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TRADER'S Be & Po

vol.437 Dec.25.2023
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 牛肉卸売価格、ロイン高値もカットアウト下落
2024年の豚肉市況見通し、国内外の需要がカギ
ワールドトレード 米国で豪州産牛肉の輸入拡大か、中国は一部解除
トピック 世界初、AIによる完全自律型レストランが登場
フードサービス QSR市場規模、2034年に3180億ドルへ
USMEFインフォメーション 焼肉ビジネスフェアに出展、1月17〜18日池袋で
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2023年10月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

牛肉卸売価格、ロイン高値もカットアウト下落

 
 

ミドルミート(ロイン系)は季節的な高値にあるものの、他の部位の引き合いが弱く、カットアウトの全体価格は引き続き下落している。強気なのはテンダーロイン、ストリップロイン、ショートリブ、リブアイの4部位で、特にリブアイは記録的な高値をつけている。

テキサスA&M大学の研究者は、「ビーフプライマルの価格は、概ね例年の季節的な傾向に沿っている。リブを中心にミドルミートが上昇し、エンドミートが下落している。今年の平均価格は、前年比で3.4%高(ブリスケ)から15.1%高(ロイン)となっているが、ミドルミートの高値も新年早々に崩れる可能性がある」という。

エンドミートの価格は、10月末以降大幅に下げている。ラウンドは10月末の271ドルから11月末には230ドルまで下落。チャックも同265ドルから238ドル、ショートプレートは270ドルから169ドルまで大幅に下落している。

このため、チョイスのカットアウト価格は、6月のピーク(339.93ドル)以降、下落基調で推移している。11月最終週の平均は294.00ドル、前週比1.31ドル高。カットアウトの全体価格は289.86ドル、前週比1.25ドル安。前年同期比15.3%高。12月第1週は、前半4日間でチョイスが7.62ドル下げて289.84ドルに。セレクトは258.83ドルで同6.66ドル安だった。

同週の生体牛現金取引は、生体牛170〜172ドル、枝肉271〜272ドル。前週の主要5州の去勢牛平均価格は、生体牛174.45ドル、枝肉274.59ドル。それぞれ前週比では2.32ドル安、4.14ドル安だった。

 

※2023年12月11日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

2024年の豚肉市況見通し、国内外の需要がカギ

 
 

2023年の豚肉需要は、2021年や2022年に比べて劇的に低下したが、2024年の豚肉市況予測では、引き続き「需要」を注視する必要がある。現状の予測では、下図のグラフが示すとおり、米国国内の一人当たり豚肉消費量は前年比で微増、卸売価格の小幅な上昇が見込まれる。

供給は緩やかな成長が予想される。2023年は、生産者にとっては非常に収益性の悪い一年だったことから、2023年12月1日時点の繁殖豚の飼養頭数は、前年比で1.3〜1.5%減少したと推測される。これまでは、繁殖豚の減少を一腹当たりの産子数など生産性の向上で相殺してきたが、2024年もこれが継続する保証はない。

コロナ後の反動的な需要増(2021・2022年)は、2023年にほぼ消失し、2024年も繰り返される可能性は低い。2023年の春に、豚肉の卸売価格は大幅に下落したが、それによって需要の回復・増加に繋がる兆候はまだ見られない。小売市場では、鶏肉との競合が強まっている。

経済全体の後退予想を加味すると、豚肉需要に好材料は乏しい。このため、2024年の豚肉卸売価格は2023年を上回るものの、上昇幅はわずかにとどまると予想される。穀物価格が下落しているにもかかわらず、生産者の利幅は薄いと予想され、効率性の低い生産者は苦境に立たされるだろう。

カリフォルニア州のProposition 12、マサチューセッツ州のQuestion 3によって生じた障壁も、需要面での大きな課題だ。規則に準拠する豚肉の供給が、潜在的な需要量を下回る状況が続くことが予想され、2024年の豚肉販売全体に悪影響を与える可能性がある。

ブラジル産との競合の強まりや、中国での報復関税など、輸出需要にも問題が多い。中国や東南アジア諸国では、AFS(アフリカ豚熱)の問題も終わっていない。欧州の主要な豚肉生産国は、AFSの侵入を何とか防いでいるが、危機感が増している。

過去20年間に起きた米国の豚肉生産量の拡大のうち、約3分の2は輸出増加によるものだ。輸出は今後も、重要な変化の要因となる可能性を秘めている。

 

※2023年12月4日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  カットアウト価格と国民一人当たりの豚肉消費量の相関
  米国の繁殖豚の飼養頭数の推移(四半期毎) (左)/米国の豚肉生産者の収益性の推移 (右)
 
ワールドトレード

米国で豪州産牛肉の輸入拡大か、中国は一部解除

 
 

2024年の米国の牛肉市場では、豪州産牛肉の増加が予想される。USDAの予測では、米国の2024年の牛肉生産量は258億1000万ポンド、前年比で4.2%・11億2200万ポンド減少する見通しだ。

Beef Centralのアナリストは、「過去40年間、豪州からの米国への牛肉輸出は、ハンバーガー用の冷凍の加工用原料肉が中心だった。だが、米国の牛肉生産量が減少する中で、2024年は米国内で大きな変化が起こり、豪州産のチルド・グレインビーフのカット肉の輸入が大幅に増加する可能性がある」と見通す。

豪州はこれまで、WAGYUやサーティファイド・グラスフェッドビーフを除いて、米国市場にチルドのカット肉を大量に輸出した事はない。これは、米国が独自のフィードロット生産システムを通じて、高品質な穀物飼育牛のチルドカットを豊富に生産していたためだ。

最近、豪州を視察した米国の食肉・家畜アナリストは、「来年、米国の肉牛群は8600万頭に縮小し、1950年代以降で最低水準になる。と畜できる雌牛は枯渇し、未経産牛が繁殖用に保留されると、高品質なチルドビーフが不足する可能性が高い。豪州産のグレインフェッドビーフにとって、米国は重要な市場になるだろう」と予想する。

◆中国、豪州3工場からの食肉輸入停止を解除

豪州のワット農相とファレル貿易観光相は12月12日、中国が豪州の大手食肉処理場3施設からの食肉輸入規制を解除したと発表した。中国は、豪州が2020年にCOVID-19の発生源の調査を要求したことに対して、石炭・木材・大麦などの輸入を制限。3施設については、従業員の間でCOVID-19が検出されたことを理由に規制を課していた。

豪州側は、中国の税関が一夜にして制限の解除を発表したと述べている。中国税関のウェブサイトの食肉輸出業者リストでは、3施設は輸出停止と表示され、表示や汚染に関して問題があるとして輸入が禁止された他の8社は、依然として処分が継続されている。

豪州政府は、「これは中国との関係安定化に向けた、新しい前向きな一歩だ。残りの貿易阻害要因ができるだけ早く取り除かれるよう、引き続き求めていく」としている。中国は昨年、豪州から羊肉を10億ドル以上、牛肉は2億7000万ドルを輸入している。

 

※2023年12月11日 CATTLE BUYERS WEEKLY/12日FOODMARKET.com

 
トピック

世界初、AIによる完全自律型レストランが登場

 
 

「Cali Group」「Miso Robotics」「PopID」の3社コラボレーションにより、世界初の完全自動化レストラン「CaliExpress by Flippy™」がオープンする。南カリフォルニアの一等地に開店する革新的なレストランは、最先端のAIとロボット工学を組み合わせて、ユニークな食事体験を提供することで、レストラン業界と小売業界に革命を起こそうとしている。

メニューは、ハンバーガー、チーズバーガー、フライドポテトなどの至ってシンプルなものだが、各社の様々なテクノロジーによって、和牛ブレンドベースの出来立てのハンバーガーを、一般的な肉を使用した他のプレミアムバーガーとも競争可能な価格帯で提供する。

最もユニークなのは、自動で注文を受けると、グリルロボットがリアルタイムで上質な牛肉を挽き、とろけるようなハンバーガーパティを作って焼き上げることだ。フライステーションでは、常に正確な時間で調理した熱々のフライドポテトを提供する。

従業員にとっては、より安全で、より簡単で、より働きやすい厨房となっており、滑りや火傷の危険がほぼなくなり、食品と油の無駄を省くこともできる。競合店よりもはるかに少人数のスタッフで、ストレスの少ない環境で運営することができる上に、平均以上の賃金が支払われる。

PopIDのCEOでMiso Roboticsの取締役でもあるジョン・ミラー氏は、「我々の知る限り、これは注文から調理工程までが完全に自動化された世界初のレストランだ。3社の様々な技術が融合し、世界で最も自動化されたレストランが誕生したことは、革新的な企業群における長年の研究、開発、投資の集大成だ」としている。

Miso Roboticsのリッチ・ハルCEOは、「アメリカで食料を供給する大手チェーンが、AIを搭載したロボットで注文の受付と調理を行えば、品質、一貫性、スピードを大幅に向上させることができる。CaliExpress by Flippyは素晴らしいサクセスストーリーであり、誇りに思う」と述べている。

 

※2023年12月6日 FOODMARKET.com

  WAIを搭載したロボット
 
フードサービス

QSR市場規模、2034年に3180億ドルへ

 
 

Future Market Insightsの調査によると、世界のQSR(ファーストフード、クイックサービスレストラン)の市場規模は、2023年の推定1877億7410万ドルから、2034年には3181億1190万ドルに達すると予測される。

予測期間中の年平均成長率は4.90%。米国市場は年平均2.70%の成長率だが、米国発のQSRチェーンが世界市場を独占すると予想される。中国の年平均成長率は6.60%で、世界市場の拡大をけん引。インドも7.10%の成長が予想される。

QSR業界は、顧客のニーズを満たすために、ビジネスモデルを変革してきた。店内の食事のほか、テイクアウトや宅配など、現代のライフスタイルに合わせたオプションも提供。ワイヤレス携帯端末、デジタルメニューカード、POS、広告システムなどの新技術の採用が増加しており、市場収益を押し上げると予測されている。

2023年に、マクドナルドは効率と顧客体験の向上を目指し、2024年までに米国の全店舗でセルフオーダーキオスクとテーブルサービスロボットを導入する計画を発表。Domino's Pizza は、Buffalo Wild Wings や Cinnabon など、他の人気レストランのトッピングでピザをカスタマイズできるアプリの新機能をリリースしている。

 

※2023年12月13日 FOODMARKET.com

 
USMEFインフォメーション

焼肉ビジネスフェアに出展、1月17〜18日池袋で

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は1月17、18日の両日、東京・豊島区の池袋サンシャインシティ文化会館/展示ホールで開催される外食ソリューションEXPO「ミートフードショー〜焼肉ビジネスフェア」(同時開催=居酒屋 Japan)に出展します。

USMEFブースではアメリカンビーフ、ポークともに新たな食文化とメニュー提案を強化し、「カフェ」を意識したメニューの商品展示ならびに試食を行うとともに、各種のガイドブックなども配布します。

アメリカンビーフでは、チャックとラウンドを活用した「フィリーズチーズステーキサンド」「ローストビーフサンド」を、アメリカンポークではフロリダで人気のローストポークを挟んだ「キューバサンド」やアメリカンベーコンのアレンジメニューの試食を実施します。

 
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    マーケット・データ

     
     
     
     
     
     
     

    ビーフ・ファクト・シート