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TRADER'S Be & Po

vol.445 May.13.2024
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛は小幅下落、乳牛HPAIの影響はなし
堅調な需要が今夏の豚価を底支え
ランキング 全米養豚企業ランキング2023、保有母豚数が減少
生産動向 フィードロットの出荷ペース鈍化に懸念
トピックス 世界のオンライン食料品宅配市場、2027年に6524億ドルに
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2024年3月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛は小幅下落、乳牛HPAIの影響はなし

 
 

4月上旬に、乳牛群から鳥インフルエンザ(HPAI)が検出されたことが報じられた後、生体牛の先物価格は一時的に急落したが、4月第2週には値を戻した。週明けに動植物検疫所(APHIS)が28件の発生確認を公表したものの、大きな影響は出ていない。

4月第2週の生体牛の現金取引価格は、生体牛183.84ドル(前週比1.89ドル安)、枝肉293.09ドル(同3.78ドル安)と前週比では下落したが、HPAIが要因であった可能性は低い。同週の生体牛先物の4月限取引は、178.90ドルから180.70ドルの範囲で推移した。

先物価格に対して現金取引価格がプラスだったことで、4月第3週の現金取引の動きは鈍かった。水曜日までの取引は北部の701頭のみで、取引価格は生体牛183ドル、枝肉292〜294ドル。先物の4月限取引は、木曜日の終値が27ポイント高の181.17ドル、6月限は5ポイント高の175.37ドルだった。

 

※2024年4月19日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

堅調な需要が今夏の豚価を底支え

 
 

4月第2週・第3週の豚と畜頭数は、週平均248万5000頭(前年同週比2%増)。3月の豚飼養動向調査では、180ポンド超の肥育豚は前年比0.6%減、120〜179ポンドは0.3%増だったが、3月第1週以降の累計と畜頭数は1720万5000頭で、前年同期(1720万7000頭)とほぼ同水準だった。

同調査では、6〜8月に出荷される肥育豚は前年比1.5〜2%増の見通し。昨年6・7月の平常営業週の週間と畜頭数は平均235万頭。2%増加しても240万頭となり、現在の水準を8万5000頭ほど下回ることになる。この時期の枝肉重量は減少傾向にあることから、豚肉の供給量はより少なくなるだろう。

今春の生鮮豚肉の価格は良好に推移した。生産増にもかかわらず、ロイン・プライマル価格(100ポンド当たり)は99.5ドルと、前年同期比で23%高い。小売業者が値ごろ感のある販促商材を探していることが要因だ。他の小売用部位も、バットが前年比18%高の130ドル、リブは同46%高の165ドルを付けている。

加工原料用は、メキシコ向けの輸出増需要でモモが4月上旬に90ドルを超えたが、イースターが終わって国内需要が精彩を欠いていることから、今後は値下がりするだろう。すでにその兆候が、ボンレスハム(骨抜きモモ)の価格に表れ始めている。

ベリーは、季節的な要因で6〜8月に価格上昇が見込まれるが、外食市場への依存度が高い部位は、同市場の売上鈍化による影響が懸念される。秋季には週間と畜頭数が260万頭を超えるため、ベリーの価格は弾性が高いものになるだろう。

 

※2024年4月22日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の豚と畜頭数の推移(週当たり)
  ポークロインプライマルの価格推移
 
ランキング

全米養豚企業ランキング2023、保有母豚数が減少

 
 

Successful Farmingの「第29回Pork Powerhousesランキング」によると、米国の養豚企業上位36社が保有する母豚数は、2023年に1万7348頭減少した。同調査で母豚数が減少したのは、2010年以降では初めてのことで、2023年が豚肉業界にとって非常に厳しい1年であったことを証明している。

同ランキングは、2万5000頭以上の母豚を有する企業養豚を対象に調査したもので、2023年は前年より1社少ない36社がランクイン。リストから外れたのは、2023年8月に豚を別の生産者に売却したWin Productions(前年2万6000頭保有)。36社合計の母豚数は416万4376頭で、米国全体の繁殖豚飼養頭数(USDA12月調査)の69%を占める。

36社のうち、母豚数が減少したのは10社、横ばいが17社、増加が9社だった。1位のスミスフィールドは、ミズーリ州北部での事業清算により、母豚数が7万5000頭減の約81万頭になったと推定される。

2位は、6万612頭増と最も大きな成長を示したパイプストーン・マネジメント。パイプストーン・ホールディングスの取締役会会長であるバリー・ケルカート博士は、「この成長は、主にカンザス・ミズーリ・サウスダコタ州で家族経営の農場を買収し、病気が発生しやすい地域の資産を買い替えたことによるものだ」と述べている。

シーボード・フーズは2万8000頭減少し、2位から3位にランクダウンしたが、ライブオペレーション担当バイスプレジデントのノエル・ウィリアムズ氏は、「減少の要因は業務の効率向上に取り組んでいるためだ」としている。

7位のプレステージファームは、5000頭減少の理由を、母豚の生産性だけでなく、全体の生産コストを遺伝学主導で改善するためだとしている。10位のザ・マシュホフの1万5000頭減は、インディアナ州の農場を売却したことによるもの。32位のクーパーファームズは、3カ所の繁殖農場をProp 12準拠に転換したため、1100頭減少した。

23位のフォード・ファミリー・ファームズの1万5000頭増は、2023年11月17日にミネソタ州のNew Horizons Farmsを買収したことによるもの。

 

※2024年5月6日 Successful Farming

  Top US. Pork Powerhouses 2023 Rankigs
 
生産動向

フィードロットの出荷ペース鈍化に懸念

 
 

フィードロットの出荷ペースが遅いことに対する懸念が膨らんでいる。3月のフィードロット出荷頭数は、前年比で10%以上少ないと予想される。と畜日数が昨年より2日少ないことが要因だが、1日当たりの平均出荷頭数は昨年10月以降で最低となったようだ。

3月の出荷ペースが鈍かった要因は、肥育マージンの低下や、肥育牛価格と先物価格の価格差縮小、重量増加コストの低下、入れ替え用コストの悪化など。加えて、パッカーマージンが依然として低く、結果としてと畜頭数が削減されている。

4月1日時点のフィードロットのフロントエンド(肥育日数150日以上)の牛は、前年比で50万頭以上増加している。アナリストは、「フロントエンドの供給は過去最多となっており、今後数週間で肥育牛の収益性が損なわれる可能性が高い」と言う。

また、フィードロットの肥育牛在庫が第3四半期に持ち越されると、枝肉重量も季節的な傾向に沿って減少しないことが予想される。ここ2週間の枝肉重量は連続で減少しているが、それでも前年水準を上回っている。4月6日までの週の平均重量は、去勢牛919ポンド、前週比4ポンド減だが、前年比では27ポンド増。未経産牛は849ポンド、同1ポンド増、同21ポンド増。全体平均は847ポンド、同1ポンド減・同27ポンド増。アナリストは、「枝肉重量の前年比増加は、同週のと畜頭数61万4045頭に、2万322頭が加算されたことに相当する」という。

 

※2024年4月19日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
トピックス

世界のオンライン食料品宅配市場、2027年に6524億ドルに

 
 

Technavio社の調査によると、世界のオンライン食料品宅配サービスの市場規模は、2023年から2027年にかけて6524億5000万米ドルに成長すると予測される。予測期間中の年平均成長率は、推定で19.43%。2022年に世界最大のシェアを占めたのはアジア太平洋地域で、この地域において予測期間に57%増の成長を遂げることが見込まれる。

この成長トレンドに乗って、多くの企業が市場に参入している。主な企業は、アルバートソンズ、アリババ・グループ、アマゾン、ブリンク・コマース、ブランドレス、カルフールSA、コールズ・グループ、コストコ・ホールセール、フリップカート、ホーファーKG、イノベーティブ・リテール、メープルベア、メトロ、オカド・グループ、楽天グループ、スパー・インターナショナル、ターゲット、テスコ、ザ・ストップ・アンド・ショップ、ウォルマートなど。

アナリストの分析によると、オンライン食料品宅配サービスは近年急速に成長している。従来の食料品小売業者がデジタル化に適応し、特に都市部では、価格に敏感な消費者がこうしたサービスにますます依存するようになっている。

今後予想される変化には、ミールキットなどの一歩進んだソリューションや、拡大戦略への投資がある。国際的な生産者やサプライヤーも市場に参入して、競争環境は激しくなるだろう。主食や調理品に関して、エンドユーザーはデジタルの利便性よりも商品の品質や鮮度を優先していることから、その対策が依然として課題となっている。

納期の短縮や物流の改善、便利な配送オプションも重要な差別化要因だ。アナリストは、特に食肉・魚介類・主食のカテゴリーで、モバイルアプリや複数の経路による顧客基盤づくりが収益シェアの拡大に繋がると予測している。

 

※2024年4月15日 FOODMARKET.com

  世界のオンライン食料品宅配サービス 市場規模予測(2023-2027)
 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ポーク・ファクト・シート