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TRADER'S Be & Po

vol.426 Jun.26.2023
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛先物価格は下落、カットアウトは高値維持
Prop 12の明確化で豚先物価格が一時的に回復
トピック アメリカ西海岸の港湾労使交渉が暫定合意へ
ポーク関連ニュース ポークカットアウト低迷、ベリーの安値が続く
家畜疾病 ASFワクチン承認間近、ベトナムと米国の共同研究
リテール ウォルマートが牛肉包装工場に2億5700万ドル
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2023年4月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛先物価格は下落、カットアウトは高値維持

 
 

シカゴ商品取引所の生体牛先物価格は6月第3週の週半ばに下落し、8月限の先物はこの2週間の底値となった。トウモロコシの先物価格が下落したにもかかわらず、家畜先物では生体牛のみが下落し、8月限から11月限の損失は100ポンド当たり4.05〜4.55ドルに達した。

先物が急落する中で、現金市場の取引頭数は少なくなり、アイオワ・ミネソタとネブラスカでは生体牛が181〜190ドル、枝肉は287〜300ドルと広い範囲での取引となった。前週比ではやや値下がりしたが、パッカーは引き続き記録的な高値で牛を購入している。

取引関係者は、牛肉の卸売価格に注目している。カットアウト価格は直近の1週間半、一貫して高値を更新してきたが、そろそろ天井を打つ可能性がある。6月14日のUrner Barry’s指標のチョイスは前週比54セント高の325.99ドル、セレクトは同71セント高の300.80ドルで、季節的な最高値を更新した。

 

※2023年6月15日 FOODMARKET.com

 
 

Prop 12の明確化で豚先物価格が一時的に回復

 
 

ここ数週間、生体豚(リーンホッグ)の先物は最安値を更新してきたが、現金市場で生体豚価格が反発に転じ、カットアウト価格も緩やかに上昇したことを受けて回復した。カリフォルニア州食品農業局(CDFA)がProp 12(動物ケアプログラム)の内容を示した文書を公表したことで、関係業界に一定の楽観が広がったことも影響している。

7月から施行予定のProp 12については、これまで、小売業者が7月より前に購入・備蓄した製品の販売の可否について、多くの混乱があった。公表された文書では、当面は流通販売できることが分かり、さらに「2023年中は、施行のためのリソースが限られていることに焦点を当てる意向」であると記載されており、これを受けて、多くのエンドユーザーが行っていた在庫消化のための投げ売りは止まった。

今後は、7月4日(独立記念日)へ向けた取引の正常化が進み、夏季先物の売りは食い止められる可能性がある。とはいえ、カリフォルニアおよびマサチューセッツ州が実施する規制は、両州の豚肉需要に重大な影響を及ぼすことは確実だ。

すでにホールフーズなど一部がカリフォルニア州の基準に適合した食肉を販売しているが、流通業者や小売業者へ提供されている規制に準じた豚肉の価格は、現在の市場価格に比べて大幅に高い。このため、両州で比較的低所得者をターゲットに提供を行う小売業者は、販売可能な豚肉製品の仕入れ先確保に苦戦するだろう。

 

※2023年6月5日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  生体豚(リーンホッグ)の先物価格の推移
 
トピック

アメリカ西海岸の港湾労使交渉が暫定合意へ

 
 

米国西海岸の港湾労働者2万2000人の労働組合であるILWU(国際港湾倉庫労働者組合)と雇用者グループのPMA(太平洋海事協会)は6月14日、共同声明で新たな6年契約の暫定合意に達したことを発表した。13カ月間にわたる労働協議に終止符が打たれたことで、サプライチェーンの懸念が緩和された。

今回の合意は、労働省のジュリー・スー長官代行の支援を受けて成立した。ILWUとPMAは、協定の詳細説明を避けたが、スー長官代行は、「この暫定合意は、労働者、雇用主、そして米国のサプライチェーンに重要な安定をもたらすものだ」と述べた。

協定の対象となるロサンゼルス/ロングビーチをはじめとする複数の港湾は、米国で最も多忙な海上貿易の玄関口だが、交渉中には、起こりうる混乱を避けるために、東海岸やメキシコ湾岸の港に貨物をシフトする動きもあり、港湾の市場シェアが低下していた。ロサンゼルス港のジーン・セロカ港湾局長はツイッターで、「この合意は、顧客が求めていた安定と信頼をもたらすものだ。パートナーと協力して、貨物を取り戻すために新たな努力を尽くしたい」と述べている。

 

※2023年6月15日 FOODMARKET.com

 
ポーク関連ニュース

ポークカットアウト低迷、ベリーの安値が続く

 
 

豚肉市場に悪影響を与え続けているのは、ベリー価格が極度に安いことだ。6月2日のベリーのプライマル価格は100ポンド当たり78ドル、前年比51%安で、カットアウト全体の下落幅の約半分を占めている。

4月末時点のベリーの在庫は約8100万ポンドで、前年より39%多い。処理業者はこの在庫を取り崩しているが、同時にカリフォルニア、マサチューセッツ州で予想される需要低下にも対処していることから、この時期に見込まれた季節的な価格回復を逃してしまった。

バットやピクニックは比較的好調だ。バットのプライマル価格は前年比4.9%高、ピクニックは1.6%高。しかし、ロインは引き続き苦戦している。これは鶏肉の安値も影響している。昨年6・7月は鶏ムネの価格が高く、ロインの価格も支えていたが、今年は逆のことが起きている。チキンブレスト(骨なし・皮なし)の平均卸売価格は、昨年6月上旬の100ポンド当たり350ドル強に対して、現在は145ドル周辺。ロインのプライマル価格は、同89ドル(前年比19%安)となっている。

豚肉業界は、全体的な小売需要の鈍化と、カリフォルニア州のProp 12およびマサチューセッツ州のQuestion 3の施行で生じると予想される混乱の双方に対応する必要がある。これまでのところ、豚肉の輸出は増加しているが、中国からの需要は引き続き低調だ。豚肉価格は今夏から秋にかけても低迷が続きそうだ。

 

※2023年6月5日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  ポークカットアウト価格の前年比高安
 
家畜疾病

ASFワクチン承認間近、ベトナムと米国の共同研究

 
 

世界と米国の獣医学関係者が、ベトナムで試験中のASF(アフリカ豚熱)ワクチンが承認間近であることを発表した。承認されれば、世界の養豚で甚大な被害を出している家畜伝染病の解決に向けた大きな突破口となることが期待される。

ASFは、過去数年間で世界の豚肉市場に2500億ドルの損害をもたらしてきた。最悪のケースは2018〜19年、世界最大の豚肉生産国である中国で発生した。国内の豚の約半数が死亡し、その被害総額は推定1000億ドルを超えた。

国際獣疫事務局(WOAH)の科学部門責任者であるグレゴリオ・トーレス氏は、ロイター通信の電話インタビューに対し、「ウイルスの複雑さゆえに、長きにわたり失敗が続いたが、米国の科学者が共同開発した2つのワクチンは、ベトナム企業による大規模なパイロット・スキームでテストされ、『非常に有望』との結果を示している」と語った。

トーレス氏は、「有効である可能性がこれほど高まったことはない。2つのワクチンは成功の可能性が最も高い」とし、世界的な承認の可能性を示した。両ワクチンは、ベトナムで試験的商業利用の承認を完了、次のステップとしてASFワクチンとしては初となる世界的な認可と、海外での販売の可能性が見据えている。

USDAのトーマス・ヴィルザック長官は、ロイターのインタビューで「米国はこのウイルスを防御しているが、予防的な措置としての購入にも関心がある」と述べている。米国にはASFウイルスが存在せず、開発が不可能だったため、ワクチン試験は、ASFが継続的な脅威となっているベトナムで実施されてきた。

現在、ASFの大規模な発生は見られないものの、ラボバンクは4月に、「世界の豚肉産業における最大のリスクはASF、特に中国でこの疾病が拡大する可能性がある」と警告している。

USDAの研究者によれば、ベトナムのNAVETCO社と共同開発したワクチンの1つである「NAVET-ASFVAC」は、試験で高い有効性と安全性が確認されたため、ベトナムの養豚農家に60万回分の販売が許可され、そのうち最初の4万回分は「安全性に問題なく実施されたという。

その後、昨年夏に妊娠中の母豚など接種すべきでない豚にワクチンの適応外使用を行った農場で数十頭の豚が死亡し、ワクチンの使用は一時停止された。「獣医師の適切な監視のもとで使用が再開された後は、問題は発生していない」という。

「NAVET-ASFVAC」は、世界中の子どもたちの定期接種に使用されているワクチンと同様、弱毒化された生ワクチン。ベトナムで試験が実施された2番目のワクチン「AVAC ASF LIVE」は、米国の研究者が発見し、ベトナム企業のAVAC社が商品化したもの。試験的利用の下、NAVET-ASFVACよりも多くの豚に投与されているが、USDAはまだ詳細なデータを確認していないとしている。

 

※2023年6月8日 FOODMARKET.com /sauce:Thomson Reuters

 
リテール

ウォルマートが牛肉包装工場に2億5700万ドル

 
 

ウォルマートは6月13日、2025年に開設予定のカンザス州オレイサの牛肉包装工場に2億5700万ドルを投資すると発表した。新工場は、サステナブルビーフ社が生産する高品質なアンガスビーフをカット・包装し、西部地区の店舗に供給する。

ウォルマートのシニアバイスプレジデントであるデビッド・バスキン氏(総菜・食肉・海産物部門担当)とブルース・ヘックマン氏(製造・PB部門担当)は、「エンドツーエンドのアンガスビーフサプライチェーンを創出するウォルマートのコミットメント」として、要旨を以下のように説明している。

ウォルマートは、顧客の要望の高まりに応えて、質の高い牛肉の選択肢を提供できるよう尽力している。2025年にオープンする、当社初の自社運営によるケースレディビーフ工場は、当社のコミットメントを一層進めていく計画の一貫である。

今年後半に着工する新工場は、当社にとって、柔軟で回復力のあるサプライチェーンを構築し、顧客が高品質なアンガスビーフをより入手しやすいようにする独自ルート構築の重要なマイルストーンだ。新工場は、当社のサプライチェーンの透明性を高め、高品質な牛肉の生産能力を拡大し、600人を超える雇用を創出する。

当社は2019年に、アンガスビーフのエンドツーエンドのサプライチェーンを構築する計画を公表した。昨年は、ネブラスカ州ノースプラットにあるサステナブルビーフ社に出資し、より高品質な肉を求める顧客に、より多くの選択肢と圧倒的な価値を提供できるよう、戦略を着実に実施している。

新工場は、サステナブルビーフ社のアンガスビーフをカット・包装し、中西部の店舗に提供する。食品サプライチェーンにおける技術の進歩は、業界のあり方を変え続けているが、当社の革新的な新工場は、食品・農業分野で全米トップクラスのカンザス州の地位をさらに強固なものにするだろう。

 

※2023年6月13日 FOODMARKET.com / Wal-Mart news release

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート