全米証券取引委員会(SEC)が提案し、物議を醸している温室効果ガス(GHG)に関する情報開示規則に対して、全米肉牛生産者牛肉協会(NCBA)は6月17日、多くの農業関連団体の意見を取りまとめたコメントを提出。規則案の対象範囲を上場企業に限定するよう求めた。
この規則は上場企業に対し、@自社の排出量A消費電力・エネルギーBサプライチェーン排出量の開示を求めており、株式上場する牛肉の処理業者、飲食店、小売業者へ牛肉を供給する肉牛生産者の大きな負担となることが懸念されている。
NCBAのドン・シェフェルバイン会長は、「牛肉生産者はすでに記録的なインフレや原価の高騰、労働力不足に直面しており、ワシントンから新たに官僚的な規則を課せられれば、対処不可能な負荷になる」と強調。「政策立案者は、解釈のために法律家チームを必要とするような複雑化した規則を作成するのではなく、コストを低減し、農家や牧場主が直面する現実的問題の解決に焦点を当てるべきだ」とした。
規則案は上場企業を対象としたものだが、スコープ3のサプライチェーンの排出開示命令は、肉牛生産者に負担を強いる恐れがある。さらに、連邦政府は農場または牧場レベルで排出量を正確に算出するのは不可能だと認めており、業界単位での測定は、EPA(環境保護庁)とUSDA(農務省)がすでに連邦政府の基準を満たすレベルで情報を収集している。
NCBAの環境法律家マリー・トーマス・ハート氏は、「肉牛農家や牧場経営者の数十年にわたる継続的な改善努力により、牛が排出する温室効果ガスは米国全体のわずか2%だ。農業の専門知識を持たない機関からの行き過ぎた規則で罰せられるべきではない」と主張した。
NCBAの技術的なコメント提出に加えて、各生産者がSEC委員長と議会メンバーに対して6700通を超える書簡を提出し、この規則が牛および牛肉業界の広範囲に及ぼす一連の影響について訴えた。技術的コメントは、全米ファームビューロー、全米豚肉生産者協議会(NPPC)など、多くの農業関連団体と合同で取りまとめられた。
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