USDAの最新報告によると、干ばつやマクロ経済的な要因によって米国の肉牛生産者は牛群のさらなる淘汰を進めざるをえない状況にあるようだ。肉用経産牛のと畜頭数が増加しており、第1四半期のノンフェッド牛のと畜頭数は過去数十年で最高の水準にある。
肥育牛以外のと畜頭数の増加を踏まえて、USDAは2022年の牛肉生産量予想を277億ポンドに上方修正した。経産牛の出荷価格は四半期を通じて上昇し、去勢牛および肥育素牛の価格は2022年後半の供給ひっ迫によって上昇すると予想される。
と畜牛の連邦検査データでは、2022年第1四半期の肥育牛以外のと畜頭数は、1980年代半ば以来の高い水準に達している。年始以降12週間の平均で、肉用経産牛は前年比18%増、雄牛は15%増加した。乳牛のと畜頭数は3%減少した。
肉用経産牛のと畜頭数は、例年第4半期に多くなるが、今年は速いペースで増加している。飼料コストの高騰、国土の広い範囲で干ばつが発生していること、そして経産牛の出荷価格の歴史的高値を受けて、繁殖農家は牛群のさらなる削減を決断している。USDAは、これらに加えて燃料価格・穀物価格・経営コストの上昇などのマクロ経済的な状況も、生産者の決定に影響を与えていると分析している。
3月29日の「U.S. Drought Monitor」によると、国土の69%超が一定水準の干ばつの状況下にある。この地域では全米の牛飼養頭数の61%超が飼養されている。昨年の同期に干ばつの影響を受けていた牛群は35%にすぎない。この時期に、これほど広域にわたる干ばつが起きたのは2013年4月2日以来のことだ。
干し草の価格は、1〜2月は横ばいだったが、現在は前年比5%高にある。地域によって上昇率に格差があり、政府統計では前年比3%〜80%高と報告されている。
加工用牛肉のCL90・CL50の価格が2021年7月以降、記録的な高さを維持していることも経産牛のと畜を増加させる一因だ。USDAの予測では、2022年の経産牛価格は100ポンド当たり79ドルと予想される。これは前年比22%高で、2015年以降で最も高い。
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