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TRADER'S Be & Po

vol.430 Aug.28.2023
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 牛肉高値続く、今後の焦点は消費者の反応
豚肉価格は季節的な供給増と需要減で下落
生産動向 牛群再構築への動き、2024年は雌牛頭数の安定化まで
ポーク関連ニュース 中国の第3四半期豚肉生産量、過去10年で最大に
トピック ブラジルの干ばつで穀物先物上昇、素牛の値下げ圧力
牛ひき肉価格上昇、赤身率90%は最高値更新
USMEFインフォメーション 「FOOD STYLE Kyushu」に出展、11月14〜15日
2023秋冬「おうちで食べよう!」、ソース小袋5種提供開始
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2023年8月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

牛肉高値続く、今後の焦点は消費者の反応

 
 

牛肉小売価格は、依然として記録的な高値水準付近にある。9月のチョイスの平均小売価格(ポンド当たり)は8.18ドルで、前月比5セント安とわずかに下がったが、生鮮牛肉の全体平均は7.82ドルで前月と変わらず、7月に比べて3セント高い。

小売価格の記録的高値の主因の一つは、牛ひき材の卸売価格が高騰していることだ(別項参照)。9月の赤身率90%の牛ひき材は前年同月比16.6%高、赤身率50%は同30.4%高で、これが小売価格にも反映されている。

牛肉生産量が大幅に減少する2024年は、牛肉価格のさらなる上昇が避けられないだろう。焦点となるのは、この高値にアメリカの消費者がどう反応するかだ。2008〜2009年のリーマンショックで牛肉価格が高騰した際には、消費者は牛肉の購入パターンを変えた。ステーキハウスや高級レストランでの外食を減らし、スーパーでより多くのひき肉を購入するようになった。

今年これまでの牛と畜頭数(10月13比現在)は、前年同期比で121万3000頭・4.5%少ない。と畜頭数が低下しても、パッカーが期待するほどカットアウト価格は上昇していない。10月第2週のカットアウト平均価格は296.75ドル、前週比0.13ドル安。チョイスの平均価格は299.22ドル、同0.14ドル高だった。

一方、生体牛の現金取引価格は、主要5州の去勢牛平均価格が184.30ドル、枝肉価格は291.83ドルで、それぞれ前週比1.58ドル高、2.57ドル高だった。

 

※2023年10月23日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

豚肉価格は季節的な供給増と需要減で下落

 
 

豚肉価格は夏場に向けて上昇し、秋季に値下がりする(グラフ参照)。グリル需要はメモリアルデー(5月の最終月曜日)から増加をたどり、レイバーデー(9月の第1月曜日)までに終わるが、この期間にはと畜頭数の減少・枝肉重量の低下により、豚肉供給量が減少するためだ。

今年は、カリフォルニア州のPro12に対する最高裁の決定が価格の変動性を高めたが、全体的に見ると、こうした季節的要因が価格変動に最も影響を与えており、年内の残りの期間も同様に作用するだろう。

ロイン:グリル需要が減退し、供給が増加する秋季に向けて下落する傾向にある。と畜頭数が週当たり240万頭を超えた8月以降から、ロインへの値下げ圧力は増している。

昨年のロインの価格は、9月上旬には100ドル前後だったが、12月中旬までに80ドル前後まで下落した。現在の先物価格を見ると、今年も年末にロインの需要が弱まることを示唆しているが、今年はより大きな需要面のリスクがある。

Prop12が来年1月1日からより厳格に実施されることの影響を注視する必要がある。牛ひき肉や鶏むね肉の価格が低下しているため、競争が激化することも下振れリスクになるだろう。

ベリー:ベリー価格は、7・8月に記録した最高値から反落している。春季は、Prop12の影響で安値となったが、その後は在庫の急激な消化に伴い、例年にないような急上昇が起きた。

現在の価格は前年と同水準にあるが、今後は潤沢な供給を受けて値下がりするだろう。ベリーの懸念は、フードサービスの需要が鈍化していることだ。フードサービスのメニュー価格はインフレを超えて上昇を続けている。ベリーの需要はフードサービス、特にファストフードの売れ行きと密接に関係している。

 

※2023年10月9日 Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  ポークカットアウト価格の推移
  (左)ロインプライマルの価格推移/(右)ベリープライマルの価格推移
 
生産動向

牛群再構築への動き、2024年は雌牛頭数の安定化まで

 
 

米国の畜産業界における最大の焦点は、牛群の再構築がいつ始まるかということだ。牛群再建の課題は、生産者が①何をすべきか②何ができるか③どうしたいのか―の3つに集約されるが、オクラホマ州立大のダレル・ピール氏は、牛群再建の開始時期を決定するこの3つの疑問に対して、以下のようにまとめている。

  • については、2020〜2022年の干ばつで牛群の一掃を余儀なくされたことで、牛群は意図せず縮小し、必要な頭数よりも少なくなった。米国産牛肉の国内外からの需要は、今後の牛群の大幅な拡大を促進させる。未経産牛の飼養を増やして雌牛の淘汰を減らす必要があり、そのために少なくとも2〜3年はと畜頭数と牛肉生産量はさらに圧迫される。
  • に関しては、干ばつが長引いているために、牛群の安定や再構築以前に、一部地域ではまだ牛群の整理が行われている。しかし全米的に見れば、そのペースは鈍化もしくは停止している。2023年の雌牛のと畜頭数は前年比で減少しているが、雌牛と未経産牛の淘汰が数年続いたことで、肉牛業界は牛群拡大に着手する余力がない。
    最新の月別と畜データによると、昨年1年間のと畜頭数に占める雌牛と未経産牛の割合は51.7%であり、1986年以降で最も高い。牛群の拡大が可能になるまでには、雌牛のと畜頭数の減少がまだ数カ月は必要だ。雌牛群の飼養頭数が安定するのはその後だ。一旦拡大が始まれば、牛群の拡大までに必要な期間は1年ほどだろう。
  • の疑問については、生産者が牛群再構築に着手する意図があるかどうかが問題だ。干ばつから回復できない生産者がいる一方で、未経産牛を保留する前に、負債の返済や、干ばつや投入コストの高騰によって流出した自己資本の回復が必要な生産者もいる。全体的に見て、2023年の牛群再構築への動きは最小限にとどまっている。高齢の生産者の中には、現在の市況を牛の生産、あるいは少なくとも子牛の生産から撤退する機会と捉える者もいる。金利の急激な上昇や、牛群再構築のための資金調達コストも、一部の生産者や貸し手にとっては再構築の抑止力となっている。全体として、2024年は雌牛の飼養頭数を安定させるのみの年になりそうだ。
 

※2023年10月23日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ポーク関連ニュース

中国の第3四半期豚肉生産量、過去10年で最大に

 
 

ロイターが公式データを基に算出した中国の第3四半期の豚肉生産量は、前年比4.8%増の1269万トン。少なくとも過去10年で最大になった。中国の第3四半期の豚肉生産量は、例年1200万トン前後で、これまでに今年の水準に近いのは2014年の1267万トンだった。

近年、中国の生産者は生産を拡大しているが、中国農村部のデータによると、繁殖母豚数は7月まで前年を上回り、その後は縮小をたどっている。力強い経済回復が食肉需要を支えるとの期待から、生産者は飼養頭数を拡大し続けているが、消費は期待外れの結果となっている。

国家統計局が公表したデータによると、中国の今年9カ月間の累計豚肉生産量は、前年比3.6%増の4301万トン。また、飼養頭数は第2四半期の4億3517万頭から、第3四半期に4億4229万頭へと拡大した。

上海JCインテリジェンス社のアナリストは、「8・9月の養豚マージンが黒字だったため、養豚農家は利益を増やそうと、豚の重量を増加させる、あるいは90〜100kgの豚を購入して太らせることを選んだ」。

しかし、それ以降は価格の下落にともなってマージンが低下。供給過剰により、肉豚先物は3カ月連続で下落し、10月限は4.5%安となった。

 

※2023年10月19日 FOODMARKET.com

 
トピック

ブラジルの干ばつで穀物先物上昇、素牛の値下げ圧力

 
 

CME(シカゴ商品取引所)の先物取引は10月19日、肥育素牛の先物価格が急落し、生体牛の先物価格も下落した。1月限の肥育素牛は、6月28日以来の安値となる245.375ドル(前日比5.525ドル安)で取引を終えた。12月限の生体牛先物は185.30ドルで、1週間ぶりの安値となった。

トウモロコシ先物の高値が、肥育素牛の下げにつながった。12月限のトウモロコシは1ブッシェル当たり5.05ドル(同13セント高)で、8月以来の高値に上昇。大豆先物も上昇し、11月限が13.155ドル(同4.5セント高)となった。

USDAの最新調査によると、米国のトウモロコシの収穫は45%まで完了し、過去5年平均を3ポイント上回った。大豆の収穫は62%完了し、過去5年平均を10ポイント上回っている。

通常、新穀の供給は穀物価格の下げ圧力となるが、競合輸出国であるブラジルが大規模な干ばつに見舞われており、アマゾン川沿いの一部港湾では水位が大幅に低下。ブラジルは穀物の出荷を停止または中断させ、大豆の作付けを遅らせている。

USDAのデータによると、2022年のブラジルの大豆輸出量は7,870万トンで、2021年から9%減少。ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は、2023/2024年シーズンの大豆生産量は過去最高の590万ブッシェルになると予測しているが、トウモロコシは作付面積が5%減少し、470万ブッシェルになる見通し。

 

※2023年10月20日 FOODMARKET.com

 
 

牛ひき肉価格上昇、赤身率90%は最高値更新

 
 

牛ひき肉は間違いなく、米国の牛肉業界で最も価値のある製品だ。牛肉の全製品の中で最も安く、きわめて使い勝手が良い。2008〜2009年の景気後退時のように牛肉価格が上がりすぎたときには、消費者はより多くの牛ひき肉を食べる。

しかし、来年は牛肉生産量が大幅に減少することから、今後も牛ひき肉の供給は縮小し、価格は上昇する。オクラホマ州立大のエコノミストは、「第3四半期までの牛肉生産量は、前年比5.2%減少した。経産牛を含む“ノンフェッド・ビーフ”は、牛肉の生産量全体の16.5%を占めるが、こちらも6.0%減少した」という。

“ノンフェッド・ビーフ”は様々な製品に使用されているが、最も多いのが牛ひき肉製品だ。代表的な90s(赤身率90%の牛ひき材)や50s(同50%)の大部分が、フードサービス(特にQSRのハンバーガー店)や一部小売店で使用される。

小売店の牛ひき肉には、ラウンドやチャックを原料としたものもあるが、現在の90s、50sの価格はいずれも前年より大幅に高い。90sの平均価格は、1月の100ポンド当たり247.13ドルから毎月値上がりを続け、9月には308.27ドルをつけた。50sは1月が108.41ドル、6月には190.50ドルとピークに達し、9月は128.14ドルとなった。

一般的に牛ひき材の参考価格は、90sと50s 5対1の比率で求められる。この比率で赤身率83.3%の牛ひき肉が製造される。9月の牛ひき材価格は278.25ドルで、コロナ過で記録した最高値277.76ドル(2020年5月)をわずかながら超え、過去最高値を更新した。

牛ひき肉は、米国の牛肉消費で最も重要な要素であり、牛肉が値上がりする中で消費者が購入を増やす安価な代替品だが、牛肉全体の生産量が減少しているため、今後はさらなる値上がりが予想される。

 

※2023年10月23日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
USMEFインフォメーション

「FOOD STYLE Kyushu」に出展、11月14〜15日

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、11月14日(水)〜11月15日(金)の2日間、福岡市のマリンメッセ福岡で開催される「FOOD STYLE Kyushu」に出展します。

USMEFは、アメリカ農産物貿易事務所(ATO)のアメリカパビリオン内にフーズを設け、アメリカンビーフ、アメリカンポーク、アメリカンラムに関する情報提供を中心にブースを展開します。

新たに発刊した外食産業向けのレシピ提案書をはじめとする各種のガイド配布やソーセージ・ベーコン等のアメリカンポーク加工品の展示・試食提案を行います。

 
 

2023秋冬「おうちで食べよう!」、ソース小袋5種提供開始

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、ご好評いただいている「アメリカンポーク おうちで食べよう!」キャンペーンの一環として、2023年秋冬向け施策を本格的にスタートしました。

今年の秋冬向けのアメリカンポークのメニュー提案と合わせて、新たに下記のソース小袋5種をご提供いたしますので、アメリカンポークの販売促進にご活用下さい。提案メニューの販促物(B5POP)はUSMEFの公式Webからダウンロードできます。

  「秋冬メニューにあった」ソース小袋のご紹介
 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート