印刷する
 

TRADER'S Be & Po

vol.400 Apr.25.2022
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース カットアウト価格続伸、生体牛は横ばい
生体豚は夏季先物が下落、カットアウトは上昇に余地
トピック E15の夏季販売許可でトウモロコシのさらなる上昇懸念
ウクライナ戦争が食肉市場に及ぼす影響―NPBウェビナー
業界ニュース NCBAがブラジル産牛肉の輸入停止を再要請
輸出動向 米国産牛肉輸出は世界的な需要増で好調、豚肉は前年割れ
ワールドトレード 今年の豪州の牛肉輸出、低調なスタート
リテール 食料品のサステナビリティに関する意識は多様―クローガー調査
USMEFインフォメーション アメリカンポーク「ピクニック」の活用動画を公開
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2022年2月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
定期購読(無料)の登録はこちら バックナンバーはこちら
 
市況ニュース

カットアウト価格続伸、生体牛は横ばい

 
 

フィードロットの出荷待ちの牛は潤沢だが、ここ数週間の肥育牛の週間と畜頭数は50万頭前後で推移している。3月に牛肉需要が緩んだことも一因だが、ビーフカットアウト価格は上昇しており、パッカーは良好なマージンを維持している。

アナリストによれば、今年これまでの13週間のパッカーマージンは1頭当たり平均253.60ドル。これは昨年第1四半期の301.38ドルに次ぐ高い記録だ。第1四半期の最高は456.29ドル、最低は99.32ドル。ここ3週間は低水準で推移していたが、3月28〜4月1日の週間平均は222.30ドルと再び上昇した。

カットアウト価格はグリルシーズンに向けて続伸している。同週の平均価格は100ポンド当たり266.06ドル、前週比2.40ドル高。チョイスは264.15ドル、同3.53ドル高。この上昇をけん引しているのは牛ひき材だ。50CLは127.87ドル(前年同週比89.2%高)、90CLは282.73ドル(同22.1%高)と高値で推移している。

先週のカットアウト価格は、前半4日間で3.86ドル上昇し、271.00ドルをつけた。アナリストは、「小売業者は例年イースター(今年は4月15日)が終わると、牛肉の季節的な需要増加に向けた手当を行うため、カットアウト価格は続伸する。今年はメモリアルデーまでの価格上昇が、例年より早い可能性がある」と予想する。

一方、生体牛の現金取引価格は100ポンド当たり138.00ドルと前週比横ばいで推移した。サザンプレーンズでは137ドル、北部では140ドル前後で取引された。特徴的だったのは非常に早く取引が成立したことだ。

4月限の先物が月・火曜日で185ポイント下げ、136.80ドルで終えたことから、ヘッジ取引を行う肥育業者が現状のベーシス(先物と現金取引の価格差)で利益確定を急いだためだ。アナリストはこれが現金取引価格の回復力を削いだと指摘する。

 

※2022年年4月11日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

生体豚は夏季先物が下落、カットアウトは上昇に余地

 
 

USDA(米国農務省)が3月30日に公表したPig & Hogsレポート(3月1日現在の豚飼養動向調査)は、多くの数値がアナリストの予想を大幅に下回った。これを受けて、生体豚の6月限の先物価格は現金市場より割高を維持しているももの、下落傾向に転じた。

レポート公表前の週に動きが注目されていた投機資金は、ロング(買い)が6万5122本とかなり多かった。しかし、ロングポジション(保有)とホールド(買い持ち)は別だ。公表の翌週、ロングポジションは15%・9623本も減少した。

今回のレポートで最も予想外だったのは、飼養頭数が前年比2%減少したことではなく、繁殖豚の規模が縮小(同2%減)したことだ。6月限の先物取引が期先物より下落した理由もここにある。

下図のとおり、第4四半期から2023年初めまでの生体豚とカットアウト価格は、前年より高い価格帯で推移することを示している。3月1日時点の繁殖豚の縮小は、3〜5月期の子豚生産頭数の減少、そして9〜11月期の豚肉供給量の減少を意味する。投機筋は、夏季のアップサイドリスク(利益発生の可能性)を限定的だとみて、資金を秋・冬季の取引へ移動するのが賢明だと判断したのだろう。

カットアウト価格は1・2月に反発し、2月に110ドル台に乗せた。これを受けて先物関係者は供給が季節的に減少し、需要の増加する6月には豚肉価格がさらに上昇すると予想して、6月限先物に120ドルを付けた。

しかし、カットアウト価格は3月に上げ止まった。夏季先物の高値がフォワード取引(先渡)にも悪影響を及ぼし、生鮮豚肉、特にロインの荷動きを鈍らせたことが要因だ。夏・秋の市況予想は下方修正が必要になったものの、カットアウト価格自体は現在の水準より高くなり、前年を上回る可能性も残している。

 

※2022年4月11日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  ポークカットアウト価格の推移(日次ベース)
 
トピック

E15の夏季販売許可でトウモロコシのさらなる上昇懸念

 
 

バイデン政権は4月14日、ガソリンに混合するエタノールの割合を高めることを一時的に許可する計画を発表した。政権は、「E15」(エタノール15%混合ガソリン)の使用を増加させることは、消費者の燃料費引き下げに役立つとしている。

この決定は、トウモロコシ生産者とエタノール生産会社にとっては歓迎すべきことだが、一部には穀物をより高価にし、食糧価格をさらに上昇させる可能性があるとの懸念もある。

エタノールは米国の燃料供給の10%を占める。通常、連邦政府は夏季にエタノールの混合を10%に制限するが、今回の決定は6月1日から9月15日までE15を販売できるようにする。再生可能燃料協会によると、これにより、E15の消費量(2021年8億1400万ガロン)は2022年に約3億ガロン増加すると予想している。

トウモロコシの価格は、ロシアのウクライナ侵攻のために、すでに跳ね上がっている。E15の使用が年間を通して続けば、需要増加で価格をさらに押し上げる可能性がある。全米チキン協会は、エタノール使用量の増加は、トウモロコシなどの穀物に大きく依存している食肉加工業者や食品会社のコスト上昇に繋がり、トウモロコシに依存するすべての食品価格を上昇させる可能性が高いという。

USDAによると、米国で栽培されたトウモロコシの約40%がエタノールの製造に使用されている。今回の決定が農業や食品市場にどの程度の影響を与えるかの予測は難しいが、米国のトウモロコシ需要を2500万から4500万ブッシェルに増加させるとの予想もある。

 

※2022年4月14日 FOODMARKET.com

 
 

ウクライナ戦争が食肉市場に及ぼす影響―NPBウェビナー

 
 

全米豚肉委員会(NPB)は4月5日、ウェビナー「ウクライナ・ロシア戦争と食肉・家畜バリューチェーン」を開催した。パネリストはGira社のルパート・クラクストン氏、Partners for Production Agriculture社のジョー・カーンズ氏とスティーブ・マイヤー博士の3氏。それぞれが経済・エネルギー・肥料・飼料・家畜・食肉市場の点から戦争の衝撃が世界市場にもたらす影響に関する情報を提供した。

【 肥 料 】

ロシアは、世界の肥料生産で13%のシェアを占める。原料別の生産量シェアは、アンモニア23%、炭酸カリウム21%、尿素14%。農場では肥料価格が上昇し、マージンが圧迫されていることから、肥料の購入や保有している肥料の使用を抑える可能性がある。これが、農産物の世界的な収穫量の減少と輸出の減少、そして穀物価格の高騰につながる可能性がある。

【 飼 料 】

ロシアとウクライナは両国ともに、油料種子と穀物、特に小麦の大規模な生産国であり輸出国である。ウクライナ侵攻前から、これらの価格はすでに異常気象とサプライチェーンの混乱、原価の高騰を受けて上昇していた。しかし輸出制限や生産の先細りで、事態は更に困難になっている。

ウクライナのトウモロコシおよび小麦の主要生産地は、植え付け期が近づいているものの、今もロシア軍に占領されている。加えて原価の急騰、流動性の低さ、戦時中の義務、労働力と物流網の混乱が要因となって、ウクライナの収穫高は低い見通し。冬小麦は7、8月に収穫する必要があるため、収穫できるかどうかは時が来なければ分からない。

【 食肉市場 】

戦争の直接的影響は、食肉よりも飼料コストの高騰に集中している。ウクライナの主要タンパク質は鶏肉だが、エネルギーの停止、サプライチェーンの混乱、労働力不足によって、生産は急減している。

世界の食肉供給への直接的影響は懸念していない。特に輸出が停止している鶏肉をはじめ、ウクライナ産の約50万トンのタンパク質が失われても、他の国々がカバーできる。インフレとガスの価格高騰によって可処分所得が圧縮されているため、世界的な消費も減少する。

現時点での最大の懸念は、消費の減少だ。不確実な時期には人々は取引を控えるため、それを見通しに入れておくことが重要。生産者は自らのリスクを国内管理し、このような変動性の高い期間の生体豚価格の現実性を確認しておくべきだ。気候変動の悪影響や、飼料コストの高騰、貿易のジレンマにもかかわらず、豚肉価格の見通しは明らかに強気だ。

 

※2022年4月6日 FOODMARKET.com

 
業界ニュース

NCBAがブラジル産牛肉の輸入停止を再要請

 
 

ブラジル産牛肉の輸入急増を受けて、全米肉牛生産者牛肉協会(NCBA)はブラジルからの牛肉輸入の即時停止を改めて要請した。NCBAは、米国の牛群の安全を確保するために、ブラジルの動物衛生および食品安全システムの徹底的な監査を行うよう繰り返し求めている。

米国のブラジルからの牛肉輸入は、2021年に131%増加。2022年は1〜3月ですでに5万トン以上に達した。これにより、ブラジルなど「その他の国」は関税割当て枠を超過し、今年の残りの期間は26.4%の関税が課される。

一時的な関税引き上げは、ブラジルからのさらなる輸入を抑制するかもしれないが、ブラジルが国際動物衛生および食品安全基準を何度も遵守していないことに対する根本的な懸念の対処にはならない。

NCBAのイーサン・レーン政府担当副社長は、「ブラジルがBSEの症例を適切に報告しなかった経緯を踏まえて、輸入を停止するようビルサックUSDA長官に再度要請する。USDAがブラジル産牛肉に対する姿勢を再考し、米国の食品サプライチェーン全体の完全性を保護するために必要な行動をとることを強く求める」と述べた。

背景: 米国で消費される牛肉のうち、輸入はわずか12%。その75%近くは、牛ひき肉用の赤身のトリミングで、脂肪の多いトリミングと組み合わせて使用されている。「その他の国」の年間割当量は6万5000トン。枠内の関税はKg当たり4.4セントで、超過すると26.4%の関税が課せられる。2022年の残りの期間、ブラジル、日本、アイルランド、リトアニア、英国の牛肉に対して適用される。

 

※2022年4月11日 NCBA News release

 
輸出動向

米国産牛肉輸出は世界的な需要増で好調、豚肉は前年割れ

 
 

USDA公表・USMEF集計の食肉輸出統計によると、2月の米国産牛肉の輸出は、アジアおよびラテンアメリカの主要市場での成長がけん引して、好調な伸びを記録した。豚肉は、メキシコと日本向けが増加したものの、中国/香港向けが半減していることから前年同月を下回った。

牛肉(バラエティーミート含む)の輸出量は10万8501トン(前年同月比5%増)、輸出額は9億440万ドル(同35%増)。1〜2月累計の輸出量は22万7567トン(同9%増)、輸出額は19億3000万ドル(同46%増)。

2月の輸出額は、肥育牛1頭当たりで445.95ドルに相当し、前年比で29%増加した。2月の牛肉生産に占める輸出割合は14.1%、正肉単体では11.6%。

輸出先別では、韓国向けは1万9033トン(同19%減)と1月に大幅増加した反動で減少したが、輸出額は1億9780万ドル(同17%増)と増加。1〜2月では4万8611トン(同8%増)・5億1,420万ドル(同57%増)だった。

日本向けは輸出量が2万3553トン(同5%減)と減少したが、輸出額は21%増の2億ドル弱に。1〜2月累計は4万6489トン(同1%減)・3億8160万ドル(同26%増)。牛タン、スカート/ハンギングテンダーなどの力強い成長により、高い関税率の影響を受け続けている正肉カットの減速を相殺した。日本の関税は4月1日から牛肉が24.1%、牛タンは3.8%、スカート/ハンギングは4.2%に引き下げられている。

2月の豚肉輸出量は19万8539トン(同17%減)、輸出額は5億4130万ドル(同14%減)。1〜2月累計は 40万7347トン(同17%減)・11億ドル(同14%減)と前年割れ。EUの豚肉価格3月に急激に上昇し、2月と比較して約35%上昇しているため、今後の市場環境は好転する可能性がある。

メキシコ向けは7万3939トン(同30%増)・1億1860万ドル(同14%増)。メキシコ向けの1〜2月累計は16万996トン(同33%増)・2億5510万ドル(同19%増)と勢いを持続している。

2022年はスロースタートとなった日本向けも、2月には3万2712トン(同3%増)・1億3,980万ドル(同6%増)と回復した。1〜2月累計は5万9164トン(同8%減)・2億5850万ドル(同3%減)にとどまっているが、チルドポークは3万5461トン(同5%増)・1億7350万ドル(同4%増)と引き続き増加している。

※牛肉・豚肉の全世界向けの詳細はUSMEFのは統計ウェブページから入手できます。

 
ワールドトレード

今年の豪州の牛肉輸出、低調なスタート

 
 

2022年、米国産牛肉の輸出は好調なスタートを切り、第1四半期を通じて好調を持続している。反対に、豪州の牛肉輸出は惨憺たる滑り出しとなった。肥育牛供給における根本的な課題に加え、輸送および気候要因やCOVID-19関連などが重なり、記録的な低水準にとどまっている。

豪州の第1四半期の牛肉輸出量は17万7223トン。ここ10年で最低の水準であり、過去10年の平均(24万1000トン)を27%も下回った。Beef Centralのジョン・コンドン氏は、「我が国の牛肉業界にとって恐ろしいスタートになった」と嘆く。

これを引き起こした要因はいくつかある。2月下旬から3月初旬の記録的豪雨によって東部広域で起きた洪水と輸送上の問題、主要出荷港のブリスベン港の混雑などだ。ブリスベン港は1週間業務を停止し、3月末まで規模を縮小して営業していた。船積みの遅滞により、チルド・フローズンの保管スペースが埋まり始めたため、一部の処理業者は取扱量の縮小を迫られた。1月に牛肉工場のスタッフ間でCOVID関連の疾病が増大したことも、2022年の生産開始を大幅に遅らせたという。

月間輸出データによると、3月の全市場向け牛肉輸出量は7万4348トン(前年同月比11%減)。第一四半期累計では、日本向けを除いて、ほとんどの主要市場で減少している。同氏によると、第一四半期の米国向けは2万6925トン(同9%減)。

 

※2022年4月11日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
リテール

食料品のサステナビリティに関する意識は多様―クローガー調査

 
 

“サステナブル(持続可能)な買い物”について、米国の消費者の意識は一つではないことが新たな調査でわかった。大手スーパー・クローガーの子会社でデータ分析を行う「84.51社」の調査によると、10人に3人近い27%の消費者が、食料品店での買い物の際に「サステナビリティを非常に気にしている」と回答したが、同時にコストパフォーマンスの高い方法を重視していることもわかった。

「サステナブルな特徴のある食料品にはプラス料金を払う」との回答者は、全体のわずか9%だった。食料品の購入の際にして、消費者がサステナビリティ関連で求めている事柄は以下の通り。

  • 「食品の廃棄が減るように注意している」45%
  • 「再利用可能なパッケージを探している」34%
  • 「全体的なサステナビリティに注意している」29%
  • 「プラスチックごみの削減に注意している」29%

食品以外の日用品分類でも、消費者の注意レベルが高いことも明らかになった。洗剤、ペーパー類、ボディケア製品などがこれにあたる。注意レベルが低いのは、シリアル(38%)、スナック/菓子(35%)、ベビーケア用品(38%)など。

サステナビリティを気にする食料品・日用品

  • 洗剤(65%)
  • ペーパー類(63%)
  • 缶詰・ビン詰などの保存食品(61%)
  • ボディケア製品(各61%)
  • 医療品(60%)
  • 冷凍食品/乳製品(各56%)

回答者の3分の1(32%)が「気候変動を非常に懸念している」と答えているが、「購入する食料品全体のサステナビリティについて非常に気を使っている」と答えたのは21%にとどまる。同社の分析によると、結果が示す不一致は“購買行動が気候変動に影響を与えるという意識が途切れた”ことを表すとしている。

 

※2022年4月6日 FOODMARKET.com

 
USMEFインフォメーション

アメリカンポーク「ピクニック」の活用動画を公開

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、アメリカンポークの様々な部位を活用したカッティングの動画をシリーズで作成しています。今回、その第1弾として「ピクニック(うで肉)」の活用動画をUSMEFのYoutubeチャンネルで公開しました。

従来、ピクニックは「切り落とし」、「ひき肉」等として活用されることが多い部位ですが、今回はそれ以外の活用法を提案することで、付加価値を付けた商品化を提案しております。

特に外食分野ではピクニックはあまり馴染みがない部位だと思われますので、この動画を通じて、アメリカンポークのピクニックが様々なメニューに活用でき、かつ利益の取れる部位だという事をお伝えできれば幸いです。

動画は以下から視聴していただく事が可能です。

「ピクニック(うで肉)」活用動画:

https://www.youtube.com/watch?v=qsMSsoQBQuM

なお、今後の提案部位としては以下を予定しております。

  • クッションミート
  • ボストンバット
  • ショルダーエンド
  • サーロインエンド

本件に対する問合せは担当:加藤(Email:skato@usmef.org)まで。

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート