干ばつの影響で、2021年の全米の牛群は予想以上に縮小した(飼養頭数188万8000頭減)。アナリストは、今年のさらなる減少を危惧している。米国の牛肉生産にとって、少なくとも今後2年間は、干ばつが最も注視される要素の一つになるだろう。
新たな研究報告によれば、東部の大規模な干ばつは、昨年大幅に悪化した。これは、現在進行する気候変動シナリオの中でも最悪のケースだ。「2021年の劇的な干ばつは、同地域で2002年に観測された過去最大の干ばつとほぼ同じ規模だった。2022年も干ばつが継続すると、1500年代後半に観測された大規模干ばつの記録を塗り替える可能性がある」とNature Climate Change誌が報じている。
オクラホマ州立大学のダレル・ピール氏は、干ばつが2022年の養牛業界の行方を左右する決定要素になるという。気候予測センターの見通しでは、現在の東部および北部平原地域の干ばつは、今後も継続する見通しだ。最近は、南部平原で進行した干ばつも持続する見通しで、今後中部平原地域にまで拡大する可能性もある。一部地域では、2020年から干ばつの影響を受け続けている。
2022年に干ばつが拡大すれば、以前にも増して雌牛群の淘汰につながる可能性がある。同氏は、「2020年から2021年に干ばつの影響下にあった地域には、適応力はほとんどないだろう。例えば12月1日時点、モンタナ、ワイオミング、ノースダコタ、サウスダコタの干し草の在庫は、前年比40.2%減少している」と指摘する。
これらの地域では、2020年以降に牛群が8.0%減少しているが、さらなる大規模な一掃に直面する可能性があり、4月あるいは5月の、いわゆる春子の生産を注視する必要がある。この地域の生産頭数は、全米の繁殖用雌牛の15.1%を占める。
コロラド、ニューメキシコ、アリゾナ、ユタの4州にわたるこの地域は、2020年以来干ばつにあえぎ、過去2年間で繁殖用雌牛が11.6%減少した。長引く干ばつの結果、今年も減少する可能性がある。この地域には、国内の繁殖用雌牛の5.3%がいる。
南部および中部平原に位置するテキサスとオクラホマの干ばつは、肉用経産牛の53%以上、およそ1600万頭に影響する可能性がある。2022年の干ばつが大規模になれば、肥育素牛の生産とフィードロットの導入時期が変化し、今後数年間にわたって様々な影響をもたらす可能性がある。
アナリストは、「干ばつの状況で、フィードロットへの導入が引き続き早まっている。さらに、フィードロット外にいる子牛の頭数も減少している。穀物価格の高値にもかかわらず、肥育素牛と子牛は前年比約30ドル高で取引されている。今年予想される子牛の生産規模(前年比およそ35〜40万頭減)を踏まえると、今年は肥育素牛・子牛が100〜110万頭不足するだろう」と推測している。
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