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TRADER'S Be & Po

vol.436 Dec.11.2023
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛価格、先物安で現金取引も下落
生産動向 豚供給は年間のピーク、来年予想は見方分かれる
フィードロットの出荷ペースさらに低下
ワールドトレード 中国の肉豚生産、能力過大
トピック 豚肉工場のライン高速化プログラム期間を延長―USDA
在庫状況 豚肉在庫が前年割れ、影響表面化は来年以降か
USMEFインフォメーション ホリデーシーズンに向けてローストポークの提案強化
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2023年10月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛価格、先物安で現金取引も下落

 
 

11月第3週の主要5州の去勢牛平均価格は177.82ドル、枝肉価格は281.42ドルで、それぞれ前週比2.09ドル安、4.72ドル安。カットアウト平均価格は292.53ドル、同4.22ドル安で、生体牛・カットアウトともに続落した。

今年はサンクスギビングデー(11月第4木曜日)を過ぎても、ターキーの過剰在庫が牛肉価格に影響を与えている。アナリストは、「牛肉需要に陰りが出始める中でターキーシーズンが到来し、牛肉の売れ行きが鈍化した。ホリデーシーズンに向けた手当も鈍い。同週のフォワード(事前相対)の取引量が16.7%にとどまっていることもその証だ。景気後退の懸念が増大していることも一因だろう」と指摘する。

生体牛価格は、先物価格の弱さやパッカーの赤字、予想を下回る肥育牛のと畜頭数が相まって続落。12月限の生体牛先物は、11月2日の187.67ドルから22日には174.47ドルまで下落した。

この流れを受けて、ヘッジ取引を行う肥育業者が現金と先物価格間のプラス基調を活用するために安値を受け入れたことで、生体牛の現金価格も大きく値下がりしたが、「それでもパッカーマージンは9週間連続のマイナスであり、11月第3週の1頭当たりの赤字額は79.05ドルだ」という。

11月第4週は、祝日対応でパッカーが積極的な買い付けを行ったことで、週前半の生体牛価格は176〜177ドル、枝肉価格は278〜280ドルと横ばいで推移。生産稼働時間の短縮で、チョイスのカットアウトは月曜から水曜日までに3.13ドル上昇し、297ドルとなった。

 

※2023年11月27日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
生産動向

豚供給は年間のピーク、来年予想は見方分かれる

 
 

USDAの最新の需給予測では、2024年の米国の豚肉生産量は前年比1.9%増・5億1300万ポンド増と見込まれている。このうち、輸出は同3.2%増・2億1600万ポンド増と予想されるが、パッカーの営業赤字や繁殖豚のとう汰といった課題も多く、豚肉の供給増加による影響に注目が集まっている。

来年の供給予測については、USDAと民間のアナリストでは少し食い違いがある。特に、最近の2四半期の生産性の変化に対する見方だ。USDAが生産量増加を予想する根拠は、3〜5月期の一腹当たり産子数が11.36頭(前年同期比3.3%増)、子豚生産頭数を3295万1000頭(同1%増)と推定していることだ。

しかし、この子豚が出荷時期を迎える9月第1週以降の豚と畜頭数は、前年比で約2%増加しており、子豚生産頭数の見積もりが低かった可能性がある。冬季にと畜される6〜8月期の子豚生産頭数は0.4%増と予想されているが、3〜5月期の生産頭数と同様の修正が必要になる可能性があると見るのが妥当かも知れない。

繁殖豚群の減少の可能性に焦点を当てた見方もあるだろう。しかしグラフが示すように、一腹当たり産子数の増加は大幅に見えるかもしれないが、実際にはコロナ禍前の傾向に戻っている。

確かに繁殖豚は減少している。しかし生産性が向上したことで、過去3年間の豚肉供給量は維持されている。一腹当たり産子数などの生産性指標が予測可能な範囲に落ち着くまでは、繁殖豚の頭数は供給予測の手がかりの一つでしかない。

 

※2023年11月27日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の週当たり豚と畜頭数の推移
  繁殖豚の飼養頭数と豚肉生産量の推移 (左)/一腹当たりの産子数の推移(四半期ごと)(右)
 
 

フィードロットの出荷ペースさらに低下

 
 

フィードロットからの肥育牛出荷が鈍化している。10月の出荷頭数は175万8000頭(前年同月比2.6%減)で、アナリストの予想平均よりも0.6%少なかった。と畜稼働日が前年より1日多いことを加味すると、7%相当の減少となる。

10月の導入頭数は216万4000頭(同4%増)で、アナリストの予想平均を2.3%下回った。この結果、11月1日時点のフィードロット総飼養頭数は1193万1000頭(同2%増)で、昨年に比べて19万5000頭多く、11月1日としては過去4番目に多くなった(過去の最多記録とは、わずか4万2000頭差)。

アナリストは、「9・10月の出荷頭数は、前年同期比で24万3000頭少ない。出荷ペースの低下によって、フロントエンド(肥育日数150日以上)の牛は、来年第2四半期まで前年および過去5年平均を上回る見通しで、今後の売り圧力、価格抑制要因となるだろう」と予想する。

仮にこの予想通りならば、第4四半期には生体牛価格が第3四半期を下回ることになるが、これは2016年以来のことだ。さらに、第1四半期の平均価格が前年の第4四半期を下回るのは、2008年以降では2015年の1回しかない。こうした季節トレンドと異なる価格低下は、国内外の牛肉需要、特に輸出需要が予想より鈍いことが根底にある。

 

※2023年11月27日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ワールドトレード

中国の肉豚生産、能力過大

 
 

中国の国営メディア・CCTVは、10月末時点の母豚群は4210万頭で、依然として必要量を上回っていると報じた。実際に、生体豚の供給増加によって豚肉価格は圧迫されている。

中国の繁殖母豚頭数は、10カ月にわたって減少している。10月末には9月の4240万頭から30万頭減少したものの、中国の農業農村部は、母豚の生産効率が向上し、豚肉の消費量が予想を下回っていることを考慮すると、肉豚の生産能力は依然として過大であるとコメントしている。

肉豚価格はkg当たり15.18元と、前年比で42%下落している。当局は、土地・環境・経済などの支援政策を“安定化”させ、より合理的なレベルの生産を推奨するとのコメントを付け加えたが、詳細は示されていない。

 

※2023年11月20日 FOODMARKET.com Copyright© Thomson Reuters.

 
トピック

豚肉工場のライン高速化プログラム期間を延長―USDA

 
 

USDAは11月28日、米国の6つの豚肉工場で認可されている処理加工ライン高速化の試験プログラムを、最大90日間延長すると発表した。このプログラムでは、ラインの高速化が食肉処理従事者に及ぼす影響について、データの収集を行っている。

この決定は、大手ポークパッカーと豚肉生産者にとっては、営業損失などの苦しい状況下で掴んだ勝利といえるだろう。大手パッカーが所有するネブラスカやイリノイの工場は昨年、労働組合や労働者安全委員会との合意のもと、従業員の安全対策を実施した上で、ラインスピードを試験的に高速化することを許可された。

今回の実施対象に選ばれたのは、トランプ政権時代にと畜施設のラインの速度制限を撤廃した規則の下で処理を高速化していた工場だ。この規則は、全米食品商業労組(UFCW)が従業者の安全への懸念からUSDAを提訴した後、2021年に無効とされた。大手パッカーはコメントを控えているが、USDAは、現状の収集データでは従業員への影響を評価するのに不十分だとして、今後90日間でさらなるデータの収集と分析を委託することにした。

「USDAが行動を起こさなければ、豚肉価格が上昇し、需要が減少する可能性がある」と警告していた共和党の米国上院農業委員は、「米国の肉豚7400万頭のうち、40%近くがこの6工場の100マイル以内で生産されており、これらの工場は豚肉の円滑な処理・供給に不可欠だ」と主張している。

 

※2023年11月29日 FOODMARKET.com

 
在庫状況

豚肉在庫が前年割れ、影響表面化は来年以降か

 
 

10月末の豚肉在庫は、推定4億3590万ポンド(前年同月比14.5%減)で、過去5年平均比では15.6%減となった。前月比では、過去5年平均の3%減を大幅に上回る5.6%減となる。在庫の減少は、輸出需要が引き続き良好なことも一因だ。

在庫の減少は、ポークカットアウト価格を下支えするだろう。一方で、カリフォルニア州のProp12に対応するための在庫が枯渇しつつあることから、規制の完全準拠が開始される1月1日以降については、様々な憶測が飛び交っている。

モモの在庫は1億1350万ポンド(同6.7%減)、過去5年平均比23.8%減。前月比では、過去5年平均の19%減に対して24%減少した。メキシコ向けの輸出が堅調なことも相まって、モモの価格は短期的には底堅いだろう。

バラの在庫は2790万ポンド(同31%減)、過去5年平均比2.3%減。前月比では、過去5年平均の2%減に対して6%減少した。夏場から10月末まで連続して減少が続いたことで、来春のバラ需要に影響を及ぼす可能性があるものの、市場関係者は、目先のProp12問題が年始の需要へ及ぼす影響を注視している。

リブは7000万ポンド(同36.4%減)、過去5年平均比22.4%減。前月比では、過去5年平均の15%増に対して14%増加した。依然としてタイトではあるが、回復傾向が出始めている。

 

※2023年11月27日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  豚肉の月末在庫量の推移 (左)/ベリーの月末在庫量の推移 (右)
 
USMEFインフォメーション

ホリデーシーズンに向けてローストポークの提案強化

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、ホリデーシーズンに向けてアメリカンポークのローストポークの提案を強化した、さまざまな施策を展開しています。

「Roast Pork is AMERICAN PORK」を訴求コピーとしたInstagramキャンペーン(11月1日〜12月15日)では、絶品ローストポークが味わえるレストラン6店舗を紹介。キャンペーン参加店で、対象のローストポーク料理の写真を撮ってInstagramに投稿すると、抽選でアメリカンポークのローストポーク用かたまり約1kgや、アメリカンポークオリジナルのグローサリーバックをプレゼントしています。

同キャンペーンでは、交通広告の掲出や、USMEFの公式Webで各店のこだわりを紹介。また、家庭でできる「簡単絶品ローストポーク」を紹介しているほか、店頭で活用できるB5POP、レールPOPなど新たな販促資材も提供しています。詳細は下記をご参照下さい。

◎Instagramキャンペーンならび参加6店舗の紹介
https://www.americanmeat.jp/csm/topics/roast_pork23/

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https://www.americanmeat.jp/trd/publications/tool/
download/index.html

  Worst Pork is AMERICAN PORK.
 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

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