22%安い。過去5年平均比では4%安となっている。下図のチャートが示すとおり、テンダーロインは例年、気温が上がるにつれて牛肉需要が上向く春季に価格が上昇しているが、今年はこの傾向に反した価格推移をみせている。

 

※2024年5月8日 FOODMARKET.com

  チョイスビーフ 189A テンダーロインの価格推移
 
 

第1四半期の豚価、堅調な輸出が下支え

 
 

今年第1四半期の豚肉価格を下支えしたのは、高い輸出需要だ。米国の3月の豚肉輸出量は6億2110万ポンド(前年同月比2%増)で、前年比1300万ポンド増加した。引き続きメキシコが最大の輸出市場であり、同国向けの3月の輸出量は1億9460万ポンド(同13%減)で、全体の31%を占める。

3月のメキシコ向けの輸出減を相殺したのは、韓国向けの増加だ。3月の韓国向け輸出は、前年同月比で2740万ポンド増加した。中国向けは3430万ポンド(同23%減)で、輸出市場での影響力は低下している。

第1四半期の豚肉生産量は70億9400万ポンドと、前年同期比では微増。しかし、第1四半期の豚肉輸出量は18億200万ポンド(同8%増)、同1億3420万ポンド増加した。同期の豚肉輸入は1370万ポンドにとどまり、結果的に第1四半期の国内供給量は約1億ポンド減少したことになる。

輸出増による国内供給可能量の低下は、小売と外食の双方で、ロインやバットなどの価格を支える一因になった。USDAの豚飼養動向調査に基づく予想どおりならば、夏季の豚肉出荷頭数は前年同期比で1.5〜2%増加するため、輸出市場の重要性は今後さらに高まるだろう

 

※2024年5月6日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の豚肉生産量の前年比増減(左)/米国の豚肉の国内総供給量の前年比増減(右)
 
輸出動向

3月の牛肉輸出、輸出額は23年6月以降で最高

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)によると、3月の米国産牛肉の輸出量は前年同月を下回ったものの、輸出額は2023年6月以降で最高額を記録した。輸出量は10万8218トン(前年同月比10%減)、輸出額は8億8990万ドル(同0.3%減)だった。

第1四半期(1ー3月)合計は、輸出量31万1865トン(同4%減)、輸出額24億8000万ドル(同6%増)。USMEFのダン・ホルストロム会長兼CEOは、「3月の牛肉輸出は、カリブ海地域で需要が顕著に増加し、中東でも力強い回復を維持した。また、外食の回復が進む韓国と日本で前向きな兆候が見られた」としている。

牛群の減少により、牛肉の供給可能量の点では依然として厳しい状況にあるが、3月の輸出額は1頭当たり換算で450ドルを超えており、米国産牛肉は国際市場で高い価値を持っている。

3月の輸出額の1頭当たり換算価格は454.62ドル(前年同期比14%高)で、2022年7月以来の高値である。第1四半期の1頭当たり換算価格は407.91ドルで、昨年より9%高い。

一方、豚肉の第1四半期の豚肉輸出量は76万2784トン(同6%増)、輸出額は21億1000万ドル(同7%増)と、堅調な伸びを続けている。

 

※2024年5月9日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
トピック

米豪の肉牛生産者がパートナーシップで共同声明

 
 

全米肉牛生産者牛肉協会(NCBA)と豪州肉牛生産者協議会(CA)は5月9日、豪州のロックハンプトンで開催されたビーフ2024会議で、牛の健康(疾病予防)や培養肉、持続可能性に関連する課題について、両組織のパートナーシップを促進する共同声明に署名した。

NCBAのマーク・イーゼル会長は、「この共同声明は、両国の肉牛生産者がパートナーとして動物の疾病と闘い、持続可能性を推進し、培養タンパク質の適切な監視を約束するものです。我々は、安全で健康的な牛肉の供給から、広大な野生動物の生息地を保護する活動まで、多くの有意義な役割を担っており、その理念を消費者にも広く知って頂きたいと考えています」とコメント。

共同声明では、①猛威を振るう動物疾病との闘い②持続可能な世界貿易の促進、および効率的な生産の推進③科学に基づく食糧安全保障と、培養タンパク質などの新たな食品技術における規制の確保―について言及し、両国政府に対して協力を促している。

動物疾病では、口蹄疫(FMD)の脅威に対抗するために、ワクチンバンクで牛の健康と福祉を保護するという両国の取り組みを概説。培養タンパク質では、消費者の健康と食品安全の潜在的リスクを規制当局が適切に審査し、消費者自身が選択できるように、透明性のある表示が重要であることを強調。持続可能性に関しては、野生動物の生息地の環境改善、天然水のろ過、緑地保護の利益など、よりよい牛生産を推進する継続的な取り組みを挙げている。

 

※2024年5月8日 NCBA News Release

 
ポーク関連ニュース

3月末の豚肉在庫、2021年以来の低水準

 
 

3月末時点の米国の食肉在庫は20億ポンド余りとなり、過去5年平均比で10%減、3月末としては2014年以降で最低の水準だった。背景には、輸出需要や全体的な生産減少などの多くの要因があるが、需要の高まる時期の在庫量低下は、価格の変動性や上昇リスクを高める可能性がある。

豚肉の在庫量は、4億6400万ポンド(前年同月比13.1%減)。全体では前月比1%増だが、このうち、バラが18%増と大幅に増加。過去5年平均の6%増をはるかに越える数値だった。グラフが示すとおり、バラの在庫は過去20年間の範囲の上端にある。一方、モモの在庫は、イースターが早かった影響もあって18%減少した。トリミングも16%の大幅減少、ロインも7.6%減だった。

 

※2024年5月6日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  ポークベリーの3月末の在庫
 
安全性関連

USDAが乳牛のHPAIでサンプル検査を実施

 
 

米国農務省(USDA)は、乳牛に高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)が確認された州で、検査のために小売用牛ひき肉のサンプルを収集している。その中に含まれるウイルス粒子の存在の有無を調べる検査を行っているが、現状の食肉供給は安全であると述べている。

また、USDAは、牛ひき肉にウイルスの代替となる物質を使用し、さまざまな温度で調理して、ウイルスがどのように影響を受けるかを判断する予定。これまでに収集した小売用牛ひき肉の無作為サンプル(30検体)は、すべて陰性だった。

オクラホマ州立大学のダレル・ピール氏は、「乳牛が鳥インフルエンザと診断されたことで牛市場が混乱してから1カ月、牛の先物および現金市場はほぼ回復している。この疾病(鳥インフルエンザA型ウイルス)が牛の間でどのように広まるかなど、いくつかの疑問は残っているものの、この病気が牛に与える影響は比較的小さく、肉や低温殺菌された乳製品は人間の健康に影響しないという知見に落ち着いている」という。

 

※2024年5月3日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート