10月30日〜11月4日までの豚の週間と畜頭数は、267万7000頭(前年同週比4%増)まで増加した。春夏期は、枝肉重量が前年を大きく下回っていたため、と畜頭数の増加を一部相殺してきたが、ここにきて枝肉重量は着実に増加。短期的な豚肉供給がかなり潤沢となることが予想される中で、主要部位の価格も前年割れとなった。
豚肉卸売価格は、10月最終週のカットアウト価格(100ポンド当たり)が87ドルとなり、ピーク(7月末の117.2ドル)に比べて25%安まで値を下げた。特に値下がりが目立つのはベリーだ。
11月3日のベリープライマル価格は108ドルと、7月末に比べて124ドル(54%)も安い。これは同期間のカットアウト全体の下落の3分の2を占めている。先物価格から推測すると、ベリー価格は底を打ったとの見方は時期尚早で、今後2カ月間はさらなる下振れリスクがある。
ベリーは、他の豚肉品目に比べてフードサービスの需要に左右されやすい。ファストフードの客足は鈍化しており、チキンサンドやハンバーガーの売上が落ちているため、これらの風味を増す調味料的な使い方がされるベーコンの売上も同様だろう。
ベリーは、小売市場でも逆風に直面している。小売業者は春季のベリー安を活用して、夏場には比較的安値での販売ができていた。USDAの週間小売販促データによると、7月のベーコンの平均販促価格はポンド当たり5ドル前後と、昨年より18%安く、こうした販促がスポット供給の消化に役立っていた。
しかし、7〜8月にはベリーの価格が急上昇した。10月最終週のベーコンの販促価格は7.2ドル、前年比18%高と記録的な高値になっている(グラフ参照)。卸売価格と小売価格にはタイムラグがある。現状の安値は、ベーコンの加工業者には売り込みの良い機会であり、フードサービス事業者にとっては来春のベーコン活用のチャンスともいえるだろう。
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