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TRADER'S Be & Po

vol.427 Jul.10.2023
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛小幅下落、カットアウトも高値一服
生体豚・カットアウトとも上昇で先物価格も回復
トピック 米国規制当局が培養肉の販売に初の認可
ランキング ポークパッカーのと畜能力ランキング2023
生産動向 フィードロット飼養頭数3%減、5月導入は5%増
リテール 独立記念日の食費支出は過去最高に、食肉販促の好機
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2023年4月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛小幅下落、カットアウトも高値一服

 
 

6月第4週(19〜23日)の生体牛現金取引は、北部で100ポンド当たり182〜184ドル、前週比2〜4ドル安となった。枝肉は平均290ドル(284〜293ドル)で同6ドル安。南部では、生体牛が2ドル安の180ドル(176〜182ドル)で取引された。

同週の週間と畜頭数は64万9000頭で、前週(62万1000頭)より2万8000頭増加したが、生体重量は1347ポンドで前週比3ポンド減。枝肉は2ポンド減の813ポンドだった。

ボックスビーフ市場は、バイヤー側がカットアウトのいくつかの部位で優位な状況を取り戻し、続伸基調の流れが変わり始めた。7月4日以降の取引に向けた商談が進む中で、特にチャック、ラウンド、プレートの価格が軟化し始めた。

エンドユーザーは、代替カットや低グレード製品など、より価格性を重視する動きを強めている。チャックは値下げ圧力が強まり、チャックアイロール、クロッドなどいくつかのカットが値下がりした。リブはほぼ横ばいだが、セレクトのリブは、供給のひっ迫とチョイスの代替えとしての輸出需要があり、わずかに上昇した。ロインは供給が限定的なため、堅調な価格を維持している。

 

※2023年6月23日 Red Meat Report

 
 

生体豚・カットアウトとも上昇で先物価格も回復

 
 

生体豚の先物価格はこの3週間、着実に上昇している。夏季に肥育豚の供給が減少するとの見通しが広がっていることが主因だ。過去3カ月間の出荷が積極的だったことで、出荷豚の重量は前年水準を2%も下回っている。

供給面以外にも複数の要因がある。一つには、7〜8月の牛肉小売価格がさらに上昇する可能性があり、相対的に豚肉価格の競争力が増していること。また、懸念材料だったカリフォルニア州のProp 12(アニマルケア規制)について州司法省が対応を明確にしたことで、エンドユーザーの混乱が落ち着いたことなどだ。

5月24日以降、カットアウト価格は100ポンド当たりで15ドル上昇、生体豚の現金取引価格は13ドル回復した。これらの値上がりにより、先物価格も短期的には上昇傾向が続くとの予想が強まっている。

  生体豚先物価格の推移(2023年7月限)(左)/生体豚先物価格の推移(2023年12月限)(右)
 

カット別の価格推移をみると、最も上げ幅が大きいのがベリーだ。ベリープライマルは同期間に45%上昇し、カットアウト全体の上昇の約3分の1を占める。ハム(モモ)の価格も16%上昇したが、ロイン価格は鶏肉との競争が強まっていることで抑制されている。

Prop 12が市場に与える影響の不透明感は、依然として大きい。小売業者は、新ルールが7月4日の販促にダメージを与えず、当面は在庫の販売が可能であることを知って安堵したが、グラフが示すとおり、ロイン価格は9月以降に崩れる傾向がある。10月限のカットアウト先物価格は、ロイン価格が前年並みの水準を想定していることを示唆しているが、これは明らかにリスクの領域だろう。

さらに、問題なのはベリーだ。価格が回復しつつあるとはいえ、水準は依然として低い。在庫過多が原因の一つだが、それは外食価格の上昇によって今春のベーコンの売れ行きが鈍化していることも要因だ。

ベーコンの特売価格は、1年前に比べて1ドル下がっている。これが7・8月の販促機会の増加に繋がる可能性もあるが、外食でのベーコン需要は、価格の安さだけではなく、ハンバーガー・チキンサンド・朝食メニューの売れ行きにも左右される。第4四半期のベリー価格は、下振れリスクがあるだろう。

 

※2023年6月20日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  ポークロインプライマルの価格推移(左)/ポークベリープライマルの価格推移(右)
 
トピック

米国規制当局が培養肉の販売に初の認可

 
 

アップサイド・フーズ社とグッド・ミート社は6月21日、USDA(米国農務省)から培養肉の販売の最終承認を受けたことを発表した。この承認により、米国はシンガポールに次いで2番目に培養肉の販売を許可する国となる。

培養肉の認可には複数段階の承認プロセスがあり、2社はそれを完了した最初の企業だ。FDA(食品医薬品局)は、両社の培養肉は食用としての安全性を満たしていると判断した。

両社とも、製品の販売時期はまだ決定していないとしているが、まず高級レストランで製品を提供し、その後、生産規模を拡大して食料品店向けに低コストでの展開を図る予定だとしている。アップサイド社はロイター通信に対し、カリフォルニア州エメリービルにある既存工場の10倍から20倍規模の新規生産施設を米国に建設予定であり、建設地を近日発表すると語った。

アップサイド社は、シェフのドミニク・クレン氏がサンフランシスコで経営するレストラン「バー・クレン」に最初の製品を提供、グッド・ミート社は、人道主義者でシェフでもあるホセ・アンドレス氏が所有するホセ・アンドレス・グループに最初に販売する予定だという。

 

※2023年6月21日 Successful Farming

 
ランキング

ポークパッカーのと畜能力ランキング2023

 
 

米国のポークパッカーの1日当たりと畜能力のランキングは下表の通り。

上位陣に大きな変動はなく、1位はスミスフィールドの8工場・11万3600頭、2位はJBSで5工場・9万3000頭、3位はタイソンフーズ(IBP)の6工場・8万3000頭。

4位はクレメンスフードグルーブの2工場・2万3400頭だが、5位のトライアンフフーズ・7位のシーボードファームス・8位のシーボード−トライアンフの3社(3工場・5万6900頭)は、生産から販売までのオペレーションがシーボードグループとして統一されている。

表記以外の小規模工場のと畜能力(合計3600頭)を合わせた1日当たりのと畜能力は48万3655頭、週当たり(土曜日稼働0.4日)の最大能力は261万1737頭。

  全米ポークパッカーランキング(2023)
 
生産動向

フィードロット飼養頭数3%減、5月導入は5%増

 
 

USDAが発表したフィードロット飼養動向調査によると、5月の導入頭数は195万5000頭(前年同月比4.6%増)、出荷頭数は194万6000頭(同1.7%増)で、6月1日時点の飼養頭数は1155万2000頭(同2.9%減)となった。

アナリストの予想平均では、出荷頭数はと畜稼働日が前年より1日多いことから前年同月比1.6%増、6月1日時点の総飼養頭数は同3.2%減で、ほぼ予想の範囲だったが、導入頭数は予想平均の1.7%増(予想範囲0.1%〜3.6%増)に対して、大幅な増加となった。

導入頭数が前年同月を上回るのは2022年8月以降で初めて。子牛・肥育素牛の価格が軟化したことも一因とみられる。導入の重量区分では、600ポンド未満38万頭(同4.1%増)、600〜699ポンド29万5000頭(同9.3%増)、700〜799ポンド48万頭(同3.2%増)、800〜899ポンド50万5000頭(同6.5%増)など、900〜990ポンド(2.3%減)を除く各区分で増加している。

 

※2023年6月20日 FOODMARKET.com

 
リテール

独立記念日の食費支出は過去最高に、食肉販促の好機

 
 

全米小売協会(NRF)による独立記念日の消費動向調査によると、今年の7月4日を祝う予定がある消費者は全体の87%、食費にかける平均予算は93.34ドルだった。経済効果は昨年の77億ドルから95億ドルに拡大し、過去最高に達すると予想される。

特に、アウトドア・クッキングやバーベキュー、ピクニックを計画していると答えた消費者は65%に達しており、小売業者にとってはグリルアイテムを販促する好機だ。

魚介類では、冷蔵エビの平均価格が昨年の8.67ドルから8.73ドルに上がっているが、ロブスターの特売価格は7.20ドル、通常価格は7.70ドルで、いずれも昨年より約30セント安い。だが、アウトドア・クッキングの主役はハンバーガーやホットドッグだ。

牛肉の小売価格は引き続き過去最高値付近にあり、Urner Barryの週間販促インデックスはポンド当たり7.20ドル。これはシーズンの過去最高値に近く、2021・2022年に次いで高い水準だ。

Circanaのデータによると、生鮮の牛ひき肉の特売平均価格は5.63ドル、前年同期比21セント高。赤身率78〜84%が主流で、特売価格は平均4.60ドル、通常価格は平均4.91ドルだか、独立記念日を目前に、大手スーパーチェーンでは集客のために、牛ひき肉を4ドル割れで拡販する動きも出始めている。

トップロインの平均価格は、前年の10.39ドルから11.13ドルに上がっている。Tボーンは10.05ドルで、父の日の特売価格から1ドル以上低下しているが、前年に比べると79セント高。リブアイは前年比3.5%高の13.17ドル。

豚肉は、他のグリル製品よりも強い価格競争力を今夏も維持している。先週のバックリブの平均価格は3.58ドルで、前年の3.78ドルより安い。ショルダーは2.17ドルで前年比5セント高だが、ショルダーのローストは多人数向けのメニュー用として魅力的だ。ベーコンは、まさに年間需要のピークにあるが、平均価格は5.58ドルと昨年の6.17ドルよりも安い。

 

※2023年6月28日 FOODMARKET.com

 
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    マーケット・データ

     
     
     
     
     
     
     

    ビーフ・ファクト・シート