USDA-FASが発表した「世界の食肉需給と貿易予測」によると、2023年の世界の牛肉生産量は、前年とほぼ横ばいの5910万トンとなる見通しだ。米国の減産分を、豪州・ブラジル・中国・インドの生産増が相殺する。
米国以外では、世界的な牛肉価格の上昇がと畜を促進するだろう。豪州は、飼料の入手拡大と牧草地の回復が枝肉重量の増加を支え、生産量は10%増の206万トンに拡大する見通し。ブラジルは、子牛価格の安値と堅調な国内市場がと畜を促進し、生産量は2%増の1057万トンとなる予想。中国は、コロナ関連規制の緩和で外食需要が増加し、3%増の740万トン。インドは輸出需要と国内消費の微増により、2%増の444万トンとなる見込みだ。
2023年の世界の牛肉貿易量は、微増する見通しだ。ブラジルの食肉輸出は、牛肉・豚肉・鶏肉のいずれも大幅に増加し、他の主要貿易国を上回ると予測される。牛肉輸出は301万2000トンに増加し、需要増の中国向け出荷が増加すると予想される。
世界の牛肉輸出量は、米国の減少分がブラジル・豪州・インドの拡大で完全に相殺され、1210万トンと微増する見通し。米国を除く世界の牛肉輸出は、2%増の1064万9000トンと予測される。
中国の牛肉消費量は2%増の1087万9000トンと予測されるが、輸入は前年比横ばいの350万トンにとどまる予想。アルゼンチンとウルグアイで輸出向けの供給がタイトになることが、中国の輸入拡大の妨げになるだろう。
2023年の米国の牛肉生産量は1220万1000トン、輸出量は142万2000トン、前年比でそれぞれ5%減、11%減の見込み。最大の牛肉消費国である米国での牛肉消費量は減少するが、第2位の中国・香港では継続的な増加、3位・4位のブラジルとEUではわずかな成長が見込まれる。これら上位4カ国合計で、世界の牛肉消費量の65%を占めると予測される。
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