10月のフィードロットへの導入頭数は、2カ月連続の前年割れとなる210万8000頭(前年同月比6.1%減)で、10月としては記録的に少なかった。出荷は180万2000頭(同0.6%増)と微増し、結果として11月1日時点のフィードロット総飼養頭数は1170万6000頭(同2.0%減)と、2018年以降で最少となった。
フロントエンド(肥育日数150日以上)の牛は引き続き潤沢だが、供給は縮小を始めており、来春までには前年水準を下回ると予想される。先物市場は、すでにこの減少を値上がり要因として織り込み済みで、4月限の取引は100ポンド当たり160ドル前後をつけている。
アナリストは、「フロントエンドの供給は前年割れが常態化する初期段階にあり、来年4月までには過去5年平均も下回る見込みだ。この傾向は2024年まで続くだろう」という。12月から来年4月までの季節的な増加は、今年の56万4000頭に対して、45万5000頭になる見込みで、来年の第2四半期の平均価格は第1四半期より高くなる公算が大きい。
干ばつの影響で、牛群のとう汰が続いており、来年の年第1四半期にはさらなるとう汰が起こるかもしれない。今年の雌牛の総と畜頭数は、これまでの週当たり平均から推定すると725万頭に達し、1996年以降で最大となる可能性がある。
さらに、今年の第3四半期までの未経産牛のと畜頭数も、前年比で5.5%・41万頭増加している。このため、来年は子牛生産頭数が大幅に減少するだろう。その減少幅は60万頭を超える可能性があり、肥育素牛および子牛の供給はさらに減少する。肥育素牛および子牛の減少と、それに伴う価格の上昇も2024年まで続くだろう。
◎牛の総飼養頭数は8950万頭に減少する見通し
牛群のとう汰が続いてきたことで、2023年1月1日時点の牛の総飼養頭数は8950万頭まで低下することが予想される。今年1月1日には9190万頭だった。牛群の減少はこれで4年連続となる。
アメリカ海洋大気庁(NOAA)の予測によると、ラニーニャ現象が解消して平常な段階へ入る第1四半期の半ばまでは、乾燥した状況が予想されるため、牛群の減少は2023年の第1四半期までは続きそうだ。
アナリストは、「肥育牛価格の季節的な上昇基調は、2023年の冬後半から次の春まで継続する。過去10年間において、第1四半期の価格が前年の第4四半期を上回った年が9割であり、こうした周期的トレンドは2025年第1四半期まで続く。価格が下落するとしても小幅で短期的なものになる」と予想される。
今後数年間の価格動向予想では、@年間の牛肉生産量が少なくとも2024年まで減少する見通しであることと、A牛の飼養頭数の縮小と肥育牛の供給が減少することの二つの要因から、肥育牛価格はさらに上昇する。過去の生産サイクルと同様に、卸売価格(カットアウト価格)と小売価格において、供給側の要因が反映される。
アナリストの予測では、来年の牛肉生産量は当初の270億ポンドから267億ポンドに下方修正され、前年比で5.7%の減少となる。1990年以降、年間の牛肉生産量が5.0%以上減少したのは2004年と2014年の2回しかない。
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