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TRADER'S Be & Po

vol.433 Oct.16.2023
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛価格、やや緩むも今後は底堅い
生産動向 2024年の豚肉供給見通し、緩やかな減少か
サスティナビリティ 食肉業界の持続可能性に関する最新状況を公表―NAMI
トピック CABの今年度売上は過去3番目に高い
リテール 10月の小売市場、全米豚肉月間で豚肉販促の好機
USMEFインフォメーション 山梨ベーコンフェスティバルに協賛出展、10月28〜29日
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2023年8月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛価格、やや緩むも今後は底堅い

 
 

生体牛の現金価格は、9月後半にやや弱含んだ。9月第3週の主要5州の去勢牛平均価格(100ポンド当たり)は184.73ドル、前週比0.69ドル安だったが、9月最終週は火曜日にカンザスで8229頭、テキサスで5832頭が183ドルで取引された。

コーンベルト地帯では、ネブラスカおよびアイオワ・ミネソタで3947頭が生体牛184ドル・枝肉290ドルで販売された。水曜日に取引が拡大し、2万7466頭が生体牛184ドル、枝肉288〜292ドルで販売された。

肥育業者は、10月中旬までにフロントエンド(肥育日数150日以上の牛)の供給が前年同期を上回ることを見込んで、早期売却に動いたようだが、アナリストは、「今後は季節的に牛肉需要が増加すること、ホリデーシーズンへ向けた予約が始まることで、フロントエンドの増加は相殺され、現金価格は底堅いだろう」と見通す。

先物市場関係者の見通しも同様で、185ドルを割っていた10月限先物は木曜日の終値が186.50ドルまで上昇した。懸念材料の一つは、小売価格の高値に消費がどこまでついてこられるかだ。

チョイスの小売価格(ポンド当たり)は、7月に8.31ドルと史上最高値を更新。8月は8.23ドルと7月比で0.08ドル安となったが、生鮮牛肉全体の8月の小売価格は3セント上昇し、7.82ドルとなった。これは前年比で6.8%高、チョイスは同8.6%高の水準だ。

競合する食肉、特に鶏肉の供給が増加している。牛肉需要が維持できるかどうかは、今後の経済状況に左右される可能性が大きい。実際に、ボックスビーフの卸売価格は9月後半に苦戦を強いられた。

第3週のカットアウト平均価格は302.24ドル、前週比3.94ドル安。チョイスは平均302.99ドル、同3.66ドル安。最終週は、前半4日間でチョイスが1.82ドル安の301.51ドル、セレクトは2.99ドル安の277.44ドルとなった。

 

※2023年10月2日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
生産動向

2024年の豚肉供給見通し、緩やかな減少か

 
 

米国農務省(USDA)の9月の豚飼養動向調査を基に、今年第4半期から2024年にかけての豚肉の生産・供給を予測してみる。

肥育豚供給:9月の豚と畜頭数は前年水準をわずかに上回っている。これは6月調査の180ポンド以上の肥育豚の飼養頭数を反映している。6月調査では、3〜5月期の子豚生産頭数は前年比約0.8%増と推定されており、9〜11月の肉豚出荷は、前年水準より若干増加することが予想される。

昨年の9月中旬から10月中旬までの週間と畜頭数は平均252万9000頭で、ピークは11月中旬の260万頭付近であり、今年はこれを上回る可能性がある。第2四半期の生産者マージンの低さにより、生産者の生産意欲が減退した可能性を指摘する声もあるが、それが影響し始めるのは2024年春の供給である。

繁殖豚:6月1日時点の繁殖豚飼養頭数は614万6000頭、前年比0.4%減。6〜8月期の母豚のと畜頭数は92万9900頭で、前年同期比で7万2400頭・8.4%増加した。母豚のと畜頭数の増加から、生産者が淘汰を進めたことが窺えるが、確証となるデータはない。6〜8月期の未経産豚の保有数は2.2%減少したと推測され、母豚のと畜増と相まって、9月1日時点の繁殖豚頭数は6月1日時点に比べて10万頭・1.7%減少した可能性がある。

  米国の繁殖豚の飼養頭数の推移
 

生産性:6月度調査結果で最も意外だったのは、一腹当たり産子数が3.3%と大幅に増加したことだ。一腹当たり産子数は2021年から2022年にはほとんど変動がなかったが、PRRS感染症に対する緊迫感が落ち着き、農場側が経験豊富な労働者を取り戻せたことを要因として指摘する向きもある。

グラフが示すトレンドが6月から8月にかけても続き、9〜11月、12〜2月期にかけても持続すれば、繁殖豚の減少と分娩頭数の低下による影響は、一腹当たりの産子数の増加によって相殺することができるだろう。

2024年の供給:USDAは、2024年の豚肉生産は2023年に比べて緩やかに拡大すると予測している。しかし本紙は、繁殖豚の縮小と生産性の緩やかな向上によって、生産は緩やかに減少すると予測する。この点は、2024年の供給を決定する需要なカギであり、今後、最も注視すべき要因になるだろう。

  1腹当たりの産子数の推移
 
サステナビリティ

食肉業界の持続可能性に関する最新状況を公表―NAMI

 
 

北米食肉協会(NAMI)は、食肉産業界の持続可能性に関する指標と目標を定めた「プロテインPACT」ならびに「サスティナビリティフレームワーク」の策定から2年目を迎えて、その進捗度を示す報告書をまとめた。

5つの領域(動物福祉/環境/食品安全/健康・ウェルネス/労働者と人権)に注目した先駆的なデータ収集・報告を開始して2年目となる現在、データ提出企業数は60%近くに拡大し、特に大規模(従業員数2000名以上)企業では93%がデータを提出しており、米国で販売される食肉の90%をカバーしている。

ジュリー・アンナ・ポッツ会長兼CEOは、「5つの重点分野のうち、重要な目標のひとつは、2030年までに会員の100%が科学的根拠に基づく温室効果ガスの排出削減目標を設定することだ。データ提出企業の拡大により、最善の方法を業界全体で実施し、野心的な目標を達成するために必要な、さらなる資源を特定することができる」と述べている。

NAMIは9月に国連グローバル・コンパクト・ネットワークUSAと、食肉企業が排出量調査を実施するための実用的ツールを共同で発表した。これは、科学的根拠に基づく目標設定に向けた重要な第一歩となるものだ。

また、データ報告する企業の大半が、飢餓に直面する家庭が高品質なタンパク質を十分に摂取できるよう、フードバンクや慈善団体への寄付を行った。2020年の報告期間における主な活動例は以下の通りである:

◆ボブ・エバンス・ファームズは、ミッド・オハイオ・フード・バンクと4年間のパートナーシップを結び、現金と食料100万ドル以上の寄付を行うことを発表。

◆ホーメル・フーズタイソン・フーズは、マウイ島の山火事で被災した地域社会を支援するために提携し、ホーメルは26万4000缶以上のSPAMを、タイソンは10万ポンド以上の食肉を寄付した。

◆スミスフィールド・フーズは、ハリケーン・アイダリアで壊滅的な被害を受けたフロリダ州のコミュニティに2万8000ポンドの食肉を寄付した。

◆スワガティスは、2023年現在までに約3万5000ポンドの冷凍ソーセージを、地元フードバンクや慈善団体に寄付した。
プロテインPACTの2023年継続的改善報告書は下記で閲覧できる。
Protein_PACT_2023_Data_Report.pdf (meatinstitute.org)

 

※2023年10月5日 FOODMARKET.com

 
トピック

CABの今年度売上は過去3番目に高い

 
 

9月20〜22日に米国・ラスベガスで全米ならびに世界15カ国から700人以上のアンガス牛生産者やCABブランド・パートナーが参加したCertified Angus Beef(CAB)協会の年次大会で、ジョン・スティカ会長は、CABブランドの2023年度(年度末9月)の販売額が、過去3番目に高い水準となったことを明らかにした。

国際市場の販売上位10カ国のうち7カ国で拡大し、米国産牛肉の輸出全体が低迷する中でも、世界のCABパートナーが成長を支えた。CAB製品の小売における販売額は、価格高騰による販促活動の減少で低下したものの、小売パートナーの3分の1は2023年度に販売額を伸ばした。

MEAT+POULTRY誌によると、年次大会参加者はブランドの成功情報とともに、アンガス牛の頭数減少や価格上昇に対処するための戦略を共有。スティカ会長は同誌の取材に対して、次のように語っている。

◇消費者は、すでにあらゆるカテゴリーの商品やサービスにインフレの影響を痛感しているが、CAB製品に対する需要は旺盛だ。例えば、3月はその象徴的な月だった。CABのブランド認定率が40%を超え、月間枝肉供給量は過去最大となり、1億1200万ポンドのCAB製品が販売された。

◇部門別に見ると、外食産業のパートナーが回復力を示し続けた。外食産業の販売高は2番目に良い年となった。また、米国国内では独立会社・専門企業・広範な流通業者・食肉専門企業など、すべての流通分野で成長と成功を収めた。

◇CABの付加価値型製品の売上高は、過去最高を記録する勢いであり、3年連続して成長している。外食産業向けは完全調理済みスモーク・ブリスケットの売上が牽引し、国際的には小売向けのフレッシュ・コンビーフと、消費者向けパッケージの冷蔵・冷凍ひき肉パテが支え、「Certified Angus Beef Prime」は驚異的な成長を遂げ、過去最高の売上を記録した。

◇牛肉産業全体の最大の問題は、これから訪れる供給の縮小期だ。北米の牛群は過去50年間で最も少ない。CABの厳格な規格に適合するアンガス牛の供給もひっ迫することを覚悟している。だからこそ、ブランドに対して、“価値があるなら対価を支払ってもいい”という消費者の意思表示を確認しておくことが重要なのだ。

 

※2023年10月2日 CATTLE BUYER’S WEEKLY

 
リテール

10月の小売市場、全米豚肉月間で豚肉販促の好機

 
 

10月は収穫活動で賑わい、特に肌寒い季節に入りつつある西部では涼しい季節の料理にシフトする。しかし、サウスダコタ州やインディアナ州では連日記録的な高温が観測されるなど、この秋は異例の暖かさに見舞われている地域もある。

このため、一部の地域では屋外でのグリルを長く楽しむことができ、食肉の売れ行きを支えている。さらに10月は、ナショナル・ポーク・マンス(全米豚肉月間)に当たることから、ポークの広告キャンペーンやテールゲートパーティーといった活動が全国的に増加するなど、豚肉需要を促進する好機だ。

10月はシーフード月間でもあるため、第1週の販促広告は、魚介類の販促がタンパク質広告全体の29.6%を占め、次いで牛肉が26.3%。豚肉は21.4%で、前週より若干減少したが、9月第3週比では1.5%増加している。

Circanaの最新データによると、牛肉では、ロインとチャックが平均して前年を上回る水準で売られた。しかし、チルドショルダーとチャックの価格は5.48ドルと、2022年同週の6.06ドルを下回った。牛ひき肉の値引き後の平均販売価格は5.67ドルで、昨年より4.4%高い。

一方、豚肉は季節的に供給が拡大する時期に消費を促進するため、小売店は全国豚肉月間としてロインやショルダーなどのカットを積極的に販売している。生鮮のポークロインは平均3.92ドルと、2022年の3.71ドルを上回ったが、鶏ムネ肉の4.27ドルに対して依然として競争力を保っている。ポークショルダーの平均価格は2.08ドルで、前年比4セント安、リブは平均3.40ドルで、昨年より28セント値下がりしている。

 

※2023年10月2日 FOODMARKET.com

 
USMEFインフォメーション

山梨ベーコンフェスティバルに協賛出展、10月28〜29日

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、10月28〜29日、山梨県庁横芝生広場で開催される「第4回山梨ベーコンフェスティバル」に協賛するとともに、ブースを出展し、アメリカンポークのローストポークを提供します。

同フェスティバルは、アメリカ大使館・山梨県・甲府市・国際交流協会の後援、USMEFや米国の食肉企業などが協賛しています。山梨県とアイオワ州の歴史ある姉妹都市関係(※1)を基盤に、互いの特産品である豚肉、特にベーコンを通じて国際交流・文化交流を促進するために、2017年からスタートしたイベント。コロナ禍の中断を経て今回が4年ぶり・4回目の開催となります。

会場では、出展者ブース(10テント)や飲食ブース(キッチンカー7台)で多彩なベーコン関連製品や特産品が出品されるのをはじめ、フリーベーコン(アメリカ産のカリカリベーコンの無料試食)や特設ステージで各種のイベントと「イーティングコンテスト」(29日)が行われます。

※1:1958年に甲府市とアイオワ州の州都デモイン市が姉妹都市提携。翌年に山梨県を2度の台風が襲い、甚大な被害が発生。当時日本に駐留していたアイオワ州出身のリチャード・トーマス米空軍一等軍曹は、山梨県の復興支援のため、種豚36頭(途中で1頭が死亡)と約1500トンの飼料用トウモロコシの空輸を軍用機で手配。贈られた種豚は日本の豚と交配されて、山梨県の養豚業復興に貢献した。このいわゆる「アイオワ・ホッグ・リフト」を契機に山梨県とアイオワ州が姉妹州県提携。以来、長きにわたり様々な交流が続いている。

  Dan Halstrom (左)・Erin Borror(右)
 
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