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TRADER'S Be & Po

vol.442 Mar.25.2024
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 寒波による重量減の反動で、出荷抑制続く
豚先物反発、下半期の供給に下振れリスク
ワールドトレード 世界の牛肉需要、2024年は低下する見通し
中国、豚群の大幅変動を抑制する新たな規制
供給動向 フロントエンドの供給増加、今後さらに加速
トピック SECがスコープ3規制緩和、牛生産者の勝利-NCBA
USMEFインフォメーション 「2024春の店頭キャンペーン」スタート
ポーク4月1日〜6月30日、ビーフ4月27日〜7月31日
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2024年1月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

寒波による重量減の反動で、出荷抑制続く

 
 

1月上旬に厳しい寒波が主要な肉牛生産地域を襲ったため、牛枝肉重量は急激に減少した。寒波が和らいだ2月中旬以降は増加に転じたが、一部の肥育業者は重量を取り戻すために牛の出荷を抑えている。

アナリストは、「生体体重を増やすことは生産者にとっては有利だが、こうした対応が長期化すると、生産者の販売収入も数週間後ろ倒しになり、結果的に4月からのフロントエンド(肥育日数150日以上)の供給が加速的に増加することになる」と懸念を示している(別項参照)。

3月第1週のと畜頭数は58万頭前後と推定され、依然として少ない。2月最終週は59万3000頭で、年初からの累計と畜頭数は、前年同期比で27万2000頭(5.4%)少ない。パッカーの業績は回復傾向にあるが、肥育牛の高値により、パッカーマージンはいまだ赤字が続いている。

同週の主要5州の去勢牛平均価格は、生体牛が100ポンド当たり182.95ドル、枝肉は同294.61ドル。前週比でそれぞれ2.60ドル高、5.00ドル高だった。3月第1週の現金取引は、水曜から木曜に南部でやや活発となり、生体牛が182〜183ドル、北部では生体牛181〜184ドル、枝肉は290ドルで取引された。

 

※2024年3月4日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

豚先物反発、下半期の供給に下振れリスク

 
 

ここ2カ月間、生体豚の先物価格は反発している。これは、豚肉需要が増加したのではなく、これまでの需要見通しが悲観的すぎた反動だろう。豚肉供給は、今年下半期に下振れリスクが課題となる可能性がある。

1月の豚と畜頭数は、1131万7000頭(前年同月比2.1%増)。出荷日数が1日多いことで、寒波による不足分が相殺された。2月は同10%増と予想されるが、これは閏年でと畜日が1日多かったことが要因だ。逆に、3月は出荷日数が2日少ないこと、さらに、イースター(3月31日)前の聖金曜日にはと畜頭数が減少することから、結果的に同8%程度の減少が予想される。

USDAの12月の豚飼養動向調査から予想すると、春季の供給は昨年より多い。12〜2月期の分娩見込み頭数は1.8%減だが、一腹当たり産子数が4%程度増加する見通しであることから、子豚生産頭数は増加へ転じると予想される。

ただ、この予想には、大きな未知数が2つある。まず、12〜2月期の分娩見込み頭数の割合が前年と同様だとすれば、3%程度の減少となること。次に、一腹当たり産子数は、冬季には変動する可能性が高いことだ。

過去3カ月間の母豚のと畜頭数が多く、未経産豚との入れ替え率が比較的低かったことを考慮すると、3月1日の繁殖豚は595万頭程度で、12月1日から約5万頭減ることが予想される。このため、3〜5月期の分娩頭数は約3%減少し、子豚生産頭数は1〜1.5%減少する可能性がある。したがって、2024年の豚と畜頭数は現状の予想(0.8%減)よりも下振れするリスクがある。

一方、USDAの2024年の豚肉輸出予想は同4.7%増で、欧州産豚肉価格の上昇などを要因として増加が見込まれている。この結果、2024年の米国民一人当たりの豚肉消費量は同0.5%減と予想される。

2024年のカットアウト価格は97ドル前後と予想される。昨年より7%高いが、豚肉需要が堅調なわけではない。今春から夏場にかけての豚肉価格を下支えするのは、牛肉と鶏肉の高値だ。繁殖豚削減の影響が表れ始めるのは秋季からだろう。

 

※2024年3月11日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の豚の週当たりと畜頭数の推移
  左:豚一腹当たりの産子数の推移、右:繁殖豚の飼養頭数の推移
 
ワールドトレード

世界の牛肉需要、2024年は低下する見通し

 
 

オランダの農業金融機関ラボバンクは、2024年の世界の牛肉需要について、「地域的にかなり大きなばらつきがあり、良くても横ばいで、減少する可能性もある」との見通しを発表した。牛肉の生産見通しの方は横ばいながら、多くの国でGDP成長率の鈍化と、失業率の上昇が予測されていることが要因の一つ。

ラボバンクのシニアアナリストは、「2019年以降、多くの市場で牛肉の小売価格は上昇し続けている。特に2022〜2023年のインフレは家計を圧迫し、消費行動の変化につながった。外食事業者や小売業者は、より安価な選択肢を求める消費者に対応するため、仕入れ先の変更や低価格部位へのシフトなど、価格を重視した対応を進めている」という。

2024年の世界の牛肉生産は、豪州とブラジルでの増加が、欧州と米国の減少を相殺するとラボバンクは予想している。豪州の牛と畜頭数は10〜15%増加する見通しで、輸出量も2023年(27%増)に引き続き拡大する見込みだ。

中国市場は、牛肉需要のピークである1月にも牛肉価格が下落を続けており、少なくとも2024年の上半期の輸入需要は低迷することが予想される。豪州産の輸入も急回復したが、国別シェアではブラジル産が43%と圧倒的なシェアを維持している。

一方、欧州の牛肉生産量は、ドイツとオランダで微増するものの、全体では3.5%減と予想。米国は、生産量の減少による高値が続くものの、消費者が価格上昇を許容し、需要は維持される見込みだ。貿易市場の牛肉価格形成は、米国産牛肉がリードすることになるだろう。

 

※2024年3月4日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

中国、豚群の大幅変動を抑制する新たな規制

 
 

中国は3月4日、国内の豚肉の生産能力を制御するために新たな規制を発表した。

中国の養豚業は近年、収益性よりも成長と市場シェアを優先してきたため、供給が過剰となり、豚の価格下落や輸入品の締め出しに繋がっている。

中国農業農村部は、豚生産能力の大幅な変動を防ぐために、通常の繁殖母豚の保有目標を4100万頭から3900万頭に引き下げた。通達によると、豚の安定供給を確保するために、繁殖母豚数が過度に増減した場合には規制措置が発動される。

アナリストは、「今回の新たな規制は、現在の中国の豚群の生産能力が著しく過剰であるという当局の考えを明確に表している。繁殖母豚数の国家目標が200万頭減少すれば、豚群は少なくとも2200万頭減少し、大豆、トウモロコシ、小麦などの飼料穀物の需要も再形成されるだろう」としている。

 

※2024年3月5日 FOODMARKET.com

 
供給動向

フロントエンドの供給増加、今後さらに加速

 
 

フィードロットからの牛の出荷減少が続き、フロントエンド(肥育期間150日以上)の肥育牛が増加している。1月の出荷は、と畜日数が昨年より1日多いことを加味すると、前年同月比4.6%減だった。2月の出荷も同様に前年を下回り、年初から2月26日までの累計と畜頭数は、前年同期比で27万2000頭(5.4%)も減少している。

週間と畜頭数が現在の水準から大幅に増加しない限り、フロントエンドの肥育牛は、4月へ向けて加速度的に増加するだろう。4月1日時点の推定頭数は299万7000頭(前年比15%増)と、同日としては記録的な高水準となることが予想される。

この区分の肥育牛は、2月1日から4月1日までに61万6000頭増加する見込みで、昨年の34万7000頭増、過去5年平均の54万2000頭増を上回っている。このため、夏季の肥育牛供給は比較的潤沢になる見通しだ。

USDAのフィードロット飼養動向調査によると、1月の出荷頭数は184万4000頭(前年比99.9%)、導入頭数は179万2000頭(同92.6%)で、アナリストの予想平均(87.3%)より5.3%ポイント高い結果となった。これにより、2月1日時点の飼養頭数は1179万7000頭(同100.4%)となった。2012年以降では4番目に高い水準だが、1月1日からは13万3000頭減少しており、例年の季節的傾向とは逆行している。

 

※2024年3月4日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
トピック

SECがスコープ3規制緩和、牛生産者の勝利-NCBA

 
 

全米肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)のマーク・アイゼル会長は、米国証券取引委員会(SEC)が上場企業に対する温室効果ガスの排出開示規則の要件を緩める方針を発表したことに、歓迎の意を表明した。「NCBAの継続的な提言により、個々の生産者の開示ではなく、サプライチェーン全体の排出量報告へと要件が緩和されたことは、米国の肉牛生産者や牧場経営者の勝利だ」と述べている。

SECは2022年に、上場企業に対する開示要件として❶事業者自らの排出(スコープ1)❷エネルギーと電力の使用に伴う間接排出(スコープ2)❸サプライチェーンの企業活動による排出(スコープ3)の温室効果ガス排出量について、データの公開を義務付ける規則を提案した。

畜産業界では、多くの生産農家や牧場経営者が牛肉の処理・加工を上場企業で行い、また上場レストランや小売業者で牛肉を販売しているため、特にスコープ3の要件は大きな懸念事項だった。NCBAは行き過ぎた規制が意図せず引き起こす有害な結果について、政策立案者の理解醸成に取り組んできた。

NCBAのメアリー・トーマス・ハート氏は、「米国の牛生産者には持続可能性と環境保全の実績があり、米国の温室効果ガス総排出量のうち、肉牛による排出は2%程度であることがEPA(環境保護庁)のデータで確認されている。業界全体の排出量データは、すでにEPAやUSDAのライフサイクルアセスメントから入手可能であり、個々の農場や牧場に排出量の計算と報告を強制することは、コストの高い不要な負担になる」として、今回の発表はSECや議員に対するNCBの働きかけの成果だと述べている。

 

※2024年2月14日 FOODMARKET.com

 
USMEFインフォメーション

「2024春の店頭キャンペーン」スタート
ポーク4月1日〜6月30日、ビーフ4月27日〜7月31日

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、アメリカンビーフ、アメリカンポークそれぞれの「2024春の店頭キャンペーン」を実施します。春から夏にかけての商戦を盛り上げる消費者プレゼントキャンペーンとして展開しますので、行楽シーズン・大型連休等での販売拡大、平時の需要喚起策としてご活用ください。

アメリカンビーフは、4月28日から7月31日まで「買って当たる!アメリカンビーフキャンペーン」として展開します。店頭価格432円以上のパック商品に、2層式のキャンペーンシールを貼付していただくだけで、キャンペーンに参加できる仕組みになっています。

シール内部に記載のシリアルナンバーを応募Webに入力(QRコードで遷移)すると、その場で当落がわかります。賞品は、A賞「アメリカンビーフステーキ用(2枚・総量約800g)」300名とB賞「アメリカンビーフオリジナルコットンバック」1000名を用意しました。

キャンペーン告知資材として「キャンペーンシール」のほか「キャンペーン告知POPセット」(B5POP・棚帯POP、1500セット限定)も作成し、無償で提供します(発送は4月22日より)。
お問い合わせは担当:笠谷(tkasatani@usmef.org)まで。

  買って当たる!アメリカンビーフキャンペーン」
 

一方、アメリカンポーク2024春の店頭キャンペーンは「買って当てよう!アメリカンポーク 400kg山分けキャンペーン」として4月1日から6月30日まで実施します。キャンペーンシール(店頭価格100円以上のパック商品に貼付)とWeb応募の仕組みはビーフと同じです。

賞品はA賞「アメリカンポーク ロース&肩ロース詰め合わせ1kg」400名、B賞「アメリカンポークオリジナルバッグ」2000名をプレゼントします。キャンペーンシール(1巻2500枚)は3月25日より発送を開始します(専用申込書にて発注下さい)。キャンペーン告知の交通広告を東京メトロ全線と京王線で1カ月掲出する予定です。店頭でのキャンペーン告知用の資材(B5POPと棚帯POP)は、下記よりダウンロードできます。

印刷用データのダウンロードはこちらからお願いします。
https://www.americanmeat.jp/trd/publications/tool/download/index.html
お問い合せは担当:植村(tuemura@usmef.org)まで。

  買って当てよう!アメリカンポーク 400kg山分けキャンペーン
 
 

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