米国のいくつかの州で、乳牛群から高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)が検出されたことを受け、USDA―APHIS(米国農務省動植物検疫局)は、よくある質問に対する回答を発表した。
2024年4月3日現在、6つの州で家畜のHPAIの症例が確認されている。最初の確認は3月25日、テキサス州の乳牛からHPAIウィルスが検出された。以降、カンザス州、ミシガン州、ニューメキシコ州、アイダホ州、オハイオ州でも乳牛群のHPAI感染が報告されている。主な質問と回答は以下の通り。
Q) 牛のHPAI感染経路は?
USDAの報告によると、野生の渡り鳥が感染源であると考えられている。しかし、ミシガン州の牛群内でウイルスが蔓延しているため、牛から牛へ感染した可能性は否定できない。
政府は、生産者と獣医に対し、乳牛の移動を最小限に抑え、適切なバイオセキュリティ対策を維持し、病気の蔓延を抑えるために、必要な移動を行う前に家畜を検査することを奨励している。
感染した動物に直接接触した場合には、ヒトがHPAIに感染する可能性があるが、現在のところ公衆へのリスクは依然として低い。米国では現在までに、鳥インフルエンザA(H5N1)のヒト症例が2件報告されている。2022年には、コロラド州で最初のヒトの症例が発生した。2件目は2024年4月1日、テキサス州で鳥インフルエンザに感染したと推定される乳牛に曝露した個体で、ヒト症例が確認されている。
Q) HPAIの検出では、家禽群のケースのように牛群を摘発淘汰する必要があるか?
現在USDAは、乳牛群の摘発淘汰の必要性を想定していない。HPAIは家禽群では致命的だが、乳牛群においては感染した牛は回復しており、関連する死亡例はほとんど、または全く報告されていない。
HPAIに感染した牛の症状には、泌乳率の低下、嗜眠、脱水症状、発熱などがある。感染した牛は現在、他の動物から隔離されている。
家禽群におけるHPAIの検出は、2022年に比べて大幅に鈍化している。最近では、Cal-Maine Foods社が4月2日に、テキサス州パーマー郡の施設でHPAIが発見されたために家禽群全体の約3.6%を淘汰すると発表した。
Q) 牛乳のリコールはあるか?
現時点では、牛乳のリコールは必要ない。製品は市場に出る前に低温殺菌され、牛乳中のバクテリアやウイルスは不活化される。米国食品医薬品局(FDA)は、生乳には危険な微生物が含まれている可能性があるため、HPAIの検出に照らして、生乳の消費に関連するリスクを消費者に喚起している。
USDAは、今回の牛の罹患による牛乳の供給や、消費者価格への影響は認識していない。市場は平常の動きを続けており、先週の牛乳余剰量は供給が長期にわたることを示している。さらに、数カ月間は牛乳の生産量が季節的に多くなることから、牛乳の供給は十二分に潤沢であると考えている。
Q) 今回の検出は肉牛や牛肉の供給に影響するか?
USDAは、米国の食肉供給は安全であると述べている。HPAIは食品安全上の懸念事項ではないと判断している。消費者は、いつものように生肉を適切に取り扱い、安全な内部温度で調理することが奨励される。肉を安全な内部温度で調理すれば、インフルエンザを含む細菌やウイルスは死滅する。
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