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TRADER'S Be & Po

vol.431 Sep.11.2023
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 牛カットアウトさらに上昇、今後のカギは需要
ベリーが大幅続落、秋季の価格予想に不透明感増す
ワールドトレード 中国の食肉需給予測、2024年の豚肉生産1%減、輸入は増加
トピック 植物由来タンパク質の売上が伸び悩む
生産動向 干ばつと経済状況が牛群拡大の障壁に
ポーク関連ニュース 7月末の豚肉在庫が大幅に減少
USMEFインフォメーション ホルストロムCEOとボラーVPが農業委員会委員に任命される
アメリカンビーフ店頭キャンペーン、9月23日スタート
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2023年6月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

牛カットアウトさらに上昇、今後のカギは需要

 
 

年内の生体牛および牛肉の卸売価格は、国内外の牛肉需要がカギを握っている。牛肉の小売価格は7月にポンド当たり7.79ドルと過去最高値を記録した。前月比で2.8%高く、前年同月比では6.1%高い。チョイスの平均小売価格は8.31ドルで、前月比2.1%高、前年同月比9.1%高だった。

アナリストは、「インフレで消費者の可処分所得は低下している。高騰する牛肉価格に消費がついてくるかどうか、今後は需要が最も不透明で危険な要素となるだろう」という。チョイスのカットアウト価格は、2022年10月の100ポンド当たり246ドルを底に、2023年6月前半に340ドルまで急激に上昇した。上昇率は38%に及ぶが、同期間のチョイスの平均小売価格の上昇率は12%高にとどまっている。

カットアウト価格の上昇が小売価格に反映されるまでにはタイムラグがあり、牛肉の小売価格は今後も値上がりが見込まれる。それによって、一部の消費者は牛肉から他の食肉へと購入を切り替えるかも知れない。

8月第3週の週間カットアウト平均価格は301.73ドル、前週比2.56ドル高。チョイスの平均価格は303.59ドル・同3.85ドル高。第4週は前半4日間で、チョイスが1.52ドル高の317.63ドル、セレクトは3.55ドルの291.91ドルをつけた。

一方、同週の主要5州の生体牛現金取引価格は185.04ドル、前週比0.84ドル安。枝肉価格は293.76ドル、同1.84ドル安。肥育牛のと畜頭数は48万頭余りで、依然として処理頭数が抑えられている。これが肥育業者への圧力となり、第4週の生体牛は183〜186ドル、枝肉は292ドル前後で、横ばいから小幅安の取引となっている。

 

※2023年8月28日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

ベリーが大幅続落、秋季の価格予想に不透明感増す

 
 

8月第4週の豚と畜頭数は、250万頭(前年同週比3.7%増)に達した。土曜日のと畜頭数が15万6000頭と、2月中旬以降で最高を記録。枝肉重量は低下しているものの、豚肉生産量は数週間前に比べて約3300万ポンド(7%)も増加した。

供給量の増加と季節的な要因で、ベリープライマルの価格は前週比で66ドル(35%)も値下がりした。この時期のベリー価格の大幅な調整はよくあることだが、例外もある。2021年の場合は、8月下旬の下落から一転、10月へ向けて反発した。

秋季のベリー価格を予測するのが難しい理由は、需要に関係する潜在的な要因が数多くあるためだ。小売市場では、7・8月の間に販促価格が20%下がったことで売れ行きは良いが、インフレによる家計圧迫の影響も懸念される。これはファストフードにも逆風となる可能性がある。ベーコンはフードサービスの定番だが、その需要はチキンサンドやバーガーの販売数にも左右される。

加えて今年は、カリフォルニア州のProp12の影響もある。現在、同州で販売されているベーコンの大半は、おそらく6月30日以前に生産されたものだ。一部のアナリストは、「小売業者は、Prop12に準拠した入手しづらい豚肉やベーコンを割高で調達するよりも、単純にそれらの販売量を減らしている可能性がある」と指摘する。季節的に供給が増加する秋季には、これは豚肉全体の問題となるだろう。

 

※2023年8月28日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  ベリープライマルの価格推移
 
ワールドトレード

中国の食肉需給予測、2024年の豚肉生産1%減、輸入は増加

 
 

USDA-FASの北京事務所が8月18日に発表した「中国の食肉需給予測」に関するレポートのうち、豚肉に関するポイントは以下のとおり。

豚:飼養頭数は、2023年期初の4億5256万頭から、2024年には同4億3500万頭となる見通し。繁殖豚が2023年の4300万頭から、2024年には4200万頭と予測され、2024年の子豚生産頭数は、前年比1%減の6億9500万頭となる見通し。

豚肉生産:2024年の豚肉生産量は、飼養頭数およびと畜頭数の減少を受けて、1%減の5595万トンとなる見通し。

豚肉消費:2024年の豚肉消費量は、国内生産の低下を受けて、前年比1%減の5815万トンになる見通し。アナリストは、中国経済は引き続き困難に直面すると予測しており、外食と小売の豚肉需要は、2023年と同水準になると予想される。

2023年上半期の消費増は、国内供給の増加が主因であり、複数の地域で発生した新型コロナや経済の停滞で豚肉需要が鈍化し、供給過剰を引き起こした。中国政府は、2024年も引き続き豚肉価格の安定を重視・優先すると見られる。中国国家発展改革委員会は7月13日に、計4万トンの冷凍豚肉を2回にわたって購入すると発表。在庫を増やして生体豚・豚肉価格の下落を防ごうとしている。

豚肉輸入:2024年の豚肉輸入量は、232万トンに拡大すると予想される。2022・2023年に、国内生産量がASF前の水準である5500万トンに回復して以降、豚肉輸入量は210〜230万トンに低下している。主な輸入先国はスペイン、ブラジル、デンマーク、オランダ、カナダ、米国。

2023年の豚肉輸入量は、前年比8%増の230万トンになると推定されている。ゼロコロナ政策の緩和を受けて、外食市場での需要が回復。2023年前半5カ月間の豚肉輸入量は、前年同期比で20%以上の増加となったが、下半期は、国産豚肉価格の低下・経済活動の不振・輸入豚肉の在庫増により、輸入需要は鈍化する可能性がある。

  中国の豚肉生産・供給量予測
  中国の豚肉の全国平均価格価格の推移
 
トピック

植物由来タンパク質の売上が伸び悩む

 
 

CoBankが実施したプラント・ミート(植物由来のタンパク質製品)に関する新たな調査によると、物価高騰を受けてこれらの製品の売上が苦戦している。伝統的な動物性タンパク質との競争だけではなく、カテゴリー内での消耗戦の様相をも呈している模様だ。

プラントミート製品は、小売と外食の両方で「あなたにより良い」というメッセージから、「より環境に優しい」ことの保証へとシフトしている。しかし、価格・味覚・汎用性の面で、消費者は根強く否定的な認識を持っている。同社によると、「プラント・ミート製品の売上は、2020年にピークに達して以降落ち込んでおり、転機に直面している」という。

消費者行動の調査を行うCircana(旧IRIおよび NPD)によると、食肉代替品の販売量は、7月2日までの52週間で20.9%減少した。売上高も同様に低下している。同社の「CPG 需要指数」では、2023年の売上は前年の8割にまで低下する見通しだ。

 

※2023年8月28日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
生産動向

干ばつと経済状況が牛群拡大の障壁に

 
 

米国の牛群は、まだ拡大の兆しがない。主因は持続的な干ばつと、農場の投入コスト増や金利上昇などの経済的負担の増大だ。USDA-NASS(米農務省全国農業統計局)の最新統計によると、2022年の家畜生産農家の総支出は2190億ドル(前年比18.5%増)と急増した。

最も高いのは飼料で810億ドル、次いで他の関連支出732億ドル、農場サービス費200億ドル。2021年比では、飼料コスト18.5%増、農場サービスコスト10.8%増、その他の関連支出10.1%増。人件費は9.2%増加し、農家1戸当たりの平均総支出額は20万359ドルとなった。

オクラホマ州立大学の研究者は、「牛飼養動向調査では、飼養頭数の縮小が続いている。肥育牛価格の大幅上昇にもかかわらず、牛群拡大のための雌牛の保有増、あるいはと畜減を示すデータは見当たらず、牛群再構築の兆候はない」と指摘する。

前回のキャトルサイクルは、2011〜2013年の干ばつを受けて、2014年に周期的な底をつき、その後は拡大に転じたが、今回は拡大への転換がかなり遅い。理由は、牛を肥育する多くの地域で、持続的な干ばつが問題となっていることだ。干ばつから脱した地域でも、牧草地や放牧地が回復するには時間を要する。

牛生産者は、投入コストの増加に対処するため、牛の価格上昇を即座に収益化する必要があり、未経産牛や子牛の出荷を継続している。2022年は、乾草の記録的高値や他の飼料コストの高騰、牧草地での肥料・化学物質・燃料の記録的なコスト高が大きな課題となった。2023年に入って一部のコストは下がったが、金利の急激な上昇が、2014〜2019年のサイクルとは異なる経済環境を形成しており、牛群拡大を遅らせる要因になっている。

 

※2023年8月28日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ポーク関連ニュース

7月末の豚肉在庫が大幅に減少

 
 

7月末時点の豚肉在庫は4億7380万ポンド(前年同月比10%減)、過去5年平均比では8.6%減となった。過去5年平均における前月比増減は1.1%減だが、今年は2.7%減と大幅に減少した。

豚肉価格の高騰に直面したエンドユーザーは、積極的な在庫消化を選択したようだ。また、カリフォルニア州のProp 12の7月施行に対応するため、在庫が活用された可能性があり、ベリーの在庫は月間で26%も減少した。

モモの在庫は1億4390万ポンド(同5.1%減)、過去5年平均比では9%減。前月比では、過去5年平均の11%増に対して5%増にとどまり、価格上昇の一因となった。

 

※2023年8月28日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  豚肉の月末在庫量の推移
 
USMEFインフォメーション

ホルストロムCEOとボラーVPが農業委員会委員に任命される

 
 

USDA(米国農務省)のトム・ヴィルサック長官と、USTR(米国通商代表部)のキャサリン・タイ代表は、共同プレスリリースで7つの農産物貿易諮問委員会の民間代表を任命したことを発表した。

USMEFのダン・ホルストロム会長兼CEOは、「農業政策諮問委員会」に再任され、エリン・ボラー経済分析担当副会長は、「動物と畜産物の貿易に関する農業技術諮問委員会」の委員に任命された。

  Dan Halstrom (左)・Erin Borror(右)
 
 

アメリカンビーフ店頭キャンペーン、9月23日スタート

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、秋冬商戦に向けたアメリカンビーフ販促活動の一環として、今年も9月23日から12月末日まで、店頭での消費者キャンペーン「買って当てよう!アメリカンビーフ 300kg山分けキャンペーン」を実施します。

指定のキャンペーンシールを貼り付けたアメリカンビーフ商品を購入したお客さまが懸賞に応募できるシステムで、今回の賞品はA賞「アメリカンビーフサーロインステーキ2枚(約1kg)」(300名)、B賞「アメリカンビーフオリジナルトートバッグ」(1000名)を用意しました。

今年4−7月に実施した同形式のキャンペーンでは、当選者の約45%の方が「キャンペーンに複数回応募した」「期間中のアメリカンビーフ購入頻度が増えた」と回答しており、リピート購買を増やすきっかけとなっています。

キャンペーンの参加希望社に、キャンペーンシールを無償で提供します。またキャンペーン告知POPセット(B5POPと棚帯POPのセット)も提供いたします。キャンペーン期間中に継続してシールを使用して、平時の売上向上及びマネキン試食販売に代わる販促手法としてご活用ください。

本件に対する問合せは、担当:笠谷( tkasatani@usmef.org )まで。

  買って当てよう!アメリカンビーフ300kg山分けキャンペーン
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