ラボバンクの最新レポートによると、2022年下半期の世界における豚肉貿易は徐々に回復する見込みだ。飼料コストがわずかながらも下がり、消費者需要にも回復力があることで、市場の見通しは改善しつつある。一方で、ASF(アフリカ豚熱)の拡大やインフレが貿易政策に影響を及ぼすなど、成長への課題も残されている。
消費者需要は、地域により依然としてバラつきがある。北米では旺盛な需要が続いており、欧州でも需要が回復しつつある。しかし、インフレへの懸念増大と経済の停滞、COVIDのリスク継続を要因に、日本、韓国、その他のアジア諸国では下半期の需要低下が予想されている。
中国の豚肉市場は、対コロナ政策に関連して依然として不透明感がある。外食分野では上半期に需要が縮小したが、下半期の見通しは上半期よりは明るいだろう。中国の豚肉価格は6月に大幅に上昇し、下半期も高値を維持することが予想される。
中国の輸入需要が上向くと予想されることから、2022年下半期の世界の豚肉貿易は、上半期の低水準から徐々に回復する見通しだ。日本をはじめ、従来の他の輸入国も引き続き堅調な輸入が続くと予想されている。
中国:供給のひっ迫と需要の回復で、肉豚価格が急上昇している。価格安定化およびインフレ抑制のための各政策が実施されている。
欧州:供給のひっ迫と夏の需要に子豚価格が支えられている。中国向け輸出量が引き
続き低下していることを受け、欧州からの輸出は多様化している。
北米:肉豚市場の強さと飼料コストの軟化により、生産者の収益性が保たれている。需要は安定しているが、経済の停滞にともない低下が予想される。
ブラジル:農家の利益は改善しているものの、依然として課題がある。輸出が年初来で9.8%減少し、豚肉価格の値下げ圧力になっている。
東南アジア:ベトナムで供給がひっ迫し、豚肉価格が上昇している。下半期の輸入は
増加する見通し。
日本:国産豚肉は価格の高騰から消費が鈍化し、輸入の増加に繋がる。
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