ここ2カ月間、生体豚の先物価格は反発している。これは、豚肉需要が増加したのではなく、これまでの需要見通しが悲観的すぎた反動だろう。豚肉供給は、今年下半期に下振れリスクが課題となる可能性がある。
1月の豚と畜頭数は、1131万7000頭(前年同月比2.1%増)。出荷日数が1日多いことで、寒波による不足分が相殺された。2月は同10%増と予想されるが、これは閏年でと畜日が1日多かったことが要因だ。逆に、3月は出荷日数が2日少ないこと、さらに、イースター(3月31日)前の聖金曜日にはと畜頭数が減少することから、結果的に同8%程度の減少が予想される。
USDAの12月の豚飼養動向調査から予想すると、春季の供給は昨年より多い。12〜2月期の分娩見込み頭数は1.8%減だが、一腹当たり産子数が4%程度増加する見通しであることから、子豚生産頭数は増加へ転じると予想される。
ただ、この予想には、大きな未知数が2つある。まず、12〜2月期の分娩見込み頭数の割合が前年と同様だとすれば、3%程度の減少となること。次に、一腹当たり産子数は、冬季には変動する可能性が高いことだ。
過去3カ月間の母豚のと畜頭数が多く、未経産豚との入れ替え率が比較的低かったことを考慮すると、3月1日の繁殖豚は595万頭程度で、12月1日から約5万頭減ることが予想される。このため、3〜5月期の分娩頭数は約3%減少し、子豚生産頭数は1〜1.5%減少する可能性がある。したがって、2024年の豚と畜頭数は現状の予想(0.8%減)よりも下振れするリスクがある。
一方、USDAの2024年の豚肉輸出予想は同4.7%増で、欧州産豚肉価格の上昇などを要因として増加が見込まれている。この結果、2024年の米国民一人当たりの豚肉消費量は同0.5%減と予想される。
2024年のカットアウト価格は97ドル前後と予想される。昨年より7%高いが、豚肉需要が堅調なわけではない。今春から夏場にかけての豚肉価格を下支えするのは、牛肉と鶏肉の高値だ。繁殖豚削減の影響が表れ始めるのは秋季からだろう。
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