USDA―APHIS(米国農務省動植物検疫局)は1月18日、動物疾病のトレーサビリティ規則を修正し、特定の牛およびバイソンの州間移動に電子識別を要求すると発表した。また、記録要件の改訂と明確化について新たな提案を明示し、重大な動物疾病の発生時における迅速な対応力を強化する。
APHISは、大規模な動物疾病が発生すれば、牧場主や農家、およびそれらを支えるサプライチェーンのすべての人々が損害を受けるだけでなく、食糧安全保障を脅かし、高品質なアメリカ産食品を世界中で取引する能力も損なわれる。病気の発生時に迅速な追跡ができれば、牧場主や農家はより迅速に販売を再開して、農場の隔離期間を制限できる上に、より多くの動物を病気から守れるとしている。
USDAは、家畜の出生からと畜までを追跡する最新システムの実装に取り組んできたが、家畜の移動に関する電子的識別と記録を重要な目標に据え、透明性を確保するプロセスへの一般市民の参加を広げるために、パブリックコメント(3月22日まで募集)を行っている。
修正規則では、公式の耳標が視覚的および電子的に読み取れるものであることを求めている。また、牛に関する特定の記録要件の改訂および明確化を提案し、公式の識別デバイスの配布記録を部族・州・連邦のデータベースに入力し、要求に応じてAPHISが利用できるようにすることなどを求めている。
◎トレーサビリティ規則修正案にNCBAがコメント
全米肉牛生産者牛肉協会(NCBA)のトッド・ウィルキンソン次期会長(NCBAトレーサビリティ作業部会議長)は、上記の米国農務省(USDA)の提案に関して次のコメントを発表した。
USDAが重要な動物疾病トレーサビリティプログラムに向けて取り組む中、NCBAは牛生産者の権利を明らかにし、それが確実に保護されるよう、業界の利害関係者やUSDAとの対話に取り組んできた。最終的に採用されるプログラムがいかなるものでも、最大限の柔軟性とプライバシーが確保されることが重要だ。同時に、生産者のコストや業界のビジネスの停滞は最小限に抑えなければならない。
世界中で発生している口蹄疫は、引き続き商取引の混乱や家畜の過疎化をもたらしており、直ちに大胆な行動が必要であることは明らかだ。NCBAはUSDAと協力して、実行可能な解決策を特定し、最終的に実施すると約束する。牛生産者は、修正規則が必ず国産の家畜群を保護するものとなることを確信している。
NCBAは提案された規則を確認し、その基準が以下にまとめたNCBAのポリシーに見合うものかどうかを検討する。NCBAは効果的な動物疾病トレーサビリティプログラムは以下の要件を満たすべきだとしている
- ●USDAが支援する民間部門の動物IDおよび認識プログラムと互換性がある
- ●国際獣疫事務局(WOAH)の一般的なトレーサビリティ原則に適合する
- ●牛肉の輸出に関する既存のUSDAプログラムを認識している
- ●IDの潜在的な他の用途をサポートするインフラを使用して構築されている
- ●可能であれば、連邦/州の資金によって支払われる低コストの電子公式タグ付けデバイスを利用する
- ●病気のトレーサビリティのための牛のID情報を機密情報として、強力に保護するよう要求する
- ●所有者情報を将来の所有者に開示されないよう保護する
- ●牛が生産者の管理を離れた後、他者の行為による責任から生産者を保護する
- ●商取引の速度で動作する
- ●州のブランドにおける既存の検査活動を置き換えたり妨げたりしない
- ●全クラスの牛に対応できる枠組みの中で稼働する
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