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TRADER'S Be & Po

vol.405 Jul.11.2022
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース ビーフカットアウト続落、小売販促低調、生体牛は上昇
生体豚価格は前年並み、今後はと畜減で先物上昇
業界ニュース 牛肉業界、物議醸すSECの気候変動開示案に申し立て
ポーク関連ニュース 2022年の豚肉供給、生産量減少も国内消費は微増見通し
生産動向 牧草の状況は依然厳しい、雌牛の淘汰進む
消費動向 自宅での食事、2024年まではパンデミック前を上回る
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2022年5月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

ビーフカットアウト続落、小売販促低調、生体牛は上昇

 
 

牛肉の卸売価格は5月初旬以降、前年を大きく下回っているものの、小売チェーンでの牛肉販促は依然として消極的で、販促チラシに牛肉を掲載しない小売チェーンも少なくない。

6月第3週のカットアウト価格は100ポンド当たり260.18ドル(前年同週比17.7%安)、前週比3.96ドル安と続落した。チョイスの平均価格は259.42ドル、同4.79ドル安。第4週には、前半4日間で1.60ドル下げて264.66ドルとなった。

USDA公表の5月の牛肉小売価格は、ポンド当たり7.37ドル(前年同月比9.5%高)。チョイスは平均7.68ドル(同10.3%高)。アナリストは、「小売業者は販売量が減っても高値を維持することで、牛肉マージンを最大化している。食品インフレの影響が拡大する中で、結果的に豚肉と鶏肉の購入量が増えている」という。

生体牛の現金取引価格は、南部に対して北部が引き続き大幅な高値をつけている。第3週の主要5州の平均価格は、生体牛143.67ドル、枝肉229.73ドルだったが、第4週は水曜日までの取引で、北部では生体牛145〜148ドル、枝肉238〜240ドル。サザンプレーンズでは生体牛137〜141ドルだった。

地域によって猛暑の影響も出ている。6月11日以降、カンザス南西部を襲った猛暑で2000頭以上の牛が死亡し、同州政府は損失を出した牛生産者に対し、新たな補償を実施すると発表した。6月11日までの1週間に格付された牛の等級割合は、プライム7.83%、チョイス72.47%、セレクト16.76%。プライムの割合が8%を下回るのは2019年8月中旬以来のことだ。

 

※2022年6月27日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

生体豚価格は前年並み、今後はと畜減で先物上昇

 
 

例年、6〜7月は季節的に豚のと畜頭数が減少するが、6月第3週の週間と畜頭数は推定237万2000頭(前年同週比2.9%減)と、前週比では横ばいだった。3月時点のUSDAの豚飼養動向調査を基に推測すると、今後4〜6週間の通常週(祝祭日なし)のと畜頭数は230万頭となるだろう。

4、5月および6月上旬のと畜頭数は、週間平均で前年比2.3%減と当初予想(3.5%減)を上回っている。肥育豚の供給が当初の見通しより多い可能性もあるが、生体豚の現金取引価格が100ポンド当たり108.58ドルと前年水準に近いことから、生産者が積極的に出荷しているようだ。

平均枝肉重量は212.8ポンド(同0.5%増)だが、前月比では2ポンド減。昨年6月には、下旬に枝肉重量が急激にダウンしたが、例年はもっと緩やかなペースで減少しており、今後の短期的な価格動向を左右する一つの要因として、枝肉重量を注視する必要があるだろう。

生鮮豚肉の需要は昨年ほど強くはないものの、依然として良好だ。ロインプライマルの価格は徐々に回復しており、父の日や7月4日を前に底堅い。競合する製品の高値、特に牛ひき材と鶏ムネ肉の高値も下支え要因だ。

加工原料用は、昨年とはかなり状況が異なる。処理業者の手持ち在庫が多く、さらに今年初めからの高値で需要が分散しているが、モモ・バラ・トリミングはここ4週間で総じて上昇基調にある。今後はと畜頭数の減少で、先物市場のさらなる上昇が見込まれる。

 

※2022年6月20日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  豚の週間と畜頭数
 
業界ニュース

牛肉業界、物議醸すSECの気候変動開示案に申し立て

 
 

全米証券取引委員会(SEC)が提案し、物議を醸している温室効果ガス(GHG)に関する情報開示規則に対して、全米肉牛生産者牛肉協会(NCBA)は6月17日、多くの農業関連団体の意見を取りまとめたコメントを提出。規則案の対象範囲を上場企業に限定するよう求めた。

この規則は上場企業に対し、@自社の排出量A消費電力・エネルギーBサプライチェーン排出量の開示を求めており、株式上場する牛肉の処理業者、飲食店、小売業者へ牛肉を供給する肉牛生産者の大きな負担となることが懸念されている。

NCBAのドン・シェフェルバイン会長は、「牛肉生産者はすでに記録的なインフレや原価の高騰、労働力不足に直面しており、ワシントンから新たに官僚的な規則を課せられれば、対処不可能な負荷になる」と強調。「政策立案者は、解釈のために法律家チームを必要とするような複雑化した規則を作成するのではなく、コストを低減し、農家や牧場主が直面する現実的問題の解決に焦点を当てるべきだ」とした。

規則案は上場企業を対象としたものだが、スコープ3のサプライチェーンの排出開示命令は、肉牛生産者に負担を強いる恐れがある。さらに、連邦政府は農場または牧場レベルで排出量を正確に算出するのは不可能だと認めており、業界単位での測定は、EPA(環境保護庁)とUSDA(農務省)がすでに連邦政府の基準を満たすレベルで情報を収集している。

NCBAの環境法律家マリー・トーマス・ハート氏は、「肉牛農家や牧場経営者の数十年にわたる継続的な改善努力により、牛が排出する温室効果ガスは米国全体のわずか2%だ。農業の専門知識を持たない機関からの行き過ぎた規則で罰せられるべきではない」と主張した。

NCBAの技術的なコメント提出に加えて、各生産者がSEC委員長と議会メンバーに対して6700通を超える書簡を提出し、この規則が牛および牛肉業界の広範囲に及ぼす一連の影響について訴えた。技術的コメントは、全米ファームビューロー、全米豚肉生産者協議会(NPPC)など、多くの農業関連団体と合同で取りまとめられた。

 

※2022年6月17日 FOODMARKET.com

 
ポーク関連ニュース

2022年の豚肉供給、生産量減少も国内消費は微増見通し

 
 

米国の豚肉生産量は、2021年の277億ポンド(前年比2.2%減)に続き、2022年も271億ポンド(同2.1%減)と減少することが予想される。しかし、国民一人当たり消費量は前年並みから微増と予想される。

中国の米国産豚肉の輸入が著しく減少しているが、これは国内生産の流通量が増えているためだ。米国の豚肉業界にとって、過去20年間は輸出が成長の主因であり、ここ数年間の国内消費量は右肩下がりとなっている。

これは、豚肉生産量における輸出の割合が増加しているためで、その割合は他の食肉に比べてかなり早いスピードで成長している。2000年以降、米国の豚肉輸出量は4倍に増加した。対して牛肉は36%増、ブロイラーは50%増だ。

2023年の豚肉生産量は、繁殖豚の生産性向上を主因に0.5%増と予想され、輸出がより重要になるだろう。USDAは2023年の豚肉輸出量を65億ポンド(前年比1.6%減)と予想している。これは今年の予想量よりも約1億1千万ポンド少ない。

 

※2022年6月20日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の国民1人当たりの牛肉・豚肉・鶏肉消費量
  2022年の主要食肉の輸出量の増加予測(対2000年)
 
生産動向

牧草の状況は依然厳しい、雌牛の淘汰進む

 
 

干ばつの状況は5月にやや改善したものの、牧草地の状態は昨年に比べると依然として厳しい。USDAの報告では、5月1日時点で牧草の在庫は前年比18%減となっている。

USDA-ERSの最新の需給予測では、乾草の価格上昇に加え、燃料および化学肥料の価格が繁殖農家の大きな負担になっているとし、経営コストの上昇を相殺・削減するために、牛群の淘汰がさらに進む可能性があると指摘している。

年始から4カ月間の肉用経産牛のと畜頭数は、前年同期比で15%増加。5月の4週間の平均では、経産牛のと畜頭数が週当たりでおよそ1万頭多い。ERSは第2・第3四半期の経産牛のと畜頭数の予測を上方修正した。第4四半期には、と畜可能な雌牛はかなり少なくなる見通しだ。

6月第1週のオクラホマにおける750〜800ポンドの肥育素牛(去勢)の価格は、100ポンド当たり158.08ドル。第2四半期の価格予測は、前回予測より2ドル低い157ドルに修正されたが、下半期の予想に変更はなく、年間の予想価格は162.30ドル。2023年は198.00ドルに上昇するとの予想のままだ。

 

※2022年6月27日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
消費動向

自宅での食事、2024年まではパンデミック前を上回る

 
 

急激なインフレを受けて、消費者意識は支出削減に向かっている。節約の一つの方法は、自宅での食事を増やすことだ。パンデミック中、やむを得ず自宅で食事をとる消費者は過去最多となったが、平常化以降もその数はパンデミック前の水準を上回っている。

調査会社のNPDグループが行った「将来の夕食」調査では、自宅で食事をする人の数が2024年まで高い水準を維持すると予測している。一方で、消費者は多忙なライフスタイルを再開しているため、食事の支度においては手軽さを求めており、冷凍食品や調理済み食品など調理のほぼ不要な時短・簡便性食品は2024年まで成長を続けるとしている。

特に平日の需要を受けて、小売店での調理済み食品売上は、2024年まで2ケタ台成長が予想される。レストランの持ち帰りや宅配も成長すると予想される。パンデミック中、フードサービスや小売で買った調理済み食品と、自宅で作った料理を組み合わせることが増え、新たな食事形式が創り出された。

NPDの食品・飲料業界アナリストは、「自宅で食事をする人の増加傾向は、今後も継続するだろう。人々のライフステージと経済状況の変化によって、自宅での食事に対する依存度はさらに増える。全世代の消費者が、習慣に従って同じ食事を作るといった日々の繰り返しから抜け出したいと考えている。食品メーカーや小売業者は、多様な調理スキルやニーズに合わせて、手軽な食材や食事を新たに提供することで、食事の支度に疲れた消費者を手助けできる。また、大幅なインフレ下の今は、価格も消費者の最優先事項になる」と指摘している。

 

※2022年6月28日 FOODMARKET.com

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート