Urner Barry誌は、2024年冬季特集号で、2023年の豚肉・牛肉の供給状況と2024年の見通しをまとめた。それぞれのポイントは以下のとおり。
◎豚肉 アイオワ州立大学(ISU)の調査によると、2023年上半期の一貫経営の平均収益は、一頭当たり34.64ドルの赤字。夏季には短期的に黒字化したものの、第4四半期を前に生産者は再び赤字に直面した。USDA発表の10月の肉豚の全国加重平均価格は100ポンド当たり72.45ドルで、前年を20%近く下回った。
この大幅な損失によって、豚群を減らす機運が高まり、昨秋から今冬には淘汰に拍車がかかった。このため、2024年春以降の肉豚供給は一時的にひっ迫する可能性もある。ISUの2024年見通しでは、一頭当たり平均18ドルの損失を予測しており、この2年間の養豚業の収益性は過去最悪となる恐れがある。
2023年のカットアウト価格は、2021〜2022年の水準を下回って推移し、7月に年間のピークに達した後、ベリー、ハム、トリムなどに引きずられて下落基調をたどっている。USDA公表の9月度の豚飼養動向調査では、飼養頭数は前年比で微増したが、6〜8月期の繁殖豚は同1.2%減、分娩見込み頭数は同2.9%減と報告されている。同期の一腹頭当たり産子数は11.61頭、同4.3%増と過去最高を記録。母豚の生産性が急上昇したことで、分娩見通しの縮小はほぼ相殺されると予想される。
EUとカナダでも、豚肉生産は減少している。世界の他の地域でも、不採算を理由に生産の縮小や撤退の動きがみられ、長期的に見て世界の豚肉供給はひっ迫する可能性がある。
◎牛肉 米国の牛飼養頭数は、2014年まで7年連続で縮小した後は拡大に転じて、2019年には9480万頭に達した。以後は4年以上続く干ばつにより、2023年1月までに6%減少し、過去61年間で最少の8930万頭となった。
2023年の年初から11月11日までの牛肉生産量は、前年同期比5.3%減。と畜頭数は同4.7%減少した。供給低下により、2023年の肥育牛の現金取引価格は記録的な水準まで高騰。主要5州の生体牛(去勢)平均価格は、第1四半期に160.55ドル、第2四半期には178.28ドルと、いずれも同時期の過去最高値を記録した。
ISUの調査では、肥育去勢牛1頭当たりの生産者利益は、第2四半期の144.10ドルから、第3四半期には325.56ドルにまで上昇。カットアウト価格も2023年を通じて過去最高値、または記録的な高値で推移した。
小売価格も過去にない領域まで上昇したが、パッカーマージンは第3四半期までに赤字領域へと落ち込んだ。この影響もあってフィードロットの出荷率が低迷したことで、USDA発表の10月1日時点のフィードロット飼養頭数(前年比100.6%)は、同日としては1996年の統計開始以来2番目に多い水準となった。これにより、2024年上半期の肥育牛供給は予想以上となる可能性がある。
しかし長期的な肥育牛供給は、今後数年間にわたって不足し続けるだろう。USDAの2024年の牛肉生産量予想は258億1000万ポンドで、前年比4%減。長引く干ばつや導入コスト高などの逆風により、生産者の牛群再構築への動きは緩やかになると予想される。
|