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TRADER'S Be & Po

vol.438 Jan.15.2024
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
年頭所感 チャレンジングな年、新たな機会と価値を提案
市況ニュース 牛肉の年末市況、予想より弱い締めくくり
豚のと畜頭数は予想以上、第1四半期も継続か
生産動向 12月豚飼養調査、飼養頭数横ばいも繁殖豚3%減
牛価格見通しを下方修正、生産量は上方修正―USDA
USMEFインフォメーション SMトレードショー(2月14〜16日)にメンバー5社と出展
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2023年11月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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年頭所感

チャレンジングな年、新たな機会と価値を提案

米国の食肉業界を代表し、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

2023年は、円安、海外相場の高騰、インフレの進行、飼料を含む原料コストや人件費・輸送コストの上昇など、日本の食肉業界は厳しい逆風に直面してきました。これらの影響もあり、2023年の日本向けのアメリカンビーフ、ポークの輸出量は減少しました。

また、世界情勢は、ロシアによるウクライナ侵攻が依然として継続しており、イスラエル・ハマスの紛争も終わりが見通せない状況です。これらの紛争は世界のエネルギー情勢、食糧安全保障などにも暗い影を投げかけています。

一方、2023年の数少ない明るいニュースは、5月にコロナウイルスが5類に移行し、外食産業の売上が急速にコロナ前の水準に回復。また、海外からの旅行者数もコロナ前の水準に戻りつつあることだと思います。

2024年も昨年同様に、アメリカンミートにとってはチャレンジングな1年になると思います。USMEFは今年、アメリカンビーフ、ポークをさらに拡販できる新たな機会、新たな価値を提案していきたいと考えています。

日本でも消費の二極化が進行しています。節約志向の安いものを求める層と、高額でも良いと思えば購入する層にはっきり分かれます。また同じ人が日用品は安いものを求めるのに対して、行楽レジャーや趣味の非日常の出費では財布のひもを緩める傾向にあります。これらの消費傾向に上手く対応し、アメリカンミートに付加価値を付けて提案することに注力する方針です。

その一環として、アメリカンビーフでは米国政府の検査官による格付けシステムを改めて日本マーケットで紹介し、『Prime』と『Choice』の格付けマークをそれぞれの品質を保証する付加価値のあるマークとして提案していきます。

アメリカンポークでは引き続きロースを中心に提案を行います。さらにソーセージ、ベーコンといった加工品についても提案を強化してまいります。

需要が回復傾向にある外食向けの提案も強化します。ホテルレストランやステーキレストラン向けの提案を拡充し、またデパートでの「アメリカンフェア」の実施やBBQ施設でのアメリカンビーフ、ポークの訴求を強化します。

アメリカンラムにおいては、「羊好き」な人たちに向けて、希少価値が高い、プレミアムな食材としてのマーケティングを実施。ホテルやステーキレストランなど、高級業態中心に訴求していきます。

また、USMEFでは各種SNS、公式Youtubeチャンネルにおいて、キャンペーンやレシピ、カッティング動画などを配信。さらに米国の生産者が愛情を込めて牛や豚を育てている映像を公開し、消費者に安心してアメリカンミートを購入していただくことに繋げます。サステナブルやアニマルウェルフェアといった、世界的なテーマへの取り組みについてもウェブサイトなどで公開していきます。

最後に、皆さまにおかれましては、本年もこれまで同様にUSMEFの活動にあたたかいご支援をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

米国食肉輸出連合会(USMEF)
ジャパンディレクター 加藤 悟司

 
  アメリカンビーフ及ごちポロゴ画像
 
市況ニュース

牛肉の年末市況、予想より弱い締めくくり

 
 

米国の生体牛と牛肉の年末市況は、ホリデーシーズンの需要が予想よりも盛り上がりに欠けた締めくくりとなった。肥育牛と牛肉の卸売価格は、2カ月連続で下落したものの、前年比では大幅な高値だったことで、売れ行きが今一つだったようだ。

12月第3週の主要5州の生体牛(去勢牛平均)価格は、100ポンド当たり168.71ドル、枝肉は167.53ドル。それぞれ前週比1.23ドル安、2.10ドル安だったが、前年同週比では8.4%高、8.0%高だった。同週のカットアウト価格は282.36ドルで、前週比3.86ドル安、前年同週比14.2%高。

生体牛の現金取引価格は、10月22日週の平均価格186.15ドルから続落傾向をたどった。 主因は、フロントエンド(肥育日数150日以上の牛)の供給が多いためだ。夏の終わりから秋にかけて、フィードロットの出荷が予想を下回り、去勢牛と未経産牛のと畜頭数が少ない状況が続いている。

フィードロット飼養動向調査の事前予想では、11月の出荷頭数は前年を6〜7%下回り、導入は前年比3〜4%減、12月1日時点の総飼養頭数は同2%増と予想される。このため、2024年の第1四半期、あるいは第2四半期までに出荷される肥育牛の頭数は、比較的潤沢であると予想される。

アナリストは、「11月の出荷減少は、長期にわたる減少期が始まる兆しかもしれない」と指摘する。「12月初めの兆候からしても、今後の導入は前年割れが続きそうだ。2023年の年間の導入頭数は前年比で約30万頭減と推定されるが、より大きな問題は、出荷ペースの鈍化が継続していることだ」という。

出荷の遅滞に加えて、枝肉重量はここ数週間、季節的な増体ペースを超えて記録的水準に達している。と畜頭数は12月初旬に週当たり50万頭近くに増加し、週間の牛肉生産量は昨年の夏以来最大となった。フィードロットでの飼養頭数増加と、枝肉重量の増加により、2024年上半期の牛肉生産量は、予想されるほどには減少せず、前年並みを維持するかも知れない。

 

※2023年12月25日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

豚のと畜頭数は予想以上、第1四半期も継続か

 
 

11月の豚と畜頭数に関する公式統計はまだ出ていないが、これまでに公表された日次と週間のと畜頭数をベースに推定すると、9〜11月期の肉豚と畜頭数は3288万頭、前年比で1.7%増・約56万5000頭の増加となる。

9月1日現在の豚飼養動向調査によると、3〜5月期の子豚生産頭数は前年比1%増だった。と畜頭数の増加率の方が高いと、生産者が出荷を前倒ししたためだと憶測されがちだが、今回は明らかに違う。

現在、生産者保有豚の平均重量は、約1.3%増で推移している。さらに、枝肉重量は10月中旬以降、ずっと前年を上回っている。これは単純に、USDA発表の予想よりも多くの肉豚が飼育されていると見るべきだろう。

これらを処理するために、生産者はパッカーが週末のと畜稼働を増やすように積極的な出荷を行った結果、相対市場の肉豚価格は急激に下落した。相対(現金)市場の肥育豚価格は、10月中旬の100ポンド当たり75ドル近辺から48ドルまで下落した。36%・27ドルの下落は、カットアウト価格の下落幅よりはるかに大きい。

この期間中、カットアウト価格は91ドルから84ドルまで、7.5%・7ドル下落しているが、この下げ幅の差は、パッカーマージンの回復を示す一方で、秋季の生産者利益の赤字が拡大したことを意味する。

9月度調査では、12〜2月期の子豚生産頭数は同0.4%増にとどまっている。さらに、9〜11月期の分娩見込み頭数は5.2%減と大幅だ。一腹当たりの産子数が大幅に増加したとしても、この見込み通りならば、2024年3〜5月期のと畜頭数が低下することは避けられず、12月の調査でどのような修正が報告されるかを注視する必要がある。

 

※2023年12月18日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の週当たり豚と畜頭数の推移
  繁殖豚の飼養頭数と豚肉生産量の推移 (左)/一腹当たりの産子数の推移(四半期ごと)(右)
 
生産動向

12月豚飼養調査、飼養頭数横ばいも繁殖豚3%減

 
 

USDAが公表した2023年12月1日現在の豚飼養動向調査によると、全米の豚の総飼養頭数は7497万1000頭となった。前年同期(7495万6000頭)とほぼ変わりないが、9月1日現在と比較すると、35万頭減少している。このうち、繁殖豚は599万9000頭(前年同期比3.3%減)で、20万5000頭も減少して600万頭を割り込んだ。

肥育豚は6897万3000頭(同0.3%増)で、わずかに前年同期を上回っているものの、重量区分ごとにみると、50ポンド未満(出荷見込み・4月後半〜)は2168万1000頭(同0.5%減)、50〜119ポンド未満(同・2月後半〜4月前半)は1903万9000頭(同0.5%減)と、前年を下回っている。

分娩見込み数は、9〜11月が前年同期比4.0%減、12〜2月1.8%減、3〜5月1.2%減。一腹当たり産子数は、6〜8月が11.61頭(同4.3%増)、9〜11月11.66頭(同3.9%増)と高い伸びが継続する見込みだが、繁殖母豚の減少と分娩見込み頭数の低下により、今春以降の肥育豚出荷が減少する可能性がある。

 
 

牛価格見通しを下方修正、生産量は上方修正―USDA

 
 

USDA-ERS(米国農務省経済調査局)は、最新の食肉需給予測で、第4四半期および2024年の生体牛予想価格を下方修正した。11月の主要5州の去勢牛価格(100ポンド当たり)は178.72ドルで、前月比5.59ドル安だったが、ERSは今後の牛肉需要をめぐる懸念と、出荷可能な生体牛が当初予想より多いことを要因として、第4四半期と2024年の肥育去勢牛の予想価格を、前月発表時より7ドル低い178.00ドルに修正した。

一方、牛肉生産量の予想は、第4四半期のと畜ペースが鈍化しているものの、2023年の年間予想は前回と変わらず269億3200万ポンド。2024年の予想生産量は、前回より1億8000万ポンド多い259億9000万ポンドに上方修正された。

ERSは、2023年後半からフィードロットへの導入頭数が増加し、第4四半期から平均枝肉重量が増加していることを反映したものだと説明している。

 

※2023年12月25日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
USMEFインフォメーション

SMトレードショー(2月14〜16日)にメンバー5社と出展

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、2月14〜16日の3日間、千葉市の幕張メッセで開催される「第58回スーパーマーケット・トレードショー2024」にメンバー企業5社とともに出展します。

USMEFブース(小間番号:第2 ホール303)では、アメリカンビーフ・ポークの需要拡大に向けた2024年の活動方針と販促提案を紹介します。試食では、アメリカンビーフは、「ショートプレートを使った焼きしゃぶ」「経産牛のリブアイステーキ」「アウトサイドフラットの低温調理ステーキ」「ショルダークロッドを使ったフィリーチーズステーキサンド」を提供します。

アメリカンポークでは「ボストンバットを使ったキューバサンド」「ヒレを使った豚から」のほか、タントリミングの外食向け活用提案やソーセージ・ベーコンなどの豚肉加工品を紹介します。各種パンフレット・ガイドブック等も配布しますので、ご来場の際は是非ともUSMEFブースにお立ち寄り下さい。

なお、パッカーブースには以下の5社が出展します。

【共同出展メンバー企業】
Creek Stone
Jones Daily Farm
National Beef
Trex
Tyson

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート