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TRADER'S Be & Po

vol.428 Jul.24.2023
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛小幅安、カットアウトはリブ・ロイン値下がり
ポークカットアウト上昇、モモ堅調、ベリーも回復
生産動向 豚肉供給、年内は前年並み、来年は不透明
輸出動向 5月の豚肉輸出、16%増の26万トン、過去2年で最高
5月の牛肉輸出、全体的に減少も北米と台湾は増加
リテール 独立記念日セールの主軸は牛肉、今後は豚肉増加
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2023年5月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛小幅安、カットアウトはリブ・ロイン値下がり

 
 

独立記念日の連休が終わり、ボックスビーフ市場は例年どおりの季節的な傾向に落ち着き始めている。買い手優位な状況で、カットアウト価格には値下げ圧力がかかり、特にリブやロインが値下がりした。

7月第1週の生体牛価格は、南部で100ポンド当たり1.00〜2.00ドル安の178.00〜179.00ドル(価格範囲は176.00〜180.00ドル)。北部では取引が少なく、生体牛が177.00〜184.00ドル、枝肉は280.00〜290.00ドルで取引された。

週当たりと畜頭数は53万9000頭で、先週(64万4000頭)よりも減少。生体重量の平均は3ポンド減の1340ポンド、枝肉重量は2ポンド減の810ポンドだった。

カットアウト価格の値下がりは、大部分がリブの値下がりによるもの。引き続きバイヤーが有利な状況で、供給の潤沢な特定の等級では大幅に値が下がった。季節的な調整の最終局面ではあるものの、まだ例年の平均を大きく上回る水準で推移していることから、バイヤーは引き続き慎重になっている。

チャックは堅調に推移したが、チャックロールとクロッドは2週連続で下げた。より安価な代替ステーキカットを求める傾向が強い。ラウンドは、インサイド・フラット・ナックルの引き合いが強まったが、これは当用買いによるもの。ロインはリブと同様に、今年の季節的反発が予想をはるかに超えていたため、ショートロインに値下げ圧力が強まり、ストリップはすべての等級で値下がりした。

 

※2023年7月7日 Urner Barry

 
 

ポークカットアウト上昇、モモ堅調、ベリーも回復

 
 

7月第1週の豚肉市場では、連休以降の不透明な価格予想やと畜頭数・肉豚重量の低下により、Urner Barryの豚枝カットアウト価格は2.54%上昇した。 同週の週間豚肉生産量は推定4億1360万ポンドで、前週比16.6%減、前年同週比では1.5%減。生体豚の平均重量は、前週比1ポンド減、前年比で横ばいの285ポンドだった。

供給がタイトな骨付きモモは、国内外からの引き合いを受けて堅調に推移し、骨抜きモモも加工需要で安定推移した。ベリーは、ベーコンに対する外食および小売の引き合いが増えた。生鮮での供給が潤沢だったため、取引はスムーズだったものの、価格は幅広い範囲での取引となった。

カットアウト価格は、100ポンド当たり101.294ドルで、前週より2.511ドル上昇した。ベリーは17.8ドル高の115.640ドル、ロインは2.5ドル高の100.450ドル、モモは2.1ドル高の89.720ドル。バットは前週比17.1ドル安と値下がりした。

 

※2023年7月7日 Urner Barry

 
生産動向

豚肉供給、年内は前年並み、来年は不透明

 
 

USDA発表の豚飼養動向調査(6月度)から推測すると、今夏および今秋の豚肉供給は前年並みと予想される。7月中の週間と畜頭数は、230万頭を下回る見通しで、重量の低下と相まって、生産される豚肉の供給を制限するだろう。

昨年には、9月の週間と畜頭数は250万頭を超えたが、今年の供給はこの水準を超える可能性がある。3〜5月期の子豚生産頭数は前年比0.8%増で、これを反映すると、10月下旬から11月上旬までの週間と畜頭数は260万頭付近と予想される。

調査報告によると、3〜5月期の一腹当たり産子数は11.36頭と、記録的な水準だった。これは前年比3.3%の大幅な増加で、分娩頭数の減少を相殺して余りある。過去2、3年間は、コロナ禍による労働力不足とPRRS(豚繁殖・呼吸障害症候群)が生産性に多大な影響を及ぼした。

今後2四半期の分娩見込み頭数は、6〜8月期が前年比3.9%減、9〜11月期は4.5%減。しかし生産性のトレンドが変化すれば、分娩頭数の減少の大部分は、一腹当たり産子数の増加に相殺されるだろう。冬から来春の出荷頭数は、1〜1.5%減程度に留まる可能性がある。

6月1日時点の繁殖豚飼養頭数は予想より多く、前回調査(3月)比で5万頭増、前年比では2万2000頭減。母豚のと畜頭数は前年比微増、繁殖豚(母豚・種豚)の輸入が減少していることを勘案すると、更新用の未経産豚保留率は4%減となる。

 

※2023年7月3日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の子豚生産頭数の前年比増減(4半期毎)
  米国の繁殖豚の飼養頭数の推移
 
輸出動向

5月の豚肉輸出、16%増の26万トン、過去2年で最高

 
 

USDA発表・USMEF集計の食肉輸出統計によると、5月の豚肉輸出量は26万1361トン(前年同月比16%増)、輸出額は7億3110万ドル(同12%増)で、いずれも2021年5月以降で最多となった。特に豚肉のバラエティーミートの輸出額は1億2700万ドルと過去最高を記録した。

5月の輸出増をけん引したのはメキシコ。輸出量9万6811トン(同21%増)・輸出額1億9890万ドル(同16%増)と大幅な伸びを維持し、1〜5月累計は44万7081トン(同13%増)・8億9010万ドル(同24%増)に達した。このうち、バラエティーミートは6万4232トン(同46%増)・1億1140万ドル(40%増)と大幅に増加した。

5月のバラエティーミートは、全体で5万1826トン(同27%増)・1億2700万ドル(同24%増)と好調で、メキシコはじめ中国・ASEAN・カナダ・南アメリカ・カリブ海地域向けが増加。1〜5月累計では24万6856トン(同35%増)・5億8560万ドル(同24%増)となった。

韓国向けは2万1182トン(同25%増)・7340万ドル(21%増)で、過去5年間で最高となった。1〜5月累計は8万7577トン(同15%増)・2億8350万ドル(6%増)。韓国の米国産豚肉の関税率はゼロだが、韓国政府は食糧価格高騰への対応として年内の輸入豚肉の関税を免除する方針で、関税率面での米国産の優位性はなくなる。

オーストラリア向けは9520トン(同103%増)・3270万ドル(同91%増)と倍増した。1〜5月は2万5666トン(同69%増)、8930万ドル(同64%増)。

台湾向けは3289トン・1120万ドルで、前年同月比で6倍以上となり、過去12年間で最多を記録した。1〜5月累計は6513トン・2120万ドルで、いずれも前年同期比で4倍以上の伸び。台湾ではPEDvの発生やEU産価格の上昇による輸入減で、豚肉供給がひっ迫し、豚肉輸入にポンドあたり約9セントの補助金を実施している。

日本向けは3万1000トン(同4%減)・1億2340万ドル(同7%減)。1〜5月累計は15万4849トン(同2%減)・6億1770万ドル(同7%減)。チルドポークが主体のため、西海岸港湾の物流が不安定なことも課題になっていたが、6月中旬に労働暫定協定が締結されたため、今後は改善されるだろう。

5月の豚肉生産量に占める輸出比率は32%(正肉単体では27.6%)。前年5月の28.6%(同25.2%)から大幅に上昇した。1〜5月累計の輸出比率は29.6%(同25.4%)。

  米米国産豚肉(内臓含む)の主要市場向けの輸出量
 
 

5月の牛肉輸出、全体的に減少も北米と台湾は増加

 
 

5月の牛肉輸出量(バラエティーミート含む)は、多くの主要市場で前年同月を下回り、合計で11万6159トン(前年同月比14%減)となった。輸出額は8億7472万ドル・(同20%減)。1〜5月累計では55万4069トン(同10%減)・40億8696ドル(同21%減)。

5月の牛肉生産量に占める輸出比率は、全体で14.7%、正肉では12.1%。1〜5月累計では全体14.4%、正肉12.2%で、いずれも前年同期比で約1ポイント低下した。

主要輸出先の傾向をみると、メキシコ向けは1万7254トン(同9%増)・9420万ドル(14%増)と引き続き堅調な伸びを維持し、1〜5月累計では8万2166トン(同13%増)・4億5960万ドル(同17%増)となった。特にバラエティーミートは、1〜5月累計で4万2613トン(同16%増)・1億2040万ドル(同20%増)と好調。

バラエティーミートは、メキシコに加えて韓国・南アフリカ・香港・中央アメリカなどでも増加し、5月の輸出量は2万6961トン、輸出額は9950万ドルと、いずれもこの1年で最多となった。日本向けも4287トンで、今年最高を記録した。

台湾向けの牛肉輸出は、2022年4月以降で最多となる6142トン(同9%増)、輸出額は5960万ドル(同7%減)となった。1〜5月累計は2万6534トン(同16%減)・2億5980万ドル(同31%減)。

カナダ向けは1万1319トン(同17%増)で、2021年12月以降で最多となった。輸出額は9560万ドル(同23%増)で、約8年ぶりの高水準。1〜5月累計は4万1799トン(同2%減)・3億2,730万ドル(同6%減)。

韓国向けは2万3657トン(同12%減)・1億9430万ドル(同27%減)。1〜5月累計は11万2365トン(同11%減)・9億140万ドル(同30%減)だった。中国/香港向けの1〜5月累計は9万8671トン(同11%減)・8億5220万ドル(同16%減)と、大幅に減少しているが、香港向けは観光やビジネス出張の段階的な回復に支えられて、1万6000トン(同30%増)、1億6230万ドル(同11%増)と増加している。

日本向けは、円安や高関税などを背景に、輸出量は1万9291トン(同33%減)と大幅に減少し、2016年以降で最低となった。輸出額は1億3710万ドル(同40%減)。1〜5月累計は10万8359トン(同15%減)・7億5760万ドル(同27%減)。

  米国産牛肉(内臓含む)の主要市場向け輸出量
 
リテール

独立記念日セールの主軸は牛肉、今後は豚肉増加

 
 

独立記念日のセールが終わり、小売市場は夏場の停滞期を迎えた。次の大きな販促機会はレイバーデー(9月第一月曜日)の連休となり、それまでの期間は、夏のグリルに関連した提案が販促の中心となる。

独立記念日週の食肉・水産の特売では、広告数の中で牛肉が27.3%と最も多かった。うち、ステーキが約65.4%を占め、次いで牛ひき肉が18.2%、ロンドンブロイルとローストが各8%だった。

牛ひき肉の売れ行きは良好だった。平均販促価格は、昨年より30セント高い5.67ドル。赤身率78〜84%の牛ひき肉は5ドル以下で販売された。牛ひき肉の週間販売高は1990万ドルで、前週比900万ドル増となったが、前年同週(2600万ドル)には届かなかった。

牛肉生産量の減少により、牛肉卸売価格が史上最高値に近い水準で推移しているため、今後数週間は、牛肉の積極的な販促は難しいだろう。

ミート総菜コーナーの好調により、売上高は9120万ドルを記録した。ランチミートの総売上高のうち、デリ・サービスが3660万ドルを占め、次いでフレッシュ・パックが2740万ドル。スモークハムとローストビーフも人気商品で、それぞれの平均売価は9.75ドル、12.27ドルだった。

今後は、在庫が豊富で卸売価格が前年比約10%安の低水準にある豚肉、特にベーコンの特売が増加するだろう。フレッシュ・ベーコンの小売価格は5.50ドルで、2022年の6.17ドルから値下がりしている。他の豚肉品目も、比較対象の食肉製品に対して競争力のある価格を維持している。リブの平均販促価格は3.44ドルで、昨年の3.86ドルより安い。Urner Barryの週間豚肉小売指数は、過去3年平均を11.5% 下回っている。プルドポーク、リブ、ホットドッグなど夏場商品が注目されている。

 

※2023年7月6日 FOODMARKET.com

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート