米国農務省(USDA)が発表した最新の牛飼養動向調査によると、1月1日時点の総飼養頭数は9190万2000頭(前年同日比2.0%減・188万8000頭減)。3年連続の減少で、アナリストの予想平均(1.2%減)を上回る減少幅となった。全米各地で起きた干ばつと、子牛生産に関連するコスト増が減少を加速させた。
肉用経産牛の飼養頭数は3012万5000頭(同2.3%減)。2021年の子牛生産頭数は3508万5000頭(同1.2%減)だった。アナリストは、2022年の子牛生産頭数も同程度か、それ以上の減少になる可能性があるという。
もう一つの重要な点は、フィードロットの外にいる肥育素牛および子牛の頭数が前年比で67万7000頭少なく、現在のキャトルサイクルが上昇傾向に転じた2015年以降で最も少ないことだ。肥育素牛および子牛の供給縮小により、フィードロットの導入コストの上昇は避けられないだろう。
◎繁殖雌牛頭数は2015年以降最少、牛群さらに減少も
テキサスA&M大学のデイビッド・アンダーソン氏は、今回の飼養動向調査の中で、牛肉産業のエンジンともいうべき繁殖用雌牛の数値に着目して、今後の長期的な牛肉生産の方向性を探る上で重要な示唆があると指摘する。
肉用種の経産牛の飼養頭数は、前年比71万8000頭減の3012万5000頭となった。これは2015年以降で最少だ。年間の減少としては、1996年〜1997年の86万頭減に次いで過去2番目に大きいが、さらに注目すべきことは、前年の飼養頭数自体も修正されており、前回公表時から31万4000頭少ないことだ。
肉用種の経産牛は東部の多くの州で減少した。西部ではカリフォルニア、ワシントン、オレゴンなどで増加したが、南部で増加したのはルイジアナ、バージニアのみで、テキサスは16万頭減の447万5000頭と2017年以降最少となった。
更新用に保有された肉用雌牛は561万2000頭(同3.3%減)。これは2014年1月1日以降で最少である。2021年の経産牛のと畜頭数が前年を大幅に上回っており、干ばつが肉用種の経産牛の減少を促したのは確かだが、干ばつの影響がなかった地域でも飼養頭数が減少している。
アンダーソン氏は、「経産牛の飼養頭数がこれほど大幅に減少したことを踏まえれば、牛群の縮小がさらに進むことが予想される。牛肉産業は生産の縮小・価格上昇へ向かっている」と分析している。
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