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TRADER'S Be & Po

vol.435 Nov.27.2023
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛価格、先物下落も現金取引は強気続く
供給増で豚肉卸売価格が下落、ベリー安響く
生産動向 11月のフィードロット頭数、記録的な水準
ポーク関連ニュース 米国のPQAはISOの動物福祉プログラムに準拠
ワールドトレード パラグアイ産牛肉の輸入再開、供給量は増えず
トピック 培養肉企業のOmeat社、パイロットプラントを開設
消費動向 牛肉小売価格の記録的高値、今後は高品質がカギに
米国の食品廃棄は年間1200億ポンド
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2023年9月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛価格、先物下落も現金取引は強気続く

 
 

生体牛価格は、先物が上下動を繰り返しているものの、現金取引価格は依然として強気で推移している。11月第1週の主要5州の去勢牛平均価格(100ポンド当たり)は、生体牛184.89ドル、枝肉291.92ドルで、それぞれ前週比0.87ドル高、1.86ドル高。同週末の先物価格は、期近の12月限が183.87ドルだった。

第2週の先物取引は、月曜・火曜に大幅な売り優勢となり、12月限は各日255ポイント減、178.77ドルと値を下げた。ヘッジ取引をしている肥育業者は、現金取引でも安値を受け入れることが予想されたが、生体牛価格はアイオワで2449頭が平均価格184ドル、枝肉は285〜289ドルと高値で取引された。水曜日には、北部で4568頭が生体牛181ドル、枝肉287ドル。南部では生体牛が181ドルで取引された。

同週の先物価格は、水曜日にやや回復したものの、木曜日には全ての取引が大幅に売られた。期近の12月限取引は、生体牛が505ポイント下げて174.35ドルとなり、12月限以外の取引は500〜375ポイント下げた。これを受けて、北部・南部ともに現金取引が活発化し、生体牛は180〜181ドル、枝肉は286〜287ドルで取引された。

 

※2023年11月13日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

供給増で豚肉卸売価格が下落、ベリー安響く

 
 

10月30日〜11月4日までの豚の週間と畜頭数は、267万7000頭(前年同週比4%増)まで増加した。春夏期は、枝肉重量が前年を大きく下回っていたため、と畜頭数の増加を一部相殺してきたが、ここにきて枝肉重量は着実に増加。短期的な豚肉供給がかなり潤沢となることが予想される中で、主要部位の価格も前年割れとなった。

豚肉卸売価格は、10月最終週のカットアウト価格(100ポンド当たり)が87ドルとなり、ピーク(7月末の117.2ドル)に比べて25%安まで値を下げた。特に値下がりが目立つのはベリーだ。

11月3日のベリープライマル価格は108ドルと、7月末に比べて124ドル(54%)も安い。これは同期間のカットアウト全体の下落の3分の2を占めている。先物価格から推測すると、ベリー価格は底を打ったとの見方は時期尚早で、今後2カ月間はさらなる下振れリスクがある。

ベリーは、他の豚肉品目に比べてフードサービスの需要に左右されやすい。ファストフードの客足は鈍化しており、チキンサンドやハンバーガーの売上が落ちているため、これらの風味を増す調味料的な使い方がされるベーコンの売上も同様だろう。

ベリーは、小売市場でも逆風に直面している。小売業者は春季のベリー安を活用して、夏場には比較的安値での販売ができていた。USDAの週間小売販促データによると、7月のベーコンの平均販促価格はポンド当たり5ドル前後と、昨年より18%安く、こうした販促がスポット供給の消化に役立っていた。

しかし、7〜8月にはベリーの価格が急上昇した。10月最終週のベーコンの販促価格は7.2ドル、前年比18%高と記録的な高値になっている(グラフ参照)。卸売価格と小売価格にはタイムラグがある。現状の安値は、ベーコンの加工業者には売り込みの良い機会であり、フードサービス事業者にとっては来春のベーコン活用のチャンスともいえるだろう。

 

※2023年11月6日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  週あたり豚と畜頭数の推移
  ベリープライマルの価格推移(左)/スライスベーコンの小売価格の推移(全米平均) (右)
 
生産動向

11月のフィードロット頭数、記録的な水準

 
 

米国農務省(USDA)が11月17日に発表したフィードロット飼養動向調査によると、11月1日時点の飼養頭数は1193万1000頭(前年同月比2%増)となり、前月より35万1000頭増加した。

導入頭数が216万4000頭(同4%増)と多かった半面、出荷頭数はと畜稼働日が前年より1日多かったものの175万8000頭(同3%減)にとどまり、11月1日時点として記録的な水準となった。

 

※2023年10月23日CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ポーク関連ニュース

米国のPQAはISOの動物福祉プログラムに準拠

 
 

全米豚肉委員会(NPB)は、米国のPQA Plus®をはじめとする豚肉品質保証の主要プログラムが、ISO(国際標準化機構)の「動物福祉管理/食品サプライチェーンの組織のための一般要件およびガイダンス」(TS-34700)に準拠していることがUSDA-AMS(米国農務省農業マーケティング局)によって確認されたと発表した。

NPBの動物福祉・持続可能性担当ディレクターであるステファニー・ウィズダム氏は、「米国の豚肉生産者は、安全で適切な飼育、責任ある管理慣行、獣医学的ケアの組み合わせを通じて、高水準の動物福祉を維持している」と証明されたことを誇りに思うと述べている。

ISOは、独立した国際基準設定機関として、国際獣疫事務局(WOAH、法的通称はOIE)と協力して、農家や動物福祉プログラムが種固有の動物福祉基準の実施方法を決定するのを支援しており、ISOの動物福祉に関する技術仕様書は、動物福祉プログラムがサプライチェーン全体の動物ケアの国際基準を満たしているかどうかを評価するために設計された。

国際貿易に影響を与える動物福祉の基準を設定するために、世界貿易機関(WAO)が承認したWOAHは、2018年に動物福祉と豚の生産基準を採択したが、米国のPQA Plus(豚肉品質保証)やTQA(輸送品質保証)などのプログラム、およびWOAHの原則との整合性については、AMSが実施した厳格な評価プロセスを経て承認された。

現在、PQA Plus®の認定者は6万1600人、農場数は1万9500件、TQAの認定者は2万9000人となっており、米国の主要な豚肉加工業者は、家畜を購入する際に、PQA Plusのステータスを要求している。米国で販売されている豚肉の85%以上がPQAプラスサイトの農場由来となっている。

 

※2023年11月9日 NPB Pork checkoff news

 
ワールドトレード

パラグアイ産牛肉の輸入再開、供給量は増えず

 
 

米国農務省(USDA)は、口蹄疫の懸念から禁輸してきたパラグアイ産牛肉の輸入を25年ぶりに再開することを決定した。しかし、これによって米国の牛肉輸入量が大きく変化することはなく、現在の牛肉供給のひっ迫・価格上昇局面に影響を与えることもないだろう。

アメリカ食肉輸入評議会のスティーブン・ソスマン事務局長によると、パラグアイは単独枠での交渉は行っていないため、個別協定を結んでいない国々、いわゆる複数国枠内(ブラジル、アイルランド、日本、ナミビアなど)で競争することになる。「複数国枠の関税割当数量は年間6万5000トン(関税は1kg当たり4.4セント)で、この割当内での競争は熾烈なものになる。割当量を超えた場合は、26.4%もの高関税に直面するため、輸入牛肉の供給量自体が変わる可能性は非常に限られている」という。

今年の米国の牛肉輸入量は約160万トンの見通しだが、USDAの予測によると、パラグアイからの年間輸入量は3250〜6500トン、複数国枠の5〜10%相当と見られる。アナリストは、パラグアイは赤身牛肉の供給において、ブラジル産と競合すると見ている。

 

※2023年11月13日 FOODMARKET.com

 
トピック

培養肉企業のOmeat社、パイロットプラントを開設

 
 

ロサンゼルスを拠点とする培養肉の新興企業Omeat社は、最新鋭のパイロットプラントが完成し、商業化に一歩近づいたと発表した。1万5000平方フィートの施設は、最大1万リットルのバイオリアクターを収容可能で、年間生産能力は400トンにのぼる。

同社によると、この工場の最初の製品は、赤身80%・脂肪20%の牛ひき肉で、遺伝子組み換え作物・不死化細胞・人工成分・抗生物質・ホルモン剤を一切使用せずに製造される。工程は、牛の細胞と血漿を少量採取することから始まり、培養器に入れて成長を促進。細胞は筋肉組織を形成し、約1週間で収穫・包装される。

Omeat社は自社農場を持ち、約75頭のホルスタイン牛を飼育している。同社の最高技術責任者であるジム・ミラー氏は、「当社の生産工程は、自社農場のホルスタイン牛群から血漿を採取することから始まる。血漿は新しいパイロット施設に運ばれ、そこで独自の安価かつ効果的な成長因子であるPlentyの産生に使用される。Plentyは、ウシ胎児血清(FBS)に替わるもので、ウシの細胞と組み合わせることで牛ひき肉を生産することができる」という。この生産工程は、豚肉、鶏肉、魚など、あらゆる種類の肉の培養に使用できるという。

同社は、パイロットプラントの開設によって、規制当局の審査と承認に向けた道筋も確立しやすくなるとし、現在はUSDAおよびFDA(食品医薬品局)と協議中で、USDAの担当者が生産現場に立ち会う予定だとしている。

創業者で最高経営責任者(CEO)のアリ・カデムホセイニ博士は、「パイロットプラントは、当社と業界全体にとって大きな成果だ。我々は農場から食卓までの非常にユニークなアプローチを開拓し、従来の食肉生産に必要な資源のごく一部で、おいしい本物の食肉を作ることを可能にしている。規模が拡大すれば、価格は従来の肉よりも安くなり、世界中で高品質なタンパク質を入手できるようになるだろう」としている。なお、同社のパートナーはTyson Ventures、Rethink Food、BOLD Capitalなど。

 

※2023年11月13日 FOODMARKET.com

 
 
消費動向

牛肉小売価格の記録的高値、今後は高品質がカギに

 
 

小売価格の記録的高値に直面する中で、牛肉の需要は高品質な牛肉をいかに多く生産できるかに左右されそうだ。オクラホマ州立大学のダレル・ピール氏は、「現在、牛肉需要の先行きは不透明感が強く、懸念があるのは確かだ。しかし、消費者の嗜好は高品質な牛肉に向いている。供給ひっ迫と相まって、今後数カ月間の牛肉の卸売および小売価格は底堅いだろう」と見通す。

牛肉小売価格(生鮮牛肉平均)は、7月以降上昇を続け、9月にはポンド当たり7.82ドルをつけた。8月の記録に匹敵する過去最高値に近い水準で、前年比6.8%高。チョイスの平均価格は8.18ドル、前月比で5セント安いが、前年同月比では7.6%高い。

テンダーロインとリブアイは、最も価値の高いカットだが、価格は年間を通して安定しており、今は季節的な上昇基調にある。サーロイン、トライチップなどその他のステーキ品目は、夏のグリル期に最高値をつけ、それ以降は下落しているが、これも例年の季節的傾向に沿っている。

チョイスのチャックおよびラウンドは、今年上半期を通して安定しており、下半期は上昇している。季節的傾向と供給がひっ迫していることが要因であり、気温が低下するに伴って、ロースト用アイテムの価格は上昇が見込まれる。

カットアウト価格も、季節的な上昇の起点を模索している状況だ。11月第1週のカットアウト平均価格は299.84ドル、前週比1.16ドル安。チョイスの平均価格は301.94ドル、同1.44ドル安。第2週は前半4日間でチョイスが2.92ドル値下がりし、299.42ドルとなったが、アナリストは、「需要は国内・輸出ともに、季節的な要因での上昇が例年より遅れている。一部の消費者がプライムよりもチョイスを選んで購入していることが一因だが、高品質な牛肉で消費者の需要を維持できるかどうかが今後の大きな課題だ」という。

 

※2023年11月13日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

米国の食品廃棄は年間1200億ポンド

 
 

米国では毎年約6000万トン、1200億ポンドの食品が廃棄されている。これは米国全体の食料供給のほぼ40%に相当すると推定され、国民一人当たり換算では325ポンドに相当する。金額換算ではおよそ2180億ドルで、1300億食分に相当する。世界全体では、毎年約25億トンの食品が廃棄されているという。

一方、全米で1000万人の子どもを含む3500万人近くが「食料不足」に苦しんでいると推定されている。米国農務省経済調査局(USDA ERS)の新たな報告書によると、2022年は、米国の全世帯のうち87.2%が十分な食料を入手できる状態だったが、残りの12.8%(1700万世帯)は「食料不安」があり、食料不安世帯(食料安全保障レベルが低い/非常に低い世帯)は、1年のうちの一時期、世帯員全員に十分な食料を提供することが困難だったとしている。

ERSによると、米国の多くの世帯では、活動的で健康的な生活を送るために十分な食料を安定して入手できている。しかし、一部の世帯は年間を通じて食料不安を経験し、金銭やその他の資源の不足によって十分な食料を手に入れることができずにいる。

米国農務省の食料・栄養支援プログラムは、低所得世帯が健康的な食生活を送るための食料確保と栄養教育を提供することで、食料安全保障を強化することを目的としているが、食料不安の蔓延には、家庭環境、経済、連邦、州、地方の政策など多くの要因が関わっている。食料不安を抱える世帯の約55%が、補助的栄養支援プログラム(フードスタンプ)など、連邦政府の行う3大栄養支援プログラムのうちの1つ以上に参加したと回答している。

 

※2023年11月6日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
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