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TRADER'S Be & Po

vol.410 Sep.20.2022
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛・カットアウト続落、9月は小売の販促がカギ
豚先物は投機筋の売りで下落、と畜増で急激な調整局面に
ワールドトレード 中国の国産食肉と穀物価格、米国産の輸入価格を大幅に上回る
トピック ウォルマートがサステナブルビーフ社の株式取得
ポーク関連ニュース 豚肉在庫は依然高水準、秋季の値下げ圧力に
USMEFインフォメーション アメリカンポークの「豚から」提案、小袋とレシピ動画
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2022年7月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛・カットアウト続落、9月は小売の販促がカギ

 
 

生体牛価格は8月末に向けて続落した。第4週の主要5州の去勢牛平均価格(100ポンド当たり)は生体牛144.79ドル、枝肉232.88ドル。それぞれ前週比で2.09ドル安、1.35ドル安だった。

第5週も続落気配で、北部は火曜日(30日)に7928頭が生体牛144〜145ドル、枝肉227〜230ドル。水曜日(31日)には1万2468頭が生体牛141ドル、枝肉226〜234ドルで取引された。南部でも1万2468頭が生体牛141ドルとなった。

ボックスビーフの価格も、レイバーデー(9月5日)の祝日週の前にもかかわらず下落した。第4週のカットアウト平均価格(100ポンド当たり)は263.78ドル、前週比0.79ドル高だったが、日次ベースのカットアウト価格は月曜から木曜までに、チョイスは4.69ドル、セレクトは2.17ドル下落した。

これは、ストリップロインとショートロインが大幅に値下がりしたことが要因だ。8月上旬にポンド当たり8〜8.90ドルをつけていたストリップロインは、30日に14ロード(≒コンテナ)が平均6.61ドルで販売された。

これまで他の食肉と比較してかなり割高だったカットアウト価格が、前年同期比21%安まで値を下げたことで、今後はスーパーでも積極的な販促が展開しやすくなるだろう。レイバーデイの連休の売れ行きと、今後の販促次第では、9月中旬以降に生体牛・カットアウト価格ともに値を戻す可能性がある。

 

※2022年9月5日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

豚先物は投機筋の売りで下落、と畜増で急激な調整局面に

 
 

生体豚と豚肉卸売価格は、秋口までは持ちこたえるとの期待があったものの、8月第4週に投機筋の売りで先物取引価格が下落し、その後にカットアウト価格の大幅な値下がりが起こった。

8月第4週のと畜頭数は、月曜日から水曜日まで1日当たり48万頭前後で推移し、週間では239万5000頭に達したと見られるが、このと畜頭数の大幅な増加に連動して、カットアウト価格が急落。特にベリーとモモが大幅に値下がりした。

カットアウト価格のピークは、8月2日の100ポンド当たり131ドル。それ以降26日までに29ドル(22%)も下落した。この下落の要因の大部分は、水曜日に前日比12.5ドル(11%)安となったことだ。同週の5日間で、モモは17%安、ベリーは18%安と急落した。

ベリーの価格は金曜日に156ドルとなり、8月2日比で13.6ドル(35%)安となった。5・6月のベリーの安値を受けて、7・8月に安売りや販促が増加してきたが、この動きが一巡し、先物の下落を受けて、在庫処分の動きが強まったようだ。

7月末時点のベリーの在庫は4240万ポンド。供給が限定的だった前年に比較すると53%増、過去5年平均比でも19%増の水準にあり、季節的なと畜頭数の増加が本格化すると、在庫処分のためにさらなる調整が必要になるかも知れない。

秋季の生体豚の供給は昨年より少ないと予想されるが、9月中旬までに週間と畜頭数が250万頭台に達する可能性がある。生体豚重量はすでに増加基調に入っており、気温が低下すれば増体はさらに加速するだろう。生産者は季節的な増加に先んじた積極的な出荷が必要になっている。

 

※2022年8月29日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  ポークカットアウト価格の比較(8月2日 Vs 8月26日)
  ポークベリープライマムカットの価格推移
 
ワールドトレード

中国の国産食肉と穀物価格、米国産の輸入価格を大幅に上回る

 
 

USDA-ERS(米国農務省経済統計局)が新たに行った調査研究で、中国の主要農畜産物4種(牛肉・豚肉・トウモロコシ・小麦)の国産物の価格が、米国産の輸入価格を大きく上回っていることが明らかになった。

2020年の中国の国産牛肉価格は、米国産牛肉の輸入価格を80〜90%も上回り、豚肉価格では200〜300%もの開きがあった。豚肉価格の格差は、中国でのASFの発生で国内供給が減少したことも影響している。トウモロコシは60%高、小麦は40%高。

ERSは、これらの価格差を踏まえ、貿易障壁を撤廃することで中国の米国産食肉と穀物の輸入はさらに増加するとして、短期・中長期の2つのシナリオで予測を示した。@短期的シナリオ(1年程度)は、リソースの流動性が規制されているため、生産および貿易の反応はやや限定的と見るもの、A中長期的シナリオ(5〜10年程度)は、農業生産者の土地、労働力、資本が流動化することを前提にしており、予測のポイントは以下のとおり。

牛肉:短期的シナリオでは、中国の輸入は25.2%増加する。中長期的シナリオでは、より大幅な輸入増加が生じる(46.3%)。

豚肉:極端な価格差があるため、輸入に相当な制約がかかることになる。このモデルでは、3ケタ台の輸入増加が推定される(短期的:117%、中長期的:402%)。ベースとなった2020年は、中国の豚肉価格が異例の高さだったことから、ERSはより価格の平坦な他の年をベースに、より価格差の少ない想定でも予測したが、その場合でも、貿易障壁が撤廃されれば2ケタ台の輸入増加の実現が可能だという。

トウモロコシ:短期的シナリオで推定される中国の輸入増加は12.5%、対して中長期的シナリオでは90.9%増。これは中国の関税割当制度(TRQ)の枠を超えており、超過分には65%の関税が課される。割当超過分に関税が適用される場合、推定結果は過大となる可能性がある。

小麦:短期的シナリオで48.2%、中長期的シナリオで248.9%増と推定される。

 

※2022年9月5日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
トピック

ウォルマートがサステナブルビーフ社の株式取得

 
 

米国の小売最大手ウォルマートは8月31日、Sustainable Beef LLC(本社・ネブラスカ州ノースプラット)の少数株主持分の株式を取得することで合意したと発表した。サステナブルビーフ社はウォルマートの投資をもとに、ネブラスカ州ノースプラットに牛肉処理施設を新設する。

新施設は来月に着工し、2024年後半にオープンする予定で、800人を超える雇用を創出。1日当たりの処理能力は1500頭、年間で40万頭以上を処理加工する計画。

ウォルマートは、サステナブルビーフ社の新工場で生産される最高級品質のアンガスビーフを仕入れるための、幅広い戦略的パートナーシップを構築するとし、サステナブルビーフの取締役会にも出席する。

同社で食肉を担当する副社長のテイラー・レア氏は、「当社は、お客さまに高品質で手ごろな牛肉を提供できるよう尽力している。今回の投資を通じて、そうした製品へのアクセスをより拡大するともに、肉牛生産者と家族経営農場の長期的な成長も生み出す。牛肉のサプライチェーンをさらに可視化し、当社の刷新的なコミットメントを強化する」とコメント。

サステナブルビーフ社は、肥育業者や牧場経営者と協力して、穀物の調達や牧草地経営も行い、「動物の5つの自由」に準じたアニマルケアを行う。抗生物質の使用については、サプライヤーに「米国獣医師会の定める抗菌剤の慎重な使用方針」の適用と実施を求め、「家畜における抗生物質に対するウォルマートの考え方」に沿った対応により、牛肉サプライチェーンの改善と透明化を目指す。

同社のデイビッド・ブリッグズCEOは、「業界の生産能力を増やし、高品質牛の育成と牛肉処理分野のビジネス統合をサステナブルな方法で行える機会を生産者に提供する。家畜や作物に対するケアのあり方を改善し、高品質な牛肉を味わうというポジティブな体験を消費者へ提供するために、両社は継続して力を合わせていく」としている。

 

※2022年8月31日 FOODMARKET.com

 
ポーク関連ニュース

豚肉在庫は依然高水準、秋季の値下げ圧力に

 
 

7月末の豚肉在庫は前年同月比20%増と、依然として多い。しかし、6月から7月にかけての在庫減少率は、過去5年平均の0.8%減に対して、今年は1.6%減少しており、在庫量自体は過去5年平均とほぼ同水準になった。

モモの在庫は1億5130万ポンド(同0.8%減)、過去5年平均比では9%減。前月比では8.6%増で、過去5年平均の11%増を下回った。6・7月の高値の影響で、在庫の積み増しが鈍化したようだ。

ベリーの在庫は4240万ポンド(同53%増)、過去5年平均比18.6%増。前月比は過去5年平均の19%減に対し、20%減となった。9月以降は、生体豚のと畜頭数の増加が予想されるため、このまま在庫が増え続けることはないだろう。トリミングの在庫は5210万トン(同45%増)。

豚肉価格はここにきて急反落しているが、これは在庫処分を急いだことの現れではないかと見られる。季節的なと畜頭数の増加が本格化し、9〜10月に在庫の繰り越しが増えた場合は、豚肉価格はさらに下落する可能性もある。

 

※2022年8月29日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  冷凍豚肉の月末在庫量の推移
 
USMEFインフォメーション

アメリカンポークの「豚から」提案、小袋とレシピ動画

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、アメリカンポークの「豚から」提案を本格展開します。年々伸び続けている唐揚げ市場で注目を集めている「豚から」を、アメリカンポークのロースの新しいメニュー提案として、「豚からの素」の小袋提供とレシピ動画の紹介などで普及させる計画です。

アメリカンポークのロースを使った「豚から」は、厚切り肉で作ってジューシーに、薄切り肉で作ってカリカリ食感に、 野菜を巻いて食べ応えを…と、様々なアレンジが可能です。こうしたレシピを国内1のレシピ動画サイト「DELISH KITCHEN」で、バリエーション豊かに紹介します。

「豚からの素」の小袋(内容量:60g/水溶きタイプ)も提供します。小袋の裏面には、スライスと切り身の2種類を使った「豚から」の作り方を記載しており、また裏面のQRコードよりDelish Kitchenの「豚から」レシピサイトを視聴することが可能です。

出荷は10月17日より可能となりますが、数量には限りがありますので、在庫がなくなり次第終了となります。「豚からの素」の小袋をトレイパックの上下で留めるテープを用意しました(イメージは写真参照)。このテープデザインにはごちポファミリーの新キャラクターとして「ごちからくん」を導入しました。

店頭資材として「販促ツールセット」(B5 POP、レールPOP)と「トレイパックシール」を用意しました(USMEF販促物発注サイトよりダウンロード可能)。店頭&デジタルメディア連動の施策で、アメリカンポークのロースを使った「豚から」をより広く訴求していきますので、新しいメニュー提案として販売促進の一つとしてご活用下さい。

  今日からアレンジいろいろ豚から作ろう!
 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート