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TRADER'S Be & Po

vol.414 Nov.28.2022
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛価格は横ばい、カットアウト小幅高
在庫と鶏肉生産の増加が豚肉価格の上昇を抑制
トピック 食肉業界のGHG削減へ向けた2030年目標示す―NAMI
輸出動向 豚肉は2カ月連続増、牛肉は1〜9月まで記録的ペース維持
生産動向 2023年の乳牛頭数、増加の見通し
フードサービス In-N-Out Burgerが消費者満足度1位に
リテール サンクスギビング・ディナーの費用が20%増
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2022年9月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛価格は横ばい、カットアウト小幅高

 
 

11月前半の生体牛現金取引価格はほぼ横ばい、カットアウト価格は若干の値上がりとなった。11月第1週の生体牛価格は100ポンド当たり151.98ドル、前週比3セント高。枝肉の平均価格は241.90ドル、同2.05ドル高。第2週は、水曜日に取引が活発化し、アイオワとネブラスカで3万1501頭が生体牛153ドル、枝肉242ドルで取引された。

カットアウト価格は、第1週の平均価格が257.01ドル、前週比1.73ドル高。チョイスは258.72ドル、同5.18ドル高。第2週は前半4日間で、チョイスが0.48ドル安、セレクトは4.93ドル高となった。

アナリストは、「生体牛の価格は、サンクスギビングデー(11月24日)後に上昇に転じる。カットアウト価格は、サンクスギビングデーまでは一時的に下落し、12月から年末のホリデーシーズンに向けて上昇する」と予想する。

週間のと畜頭数は67万頭前後と、引き続き多い。雌牛のと畜が増加していることが要因だが、肥育牛(去勢牛・未経産牛)のと畜頭数も50万頭前後で推移。10月最終週の格付割合はプライム8.39%、チョイス71.90%、セレクト16.30%。プライムの割合は前年同週(9.22%)を下回っているが、今年5月以降では最高だった。

今秋の肥育牛のパフォーマンスの良さを示すもう一つの兆候は、肥育牛の枝肉重量が前年を大幅に上回っていることだ。去勢牛の平均重量は928ポンド(前年同週比8ポンド増)と過去最高記録に3ポンド差まで迫っている。未経産牛は847ポンド(同5ポンド増)と増加している。

 

※2022年11月14日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

在庫と鶏肉生産の増加が豚肉価格の上昇を抑制

 
 

USDA(米国農務省)の第4四半期の生産量予測では、前年比で豚肉が1.5%減(1億1000万ポンド減)、牛肉は3%減(2億1100万ポンド減)と見込まれている。しかしこの減少は、食肉供給全体で見ると、鶏肉の3.2%増(3億5700万ポンド増)によって相殺される見通しだ。

ここ数週間のブロイラーの導入羽数は前年水準を5%上回っており、ひなふ化羽数ならびにふ化率も前年を上回っている。さらにブロイラーの体重量も増加しており、処理工場での人手不足も解消されていることから、鶏肉の供給量はUSDAの予測よりもさらに増加する可能性もある。

豚肉の全体生産量が減少する中で、ロイン・バット・リブの生産量も前年を下回っている。しかし、期近の先物価格をみると、小売業者は鶏むね肉・もも肉の販売に積極的な姿勢を示しており、祝祭日(感謝祭)が終わるまでは、ロインやリブが豚肉価格上昇の牽引力を果たすのは難しいだろう。

第4四半期の食肉全体の生産量は微減だが、一方で在庫水準と輸出の動向も注視する必要がある。10月1日時点の食肉在庫は、ターキーを除き、牛・豚・鶏肉ともに前年よりもかなり多い。需要次第では在庫過多による価格低下の懸念もある。

一方、豚肉の輸出については、メキシコ向けの増加と、中国の購入増などにより、第4半期は増加するとUSDAは予測している。これは豚肉価格を下支えする材料となり、実際に12月限の生体豚の先物価格は前年を上回る高値をつけている。

肉豚の出荷は引き続き活発だが、一部ではPRRSの症例が増加しているとの報告もある。例年、豚枝肉重量は秋の終わりから冬にかけて増加するが、この2週間の平均重量はほとんど変化がなく、前年同期比では3.7ポンド(1.7%)減少している。

来年の第1四半期の肉豚供給は2.5%減少と予測されており、これらの現在の状況を考慮すると、パッカーの生体豚購入価格は上昇する可能性があるだろう。

 

※2022年11月7日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  2022年第4四半期の主要食肉生産予測(前年第4四半期との増減)
  主要食肉の在庫量(10月1日現在の前年比増減)
 
トピック

食肉業界のGHG削減へ向けた2030年目標示す―NAMI

 
 

北米食肉協会(NAMI)は、食肉業界の持続可能性・温室効果ガス(GHG)の排出削減に関する評価測定基準である「プロテイン・PACT」策定後の初のレポートを公表するとともに、環境とその他の主要規格項目における食肉業界の2030年目標を定めた。

このレポートは、11月6日からエジプトで開催された国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)に先立って公表された。NAMIによると、会員施設の81%がGHG削減に関するデータを報告。従業者数2000人以上の全会員がデータを提出しており、全米で販売されている食肉の約9割をカバーしているという。

データを報告した施設の96%が、NAMIの動物の取り扱いガイドラインに基づく明文化された動物福祉プログラムを維持するため、供給業者に処理基準を課していること、施設の98%が定期的に食品安全プログラムの見直しと改善を実施するためのチームを編成していることが明になった。

包装に関する報告では、82%が梱包材のごみを最小限にするための取り組みを行っており、71%が生ごみの削減に取り組んでいる。また、78%がフードバンクや慈善団体へ金銭や製品を寄付。飢餓の撲滅に向けてフードバンクの能力拡大のために寄付された2022年の寄付額は900万ドルを超えている。

プロテインPACTは、食肉業界の持続可能性への取り組みの透明性の流れを変えるものだ。持続可能性の世界的な目標へ向けた業界の貢献を実証するため、環境・アニマルケア・食の安全・従業員の安全・食料安全保障の目標へ向けた計測可能な基準を設定している。
(プロテインPACT日本語の仮訳はUSMEF公式Webからダウンロードできます)
ProteinPACT.pdf (americanmeat.jp)

 

※ 2022年11月14日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
輸出動向

豚肉は2カ月連続増、牛肉は1〜9月まで記録的ペース維持

 
 

USDA発表・USMEF集計の9月の食肉輸出統計によると、豚肉輸出量は2カ月連続で前年を上回った半面、牛肉は今年初の前年割れとなった。

9月の豚肉輸出量(バラエティーミート含む)は22万2202トン(前年比同月比1%増)、輸出額は6億6480万ドル(同9%増)。1〜9月累計は194万トン(同13%減)、55億7000万ドル(同11%減)。9月の豚肉生産量に占める輸出割合は27.3%。正肉単体では23.1%。1〜9月累計は全体で26.9%、正肉23.4%。

主な国別では、メキシコ向けが7万6084トン(同4.5%減)と2021年1月以来初の前年割れを記録したが、輸出額は1億7640万ドル(同25%増)と引き続き堅調。メキシコ向けの1〜9月累計は69万6802トン(同12%増)、14億2000万ドル(同15%増)といずれも記録的なペースを維持している。

日本向けは3万1008トン(同7%増)、1億3000万ドル(同1%増)と、これまでの前年割れ基調から回復。歴史的な円安・ドル高にもかかわらず、前年同月を上回った。日本は食料やエネルギーを含むすべての輸入コストが上昇している。1〜9月累計は27万6294トン(同8%減)、11億5000万ドル(同10%減)。

韓国向けは1万2284トン(同40%増)、4310万ドル(同39%増)。1〜9月累計は13万2971トン(同4%増)、4億6720万ドル(同11%増)。韓国は食品インフレに対応し、輸入豚肉7万トンの免税割当を開始したが、米国、EU、チリはすでに関税率ゼロであり、競争環境に劇的な変化はない。この措置はカナダ(関税率は冷蔵8.6%、冷凍9.6%)、メキシコとブラジル(同25%)には優位性がある。

中国・香港向けは5万1036トン(同12%増)、1億2250万ドル(同18%増)と回復傾向がみられる。増加の大部分はバラエティミートで、3万3113トン(同17%増)。正肉は1万7923トン(同3%増)。1〜9月累計は37万4458トン(同40%減)、9億7260万ドル(同33%減)。輸出量の62%をバラエティミートが占めている。

カリブ諸島向けの1〜9月累計は7万1147トン(同32%増)、1億9,780万ドル(36%増)と大幅な伸びを続けている。ドミニカ共和国向け5万8638トン(同38%増)、1億5,290万ドル(同40%増)の大幅な伸びがけん引している。

  米国産豚肉(バラエティーミート含む)の主要国別輸出量
 

9月の牛肉輸出は11万5487トン(同7%減)、8億9030万ドル(同7%減)と減少したが、1〜9月累計では112万トン(同4%増)、91億2000万ドル(同20%増)と2021年の記録(105億8000万ドル)に次ぐ高い水準を維持している。

9月の生産量に占める輸出割合は14.1%。正肉単体では12.1%。1〜9月累計では15.4%(正肉13.2%)で過去最高(15.1%)を更新する勢い。

中国/香港向けは2万3517トン(同5%増)、2億1720万ドル(同7%増)。前月より減少したものの、ゼロコロナ政策で大都市圏での旅行制限や封鎖が続く中でも増加基調を維持。1〜9月累計は21万7028トン(同23%増)、20億ドル(同34%増)で、輸出量では日本、韓国に次いで第3位、輸出額では韓国に次いで第2位。

韓国向けは2万2120トン(同5%減)、1億8880万ドル(同9%減)と15カ月ぶりの前年割れとなった。1〜9月累計は21万9869トン(同3%増)、21億2000万ドル(同24%増)。

韓国は、インフレと韓国ウォンの急激な切り下げの中で、豚肉と同様に輸入牛肉にも免税割当(10万トン)を開設。これに伴い、米国産牛肉の関税率の優位性は一時的に解消されたが、同枠は10月中旬までに完全に活用されたようだ。

日本向けは2万4520トン(同18%減)、1億7750万ドル(同18%減)。バラエティーミート(主にタンとスカート)が2カ月連続で大幅に減少し、4104トン(同50%減)と半減したことが要因。1〜9月累計は23万6718トン(同4%減)、18億5000万ドル(同8%増)。
1〜9月累計の特徴的な動きでは、カリブ諸島向けが2万1633トン(同23%増)、1億8090万ドル(同45%増)。ドミニカ共和国とトリニダード・トバゴへの記録的な輸出とジャマイカとバハマでの需要回復が寄与している。

中東向けはUAE、クウェート、カタールの増加がけん引し、5万206トン(同9%増)、2億3080万ドル(同56%増)。台湾は9月に大幅減となったものの、累計では5万1779トン(同10%増)、6億550万ドル(28%増)と記録的な水準を維持。ASEANは4万8610トン(同12%増)、3億5440万ドル(同58%増)。フィリピン、シンガポール、タイ、カンボジアへの輸出が記録的なペースで増加している。

 

※USMEFニュースリリースより抜粋

  米国産牛肉(バラエティーミート含む)の主要国別輸出量
 
生産動向

2023年の乳牛頭数、増加の見通し

 
 

米国の2022年の雌牛と畜頭数は、前年より80万頭以上増加する見込みだが、乳用雌牛の飼養頭数は、2022年から2023年にかけて増加すると予想される。牛群全体が減少する中での乳用牛の増加は、90CL(赤身率90%の低脂肪トリミング)および特定のミドルミート(ロイン系)の供給にとっては有益だ。

乳用牛の頭数の増加と一頭あたりの搾乳量の増加により、9月の牛乳生産量は182億8000ポンド(前年同月比1.5%増)と、前年比では今年3番目に高い伸びとなった。

9月の乳用雌牛の飼養頭数は941万頭で、前年同月比6000頭増と1年ぶりに前年同月を上回った。ただ前月比では2000頭減少、今年のピークだった5月に比べると8000頭少ない。

 

※2022年11月7日 CATTLE BUYERS WEELLY

 
フードサービス

In-N-Out Burgerが消費者満足度1位に

 
 

調査会社Market Force Information社が行った「2022 QSR / Fast Casual Study」によると、QSR(クイックサービスレストラン)における最高のバーガー体験ランキングで、In-N-Out Burger(イン・アンド・アウト・バーガー)が1位を獲得した。

同調査は5173人の消費者にアンケートを行い、消費者満足度とその理由について、アメリカのQSRトップブランド53社を調査したもの。各レストランをランキングするとともに、料理のカテゴリーの枠を超えて比較している。

ハンバーガーの満足度に関しては、消費者が最も重視する要因として「食品の品質」「雰囲気」「サービスの速度」「コストパフォーマンス」「スタッフの親切さ」を調査。In-N-Out Burgerは全体の満足度80%と、マクドナルド(41%)やバーガーキング(40%)の2倍のスコアで第1位を獲得した。

In-N-Out Burgerは、食品の品質82%、スタッフの親切さ88%、清潔さ85%で、QSC(品質、サービス、清潔さ)を独占。これらのカテゴリーで次点のCulver's and Five Guysを約10%引き離し、またバーガーキング、マクドナルド、Checkers and Rally's、ジャックインザボックスの約2倍のスコアを獲得している。

調査結果の概要は下記で閲覧可能
https://www.marketforce.com/qsr-research-2022-download

 

※2022年11月17日 FOODMARKET.com

 
リテール

サンクスギビング・ディナーの費用が20%増

 
 

サンクスギビングデー(11月24日)は、多くのアメリカ人にとって家族や友達と過ごす大切な祝日だが、今年は食卓に並ぶ料理の費用が気になるところだ。Farm Bureauが毎年行っている調査では、伝統的なサンクスギビングを10人でお祝いする場合の今年の平均コストは64.05ドル、1人当たり6.50ドルだという。

これは、昨年の平均53.31ドルから10.74ドル、20%も上昇している。サンクスギビングの食卓の中心である七面鳥は、16ポンド1羽の価格が28.96ドルで、昨年より1.81ドル、21%高い。その他の材料10品目もすべて前年を上回っている。このお祝いメニューに豚モモ肉のハムとジャガイモ、冷凍インゲンを追加すると、費用は17.25ドル増加し、81.30ドルとなる。

調査結果の概要は下記からダウンロードできます。
Download additional multimedia related to the survey.

 

※2022年11月17日 FOODMARKET.com

  2022 THANKSGIVING DINNER
 
 

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