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TRADER'S Be & Po

vol.422 Apr.10.2023
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛軟化、先物との価格差拡大で売り活発化
生体豚先物、カットアウトの安値続く
ワールドトレード 2023年の世界の牛肉生産量は横ばい
ポーク関連ニュース 豚肉生産者の収益は赤字転落、厳しい状況続く
トピック 3月末の牛肉在庫、過去5年平均を下回る
フードサービス 米国のレストラン上位50社ランキング
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2023年3月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛軟化、先物との価格差拡大で売り活発化

 
 

生体牛の現金取引価格は、5月第1週に軟化した。先物価格とのベーシス(価格差)が拡大したことを受けて、肥育業者が積極的な売りに転じ、全地域で取引頭数が増加したことが要因だ。

5月2日の取引頭数数は4万頭を超え、北部では生体牛が100ポンド当たり172〜178ドル、枝肉は280〜285ドルと、前週比でそれぞれ1.42ドル安、3.37ドル安となった。3日には全ての地域でさらに売りが強まり、生体牛はネブラスカで176ドル、アイオワ174ドル、南部では171〜172ドルで取引された。

アナリストは、「5月中は、6月限先物に対するベーシスが4〜5ドルと見込まれていたが、9〜10ドルまで拡大したため、売り手はオプション料を獲得しようと売りモードに入った。現金取引価格は、短期的にはさらに軟化する可能性がある」という。

市場が強気な年には、5・6月に季節的な価格調整が起こることがある。出荷が順調に続けば、フロントエンド(肥育日数150日以上の牛)の供給は、夏季には大幅に減少する。5月第1週のと畜頭数は、推定63万5000頭。前週(62万4000頭)より増加したが、前年同週(64万7000頭)に比べると1万1000頭少ない。

枝肉重量の低下も、牛肉生産量の減少に拍車をかけている。4月第4週の枝肉重量の週間平均は815ポンドで、前週比4ポンド減、前年同週比16ポンド減。これを頭数換算すると、前年同週比で1万2040頭分少ないことになる。

生産量の減少により、同週のカットアウト価格は、前週比3.75ドル高の305.80ドルと今年の最高値を付けた。前年同週比では14.9%高で、2021年9月23日までの週以降で最も高い。

 

※2023年5月8日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

生体豚先物、カットアウトの安値続く

 
 

生体豚の先物価格は、依然として値下げの圧力にさらされている。2023年の豚肉需要は、コロナ禍による特殊需要が発生した2021・2022年に比較すれば弱いが、価格低迷は供給面の影響も大きい。

USDAの見通しによると、第2四半期の豚肉生産量は前年同期とほぼ同じだが、国内流通量(国民一人当たり供給量)は、この10年で最高になる見込みだ。供給増の中でも、3月の豚肉小売価格は2019年3月より30%も高く、卸売価格の安値が小売価格に反映されるまでには時間がかかる。

在庫過多のベリー価格も低迷している。ベーコンは小売よりも外食需要の影響が大きいため、卸売価格がメニュー価格に反映されるまでには、小売よりもさらに時間を要する。

カットアウトの先物価格は、8月限が100ポンド当たり約100ドル付近に張り付いている。現物価格がこの水準に到達するには、ベリー価格が現状より80%高の150ドルまで近づく必要がある。それにはエンドユーザーが5・6月に在庫を大幅に削減することが不可欠だが、外食需要が好転しなければ、実現は難しいかも知れない。

ロインとモモの価格も上昇する必要がある。モモは現在の約80ドルから、90〜100ドルに上昇する必要があり、焦点はメキシコ向けの輸出需要と夏場の生体豚の重量だ。ロインは潤沢な供給により、競争力のある価格設定が可能で、グリルシーズン入りで販売増が期待されるが、問題はそれが8月まで続くかどうかだろう。

 

※2023年4月24日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  ポークカットアウト価格の推移(日次ベース)
  ポークベリーの価格推移(日次ベース)
 
ワールドトレード

2023年の世界の牛肉生産量は横ばい

 
 

USDA-FASが発表した「世界の食肉需給と貿易予測」によると、2023年の世界の牛肉生産量は、前年とほぼ横ばいの5910万トンとなる見通しだ。米国の減産分を、豪州・ブラジル・中国・インドの生産増が相殺する。

米国以外では、世界的な牛肉価格の上昇がと畜を促進するだろう。豪州は、飼料の入手拡大と牧草地の回復が枝肉重量の増加を支え、生産量は10%増の206万トンに拡大する見通し。ブラジルは、子牛価格の安値と堅調な国内市場がと畜を促進し、生産量は2%増の1057万トンとなる予想。中国は、コロナ関連規制の緩和で外食需要が増加し、3%増の740万トン。インドは輸出需要と国内消費の微増により、2%増の444万トンとなる見込みだ。

2023年の世界の牛肉貿易量は、微増する見通しだ。ブラジルの食肉輸出は、牛肉・豚肉・鶏肉のいずれも大幅に増加し、他の主要貿易国を上回ると予測される。牛肉輸出は301万2000トンに増加し、需要増の中国向け出荷が増加すると予想される。

世界の牛肉輸出量は、米国の減少分がブラジル・豪州・インドの拡大で完全に相殺され、1210万トンと微増する見通し。米国を除く世界の牛肉輸出は、2%増の1064万9000トンと予測される。

中国の牛肉消費量は2%増の1087万9000トンと予測されるが、輸入は前年比横ばいの350万トンにとどまる予想。アルゼンチンとウルグアイで輸出向けの供給がタイトになることが、中国の輸入拡大の妨げになるだろう。

2023年の米国の牛肉生産量は1220万1000トン、輸出量は142万2000トン、前年比でそれぞれ5%減、11%減の見込み。最大の牛肉消費国である米国での牛肉消費量は減少するが、第2位の中国・香港では継続的な増加、3位・4位のブラジルとEUではわずかな成長が見込まれる。これら上位4カ国合計で、世界の牛肉消費量の65%を占めると予測される。

 

※2023年5月8日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ポーク関連ニュース

豚肉生産者の収益は赤字転落、厳しい状況続く

 
 

アイオワ州立大のモデルによると、豚肉生産者の収益は3月に1頭当たり約31ドル、第1四半期全体では平均34ドルの赤字となった。これは過去10年間で最大の収益低下となる。

リーンホッグの先物は、5月第1週末に大幅に下落した。一部では、「5月には需要が改善し、卸売価格が上昇する。ベリーは6月限先物が120ドル、8月限は150ドルまで上昇するだろう」との期待もあったが、実際にはほとんど変わらず、この時期に好調になるはずのロースも持ち合いだった。

USDAの最新の豚飼養動向調査によると、6〜8月期の分娩見込み頭数は、昨年より2.9%低い。これは、生産者が出荷を減らそうとしている表れだろう。母豚を淘汰しない限り、分娩数を減らすことは難しい。

USDAが公表している4月22日までの4週間における母豚のと畜頭数は、23万6100頭(前年同期比2.9%減)。しかし、と畜頭数の減少にもかかわらず、450-499ポンドの廃用母豚価格は100ポンド当たり28ドル割れと、3月上旬に比べて59%安く、前年同週比では66%も安い。

3月1日時点の繁殖豚の飼養頭数は、612万7000頭(前年比0.5%増)。3〜5月期の母豚淘汰および未経産豚の保留は、6月1日の飼養動向調査に反映され、最終的に次の四半期の子豚生産頭数に反映される。

もし、分娩率が前回調査(2.9%)にかなり近い数値だとすれば、6月1日の繁殖豚は600万頭前後で、2016年以降最低の水準となる。さらに、6〜8月期の子豚生産頭数は前年同期比で約80〜90万頭減少する計算になり、来冬の肉豚供給は縮小する。拡大を続けてきた養豚業界は収縮期を迎え、生産者はマージンを回復し、増加するコストに見合った豚肉価格を実現しようと動き始めている。

  米国の豚肉生産者の利益(肥育経営・1頭当たり収益)
  米国の繁殖豚の飼養頭数の推移(四半期毎)
 
トピック

3月末の牛肉在庫、過去5年平均を下回る

 
 

USDAの発表によると、3月末時点の牛肉の冷凍在庫は4億8100万ポンド(前年同月比10.3%減)で、前月比3.9%減。前年同月比の2ケタ減少は、前年3月が過去最高(5億3580万ポンド)だった反動だが、過去5年平均比でも1.2%下回った。

この減少は、季節的な傾向に沿ったものだ。今年も牛肉需要はグリルシーズンの間にピークを迎え、在庫量は夏場に年間の底となる見込み。ただ、2月から3月にかけての在庫の増減は、過去5年平均の1.4%減に対して3.9%減と大幅に減少しており、卸売価格が歴史的な高値にあっても、製品の動きは順調なようだ。

今年これまでの牛肉生産量は4.8%減。肥育牛の供給がタイトなことや、パッカーのマージン確保のためにと畜頭数が抑えられていること、さらに枝肉重量が依然として前年の水準を大幅に下回っていることも、在庫の減少に繋がった。

 

※2023年4月27日 Urner Barry Analysis

  牛肉の月末在庫量の推移
 
フードサービス

米国のレストラン上位50社ランキング

 
 

Circana社が発表した「米国のレストランチェーン上位50社ランキング(2023)」によると、2022年における上位50チェーンの総売上高は2830億ドルで、2021年の2690億ドルから5%増加した。

上位50社の構成は、2021年から大きな変動はなく、新たにランクインしたのは「Del Taco」(49位)の1社のみ。「TGI Fridays」がランク外(54位)となった。上位11チェーンは順位を維持し、上位25社のうち6社(ピザハット、パンダエクスプレス、オリーブガーデン、テキサスロードハウス、アップルビーズ、リトルシーザーズ)が順位を上げた。

 

※2023年4月25日 Foodmarket.com

  米国のレストラン上位50社ランキング(2023)
 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート