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TRADER'S Be & Po

vol.401 May.16.2022
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
農産物価格の高騰と食糧不安をもたらすウクライナ紛争とその他の要因〜米国農務省海外農業局(USDA-FAS)レポート〜
市況ニュース 肥育牛価格が大幅上昇、グリルシーズン向け需要増で
ターキーの供給減、豚モモ価格の潜在的な変動要因に
輸出予測 2022年の米国の食肉輸出は減少見通し―USDA
食肉在庫 春夏の供給ひっ迫に備え、在庫の積み増し進む
生産動向 牛群のさらなる淘汰が進む、干ばつや経済的な要因で
フードサービス 2022年米国レストランランキング、トップ50で16%増
USMEFインフォメーション 「トライ!アメリカンビーフ!キャンペーン」を全国展開
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2022年3月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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  農産物価格の高騰と食糧不安をもたらすウクライナ紛争とその他の要因〜米国農務省海外農業局(USDA-FAS)レポート〜
 

米国農務省海外農業局(USDA-FAS)の世界市場分析スタッフは、「農産物価格の高騰と食糧不安をもたらすウクライナ紛争とその他の要因」(仮訳)と題するレポートを公表した。

同レポートでは、農産物の商品価格が記録的な高値になっている理由を、マクロ経済学的要因、農業商品の市場力学、地政学的情勢などの視点から分析するとともに、世界の農産物貿易の変化や今後の生産予想などをまとめている。

USMEFは、同レポートの日本語版(仮訳)を作成しました。レポートは下記より閲覧、ダウンロードできます。
URL:https://www.americanmeat.jp/trd/database/report/pdf/FAS_REPORT.pdf

 
市況ニュース

肥育牛価格が大幅上昇、グリルシーズン向け需要増で

 
 

生体牛の現金取引価格は、グリルシーズンに向けた需要の強まりから上昇に転じた。4月第3週の主要5州の生体牛(去勢)の平均価格は、100ポンド当たり141.02ドル、前週比1.20ドル高。枝肉価格は225.89ドル、同3.46ドル高。週平均価格としては、2月第4週に付けた今年の最高値を更新した。

第4週前半も、生体牛は前週比3〜4ドル高と続伸した。ネブラスカ・アイオワ・ミネソタでは、4万頭強が生体牛144〜145ドル、枝肉は230ドルで取引され、カンザスとテキサスでは同1ドル高の140ドルで3万643頭が取引された。

生体牛先物価格も第4週前半に反発した。水曜日までに4月限の先物が259ポイント高の143.07ドル、6月限は282ポイント高の138.62ドル、8月限は277ポイント高の140.15ドルと上昇。木曜日に4月限の終値は144.10ドルまで上昇した。

一方、牛肉の卸売価格は弱含みで推移した。第3週のカットアウト平均価格は100ポンド当たり272.85ドル、前週比1.81ドル高、前年同週比2.6%高だったが、第4週はチョイスのカットアウト価格が前半4日間で2.45ドル安の270.17ドル、セレクトは同3.22ドル安の255.68ドルとなった。しかし全米各地でグリルシーズンの本格的な幕開けとなる5月中旬に向けて、今後は上昇することが予想される。

 

※2022年年4月25日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

ターキーの供給減、豚モモ価格の潜在的な変動要因に

 
 

高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)が全米各地で発生している影響で、ターキーの供給が夏に向けて急激に減少する見通しだ。これが秋季の豚骨付きモモ肉の価格の潜在的な変動要因となりそうだ。

米国農務省(USDA)の報告では、2月第1週以降4月までのターキーの殺処分羽数は3160万羽。その大部分は採卵用雌で、肉用雄は470万羽だが、これは第2四半期のと体羽数の5.5%減、第3四半期の3%減に相当する。2015年の発生例から推測すると、処分羽数は今後も増加する可能性がある。

ターキーのホール(丸)は、秋のホリデーシーズン(感謝祭)の目玉商品だ。一部の大規模小売業者は、昨年末から今期シーズン用の手当を積極的に進めてきた。HPAIを予期したものではなく、飼料コストの高騰と供給可能量の少なさを見込んでのことだが、これにHPAIが加わったことで、小規模な小売業者にとっては、荷の確保が大きな課題となりつつある。

現在のターキーのブレストミート(骨なし・皮なし)の価格は、ポンド当たり5.50ドル。ほぼ毎日続伸しており、7ドルに乗せる可能性もあるという。サプライヤーが従来の価格帯(3〜4ドル)で製品を受け渡すのは困難な状況になりつつある。

一方、現在の豚モモ肉の価格は、ボンインハムがポンド当たりで70セントを割り、ボンレスハムも1.60ドルを下回っている。他の食肉価格が劇的に値上がりしている中で割安感が強い。ターキーの供給減は豚モモ肉価格を下支えするだろう。

 

※2022年4月25日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  ターキー(雄)と豚肉骨付きモモ(#23-27)の月間平均価格
 
輸出予測

2022年の米国の食肉輸出は減少見通し―USDA

 
 

USDA-ERS(米国農務省経済調査局)は、2022年の米国の食肉輸出量(枝肉換算)について、牛肉は33億ポンド、生産量に占める割合は11.9%と予想している。豚肉は65億9500万ポンド、同24.4%、ブロイラー73億6500万ポンド、同16.3%、ターキー3億7500万ポンド、同6.9%の予想。

2021年の輸出量は、牛肉が34億4700万ポンド(生産量に占める割合12.3%)、豚肉70億3000万ポンド(同25.4%)、ブロイラー73億6700万ポンド(同16.4%)、ターキー5億4900万ポンド(同9.9%)で、2022年は主要品目全ての輸出量が前年を下回る見通しだ。

一方、USDA-FAS(海外農業局)の世界の畜産物需給と貿易に関する最新レポートでは、2022年の世界の牛肉消費量は微増すると予想されている。中国、ブラジル、インド、メキシコ、日本では消費量が増加し、米国、欧州、ロシア、英国、カナダでは減少する見通し。

世界の牛肉輸入量は、中国・香港、米国、日本、韓国、欧州で増加する見通し。2017年に米国を抜いて世界最大の牛肉輸入国となった中国・香港は、2022年も牛肉輸入量が増加する見通しで、世界の牛肉輸入量の35%超を占めると予想される。

日本は牛肉消費国としては第9位だが、輸入国としては第3位。2015年以降、一貫して第3位を維持しているが、近年の輸入量は横ばい傾向。第4位の韓国は、過去5年間の平均成長率が2%増と堅調な伸びを見せている。

 

※2022年4月25日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
食肉在庫

春夏の供給ひっ迫に備え、在庫の積み増し進む

 
 

3月末の牛肉・豚肉・鶏肉・七面鳥肉の全在庫は21億1000万ポンド(前年同月比4.2%増)、過去5年平均比では8%減。前月比過去5年平均の0.6%減に対して1.1%増とわずかに回復した。

牛肉の在庫は推定5億3690万ポンド(同11.2%増)で、3月末としては過去最高。過去5年平均比では13.5%増。うちビーフカットは推定5380万ポンド(同53.8%増)、過去5年平均比40.9%増。前月比では、過去5年平均の2%減に対して、6%増と積み増しされた。ボンレスビーフは4億8720万ポンド(同8.1%増)。前月比では過去5年平均の3.6%減に対し、0.6%増。

在庫の増加は、輸出の鈍化および5、6月の価格上昇に備えた積み増しと、経産牛のと畜増による供給増が、在庫を押し上げた可能性がある。夏季のグリルシーズンは、この在庫量の多さが牛肉価格のインフレを抑制するのに役立つかも知れない。

一方、豚肉の全在庫は4億8720万ポンド(同8%増)、過去5年平均比14%減。依然少ないが、前月比では1.5%増とやや回復した。例年2月末から3月末は減少するが、今年はイースターの時期が遅かったことも影響したようだ。

モモは7410万ポンド(同21.8%増)、過去5年平均比15.7%減。前月比は12%減だが、例年に比べて減少幅は小幅にとどまった。バラは5680万ポンド(同60.4%増)、過去5年平均比12.6%増。前月比では過去5年平均9%増に対し、13%増となっており、夏季の供給ひっ迫・価格上昇を懸念するエンドユーザーが在庫の積み増しに動いたようだ。

鶏肉の在庫は7億7740万ポンド(同5.1%増)、過去5年平均比6.7%減。

 

※2022年4月25日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  (左)牛肉の月末全在庫量の推移/(右)豚肉の月末全在庫量の推移
 
生産動向

牛群のさらなる淘汰が進む、干ばつや経済的な要因で

 
 

USDAの最新報告によると、干ばつやマクロ経済的な要因によって米国の肉牛生産者は牛群のさらなる淘汰を進めざるをえない状況にあるようだ。肉用経産牛のと畜頭数が増加しており、第1四半期のノンフェッド牛のと畜頭数は過去数十年で最高の水準にある。

肥育牛以外のと畜頭数の増加を踏まえて、USDAは2022年の牛肉生産量予想を277億ポンドに上方修正した。経産牛の出荷価格は四半期を通じて上昇し、去勢牛および肥育素牛の価格は2022年後半の供給ひっ迫によって上昇すると予想される。

と畜牛の連邦検査データでは、2022年第1四半期の肥育牛以外のと畜頭数は、1980年代半ば以来の高い水準に達している。年始以降12週間の平均で、肉用経産牛は前年比18%増、雄牛は15%増加した。乳牛のと畜頭数は3%減少した。

肉用経産牛のと畜頭数は、例年第4半期に多くなるが、今年は速いペースで増加している。飼料コストの高騰、国土の広い範囲で干ばつが発生していること、そして経産牛の出荷価格の歴史的高値を受けて、繁殖農家は牛群のさらなる削減を決断している。USDAは、これらに加えて燃料価格・穀物価格・経営コストの上昇などのマクロ経済的な状況も、生産者の決定に影響を与えていると分析している。

3月29日の「U.S. Drought Monitor」によると、国土の69%超が一定水準の干ばつの状況下にある。この地域では全米の牛飼養頭数の61%超が飼養されている。昨年の同期に干ばつの影響を受けていた牛群は35%にすぎない。この時期に、これほど広域にわたる干ばつが起きたのは2013年4月2日以来のことだ。

干し草の価格は、1〜2月は横ばいだったが、現在は前年比5%高にある。地域によって上昇率に格差があり、政府統計では前年比3%〜80%高と報告されている。

加工用牛肉のCL90・CL50の価格が2021年7月以降、記録的な高さを維持していることも経産牛のと畜を増加させる一因だ。USDAの予測では、2022年の経産牛価格は100ポンド当たり79ドルと予想される。これは前年比22%高で、2015年以降で最も高い。

 

※2022年4月25日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
フードサービス

2022年米国レストランランキング、トップ50で16%増

 
 

調査会社のNPDグループが発表した「2022アメリカのレストランランキング」(決定版)によると、2021年の米国のレストラン業界は、在宅勧告の解除により顕著な回復傾向を見せた。2021年のレストラン全体の売上高(オンライン販売含む)は、前年比9%増。2020年の同12%減から大幅に回復した。パンデミック前の2019年と比較すると4%減だが、2022年は2019年の98%まで回復すると予想されている。

レストラン全体の傾向と同様に、トップ50社の総売上高は2020年の2340億ドルから2021年には2690億ドルと15%増加した。トップ50の内訳に大きな変化はなく、新たにランクインしたのは1社のみ(TGIフライデーズが50位に戻り、デル・タコスがパンデミック前と同じ51位に下がった)。

トップ5はマクドナルド、スターバックス、チックフィルA、タコベル、ウェンディーズで、いずれも前年の順位を維持した。6位にはサブウェイが返り咲き、バーガーキングが7位とパンデミック前の位置に戻った。

トップ25で見ると、順位を維持したのはトップ5社のほか、ソニック、ピザハット、デイリークイーンの計8社。順位を上げたのは7社で、うち4社はカジュアルダイニングが占めており、店内サービス業態も確実に回復している。ステーキ専門チェーンは22位のテキサスロードハウスに次いでアウトバックステーキハウス(売上高24億9680万ドル、695店舗)が29位にランクインしている。

  アメリカのレストラン・ランキング(2022確定版)(トップ50社中上位25社を抜粋)
 
USMEFインフォメーション

「トライ!アメリカンビーフ!キャンペーン」を全国展開

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、8月1日〜9月30日まで全国の外食店を対象とした「トライ!アメリカンビーフ!キャンペーン」を展開します。アメリカンビーフを使用した1000円以上(税抜)のメニューを注文したお客さまの中から抽選で豪華賞品をプレゼントします。

参加店舗は、抽選くじをお客様に渡すだけで実施できる簡単な方法で実施します。抽選くじに記載されたQRコードをお客様自身がスマフォで読み取り、シリアルナンバーを入力すると、その場で当落が判明する仕組みです(賞品は事務局よりお客様にお届け)。

キャンペーン資材は「抽選くじ」「店内掲出用B2ポスター」「三角POP」「A4出力用データ」をセットにして、必要数をご提供します。USMEFの公式SNSツールやWEBサイトでキャンペーンを告知するとともに、SNS広告等も出稿して幅広い層へ訴求し、アメリカンビーフを取り扱う外食店様を盛り上げていきます。

賞品はA賞=アメリカンビーフ・サーロイン1kg(200名)、B賞=アメリカンビーフトートバッグ(1000名)を予定しています。本件に対するお問合せならびにキャンペーン参加希望はUSMEFの担当(笠谷・高梨)までご連絡下さい。

  外食店CPN/キャンペーン展開案
 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート